税金の基礎

個人事業主でも固定資産税が下がる先端設備等導入計画

結論

先端設備等導入計画(中小企業等経営強化法)の認定を受けて機械装置や器具備品などを新規取得すると、固定資産税(償却資産)の課税標準が軽減されます。雇用者給与等支給額を1.5%以上増やす表明をすれば3年間1/2、3.0%以上なら5年間1/4です。対象者は中小事業者等で、法人だけでなく個人事業主も含まれます。適用期限は2026年度末(2027年3月31日)までに取得した設備です。

  • 対象設備は機械装置160万円以上・測定工具及び検査工具30万円以上・器具備品30万円以上・建物附属設備60万円以上。新品で、年平均投資利益率5%以上が見込まれるものに限る
  • 雇用者給与等支給額の増加表明が1.5%以上なら課税標準を3年間1/2、3.0%以上なら5年間1/4に軽減(市町村により率が異なる場合がある)
  • 同じ中小企業等経営強化法の「経営力向上計画」は法人税・所得税の即時償却・税額控除(中小企業経営強化税制)のための認定で、固定資産税を下げるのは別の「先端設備等導入計画」という認定

固定資産税の優遇と聞くと、法人だけの制度だと思われがちです。しかし先端設備等導入計画(中小企業等経営強化法)は、個人事業主も対象に含まれる制度です。機械装置などを新しく買う予定があるなら、法人化の有無にかかわらず確認する価値があります。

対象者は「中小事業者等」。個人事業主も含まれる

先端設備等導入計画の認定を受けられるのは、大企業の子会社を除く中小事業者等です。東京都主税局は対象者の基準として、常時使用する従業員数が一定数以下の法人または個人を挙げています。法人であることは条件になっていません。

認定を受けるには、まず認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会など)の事前確認を受け、その後、設備を導入する市町村(東京都特別区を含む)へ計画を申請します。認定は設備を取得する前に済ませておく必要があります。

対象設備には最低取得価格がある

固定資産税の軽減を受けられる設備には、種類ごとに最低取得価格が決まっています。

設備の種類最低取得価格
機械装置160万円以上
測定工具及び検査工具30万円以上
器具備品30万円以上
建物附属設備60万円以上

さらに、年平均の投資利益率が5%以上になることが見込まれ、生産・販売活動等の用に直接使われ、新品であることが条件です。中古で買った設備は対象になりません。

賃上げの表明で、軽減の期間と率が変わる

軽減の内容は、雇用者給与等支給額をどれだけ増やすと表明するかで決まります。

賃上げ表明の内容課税標準の軽減期間
1.5%以上の増加1/23年間
3.0%以上の増加1/45年間

賃上げ表明をせずに認定を受けることもできますが、その場合は軽減率が変わります。表明した内容を裏付ける書類の提出も必要です。市町村によって軽減率が異なる場合があるため、実際の申請では設備を導入する市町村の運用を確認します。

固定資産税の標準税率は、地方税法350条により1.4%です。取得価格をそのまま課税標準とした場合の概算で、この軽減の効果を見てみます。

設備の取得価格通常の年額(1.4%)1/2軽減後の年額3年間の軽減額1/4軽減後の年額5年間の軽減額
200万円28,000円14,000円42,000円7,000円105,000円
300万円42,000円21,000円63,000円10,500円157,500円

実際の固定資産税(償却資産)は、設備の耐用年数に応じた経年減価によって課税標準が年々下がっていくため、この表より軽減額は小さくなります。この表は軽減の仕組みを示す概算で、実際の税額ではありません。

「経営力向上計画」とは別の認定

似た名前の制度に、経営力向上計画があります。どちらも中小企業等経営強化法に基づく認定ですが、使う場面が違います。

計画の種類主な効果対象の税
経営力向上計画即時償却または7〜10%の税額控除法人税・所得税(中小企業経営強化税制)
先端設備等導入計画課税標準を1/2または1/4に軽減固定資産税(償却資産、市町村税)

中小企業投資促進税制と経営強化税制で扱った中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定が要件でした。固定資産税を下げたい場合は、この経営力向上計画とは別に、先端設備等導入計画の認定を取る必要があります。両方の認定を受ければ、法人税・所得税の優遇と固定資産税の軽減を同時に受けられますが、片方だけ取っても両方には効きません。

適用期限は2026年度末まで

先端設備等導入計画による固定資産税の特例は、2026年度末(2027年3月31日)までに取得した設備が対象です。設備投資の計画があるなら、認定の申請から設備の取得まで、期限内に手続きを終える必要があります。認定の申請には認定経営革新等支援機関の事前確認が要るため、期限の直前ではなく余裕を持って動く必要があります。

まとめ

  • 先端設備等導入計画は、個人事業主も対象に含まれる。法人限定の制度ではない
  • 対象設備は機械装置160万円以上など種類ごとに最低取得価格があり、新品であることが条件
  • 雇用者給与等支給額の増加表明が1.5%以上なら3年間1/2、3.0%以上なら5年間1/4に固定資産税の課税標準が軽減される
  • 固定資産税を下げるのは先端設備等導入計画で、法人税・所得税を下げる経営力向上計画とは別の認定
  • 適用期限は2026年度末(2027年3月31日)まで

よくある質問

この制度は法人しか使えませんか?

個人事業主も使えます。対象になる「中小事業者等」の基準は常時使用する従業員数などで決まり、法人・個人事業主のどちらかに限定されていません。

経営力向上計画の認定を受ければ固定資産税も下がりますか?

下がりません。固定資産税(償却資産)の軽減に必要なのは「先端設備等導入計画」の認定です。経営力向上計画は、法人税・所得税の即時償却や税額控除(中小企業経営強化税制)を受けるための別の認定です。どちらも中小企業等経営強化法に基づきますが、認定の種類が違います。

中古で買った設備は対象になりますか?

なりません。対象設備の要件に「中古資産でないこと」が明示されています。新規取得した設備に限られます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。