税金の基礎
法人名義にすると使えない東京都の減免。障害者の自動車税と区分所有の敷地
結論
東京都の自動車税の障害者減免は「個人名義の自家用自動車に限ります」とされ、車を会社名義にすると対象から外れます(構造上専ら障害者の利用に供する自動車は別の減免)。減免の上限は年4万5,000円です。23区内の区分所有家屋の敷地の減免(住宅部分に相当する土地の税額の3分の2が限度)も、法人が所有するものは対象外です。法人成りで資産を会社に移すときは、減免の条件に所有者の名義が入っていないかを先に確かめる必要があります。
- 自動車税の障害者減免は、障害者本人か生計を同じくする人が所有し、本人か生計を同じくする人が運転する個人名義の自家用自動車が対象。1人につき1台
- 区分所有家屋の敷地の減免は、住宅部分が家屋全体の4分の1未満で敷地全体が非住宅用地になっている土地で、所有者や親族が住み続けていることが要件
- 個人事業税の障害者減免(1人5,000円)も、法人化して個人事業税がなくなれば使えなくなる
このテーマの全体像 個人事業主の法人化の目安と損益分岐点
法人成りでは、車や建物を会社に移すかどうかを、税金と経費の面から考えます。そのとき見落としやすいのが、個人名義であることを条件にした減免です。会社に移した時点で、それまで受けていた減免がなくなります。
東京都主税局の減免・猶予の案内から、法人名義だと対象外になるものを取り出しました。
障害者のための自動車の減免は、個人名義に限る
東京都の自動車税には、障害者の方のために専ら使用する自動車の減免があります。主税局の「障害者減免のご案内」によると、対象は次の組み合わせです。
| 納税義務者(所有者) | 運転者 | 使用目的 |
|---|---|---|
| 障害者の方 | 障害者の方 | 問わない |
| 障害者の方 | 障害者以外の方 | 専ら障害者の方の通院・通学等 |
| 生計を同じくする方 | 障害者の方 | 問わない |
| 生計を同じくする方 | 障害者以外の方 | 専ら障害者の方の通院・通学等 |
そのうえで、個人名義の自家用自動車(車検証に「自家用」と記載されている自動車)に限るとされています。所有者が会社なら、使う人や目的が同じでも対象外です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 減免の上限 | 年4万5,000円(新規登録の年度は登録月による月割額) |
| 台数 | 障害者の方1人につき1台 |
| 申請期限 | 新規登録した車は登録の日から1か月以内、すでに持っている車は4月1日〜5月31日 |
| 生計を同じくする方 | 障害者の方と同居している方、または障害者の方の住所地から2km以内に住む親族など |
上限を超える税額は納付が必要です。なお、主税局は、構造上専ら障害者の方のために使用する自動車も減免の対象になるとしています(構造減免)。所有者の名義の条件は、構造減免の申請の前に主税局の案内で確かめてください。
法人成りで車を会社に移す手続きと、移したあとの自動車税(4月1日の所有者に年度分が課税される)は法人成りの車の名義変更、2026年4月に消えた税と残る自動車税で扱っています。家族に障害者がいて減免を受けている車は、会社に移すと年最大4万5,000円の減免がなくなることも合わせて考える必要があります。
店舗兼住宅の敷地の減免も、法人所有は対象外
23区内の固定資産税・都市計画税には、区分所有家屋の敷地の減免があります。一棟の建物を区分して所有する建物で、住宅部分の割合が小さいために敷地全体が非住宅用地とされている土地について、住宅部分に相当する土地の税額の3分の2を限度に減免する制度です。
要件は3つで、すべてを満たす必要があります。
- 区分所有家屋の敷地であること
- 住宅部分の床面積が家屋全体の4分の1未満で、敷地全体が非住宅用地と認定されていること
- 1月1日と減免申請日に、同じ所有者またはその親族等が継続して住んでいて、その所有者が敷地も所有していること
主税局は3の注記で「法人が所有するもの及び賃貸しているものは対象外」としています。区分所有の店舗兼住宅で、自分の持ち分を会社に移すと、敷地の減免は受けられなくなります。
減免の対象になるのは、住宅部分の割合が小さいために敷地全体が非住宅用地として扱われている土地です。住宅部分に住む所有者の負担を軽くする制度なので、所有者が住んでいることと、所有者が個人であることが要件に入っています。
個人事業税の障害者減免も、法人化でなくなる
都税の減免で法人化と関係するものは、もう1つあります。個人事業税の減免です。合計所得金額370万円以下で、本人または扶養親族等が障害者なら1人5,000円、高額な医療費を払った年は医療費に応じた額が減免されます。法人化すると個人事業税そのものがなくなり、法人事業税には同じ減免がありません。詳しくは個人事業税は医療費と障害者で減免されるで計算しています。
法人化・法人名義で使えなくなる東京都の主な減免
| 減免 | 条件のうち名義・事業形態に関するもの | 法人化・法人名義では |
|---|---|---|
| 自動車税の障害者減免(上限4万5,000円) | 個人名義の自家用自動車に限る | 対象外 |
| 区分所有家屋の敷地の減免(23区) | 法人が所有するもの・賃貸は対象外 | 対象外 |
| 個人事業税の障害者減免・医療費減免 | 個人事業税の制度 | 個人事業税がなくなるので使えない |
どれも金額は年数万円で、法人化するかどうかの判断を動かすほど大きくはありません。ただし、受けていた減免は申請しなければ受けられないものばかりで、なくなったことに気づきにくいものでもあります。法人化するかの判断は、まず自分の売上と経費で個人と法人の手取りを比べ(個人事業主の法人化の目安と損益分岐点)、そのうえで車や建物を会社に移すかどうかを、こうした減免も含めて決めてください。
まとめ
- 東京都の自動車税の障害者減免は個人名義の自家用自動車に限られ、会社名義の車は対象外。上限は年4万5,000円、1人1台
- 構造上専ら障害者の利用に供する自動車は、別の構造減免の対象になる
- 23区の区分所有家屋の敷地の減免(住宅部分に相当する土地の税額の3分の2が限度)は、法人所有と賃貸を対象外としている
- 個人事業税の障害者減免・医療費減免は、法人化して個人事業税がなくなれば使えない
- いずれも申請が必要な減免で、法人成りで資産を会社に移すときに消えたことに気づきにくい
よくある質問
障害者のいる家族の車を会社名義のまま使っても、自動車税の減免は受けられますか?
東京都の障害者減免は、個人名義の自家用自動車(車検証に「自家用」と記載されている自動車)に限るとされています。会社名義の車は対象外です。ただし、構造上専ら障害者の方の利用に供する自動車は、別の構造減免の対象になります。
自動車税の障害者減免はいつまでに申請しますか?
新規登録で取得した車は登録の日から1か月以内、すでに持っている車は4月1日から5月31日までに申請します。減免を受けられるのは障害者1人につき1台です。
区分所有家屋の敷地の減免はどんな建物が対象ですか?
23区内の一棟の建物を区分して所有する区分所有家屋で、住宅部分の床面積が家屋全体の4分の1未満のため敷地全体が非住宅用地と認定されている土地が対象です。1月1日と申請日に同じ所有者か親族等が継続して住み、その所有者が敷地も所有していることが必要で、法人所有や賃貸しているものは対象外です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。