インボイス・消費税
消費税の中間申告はいくらから?法人成り2期目に始まる前払い
中間申告が始まるのは、直前の課税期間の確定消費税額(国税分)が48万円を超えたときです。それが売上でいくらにあたるのかを計算エンジンで出し、法人成り1期目に中間申告が生じない理由と、見落とされやすい「法人成りした年の個人側」の中間納付までを整理します。
消費税の中間申告が始まる線は、直前の課税期間の確定消費税額が48万円を超えたときです。売上ではなく税額で、しかも地方消費税を含まない国税分で判定します。
この48万円が売上でいくらにあたるのかは、経費の構成で変わります。当サイトの計算エンジンで出すと、経費200万円・そのうち課税仕入60%という条件では年間売上736万円でした。消費税の免税ラインである1,000万円より手前です。
48万円は税額。しかも国税分だけで見る
中間申告書の提出が必要なのは、個人は前年、法人は前事業年度(あわせて「直前の課税期間」)の消費税の年税額が48万円を超える事業者です。この年税額には地方消費税額を含みません。
消費税率10%の内訳は、国税分が7.8%、地方消費税が2.2%です。地方消費税は国税分の78分の22として計算されるため、納付総額のうち判定に使われるのは78%にあたる部分だけになります。納付総額でいえば約61.5万円が48万円に対応します。
売上との対応を、計算エンジンで出しました。
| 事業所得 | 年間売上 | 消費税の納付額(年) | うち国税分 | 中間申告の回数 | 中間納付1回あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 600万円 | 48.0万円 | 37.4万円 | なし | − |
| 600万円 | 800万円 | 68.0万円 | 53.0万円 | 年1回 | 34.0万円 |
| 800万円 | 1,000万円 | 88.0万円 | 68.6万円 | 年1回 | 44.0万円 |
| 1,000万円 | 1,200万円 | 108.0万円 | 84.2万円 | 年1回 | 54.0万円 |
| 1,200万円 | 1,400万円 | 128.0万円 | 99.8万円 | 年1回 | 64.0万円 |
| 1,500万円 | 1,700万円 | 158.0万円 | 123.2万円 | 年1回 | 79.0万円 |
| 1,800万円 | 2,000万円 | 188.0万円 | 146.6万円 | 年1回 | 94.0万円 |
| 2,100万円 | 2,300万円 | 218.0万円 | 170.0万円 | 年1回 | 109.0万円 |
| 2,500万円 | 2,700万円 | 258.0万円 | 201.2万円 | 年1回 | 129.0万円 |
| 3,000万円 | 3,200万円 | 308.0万円 | 240.2万円 | 年1回 | 154.0万円 |
※ 経費200万円・そのうち課税仕入60%・原則課税・課税事業者/2026年(令和8年)分基準 ※ 中間納付の額は直前の課税期間の実績で決まるため、売上が前年と同水準である前提の概算 ※ 「中間納付1回あたり」は国税分と地方消費税分を合わせた実際の振込額
1行目に注意してください。納付額が48.0万円で、ちょうど基準と同じ数字に見えます。しかし判定に使うのは国税分の37.4万円なので、この行は中間申告の対象になりません。納付総額と国税分を混ぜると、対象かどうかを取り違えます。
1万円刻みで探すと、48万円を超えるのは年間売上736万円(事業所得536万円)からでした。735万円では国税分47.9万円で届きません。
ここで効いてくるのが、消費税の納税義務が免除される基準です。基準期間における課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務は免除されますが、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は免除されません。つまりインボイス登録をしている人は、免税ラインの1,000万円に届く前に、中間申告の対象になります。登録の有無が法人化の判定を分ける理由はインボイス登録済みなら、法人化しても消費税の2年間免税は受けられないで扱っています。
回数は4段階。ただし一人社長の会社に関係するのは年1回だけ
中間申告の回数と納付額は、直前の課税期間の確定消費税額に応じて4段階に分かれます。
| 直前の課税期間の確定消費税額(国税分) | 中間申告の回数 | 中間納付税額(国税分) |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則なし(任意の中間申告制度あり) | − |
| 48万円超400万円以下 | 年1回 | 確定消費税額の6/12 |
| 400万円超4,800万円以下 | 年3回 | 確定消費税額の3/12 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 確定消費税額の1/12 |
※ 国税庁タックスアンサー No.6609 による。実際の納付では、それぞれに78分の22の地方消費税が加わる
この表の400万円・4,800万円は税額であって、売上ではありません。売上の話だと読み違えると、桁を1つ間違えたまま資金繰りを組むことになります。
年3回に上がるのが売上でどこかを計算エンジンで探すと、同じ条件(経費200万円・課税仕入60%)で年間売上5,249万円(事業所得5,049万円)でした。上の表は事業所得3,000万円まで並べていますが、そこまで行っても年1回のままです。一人社長の会社が現実に検討する範囲では、考えるべきは「年1回か、なしか」の二択とみてよいことになります。
提出と納付の期限は、各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2か月以内です。年1回であれば、課税期間開始から6か月の期間が対象になり、その末日の翌日から2か月以内が期限になります。
なお、確定消費税額が48万円以下で中間申告の義務がない事業者も、届出書を出せば自主的に年1回の中間申告ができます(任意の中間申告制度)。納付額は同じく確定消費税額の12分の6です。義務のある事業者と違い、期限までに提出しなかった場合は「提出があったものとみなす」扱いにはならず、その期間の中間納付ができなくなります。
法人成り1期目に中間申告はない。始まるのは2期目から
中間申告の判定基準は「直前の課税期間」の確定消費税額です。設立1期目の法人には前事業年度がないので、1期目に中間申告は生じません。
新たに設立した法人の課税期間は、設立の日に始まり、その事業年度の末日に終わります。確定申告と納付の期限は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内です。したがって1期目にやってくる消費税の支払いは、期末から2か月後の確定申告1回だけになります。
負担が変わるのは2期目です。1期目の確定消費税額が48万円を超えていれば、2期目から中間申告が始まります。事業年度が4月1日から3月31日の会社なら、次のような並びになります。
| 時期 | 何が起きるか |
|---|---|
| 1期目の期末(3月31日) | 課税期間が終わる |
| 5月31日 | 1期目の消費税を確定申告・納付。ここで確定消費税額が決まる |
| 9月30日 | 2期目の中間申告対象期間(4月1日〜9月30日)が終わる |
| 11月30日 | 中間申告・納付。前期の確定消費税額の12分の6と、その78分の22の地方消費税 |
| 翌年5月31日 | 2期目の消費税を確定申告。中間納付分が控除される |
ひとつ注意点があります。直前の課税期間が12か月に満たない場合は、中間納付税額の計算方法が異なります。法人成りでは、設立日から最初の期末までが12か月未満になることがよくあります。設立を期の途中にした会社は、この点を顧問税理士か所轄税務署に確認してください。
同じ2期目からは、法人税の予定申告も始まります。前事業年度の確定分法人税額が20万円を超える場合が対象です。消費税の中間納付と時期が近いので、2期目の後半は支払いが重なります。この並びは予定納税はいくらから?個人事業主の入口は事業所得482万円でも扱っています。
見落とされやすいのは「法人成りした年の個人側」
法人を作った年、個人事業の側にも中間申告が来ることがあります。ここが競合の記事でほとんど触れられていない部分です。
個人事業者の課税期間は1月1日から12月31日で、年の中途で事業を廃止した場合でも、課税期間の終了の日は12月31日のままです。年の途中で法人成りしても、その年の個人の課税期間は12月末まで続きます。
そして中間申告の義務は、前年の確定消費税額で決まります。前年の確定消費税額(国税分)が48万円を超えていて、その年も課税事業者であるなら、法人成りした年についても中間申告の対象です。年1回であれば対象期間は1月1日から6月30日、期限はその末日の翌日から2か月以内なので8月31日になります。
問題は金額です。3月に法人成りしていれば、個人事業としての売上は1月から3月分しかありません。それでも中間納付税額は前年の実績で計算されるため、実際の事業規模とかけ離れた額の前払いが発生します。払いすぎた分は翌年3月31日の確定申告で精算され、控除しきれなければ還付されますが、それまで資金は戻りません。
これを避ける方法が、仮決算による中間申告です。中間申告対象期間について仮決算を行い、その期間の実績で計算した消費税額で申告・納付できます。ただし条件が2つあります。
- 仮決算で計算した税額がマイナスになっても、還付は受けられない
- 期限を過ぎると仮決算は使えない。中間申告書を期限までに提出しなかった場合、直前の課税期間の実績で計算した中間申告書の提出があったものとみなされ、その後に仮決算による中間申告書を出すことはできない
期限までに何もしなければ、前年実績どおりの税額が自動的に確定します。申告漏れにはなりませんが、納付が遅れれば法定納期限の翌日から延滞税がかかります。法人成りの年は事務が立て込むので、8月末に個人側の中間申告があることを、法人設立の作業と同じ場所にメモしておく価値があります。
2割特例を使っているうちは、中間申告にまず届かない
インボイス登録をきっかけに課税事業者になった人の多くは、これまで中間申告と無縁でした。2割特例のためです。
2割特例は、納付税額を売上に係る消費税額の2割にできる措置で、対象は基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者です。売上1,000万円なら売上税額は100万円、その2割で納付は20万円。国税分に直すと15.6万円で、48万円には遠く届きません。2割特例を使える規模である限り、中間申告の義務は生じないという関係になります。
この2割特例は、令和8年9月30日を含む課税期間で終わります。終了後は原則課税か簡易課税で計算することになり、納付額は上がります。上の表のとおり、売上1,000万円・経費200万円の原則課税なら年88.0万円です。2割特例の20万円から4倍を超えます。
ここで順番に注意が必要です。中間申告は直前の課税期間の実績で決まるため、納付額が上がった年ではなく、その翌年から始まります。負担が増えた年の翌年に、さらに前払いが乗る形です。個人事業者には令和9年分・令和10年分について3割特例がありますが、この措置は法人が使えません。法人化のタイミングとの関係は2割特例は令和8年で終了。後継の3割特例は法人が使えないで整理しています。
簡易課税を選んだ場合も、中間申告の判定は同じ「確定消費税額」で行います。簡易課税を選べるのは基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者ですが、これは簡易課税の適用要件であって、中間申告とも納税義務の免除とも別の基準です。みなし仕入率の選び方は簡易課税のみなし仕入率6区分。2割特例の次にどちらを選ぶかで扱っています。なお仮決算による中間申告を行う場合にも、簡易課税制度の適用があります。
中間申告は手取りを1円も変えない。動くのは資金繰りだけ
最後に、法人化の判定との関係を整理します。当サイトの計算エンジンが出す所得別の比較は次のとおりです。
| 事業所得 | 個人のまま | 法人化(最適報酬) | 最適な役員報酬 | 実質差額(年) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 303.1万円 | 274.5万円 | 月28万円 | −48.6万円 | 個人のまま有利 |
| 600万円 | 427.3万円 | 409.7万円 | 月42万円 | −37.6万円 | 個人のまま有利 |
| 800万円 | 540.7万円 | 536.6万円 | 月54万円 | −24.1万円 | 個人のまま有利 |
| 1,000万円 | 657.1万円 | 662.4万円 | 月54万円 | −14.7万円 | ほぼ互角 |
| 1,200万円 | 774.2万円 | 787.6万円 | 月54万円 | −6.6万円 | ほぼ互角 |
| 1,500万円 | 928.2万円 | 972.0万円 | 月54万円 | +23.9万円 | 法人化が有利 |
| 1,800万円 | 1082.1万円 | 1149.1万円 | 月90万円 | +47.0万円 | 法人化が有利 |
| 2,100万円 | 1232.0万円 | 1332.6万円 | 月95万円 | +80.6万円 | 法人化が有利 |
| 2,500万円 | 1395.0万円 | 1551.1万円 | 月100万円 | +136.1万円 | 法人化が有利 |
| 3,000万円 | 1599.6万円 | 1816.8万円 | 月100万円 | +197.2万円 | 法人化が有利 |
※ 経費200万円・東京23区・40歳未満・独身・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社/2026年(令和8年)分基準 ※ 実質差額は税理士報酬の差(年20万円)と法人住民税の均等割を差し引いた後の金額
この表の10行のうち、中間申告が不要なのは最初の1行(事業所得400万円)だけです。法人化を検討する所得帯に入った時点で、中間申告は個人・法人のどちらを選んでも付いてきます。
そのうえで見てほしいのは、金額の桁です。事業所得1,000万円の行は実質差額が年13.2万円で「ほぼ互角」の判定ですが、同じ条件の中間納付は1回で54.0万円になります。判定を分ける金額より、期中に動く現金のほうが大きいわけです。
なお、この前払いを止める方法が1つだけあります。課税期間を3か月ごとまたは1か月ごとに短縮すると、課税期間の特例を適用している事業者として中間申告が不要になります。代わりに確定申告が年4回または年12回になり、2年間は元に戻せません。条件は消費税の課税期間を3か月に短縮すると、還付は何か月早まるかで整理しています。
それでも、中間納付は判定の数字を動かしません。中間申告による納付税額は確定申告の際に控除され、控除しきれない場合は還付されるためです。年間で納める消費税の総額は変わらず、支払う時期が前に来るだけです。だからこの記事の中間申告の話は、手取りの比較ではなく資金繰りの話として切り分けて読んでください。計算の前提は計算方法と前提にまとめています。
判定そのものは、一般論の売上ではなく自分の売上と経費で確かめてください。同じ事業所得でも、経費の構成やインボイス登録の有無で消費税の納付額は変わります。
まとめ
- 中間申告が始まるのは、直前の課税期間の確定消費税額(国税分・地方消費税を含まない)が48万円を超えたとき
- 経費200万円・課税仕入60%の条件では、年間売上736万円(事業所得536万円)が入口。免税ラインの1,000万円より手前で、インボイス登録者は先に対象になる
- 回数は4段階だが、年3回に上がるのは同じ条件で年間売上5,249万円から。一人社長の会社では「年1回か、なしか」で足りる
- 法人成り1期目は直前の課税期間がないので中間申告なし。2期目から始まり、法人税の予定申告(前事業年度の確定分法人税額20万円超)も重なる
- 見落としやすいのは法人成りした年の個人側。前年実績で8月末に前払いが来るため、実額に近づけたいなら期限内の仮決算による中間申告を検討する
- 中間納付は確定申告で精算されるので、年間の手取りは変わらない。動くのは資金繰りだけ
よくある質問
中間申告の基準になる48万円は、売上のことですか?
売上ではなく税額です。直前の課税期間の確定消費税額、つまり前年(法人は前事業年度)に納めることが確定した消費税の年税額を指します。しかも地方消費税を含まない国税分だけで見ます。税率10%の内訳は国税7.8%・地方2.2%なので、納付総額のうち78%が判定に使われる部分です。
中間申告書を出し忘れるとどうなりますか?
中間申告の義務がある事業者が期限までに提出しない場合、直前の課税期間の実績で計算した中間申告書の提出があったものとみなされます。申告をしなかったことにはならず、税額だけが確定します。納付が遅れれば法定納期限の翌日から延滞税がかかります。
中間納付した分は返ってきますか?
中間申告による納付税額は確定申告の際に控除され、控除しきれない場合は還付されます。前払いであって追加の負担ではありません。ただし還付は確定申告の後になるため、その間は資金が拘束されます。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。