税金の基礎
999円はどこで消える?法人税・加算税・延滞税の端数処理5段階
結論
国税一般は、まず課税標準の1,000円未満を切り捨て、最後に確定税額の100円未満を切り捨てます。加算税・延滞税等は、本税の1万円未満を切り捨てて計算し、算出額の100円未満も切り捨てます。さらに延滞税等は全額1,000円未満、加算税は全額5,000円未満なら0円です。
- 国税一般は課税標準1,000円未満、確定税額100円未満を順に切り捨てる
- 附帯税は本税の1万円未満を落として計算し、延滞税等は1,000円未満、加算税は5,000円未満なら全額0円
- 源泉所得税、登録免許税、印紙税などには一般規則と異なる例外がある
法人税を概算するときに、所得へ税率を掛けただけの金額と申告書の納付税額が数十円・数百円ずれることがあります。原因は、税率より前と後で別々に行う端数処理です。
さらに、加算税や延滞税では本税を1万円単位へ落としてから計算し、算出額にも最低金額があります。「最後にまとめて100円未満を切り捨てる」だけではありません。国税通則法の順序を、法人の実務に絞って整理します。
全体像:1,000円、100円、1万円、1,000円、5,000円
国税庁税務大学校の講本が示す原則は次のとおりです。
| 段階 | 原則的な処理 |
|---|---|
| 国税一般の課税標準 | 1,000円未満切捨て。全額1,000円未満も0円 |
| 国税一般の確定税額 | 100円未満切捨て。全額100円未満も0円 |
| 加算税・延滞税・利子税の計算基礎となる本税 | 1万円未満切捨て。全額1万円未満も0円 |
| 延滞税・利子税の確定額 | 100円未満切捨て。全額1,000円未満なら0円 |
| 加算税の確定額 | 100円未満切捨て。全額5,000円未満なら0円 |
重要なのは「未満」です。確定した法人税が100円なら0円ではなく100円、加算税が5,000円なら0円ではなく5,000円です。
表の計算は node scripts/kokuzei-hasu-shori.mjs で再生成できます。これは国税の一般規則であり、地方税や社会保険料の端数処理へそのまま流用はできません。
法人税は課税標準を1,000円単位にしてから税率を掛ける
資本金1億円以下の普通法人で、年800万円以下の部分を15%、超過部分を23.2%とし、税額控除等がない法人税単体の例です。
| 端数処理前の所得 | 課税標準 | 税率計算後 | 法人税単体 |
|---|---|---|---|
| 2,999,999円 | 2,999,000円 | 449,850円 | 449,800円 |
| 7,999,999円 | 7,999,000円 | 1,199,850円 | 1,199,800円 |
| 8,000,999円 | 8,000,000円 | 1,200,000円 | 1,200,000円 |
| 8,001,000円 | 8,001,000円 | 1,200,232円 | 1,200,200円 |
2,999,999円へ15%を直接掛けると449,999.85円ですが、申告では先に999円を落とし、最後に50円を落とします。この単純例の法人税は449,800円です。
8,000,999円も、1,000円未満を落とすと課税標準は8,000,000円です。超過税率23.2%の対象はまだありません。8,001,000円になって初めて超過部分1,000円へ23.2%が掛かります。
実際の法人税申告では、所得金額、税率区分、税額控除、留保金課税等の条件で計算が増えます。ここで示しているのは、端数処理の順番を見せるための法人税単体です。
「確定税額の100円未満」は計算途中へ乱用しない
国税一般の確定金額は100円未満を切り捨てます。しかし、各明細のすべてを100円単位にしてよい意味ではありません。
たとえば消費税では、課税標準額の1,000円未満を切り捨てた後、課税標準額に対する消費税額の1円未満を切り捨てます。課税仕入れに係る消費税額等にも1円未満の処理があり、これらを差し引いた納付税額の100円未満を切り捨てます。
つまり、法律・申告書が指定する計算途中の単位を守り、最終段階で確定税額の規則を当てます。途中の1円単位を早く捨てれば、控除税額や還付額が変わることがあります。
加算税は、本税を1万円単位にしてから最低5,000円を判定する
加算税は次の順序です。
- 計算基礎となる本税の1万円未満を切り捨てる
- 加算税率を掛ける
- 算出した加算税の100円未満を切り捨てる
- 加算税全体が5,000円未満なら全額を切り捨てる
単純化した5%と10%の例では、境目がはっきりします。
| 本税 | 税率 | 1万円未満切捨て後 | 計算額 | 確定する加算税 |
|---|---|---|---|---|
| 99,999円 | 5% | 90,000円 | 4,500円 | 0円 |
| 100,000円 | 5% | 100,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 49,999円 | 10% | 40,000円 | 4,000円 | 0円 |
| 50,000円 | 10% | 50,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
「本税×率が5,000円前後か」ではなく、先に本税を1万円単位へ落とした後の結果で判定します。法人の無申告加算税はいくらかでは、50万円以下・超過部分など実際の税率区分と自主申告の違いを計算しています。
延滞税は計算額が出ても1,000円未満なら0円
延滞税も、計算基礎となる本税の1万円未満を切り捨てます。日数と年率で計算し、100円未満を切り捨て、延滞税全体が1,000円未満なら0円です。
本税133,999円、年2.8%という単純例では、計算基礎は13万円になります。
| 遅れた日数 | 100円未満切捨て前 | 100円未満切捨て後 | 確定する延滞税 |
|---|---|---|---|
| 60日 | 598円 | 500円 | 0円 |
| 90日 | 897円 | 800円 | 0円 |
| 101日 | 1,007円 | 1,000円 | 1,000円 |
年率を掛けた結果が1円でもあれば請求されるのではありません。ただし、0円だから納付遅れに問題がないわけでもありません。督促や納税証明書への影響、加算税、差押え等は別に判断されます。法人税等を払えないときの猶予と延滞税で、納付相談の入口を整理しています。
3つの代表的な例外
一般規則と異なる税目があります。
1. 通常の源泉所得税
通常の源泉所得税は、課税標準も確定税額も1円未満を切り捨てます。国税一般の「課税標準1,000円・確定税額100円」を当てません。
ただし、退職所得の受給に関する申告書が提出されている退職所得と、年末調整に係る源泉所得税は、この例外から除かれます。給与計算で出た源泉税を自己判断で100円単位へ丸めないでください。
2. 登録免許税
登録免許税は課税標準の1,000円未満、確定税額の100円未満を切り捨てますが、計算した税額全体が1,000円未満なら原則1,000円とします。「少額だから0円」ではなく最低税額側へ動きます。
3. 印紙税
印紙税には、国税一般の課税標準・確定税額の端数規則をそのまま適用しません。過怠税には1,000円未満を1,000円とする規則があります。税目名だけで一律の切捨てをしないことが大切です。
インボイスの1円未満とは別の話
適格請求書へ記載する消費税額等に1円未満の端数が出る場合は、1枚の請求書につき税率ごとに1回処理します。切上げ、切捨て、四捨五入など方法は任意です。
商品ごとに端数処理して合計することは認められません。請求書単位の1円未満処理と、決算後の消費税申告で課税標準1,000円未満・納付税額100円未満を処理することは別の段階です。
会計ソフトの請求書設定で「四捨五入」を選んだから、申告書も四捨五入になるわけではありません。申告書は法令と各欄の記載要領に従います。
実務でずれたときの確認順序
試算と申告書が合わないときは、次の順で確認します。
- 比較しているのが課税標準、算出税額、控除後税額、確定税額のどれか
- 税率を掛ける前に課税標準の端数を処理したか
- 税額控除や中間納付を差し引く位置が正しいか
- 途中計算の1円未満処理を早く行っていないか
- 最終税額の100円未満を処理したか
- 附帯税なら、本税を先に1万円単位へ落としたか
- 税目固有の例外に該当しないか
Excelで独自計算する場合は、元の円単位金額、端数処理後の課税標準、税率計算後、最終確定額を別セルにします。ひとつの式へまとめると、どの段階で差が出たか追えません。
まとめ
- 国税一般は課税標準の1,000円未満を切り捨ててから税率を掛ける
- 確定税額は原則100円未満を切り捨てる
- 加算税・延滞税等は本税の1万円未満を切り捨てて計算する
- 延滞税等は全額1,000円未満、加算税は全額5,000円未満なら0円
- 源泉所得税、登録免許税、印紙税には一般規則と違う扱いがある
- インボイス1枚の1円未満処理と、申告全体の端数処理は別の段階
端数の差は小さくても、計算順序を誤っているサインになります。税率を確認するだけで終えず、「何を基礎に」「いつ」「何円未満を」処理するのかを申告書の欄ごとに確認してください。
よくある質問
法人税の課税所得が2,999,999円なら、15%をそのまま掛けますか?
先に1,000円未満を切り捨てて課税標準を2,999,000円とし、税率を掛けます。税額449,850円の100円未満も切り捨て、法人税単体は449,800円です。税額控除等がない単純例です。
加算税が計算上4,900円なら納めますか?
加算税の確定額全体が5,000円未満なら全額を切り捨てるため0円です。ただし先に計算基礎となる本税の1万円未満を切り捨て、算出額の100円未満も切り捨てます。
源泉所得税も100円未満を切り捨てますか?
通常の源泉所得税は例外で、課税標準・確定税額とも1円未満を切り捨てます。退職所得の申告がある退職所得と年末調整に係るものは例外から除かれます。
請求書の消費税も1,000円未満を切り捨てますか?
しません。インボイスの消費税額等は1枚につき税率ごとに1回、1円未満を切上げ・切捨て・四捨五入等の任意の方法で処理します。申告全体の課税標準とは別の段階です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。