税金の基礎

配偶者控除は本人の所得1,000万円超で0円。法人化すると役員報酬で戻る

結論

配偶者控除(所得税38万円・住民税33万円)は、納税者本人の合計所得金額が900万円を超えると段階的に縮み、1,000万円を超えると0円です(国税庁 No.1191)。青色申告65万円の個人事業主なら控除前の事業所得1,065万円超で0円になりますが、法人化して最適な役員報酬を取ると本人の合計所得は416万〜885万円に収まり、年6.9万〜11.1万円の減税が戻ります(概算)。

  • 本人の合計所得900万円以下は38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円(所得税・一般の控除対象配偶者)
  • 事業所得1,100万〜1,500万円では、個人のままだと配偶者控除による減税は0円、法人化すると年7.2万円
  • 判定ツールはこの所得制限を計算に入れている。配偶者ありで法人化の差額が広がるのはこのため

配偶者控除というと「配偶者の年収が136万円(令和8年分)まで」という配偶者側の条件ばかりが話題になります。しかし、控除を受ける本人の所得にも上限があります。所得が大きい個人事業主ほど、この上限に先に当たります。

配偶者控除には、本人の所得制限がある

国税庁 No.1191 によると、配偶者控除の額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額で次のように決まります。

本人の合計所得金額所得税(一般)所得税(老人控除対象配偶者)住民税(一般)
900万円以下38万円48万円33万円
900万円超950万円以下26万円32万円22万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円11万円
1,000万円超0円0円0円

※ 所得税は国税庁 No.1191、住民税は当サイトの税率データ(rates-2026.json)。老人控除対象配偶者は70歳以上

配偶者の収入が多くて配偶者特別控除を使う場合も、本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。1,000万円を超えると、配偶者に関する控除は所得税・住民税ともになくなります。

ここで言う合計所得金額は、所得控除を引く前の所得です。個人事業主なら売上から経費と青色申告特別控除を引いた事業所得、給与なら給与収入から給与所得控除を引いた給与所得です。

個人事業主は、事業所得1,065万円で配偶者控除がなくなる

個人事業主は、事業所得がそのまま合計所得金額になります。青色申告特別控除65万円を引いた後の所得が1,000万円を超えるのは、控除前の事業所得が1,065万円を超えたときです。

法人化して役員報酬を受け取ると、本人の合計所得金額は給与所得(役員報酬から給与所得控除を引いた額)になります。手取りが最大になる役員報酬を選ぶと、利益の一部は会社に残るので、本人の所得は事業所得よりずっと小さくなります。

事業所得(青色控除前)個人:本人の合計所得個人:配偶者控除(所得税)個人:減る税法人:役員報酬(月額)法人:本人の合計所得法人:減る税
900万円835.0万円38.0万円11.1万円48万円416.8万円6.9万円
950万円885.0万円38.0万円11.1万円48万円416.8万円6.9万円
1,000万円935.0万円26.0万円8.3万円48万円416.8万円6.9万円
1,050万円985.0万円13.0万円4.2万円48万円416.8万円6.9万円
1,100万円1,035.0万円0.0万円0.0万円51万円445.6万円7.2万円
1,200万円1,135.0万円0.0万円0.0万円54万円474.4万円7.2万円
1,500万円1,435.0万円0.0万円0.0万円54万円474.4万円7.2万円
2,000万円1,935.0万円0.0万円0.0万円90万円885.0万円11.1万円

※ 配偶者は無収入・70歳未満。配偶者控除による所得税(復興特別所得税を含む)・住民税の減少だけを比べ、配偶者の国民健康保険・国民年金は含めない。個人の合計所得は青色申告特別控除65万円の後。法人は手取りが最大になる役員報酬(配偶者あり)。東京23区・40〜64歳・扶養親族なし・インボイス登録あり・合同会社・経費200万円。当サイトの計算エンジンで算出(scripts/haigusha-kojo-shotoku-seigen.mjs)

個人のままでは、事業所得900万〜950万円で年11.1万円あった減税が、1,000万円で8.3万円、1,050万円で4.2万円と縮み、1,100万円からは0円です。法人化した場合は、事業所得2,000万円まで本人の合計所得が900万円以下に収まり、控除は満額のまま残ります。

控除が効く税率は、法人化で下がる

事業所得900万〜1,050万円の行では、法人化したほうが減る税は小さくなっています(個人11.1万円に対し法人6.9万円)。控除額は同じ38万円でも、法人化すると本人の課税所得が低い税率帯に下がるので、同じ控除で減る税が小さくなるためです。所得控除の効き方が法人化でどう変わるかは、医療費控除は法人化で戻る額が減るでも計算しています。

逆転するのは、個人の側で控除が縮み始める950万円超からです。事業所得1,100万円以上では、個人は0円、法人化すれば年7万円前後と、法人化した側だけに控除が残ります。

判定ツールは、この所得制限を計算に入れている

判定ツールで「配偶者あり(無収入)」を選ぶと、個人のままの側では本人の合計所得に応じて配偶者控除を縮め、1,000万円を超えれば0円にしています。法人化した側では役員報酬の給与所得で判定しています。

事業所得1,000万円を超えるあたりから、配偶者ありの条件で法人化の差額が独身より広がって見えるのは、この差が乗るためです。ただし、配偶者がいることで法人化が有利になる理由の中心はこちらではありません。法人化すると配偶者を健康保険・厚生年金の扶養に入れられ、個人事業主のときに払っていた配偶者の国民健康保険料と国民年金保険料がなくなることのほうが大きく効きます。その計算は配偶者がいると法人化の分岐点は250万円下がるにまとめています。

配偶者の年収側の壁(136万円など)は年収の壁は令和8年に178万円へで扱っています。自分の事業所得で、配偶者の有無を切り替えて判定ツールの結果を比べてみてください。

まとめ

  • 配偶者控除は、本人の合計所得900万円超で縮み(38万→26万→13万円)、1,000万円超で0円になる。配偶者特別控除も同じ
  • 個人事業主は青色申告65万円控除の後で判定されるので、控除前の事業所得1,065万円超で配偶者控除がなくなる
  • 法人化して最適な役員報酬を取ると、事業所得2,000万円まで本人の合計所得は900万円以下に収まる
  • 事業所得1,100万〜1,500万円では、配偶者控除による減税は個人0円、法人化で年7.2万円
  • 判定ツールはこの所得制限を計算に入れている。配偶者ありで差額が広がる理由の中心は、配偶者の国保・国民年金がなくなる効果のほう

よくある質問

本人の合計所得が1,000万円を超えると、配偶者特別控除も使えませんか

使えません。配偶者特別控除も、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です(国税庁 No.1191)。

合計所得金額は売上ですか、それとも所得ですか

所得です。個人事業主なら売上から必要経費と青色申告特別控除を引いた事業所得、役員報酬なら給与収入から給与所得控除を引いた給与所得が合計所得金額に入ります。社会保険料控除や基礎控除などの所得控除は引く前の金額です。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。