税金の基礎

法人の寄附金は全額損金にならない。資本金と所得で上限

法人の一般寄附金は、資本金等と所得から計算する限度額までしか損金になりません。資本金1,000万円・寄附30万円の例を再計算し、国等、指定寄附金、認定NPOとの違いも整理します。

法人が30万円を寄附して「30万円の経費」と記帳しても、一般の寄附金なら全額が法人税の損金になるとは限りません。損金算入限度額を超えた部分は申告書で加算します。

一方、国や地方公共団体への寄附金、財務大臣の指定寄附金は原則として全額損金です。寄附先の区分を確認せずに「寄附は経費になる/ならない」と一括りにできません。

一般寄附金の限度額

資本金を有する普通法人の一般寄附金は、次の式で限度額を計算します。

(資本金等×当期月数÷12×2.5/1,000 + 所得金額×2.5/100)×1/4

所得金額は、支出した寄附金を損金に算入しないものとして計算します。寄附後の会計利益をそのまま式へ入れると循環してしまうため、寄附金を加算した所得を基礎にします。

資本金1,000万円、30万円を寄附した試算

node scripts/houjin-kifukin-jougen.mjs で、12か月決算、資本金等1,000万円、一般寄附金30万円を再計算しました。

所得金額(寄附金を損金にしない前提)損金算入限度額30万円寄附時の損金不算入
0円6,250円293,750円
5,000,000円37,500円262,500円
10,000,000円68,750円231,250円
15,000,000円100,000円200,000円

国税庁の例と同じく、資本金等1,000万円・所得1,500万円なら限度額は10万円です。30万円を一般の団体へ寄附した場合、20万円は損金不算入になります。

赤字でも資本金等を基礎にする部分があるため、この例では6,250円の枠があります。ただし、30万円の現金が会社から出る事実は変わりません。損金不算入とは支出が無効になる意味ではなく、法人税の所得計算で差し引けないという意味です。

寄附先で4つに分ける

寄附先・区分法人税上の主な扱い
国・地方公共団体原則、全額損金
指定寄附金原則、全額損金
特定公益増進法人・認定NPO法人等一般枠とは別の特別限度額まで損金
その他の一般寄附金資本金等と所得による一般限度額まで損金

団体名に「公益」「NPO」が入っているだけで区分は確定しません。寄附時点で認定が有効か、寄附の目的が対象事業に関連するか、受領証や証明書で確認します。

特定公益増進法人等の特別枠で収まらなかった額は、一般寄附金の額に含めて一般枠を使える場合があります。申告書の別表十四(二)で区分と限度額を計算します。

役員個人の寄附を会社に付け替えない

法人の役員が個人として負担すべき性格の寄附を会社が払うと、その役員への給与となり、法人の寄附金から外れます。役員個人のふるさと納税上限と、法人が自社の意思で行う寄附は別制度です。

個人のふるさと納税を会社口座から払って法人寄附金にすることはできません。法人が自治体へ行う企業版ふるさと納税にも、認定事業、最低寄附額、本店所在地など別の要件があります。

未払計上では寄附したことにならない

法人税上の寄附金は、現実に金銭や資産を渡した時に支出を認識します。

  • 決算日に未払寄附金を計上しただけ:当期の寄附金に含めない
  • 手形を渡したが未決済:当期の寄附金に含めない
  • 仮払金で処理したが実際に支払済み:寄附金に含める
  • 資産を無償で渡した:贈与時の時価で寄附金を計算

勘定科目の名前より実際の支払いが先です。低額で資産を譲渡し、差額が実質的な贈与と認められる場合も寄附金になり得ます。

広告宣伝費・交際費との境界

事業遂行と直接関係する広告宣伝、見本品、交際費、福利厚生費に当たる支出は寄附金から除かれます。ただし、領収書に「協賛金」と書いてあるだけでは決まりません。

広告の掲載場所、掲載期間、対価、対象顧客などを契約書や企画書で説明できるようにします。対価性がなく、事業に直接関係しない団体へ金銭を渡したなら、一般寄附金として限度額を計算します。

祭りや同業団体への協賛金をどう振り分けるか、寄附金に落ちたときに個人事業主と法人で何が変わるかは協賛金の勘定科目は3つに割れるで、10万円あたりの金額まで出しています。

まとめ

  • 一般寄附金は資本金等と所得から計算した限度額まで損金
  • 資本金等1,000万円・所得1,500万円なら一般枠は10万円
  • 30万円寄附なら20万円が損金不算入になる例
  • 国・地方公共団体と指定寄附金は原則全額、公益法人等には別枠がある
  • 未払計上では寄附金にならず、現実の支払い時に認識する
  • 役員個人が負担すべき寄附を会社が払うと給与になり得る

よくある質問

法人が寄附した30万円は全額経費になりますか?

一般の寄附金は限度額までです。国・地方公共団体への寄附金や指定寄附金は原則全額、特定公益増進法人等は一般枠とは別の特別枠があります。

赤字法人にも一般寄附金の損金枠はありますか?

資本金等を基礎にする部分があるため、所得0円でも枠は0円とは限りません。資本金等1,000万円・12か月なら6,250円です。

決算日に未払計上すれば当期の寄附金になりますか?

なりません。法人税上の寄附金は現実に支払った時に認識し、未払寄附金や未決済の手形は含めず、仮払寄附金は含めます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。