税金の基礎

特定親族特別控除は子の年収159万円まで満額。壁は3つある

19歳から22歳の子がいる年の控除。令和8年分は給与所得控除の引上げで、満額63万円が取れる子の年収が150万円から159万円へ動きました。税の136万円・社会保険の150万円・控除が減り始める159万円という3つの境目を、計算エンジンの実データで整理します。

19歳から22歳の子がいる年は、親側で最大63万円の控除が取れます。ただし「子のアルバイトは150万円まで」という説明は、令和8年分ではもう合いません。給与所得控除の最低保障額が74万円へ上がったため、満額の63万円が取れるのは子の給与収入159万円までに動きました。

しかもこの年代には、金額の違う境目が3つ同時に存在します。税の136万円、社会保険の150万円、控除が減り始める159万円です。どれも別の制度の数字で、超えたときに起きることも違います。

満額の63万円が取れるのは、子の給与収入159万円まで

国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」に載っている、令和8年分の控除額です。カッコ内は、子の収入が給与だけの場合の給与収入に直した金額です。

子の合計所得金額子の給与収入所得税の控除額
62万円超 85万円以下136万円超 159万円以下63万円
85万円超 90万円以下159万円超 164万円以下61万円
90万円超 95万円以下164万円超 169万円以下51万円
95万円超 100万円以下169万円超 174万円以下41万円
100万円超 105万円以下174万円超 179万円以下31万円
105万円超 110万円以下179万円超 184万円以下21万円
110万円超 115万円以下184万円超 189万円以下11万円
115万円超 120万円以下189万円超 194万円以下6万円
120万円超 123万円以下194万円超 197万円以下3万円

令和7年分では、同じ表の給与収入が「123万円超150万円以下で63万円」から始まり、「188万円以下」で終わっていました。境目が9万円ずつ後ろへ動いています。

理由は2つあります。ひとつは給与所得控除の最低保障額が74万円になったこと(令和7年分は65万円)。本則69万円に、令和8年・9年分限りの特例5万円を加えた額です。もうひとつは、扶養親族などの合計所得金額の要件が62万円以下に上がったこと(令和7年分は58万円以下)です。

合計所得金額の区分そのもの(85万円、90万円…)は動いていません。動いたのは、そこから給与収入に換算するときに差し引く額です。だから、合計所得で書かれた表と給与収入で書かれた表では、改正の見え方が変わります。ネット上の「150万円」「188万円」という数字は、令和7年分の換算のまま止まっているものが多く残っています。

なお、タックスアンサー No.1177 と No.1180 はどちらも令和7年4月1日現在の法令等による表示のままで、この改正は反映されていません。令和8年分の金額を確認するときは、あらましか改正Q&Aを見てください。

136万円・150万円・159万円は、別々の制度の境目

この3つは混同されやすいのですが、超えたときに起きることが違います。

子の給与収入何の境目か超えると何が起きるか
136万円扶養親族の所得要件(合計所得62万円)扶養控除から特定親族特別控除に切り替わる。控除額は変わらない
150万円健康保険の被扶養者の認定基準親が協会けんぽに加入している場合、子が被扶養者から外れて自分で保険料を負担する
159万円特定親族特別控除が満額でなくなる線控除額が63万円から61万円へ下がり始める

いちばん誤解されているのが136万円です。ここを超えても控除額は63万円のままで、適用される条文が扶養控除から特定親族特別控除に移るだけです。住民税も45万円のまま変わりません。金額が減り始めるのは159万円を超えてからです。

150万円は税ではなく社会保険の数字です。19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)の被扶養者認定の年間収入要件は、扶養認定日が令和7年10月1日以降であれば130万円未満ではなく150万円未満になっています。この150万円を、税の控除の境目だと思って使うと結論がずれます。130万円の壁そのものについては年収の壁は178万円ではないで扱っています。

ただしこの150万円が意味を持つのは、親が法人化して協会けんぽに加入している場合です。国民健康保険には被扶養者という仕組みがありません。 個人事業主のままなら、子はその収入にかかわらず世帯の被保険者として数えられ、最初から均等割がかかります。同じ「扶養している子が1人」でも、保険料の増え方は法人化の前後でまったく違います。自治体ごとの国保料の差は国民健康保険料が高い自治体はどこかにまとめています。

住民税は刻みが違う。95万円まで45万円で平坦

住民税にも同じ控除がありますが、区分の刻み方が所得税と一致していません。自治体が公表している令和8年度分(令和7年分の所得が基準)の表です。名古屋市と横浜市で同じ内容でした。

子の合計所得金額住民税の控除額
58万円超 95万円以下45万円
95万円超 100万円以下41万円
100万円超 105万円以下31万円
105万円超 110万円以下21万円
110万円超 115万円以下11万円
115万円超 120万円以下6万円
120万円超 123万円以下3万円

所得税は合計所得85万円と90万円で63万円→61万円→51万円と2段階刻みますが、住民税は95万円まで45万円で平坦です。つまり子の合計所得が85万円から95万円の間は、所得税の控除だけが減って住民税は減りません。所得税と住民税を足した「控除の合計」で考えると、この帯だけ減り方が緩やかになります。

住民税は所得税の翌年度に課税されるため、令和8年分の所得に対応するのは令和9年度分の住民税です。給与所得控除の最低保障額74万円は令和9年度分の個人住民税から適用され、扶養親族などの所得要件62万円も令和9年度分以後の個人住民税から適用されます。ただし令和9年度分について、区分ごとの控除額の表を公表している自治体は現時点で確認できませんでした。上の表は令和8年度分のものとして読んでください。

住民税の基礎控除43万円が据え置かれている点は基礎控除104万円の落とし穴で扱っています。

控除63万円は、手取りでいくらになるか

控除額は税額ではありません。実際にいくら税金が軽くなるかは、親の所得によって変わります。当サイトの計算エンジンで、子の給与収入を動かしながら親の所得税と住民税を引き直した結果です。控除がまったくない状態(子の給与収入197万円超)を基準にしています。

事業所得1,000万円の個人事業主と、同じ売上・経費で法人化して最適な役員報酬(月51万円)を取った場合の比較です。

子の給与収入所得税の控除住民税の控除個人:軽くなる税額法人:軽くなる税額
136万円63万円45万円18.7万円10.6万円
159万円63万円45万円18.7万円10.6万円
164万円61万円45万円18.3万円10.5万円
169万円51万円45万円16.3万円9.7万円
174万円41万円41万円13.7万円8.3万円
179万円31万円31万円10.4万円6.3万円
184万円21万円21万円7.0万円4.3万円
189万円11万円11万円3.7万円2.2万円
194万円6万円6万円2.0万円1.2万円
197万円3万円3万円1.0万円0.6万円

※ 経費200万円・東京23区・40〜64歳・配偶者なし・扶養1人(19〜22歳)・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社/2026年(令和8年)分基準

同じ63万円の控除でも、個人事業主のままなら18.7万円、法人化して役員報酬を月51万円にすると10.6万円です。控除の価値は、その人の限界税率の高さで決まります。 法人化すると事業の利益が会社と役員報酬に分かれ、役員個人の課税所得が下がるため、同じ控除でも返ってくる税金が小さくなります。控除の額そのものは、どちらでも変わりません。

子が5万円多く稼ぐと、親の税金が5.1万円増える帯がある

上の表をよく見ると、控除額が「5万円の収入増につき10万円ずつ」減る区間があります。子の給与収入164万円から189万円までがそれです。収入が増える速さの2倍で控除が減っていきます。

親の所得が高いほど、この帯の影響は大きくなります。事業所得2,500万円の場合を計算しました。

子の給与収入子の増収個人:親の増税世帯の増減法人:親の増税世帯の増減
136万円→159万円23.0万円0.0万円+23.0万円0.0万円+23.0万円
159万円→164万円5.0万円0.8万円+4.2万円0.5万円+4.5万円
164万円→169万円5.0万円4.1万円+0.9万円2.3万円+2.7万円
169万円→174万円5.0万円4.5万円+0.5万円2.8万円+2.3万円
174万円→179万円5.0万円5.1万円−0.1万円3.4万円+1.6万円
179万円→184万円5.0万円5.1万円−0.1万円3.4万円+1.6万円
184万円→189万円5.0万円5.1万円−0.1万円3.4万円+1.6万円
189万円→194万円5.0万円2.5万円+2.5万円1.7万円+3.3万円

※ 法人側は最適報酬(月100万円)を取った場合。親側の税金だけを見ており、子自身の所得税・住民税・社会保険料は含んでいません

事業所得2,500万円の個人事業主では、子の給与収入が174万円から189万円までの帯で、子が5万円多く稼ぐと親の税金が5.1万円増えて、世帯では0.1万円のマイナスになります。子自身の税金と社会保険料を引けば、マイナス幅はもう少し広がります。この逆転が現れ始めるのは事業所得2,500万円あたりからで、2,100万円では+0.1万円とほぼ横ばい、1,500万円なら+0.6万円のプラスでした。

同じ条件で法人化して役員報酬を月100万円にすると、同じ帯でも世帯は+1.6万円のプラスを保ちます。役員個人の限界税率が下がるぶん、控除が減ったときの跳ね返りも小さくなるためです。特定親族特別控除は、以前の特定扶養控除が持っていた「1円超えると63万円が消える」崖をなくす目的で作られた制度ですが、崖がなくなっただけで、坂そのものは急なままです。

法人化の判定は、子が1人いるだけで変わることがある

判定ツールの所得別の比較を、扶養親族なしと、扶養親族1人とで並べます。

扶養親族なし:

事業所得個人のまま法人化(最適報酬)実質差額(年)判定
800万円528.9万円531.2万円−17.7万円ほぼ互角
1,000万円645.8万円657.0万円−8.8万円ほぼ互角
1,200万円764.7万円781.8万円−2.9万円ほぼ互角
1,500万円918.6万円966.1万円+27.6万円法人化が有利
1,800万円1072.5万円1139.7万円+47.2万円法人化が有利

扶養親族1人:

事業所得個人のまま法人化(最適報酬)実質差額(年)判定
800万円535.3万円536.6万円−18.7万円ほぼ互角
1,000万円657.9万円663.8万円−14.1万円ほぼ互角
1,200万円780.8万円788.9万円−11.8万円ほぼ互角
1,500万円934.7万円973.3万円+18.6万円ほぼ互角
1,800万円1088.6万円1149.1万円+40.5万円法人化が有利

※ 経費200万円・東京23区・40〜64歳・配偶者なし・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社/2026年(令和8年)分基準 ※ 実質差額は税理士報酬の差(年20万円)と法人住民税の均等割を差し引いた後の金額

事業所得1,500万円では、扶養親族が1人いるだけで実質差額が27.6万円から18.6万円へ縮み、判定が「法人化が有利」から「ほぼ互角」に変わります。扶養控除は個人事業主側の高い税率帯に当たるため、個人のままでいるほうに大きく効くからです。

ただしこの表には注意点があります。判定ツールは扶養親族を一律「一般の控除対象扶養親族」として所得税38万円・住民税33万円で計算しています。 19歳から22歳の子は本来63万円・45万円なので、上の表は控除を所得税で25万円、住民税で12万円ぶん少なく見積もっています。その差を補正すると、次のようになります。

事業所得個人:増える控除の効果法人:増える控除の効果実質差額(ツール)実質差額(補正後)
400万円3.1万円3.1万円−38.6万円−38.6万円
600万円3.8万円3.4万円−34.0万円−34.4万円
800万円6.3万円3.4万円−17.3万円−20.2万円
1,000万円6.5万円3.4万円−14.1万円−17.1万円
1,200万円7.1万円3.8万円−11.8万円−15.2万円
1,500万円9.6万円3.8万円+18.6万円+12.8万円
1,800万円9.6万円6.3万円+42.2万円+38.8万円
2,500万円11.4万円7.1万円+128.0万円+123.6万円

補正の向きは、事業所得600万円以上のすべての行で個人のまま有利の側でした。控除は個人にも法人役員にも同じ額が付きますが、効き方が同じではないからです。事業所得400万円だけは両方とも3.1万円で動きませんでした。個人のままの課税所得と、法人化したときの役員個人の課税所得が、どちらも同じ税率帯に収まっているためです。

差の大きさは最大で5.8万円(事業所得1,500万円)でした。判定区分が動いたのは事業所得800万円の1行で、「ほぼ互角」から「個人のまま有利」へ変わります。ただし補正後の実質差額は−20.2万円で、区分の境目である−20万円をわずか1,558円超えただけです。区分が動いたこと自体より、補正が一貫して個人側へ向くという向きのほうが重要です。19歳から22歳の子がいることは、法人化を後押しする材料にはならないというのがこの表から言えることです。計算の前提は計算方法についてにまとめています。

手続きは、個人事業主と一人社長で違う

個人事業主は確定申告で適用します。一方、法人化して自分の会社から役員報酬を受けている場合は、自分の会社に対して**「給与所得者の特定親族特別控除申告書」**を提出し、年末調整で適用を受けます。会社が自分ひとりでも、申告書の提出という形は必要です。

適用時期にも注意が要ります。令和8年度税制改正のうち、基礎控除の引上げ・給与所得控除の最低保障額の引上げ・扶養親族等の所得要件の改正は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。令和8年11月までの給与の源泉徴収事務は変わりません。 令和8年12月に行う年末調整で、改正後の金額を使って1年分の税額を計算し、それまでに源泉徴収した税額と精算します。所得要件の改正で新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について控除を受けるには、扶養控除等申告書などの提出が必要です。

これらは概算です。子の収入が給与以外にもある場合や、特定支出控除・所得金額調整控除がある場合は、給与収入からの換算額が上の表と変わります。一般論の数字ではなく、自分の売上と経費、扶養親族の人数で確かめてください。

まとめ

  • 令和8年分では、満額63万円が取れるのは子の給与収入159万円まで。令和7年分の150万円から9万円動いた
  • 136万円は控除が減る線ではない。扶養控除から特定親族特別控除に切り替わるだけで、金額は63万円・45万円のまま
  • 150万円は税ではなく健康保険の被扶養者の基準。19歳以上23歳未満は130万円未満ではなく150万円未満
  • 住民税は合計所得95万円まで45万円で平坦。所得税だけが85万円・90万円で刻むため、減り方が一致しない
  • 同じ63万円の控除でも、事業所得1,000万円なら個人事業主で18.7万円、法人化して月51万円の役員報酬なら10.6万円。判定ツールは一般扶養38万円で計算しているため、19〜22歳の子がいる場合は法人化側をやや有利に見せている

よくある質問

子の年収が136万円を超えると、控除は減ってしまいますか。

令和8年分では減りません。136万円を超えると扶養控除から特定親族特別控除に切り替わりますが、控除額はどちらも所得税63万円・住民税45万円です。金額が減り始めるのは年収159万円を超えてからです。

特定親族特別控除は、確定申告と年末調整のどちらで受けますか。

個人事業主は確定申告で受けます。一人社長のように会社から役員報酬を受けている場合は、自分の会社へ「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を出して年末調整で受けます。

子がアルバイトで年収160万円を稼いだ場合、親の控除はいくらですか。

令和8年分では、子の給与収入159万円超164万円以下の区分に当たるため、所得税の控除額は61万円になります。住民税は同じ区分では45万円のままです。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。