社会保険
青森市の国民健康保険税(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,266万円
結論
青森市は令和8年度、新設の子ども・子育て支援金分と同じだけ医療分の税率を下げ、合計の税率を前年度と同じにしました。大人だけの世帯なら上限に届かない所得で税額は令和7年度と同じで、単身・40歳未満・事業所得600万円は年73万6,600円(東京23区より8.0万円高い)です。子の均等割には子ども分がかからないため、子のいる世帯は少し下がります。法人化の損益分岐(協会けんぽ青森支部)は1,266万円で、東京23区と同じです。
- 40歳未満の税率は所得割12.17%・均等割26,400円(18歳以上の70円を含む)・平等割32,400円で、合計は令和7年度と同じ
- 医療分は所得割9.71→9.41%・均等割20,040→18,640円・平等割24,720→23,820円に下げ、子ども分(0.30%・1,330円+70円・900円)に振り替えた
- 県は令和12年度の保険税水準の統一を目指す。令和8年度の標準保険料率(2方式)を当てはめると、単身600万円は9.3万円下がり、夫婦と子2人の300万円は7.2万円上がる(参考試算)
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
令和8年度から、国民健康保険に子ども・子育て支援金分が加わりました。多くの市では、その分だけ保険料が上がっています。青森市は違う対応を取りました。運営協議会の資料によると、収支の黒字分を使い、子ども分の徴収分だけ医療分の税率を下げて、負担が増えないように調整しています。
この記事では、その結果を計算エンジンで確かめます。あわせて、県が目指す令和12年度の県内統一の税率を当てはめるとどう変わるかも試算します。他の自治体との比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。
令和8年度の税率
| 区分 | 所得割 | 均等割(1人) | 平等割(1世帯) | 限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 9.41% | 18,640円 | 23,820円 | 67万円 |
| 支援分 | 2.46% | 6,360円 | 7,680円 | 26万円 |
| 介護分(40〜64歳) | 2.74% | 9,260円 | 4,540円 | 17万円 |
| 子ども分 | 0.30% | 1,330円+18歳以上70円 | 900円 | 3万円 |
※ 青森市 国民健康保険税の計算のしかた。支援分は後期高齢者支援金分、子ども分は子ども・子育て支援金分。子ども分の均等割は18歳以上の加入者だけにかかる
40歳未満の3区分を合わせると、所得割12.17%、均等割は大人1人26,400円、平等割は1世帯32,400円です。均等割は当サイトが収録する63市区で5番目に低く、所得割は8番目に高い作りです。
子ども分のぶん、医療分を下げた
| 区分 | 令和7年度 | 令和8年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 医療分の所得割 | 9.71% | 9.41% | △0.30 |
| 医療分の均等割 | 20,040円 | 18,640円 | △1,400円 |
| 医療分の平等割 | 24,720円 | 23,820円 | △900円 |
| 子ども分の所得割 | — | 0.30% | +0.30 |
| 子ども分の均等割(18歳以上) | — | 1,400円 | +1,400円 |
| 子ども分の平等割 | — | 900円 | +900円 |
※ 令和7年度第2回青森市国民健康保険運営協議会資料(表4)。支援分・介護分は改定なし
医療分を下げた幅と、子ども分の額がぴったり同じです。そのため、大人だけの世帯で上限に届かない所得なら、令和8年度の税額は令和7年度と1円も変わりません。
違いが出るのは2つの場面です。1つは子のいる世帯で、医療分の均等割1,400円は子にも下がりますが、子ども分の均等割は子にかかりません。夫婦と小学生の子2人の世帯では年2,800円下がります。もう1つは上限に届く所得で、子ども分の上限3万円が新しく加わるぶん、高所得の世帯は増えます。
単身・事業所得600万円で年73.7万円
旧ただし書所得は600万円−43万円=557万円です。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 平等割 | 小計 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 524,137円 | 18,640円 | 23,820円 | 566,597円 |
| 支援分 | 137,022円 | 6,360円 | 7,680円 | 151,062円 |
| 子ども分 | 16,710円 | 1,400円 | 900円 | 19,010円 |
| 合計 | 736,669円 |
青森市は4区分を合算した後に100円未満を切り捨てるので、税額は年73万6,600円です。東京23区(65万6,379円)より約8.0万円高く、収録63市区で12番目の水準です。40〜64歳なら介護分16万6,418円が加わり、90万3,000円になります。
| 事業所得 | 青森市 | 秋田市 | 東京23区 | 東京23区との差 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 37.2万円 | 37.7万円 | 33.9万円 | +3.3万円 |
| 400万円 | 49.3万円 | 49.7万円 | 44.5万円 | +4.8万円 |
| 500万円 | 61.5万円 | 61.7万円 | 55.1万円 | +6.4万円 |
| 600万円 | 73.7万円 | 73.7万円 | 65.6万円 | +8.0万円 |
| 700万円 | 85.8万円 | 85.7万円 | 76.2万円 | +9.6万円 |
| 800万円 | 89.5万円 | 89.8万円 | 86.8万円 | +2.7万円 |
| 900万円 | 92.3万円 | 92.6万円 | 95.3万円 | −3.0万円 |
| 1,000万円 | 94.9万円 | 95.3万円 | 95.8万円 | −0.8万円 |
※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。所得が低く法定軽減(7割・5割・2割)に当たる世帯は、この表より安くなる
医療分は事業所得710万円で上限に届き、23区との差は710万円で最大の9.8万円になります。835万円を超えると23区より安くなります。南隣の秋田市とはどの所得でも差が0.7万円以内で、ほぼ同じ水準です(秋田市の国民健康保険税)。
令和12年度の県内統一を当てはめると
運営協議会の資料には、県が示した令和8年度の標準保険料率(子ども分を除く)が載っています。県内統一後の税率はこの標準保険料率になる、とされています。統一後の率は2方式(所得割と均等割だけで、平等割なし)で示されています。
| 区分 | 青森市(令和8年度) | 標準保険料率(令和8年度・2方式) |
|---|---|---|
| 医療分 | 9.41%・18,640円・23,820円 | 7.03%・43,353円 |
| 支援分 | 2.46%・6,360円・7,680円 | 3.07%・18,831円 |
| 介護分 | 2.74%・9,260円・4,540円 | 2.99%・21,490円 |
※ 所得割・均等割・平等割の順。標準保険料率は資料の表1。青森市の医療分は子ども分への振替後の値
仮に、この標準保険料率をそのまま青森市に当てはめると、次のように変わります。統一は令和12年度の予定で、そのときの率はこれとは違うはずです。あくまで「所得割を下げて定額部分を上げる」方向の影響を見るための参考試算です。
| 世帯(40歳未満) | 事業所得300万円 | 600万円 |
|---|---|---|
| 単身 | 37.2万円 → 33.2万円 | 73.7万円 → 64.4万円 |
| 夫婦 | 39.8万円 → 39.5万円 | 76.3万円 → 70.7万円 |
| 夫婦+子2人(小学生) | 44.8万円 → 52.0万円 | 81.3万円 → 83.2万円 |
※ 計算エンジンで医療・支援・介護分だけを標準保険料率に差し替えた試算(子ども分と上限は令和8年度のまま)。配偶者・子は無収入/2026年(令和8年)分 基準
所得割が下がるので、単身で所得のある人は下がり、600万円なら9.3万円安くなります。一方で均等割が1人あたり倍以上になるので、子のいる世帯は上がり、夫婦と子2人・300万円では7.2万円高くなります。資料も、統一後は応益割(均等割・平等割)の比率が47.41%から54.97%に上がる見込みで、急激な影響が出ないような対策を検討する必要があると書いています。
法人化の分岐点は1,266万円
| 条件 | 損益分岐(売上−経費) |
|---|---|
| 東京23区・協会けんぽ東京支部(単身) | 1,266万円 |
| 青森市・協会けんぽ青森支部(単身) | 1,266万円 |
| 青森市・配偶者(無収入)あり | 1,016万円 |
| 青森市・単身・40〜64歳 | 1,243万円 |
| 参考:標準保険料率を当てはめた場合(単身) | 1,266万円 |
※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準
協会けんぽ青森支部の健康保険料率は9.85%で、東京支部と同じです。分岐点の付近(青色申告特別控除後で1,200万円前後)では、青森市も23区も上限に届いているので、分岐点は23区と同じ1,266万円になります。標準保険料率を当てはめても、上限は同じなので分岐点は動きません。
県内統一で国保が大きく動くのは、上限に届かない所得帯です。家族の人数と所得によって上がる人と下がる人が分かれるので、事業所得300万〜700万円の世帯は、統一に向けた毎年の税率改定を見ておく価値があります。
まとめ
- 青森市は令和8年度、子ども分と同じだけ医療分を下げ、合計の税率を前年度と同じにした
- 大人だけの世帯は上限に届かない所得で前年度と同額。子のいる世帯は少し下がる
- 単身・事業所得600万円で年73万6,600円。東京23区より8.0万円高く、収録63市区で12番目
- 令和12年度の県内統一の標準保険料率を当てはめると、単身は下がり、子のいる世帯は上がる(参考試算)
- 法人化の分岐点は1,266万円で、東京23区と同じ
青森市の国保税は、当面は据え置きでも、統一に向けて家族の多い世帯ほど負担が増える方向にあります。法人化の判断は、家族構成を入れて自分の売上と経費で確かめてください。
よくある質問
青森市の国民健康保険税は令和8年度に上がりましたか?
合計の税率は変わっていません。新設の子ども・子育て支援金分(所得割0.30%、均等割1,330円、18歳以上均等割70円、平等割900円)と同じだけ医療分を下げ、所得割の合計14.91%、均等割35,660円、平等割36,940円(いずれも介護分を含む合計)を前年度と同じにしています。
青森市の国民健康保険税の端数はどう処理されますか?
医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども分を合算した後に、100円未満を切り捨てます。
青森県の国民健康保険税は県内で統一されますか?
青森市の運営協議会資料では、県は令和12年度の保険料(税)水準の統一を目指しており、統一後の税率は県が定める標準保険料率になるとされています。令和8年度の改定では、統一を見据えた調整は見送られました。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。