税金の基礎
償却資産税は150万円未満でも申告。40万円未満の即時償却も対象
法人の償却資産税を150万円の免税点から解説。課税標準額149万9,000円なら0円、150万円なら2万1,000円。少額減価償却資産の特例との違いも計算します。
法人でパソコン、複合機、看板、店舗の内装などを持つと、法人税の減価償却とは別に固定資産税の一種である「償却資産税」がかかることがあります。
基準としてよく出てくるのが150万円です。しかし、ここには3つの誤解があります。
- 150万円は購入額ではなく、同じ自治体内にある対象資産の課税標準額の合計
- 150万円以下ではなく、150万円未満なら課税されない
- 150万円未満で税額が0円でも、償却資産申告は必要
さらに、法人税で購入額を一度に損金にした資産が、償却資産税でも消えるとは限りません。2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産について、中小企業者等の少額減価償却資産の特例を使っても、有形資産は原則として申告対象です。
149万9,000円なら0円、150万円なら2万1,000円
償却資産税の標準税率は1.4%です。東京都23区では、各資産の評価額を区ごとに合計し、1,000円未満を切り捨てた課税標準額に1.4%を掛け、税額の100円未満を切り捨てます。
| 評価額の合計 | 課税標準額 | 償却資産税 |
|---|---|---|
| 149万9,999円 | 149万9,000円 | 0円 |
| 150万円 | 150万円 | 2万1,000円 |
| 312万4,000円 | 312万4,000円 | 4万3,700円 |
150万円は「基礎控除」のように全員の課税標準額から引く金額ではありません。課税標準額が150万円未満なら全額が免税となり、150万円以上なら課税標準額の全体に税率を掛けます。
したがって、149万9,000円から150万円へ1,000円増える境目では、税額が0円から2万1,000円へ動きます。「150万円を超えた部分だけに1.4%」ではありません。
この表はscripts/shokyaku-shisanzei-150man-hojin.mjsで再計算できます。実際には自治体による評価と課税標準の特例が反映されるため、表は標準税率を使った概算です。
150万円は購入額ではなく、評価額の合計
償却資産は、毎年1月1日現在の価値を取得年月、取得価額、耐用年数から1品ずつ評価します。前年中に取得した資産は、取得月にかかわらず半年分を減価させます。前年前に取得した資産は、前年度評価額に1年分の減価残存率を掛けます。
東京都が示す計算は次の形です。
- 前年中に取得:取得価額×(1−耐用年数に応じた減価率×1/2)
- 前年前に取得:前年度評価額×(1−耐用年数に応じた減価率)
- 評価額の下限:取得価額の5%
たとえばサーバー用ではないパソコンの法定耐用年数は4年で、償却資産評価の減価率は0.438です。25万円のパソコンを前年中に16台取得した場合、初年度の評価額は次のようになります。
25万円×16台×(1−0.438×1/2)=312万4,000円
課税標準の特例がない前提なら、税額は4万3,700円です。購入額400万円へそのまま1.4%を掛けた5万6,000円ではありません。
反対に購入額が150万円を超えていても、過年度から減価した評価額の合計が150万円未満なら課税されません。見るべき数字は請求書の合計ではなく、1月1日時点で自治体が評価する課税標準額です。
1台150万円ではなく、同じ自治体内で合算する
免税点は資産1台ごとに判定しません。
同じ法人が新宿区内で、評価額60万円の看板、50万円の複合機、45万円の内装を持つなら、合計155万円です。1つずつは150万円未満でも、区内合計が150万円以上なので課税対象になります。
一方、資産の所在地が異なる市町村に分かれる場合は、申告先も分かれます。東京都23区では区ごとに合算し、資産が所在する区の都税事務所へ申告します。法人の本店所在地だけで全資産をまとめるのではありません。
テナントが取り付けた内装・造作や建築設備は、家屋の所有者が別にいても、テナント側の償却資産として申告対象になることがあります。賃貸オフィスだから資産がないとは限りません。
自動車税・軽自動車税の対象となる車両、ソフトウェアなどの無形固定資産、家屋として固定資産税が課税される設備は、償却資産申告から外れます。固定資産台帳の全行をそのまま転記せず、対象・対象外を分類します。
40万円未満を全額損金にしても申告対象
国税と償却資産税では、少額資産の扱いが一致しません。
2026年度の税制改正により、一定の中小企業者等が使える少額減価償却資産の取得価額基準は、2026年4月1日以後の取得について30万円未満から40万円未満へ引き上げられました。年間合計300万円の上限は続きます。
この特例を使うと、法人税では取得価額を事業供用年度に全額損金算入できます。しかし、東京都主税局は、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例を使った資産を償却資産税の申告対象と明記しています。
なお、この特例の40万円は「未満」です。同じ40万円でも、中小企業投資促進税制の工具の要件は40万円「以上」で、不等号の向きが逆になります。設備側の制度については中小企業投資促進税制の30%と7%で扱っています。
| 税務上の処理 | 国税での処理 | 償却資産申告 |
|---|---|---|
| 10万円未満を通常の少額資産として一時に損金算入 | 全額を当期の損金 | 原則対象外 |
| 20万円未満を3年間で一括償却 | 3年で均等に損金 | 原則対象外 |
| 中小企業者等の40万円未満特例(2026年4月1日以後取得) | 年300万円まで全額を当期の損金 | 原則対象 |
| 少額でも個別に減価償却 | 耐用年数で損金 | 対象 |
さきほどの25万円のパソコン16台は取得価額合計400万円です。国税の特例は年300万円が上限なので、全16台を特例で即時損金にできるわけでもありません。そして、どの台に特例を使ったかにかかわらず、有形のパソコンは原則として償却資産申告の対象になります。
法人税の決算書で帳簿価額が0円になっていても、償却資産税の評価額は別計算です。国税では備忘価額1円まで償却できる場合でも、償却資産税の評価額には取得価額の5%という下限があります。
法人と個人で減価償却の計上方法が違う点は減価償却を止められるのは法人だけで説明しています。償却資産税は、その法人税・所得税の減価償却計算をそのまま流用しない点が重要です。
税額0円でも1月31日までに申告する
毎年1月1日時点で償却資産を所有する事業者は、その内容を原則1月31日までに資産所在地の自治体へ申告します。法人の決算月が3月でも9月でも、基準日は1月1日です。
課税標準額が150万円未満になるかどうかは、申告された取得価額・取得年月・耐用年数などをもとに自治体が評価して判定します。そのため「どうせ150万円未満だから」と申告を省略しません。
赤字法人も同じです。法人税が0円でも、償却資産税は資産を持つことに着目した税であり、利益の有無で申告義務は消えません。すでに申告を続けていた法人が廃業、移転、売却ですべての資産を失った場合も、全品減少など自治体指定の方法で状況を伝えます。
実務では次の資料をそろえます。
- 固定資産台帳と法人税申告書の別表16
- 前年中に取得・売却・廃棄した資産の請求書や除却記録
- 資産ごとの所在地、取得年月、取得価額、耐用年数
- 10万円未満の即時損金、20万円未満の一括償却、40万円未満特例の区分
- 非課税・課税標準の特例を使う場合の添付資料
法人化のときに個人から会社へ資産を移した場合は、契約書と固定資産台帳を照合し、1月1日時点で誰が所有していたかを確認します。資産の引継ぎ方法は法人成りで個人の資産を会社へ移す方法も参照してください。
まとめ
- 償却資産税の標準税率は1.4%
- 免税点は課税標準額150万円「未満」で、ちょうど150万円なら課税される
- 150万円は購入額や1台ごとの価格ではなく、同じ自治体内にある対象資産の評価額合計
- 課税標準額が150万円未満で税額0円の見込みでも、償却資産申告は必要
- 2026年4月1日以後取得の40万円未満特例で即時損金にした有形資産も、原則として申告対象
- 10万円未満の即時損金と20万円未満の3年一括償却は、原則として申告対象外
- 1月1日時点の所有資産を、原則1月31日までに資産所在地の自治体へ申告する
150万円だけを覚えると、「購入額150万円未満だから申告不要」と取り違えます。固定資産台帳から対象資産を拾い、国税の帳簿価額とは別に評価される課税標準額で判定してください。
よくある質問
償却資産の課税標準額が150万円なら税金は0円ですか?
0円ではありません。免税点は150万円「未満」です。課税標準額がちょうど150万円なら、標準税率1.4%で税額は2万1,000円です。1,000円未満・100円未満の端数処理や課税標準の特例もあるため、納税通知書で確定額を確認します。
課税標準額が150万円未満でも償却資産申告は必要ですか?
必要です。申告された資産を自治体が評価して課税標準額を決めるため、納税額が0円になる見込みでも、毎年1月1日時点の対象資産を原則1月31日までに申告します。
40万円未満の少額減価償却資産を全額損金にすれば償却資産税も対象外ですか?
対象外にはなりません。2026年4月1日以後の取得では、一定の中小企業者等が40万円未満の資産を即時損金算入できる国税の特例がありますが、この特例を使った有形資産は原則として償却資産申告の対象です。10万円未満の即時損金算入や20万円未満の3年一括償却とは扱いが違います。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。