設立の手続き

法人の過去申告書を紛失。無料閲覧とスマホ撮影の手順

結論

法人税申告書の控えをなくしたら、e-Tax送信分は受信通知から先に確認します。書面提出分やデータが残っていない分は、所轄税務署の申告書等閲覧サービスで無料閲覧し、スマートフォンで静止画を撮影できます。従業員が行く場合は本人確認書類、委任状、申請日前30日以内の法人の印鑑証明書、社員証等が必要です。

  • 個人向けの申告書等情報取得サービスは法人税申告書をPDF取得する制度ではない。法人は受信通知か窓口閲覧を使う
  • 法人税・地方法人税、消費税・地方消費税だけでなく、申請書・届出書・請求書と一定の添付書類も閲覧対象
  • 撮影はスマホ等の静止画のみで動画は不可。代理人の委任状には写真撮影を希望する旨も記載する

法人税の申告書控えが見つからないと、前期から繰り越す別表五(一)の利益積立金額、欠損金、減価償却資産の数字を確認できません。新しい税理士へ引き継ぐときや、自分で次期の申告書を作るときに困ります。

法人には、個人の所得税申告書をオンラインでPDF取得する「申告書等情報取得サービス」をそのまま使う道はありません。だからといって、すぐ開示請求をする必要もありません。e-Taxの保存データ、税務署での無料閲覧という順に確認します。

最初にe-Taxの受信通知を確認する

e-Taxで送信した申告書・申請書等は、e-TaxソフトまたはWEB版のメッセージボックスにある受信通知から表示・印刷できる場合があります。最初に次を探します。

  • 法人税・地方法人税の申告データと受信通知
  • 消費税・地方消費税の申告データと受信通知
  • 財務諸表、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書などの送信データ
  • 税理士や会計ソフトから受け取ったPDF・電子申告完了報告
  • 社内ストレージ、決算年度別フォルダ、バックアップ

国税庁のNo.9211は、e-Tax送信分を受信通知からダウンロードする方法を最初に挙げています。申告書等閲覧サービスは来署が必要なので、電子データが残っているならそちらが早く、画像も鮮明です。

e-Taxのマイページで法人税の青色・白色区分や中間申告税額などは確認できますが、法人税申告書一式そのものが常に一覧表示されるわけではありません。「各税目に関する情報」と「提出済み申告書の控え」を区別します。

法人は個人向けPDF取得サービスの対象外

名称が似た制度を整理します。

確認方法法人税申告書取得方法費用主な用途
e-Tax受信通知e-Taxで送信した自社データオンライン表示・印刷0円提出済みデータが残っているとき
申告書等情報取得サービス対象外個人がマイナンバーカードでPDF取得0円所得税申告書等の取得
申告書等閲覧サービス対象税務署窓口で閲覧・撮影0円法人の控えを紛失したとき
保有個人情報の開示請求法人情報の取得手段としては別制度オンライン・郵送・窓口1件200円または300円個人情報の開示

「申告書等情報取得サービス」は、所得税及び復興特別所得税の確定・修正申告書、青色申告決算書、収支内訳書を個人がPDF取得する制度です。書面で出した所得税申告書も対象ですが、法人税申告書は対象に入っていません。

法人の国税申告書は、e-Taxデータがなければ税務署窓口の申告書等閲覧サービスへ進みます。閲覧に手数料はなく、条件を守ればスマホで撮影できます。

閲覧できるのは申告書本体だけではない

法人について主に対象になる文書は次のとおりです。

  • 法人税・地方法人税の確定申告書、修正申告書、中間申告書、還付申告書等
  • 消費税・地方消費税の申告書
  • 各種の申請書、届出書、請求書、報告書
  • 申告書等へ添付して提出し、税務署等が一緒に保存している書類

過去の青色申告承認申請書、消費税簡易課税制度選択届出書、申告期限延長の申請など、現在の処理を決める届出も閲覧対象になり得ます。「法人税申告書だけ」と狭く伝えると、必要な届出を探してもらえません。

反対に、税務署へ提出していない総勘定元帳、仕訳帳、領収書まで出てくる制度ではありません。法人地方税の申告書も都道府県・市区町村への提出物なので、税務署ではなく自治体へ確認します。

申告書が業務センターや外部書庫に保管されている場合があります。国税庁も、事前に税務署へ連絡すると手続がスムーズだと案内しています。対象の事業年度、税目、書類名を一覧にして電話し、来署日時と保管状況を確認します。

代表者本人なら、顔写真付き本人確認書類を持参する

法人が提出した申告書等について、納税者本人として閲覧できるのは法人の代表者です。代表清算人や破産管財人も含まれます。運転免許証、マイナンバーカード、在留カードなど、申請者の氏名・住所を確認できる書類を提示します。

会社名だけを名乗れば見られるわけではありません。申告書には取引先、役員報酬、預金残高など機密情報が含まれるため、代表者本人か代理権限のある人に限定されています。

代表者変更後で、委任状の代表者名と税務署が把握する代表者名が異なる場合は、登記事項証明書で正当な代表者の証明を求められることがあります。変更登記と税務署への異動届の状況も電話時に伝えます。

従業員が行くなら4点。印鑑証明書は30日以内

法人の役員・従業員、税理士、弁護士も代理人として閲覧できます。ただし必要書類が違います。

来署者本人確認委任状法人の印鑑証明書地位の証明
代表者本人本人確認書類不要不要不要
役員・従業員本人確認書類一般用委任状申請日前30日以内社員証等
税理士税理士証票税理士用委任状※不要不要
弁護士身分証明書一般用委任状申請日前30日以内不要

※ 令和6年4月1日以後に提出した税務代理権限証書の委任状欄に申告書の閲覧に係る委任事項を記載済みなら、別の税理士用委任状は不要

表は node scripts/houjin-shinkokusho-etsuran.mjs で再生成できます。

経理担当の従業員に任せる場合は、①運転免許証等、②代表者からの一般用委任状、③申請日前30日以内に発行された法人の印鑑登録証明書、④社員証などの4点です。名刺だけで役員・従業員の地位を証明できるとは限らないため、税務署へ事前確認します。

税理士は印鑑証明書が不要ですが、税理士証票と閲覧権限のある委任状が必要です。「申告の代理を依頼した」ことと「過去書類の閲覧・撮影を委任した」ことを曖昧にしません。通常の税務代理と付帯委任の欄の違いは税務代理権限証書の6区分で整理しています。

スマホ撮影はできるが、動画・無断撮影はできない

閲覧内容を記録する方法は原則として書き写しです。ただし、次の条件へ同意すれば写真撮影できます。

  • デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット等、その場で写真を確認できる機器を使う
  • 動画ではなく静止画で撮影する
  • 撮影画像を職員に確認してもらう
  • 対象書類以外が写り込んだら、職員の指示に従って消去・撮り直す
  • 撮影画像を申告内容または提出事実・年月日の確認以外に使わない

代理人が撮影する場合は、委任状にも委任者が写真撮影を希望する旨を記載します。「閲覧を委任する」とだけ書き、窓口で撮影を追加しようとすると書類が足りません。

撮影前に、1枚目へ事業年度と税目が分かる表紙を入れ、ページ順に撮ります。撮影後はその場で文字のピント、ページ欠け、別表番号を確認します。帰社後に画像名を「2025-03_法人税_別表一_01」のように変更し、アクセス制限のある会社ストレージへ保管します。

目的は「次の申告」と「提出事実の確認」に限られる

2025年1月以降、書面提出時の控えへ収受日付印は押されません。提出時点で残す受信通知・リーフレット・郵送記録の違いは、税務署の受付印廃止後に提出日を残す方法で整理しています。

このサービスは、過去の申告内容を誰にでも証明するためのコピー交付制度ではありません。国税庁が認める主な目的は次の2つです。

  1. 適正な次の申告書等を作るため、過去の内容を確認する
  2. 過去の申告書等を提出した事実や提出年月日を確認する

金融機関、補助金事務局、取引先など第三者から「申告内容を見せてほしい」と言われたことだけを目的には利用できません。まず次期申告に必要な別表・届出の確認という具体的な目的を整理します。

融資などへ提出するなら、撮影画像でよいか、e-Tax受信通知付きのPDFが必要か、税務署の収受日付が分かる書類が必要かを提出先へ確認します。申告書等閲覧サービスの画像は、税務署が写しとして交付・証明したものではありません。

控えを復元した後に保存する4点

閲覧できたら、次の決算で同じことを繰り返さないよう保存単位を決めます。

  1. 申告書・別表・添付書類のPDFまたは撮影画像
  2. e-Taxの受信通知と送信日時
  3. 納付結果、還付結果、ダイレクト納付の完了通知
  4. 申告計算の基礎になった決算書・総勘定元帳

年度フォルダを国税、都道府県、市区町村に分け、ファイル名へ事業年度末と税目を入れます。法人税申告書だけ戻っても、地方税申告書や消費税申告書が欠けていれば次期繰越は完成しません。

法人決算で作る別表・添付書類の全体像は法人の決算申告を自分で行う場合で整理しています。帳簿や証憑の法定保存期間は法人の帳簿保存は7年・欠損金があれば10年も確認してください。

まとめ

  • e-Tax送信分は、まず受信通知と社内・会計ソフトの保存データを探す
  • 個人向けの申告書等情報取得サービスで、法人税申告書をPDF取得することはできない
  • 税務署の申告書等閲覧サービスは無料で、法人税・消費税・届出書・一定の添付書類が対象
  • 代表者本人は本人確認書類、従業員は加えて委任状・30日以内の印鑑証明書・社員証等を用意する
  • スマホの静止画は撮影可能だが、動画は不可。代理人は撮影希望も委任状へ書く
  • 第三者への回答目的ではなく、次の申告または提出事実・年月日の確認に使う制度

紛失に気付いたら、必要な年度・税目・別表・届出を先に一覧にします。目的を「前期からの繰越を確認して次期申告を作る」と具体化し、所轄税務署へ予約の要否と保管場所を確認してから来署してください。

よくある質問

閲覧した法人税申告書を税務署でコピーしてもらえますか?

申告書等閲覧サービスは写しの交付制度ではありません。原則は書き写しですが、条件に同意すればスマートフォン等で静止画を撮影できます。融資先へ出す正式な控えが必要なら、受信通知等の保存データで足りるか提出先にも確認します。

法人の従業員だけで税務署へ行けますか?

行けます。本人確認書類、一般用委任状、申請日前30日以内に発行された法人の印鑑登録証明書、社員証など役員・従業員の地位を証する書類を用意します。写真撮影する旨も委任状へ記載します。

過去の申告書なら何の目的でも閲覧できますか?

できません。今後の適正な申告書等を作るために内容を確認する場合や、提出事実・提出年月日を確認する場合の制度です。金融機関など第三者からの問合せへ回答するだけの目的では利用できません。

都道府県や市区町村へ出した法人地方税申告書も税務署で見られますか?

税務署のサービス対象は税務署等が保管する国税の申告書等です。法人事業税・法人住民税の申告書は提出先の自治体に確認します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。