設立の手続き
法人の帳簿保存は7年、赤字年度は10年。起算日は申告期限翌日
法人の帳簿書類は決算日ではなく確定申告期限の翌日から7年保存します。青色欠損金が生じた年度は10年。3月決算法人の日付、電子取引データ、インボイスの保存を整理します。
法人の帳簿・領収書は「決算から7年」ではありません。法人税法上は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。
さらに、青色申告の欠損金が生じた年度は10年間です。年度ごとに保存期限が変わるため、会社設立時の段ボールへすべて同じ廃棄年を書く方法では、赤字年度の資料を3年早く捨てるおそれがあります。
3月決算法人なら6月1日から数える
2027年3月31日決算、通常の確定申告期限が2027年5月31日の法人を例にします。node scripts/houjin-choubo-hozon.mjs で起算日から日付を出しました。
| 2027年3月期の区分 | 保存起算日 | 保存期限 |
|---|---|---|
| 通常年度 | 2027-06-01 | 2034-05-31 |
| 青色欠損金が生じた年度 | 2027-06-01 | 2037-05-31 |
決算日2027年3月31日から数えると、実際の法定保存期間より2か月短くなります。申告期限の延長特例を受けている会社は、延長後の提出期限の翌日を起算日にします。
税務調査や訴訟、契約上の責任、補助金など別の理由で、法定期間より長く保存する必要がある書類もあります。表は法人税法上の最低期間を整理したものです。
10年になる「赤字年度」
10年保存になる主な対象は、青色申告書を提出した事業年度で青色繰越欠損金が生じた年度です。青色申告でない年度でも、災害損失金額が生じた年度は10年になる場合があります。
対象年度は欠損金の繰越控除を使うための証拠でもあります。将来黒字になったとき、10年前の売上・経費を説明できなければ欠損金の根拠を示せません。
2018年4月1日前に開始した対象事業年度は9年ですが、現在新しく発生する対象年度は10年です。古い箱を整理するときだけ、事業年度の開始日を確認します。
保存する帳簿と書類
国税庁が例示する対象は次のとおりです。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 帳簿 | 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳 |
| 決算書類 | 棚卸表、貸借対照表、損益計算書 |
| 取引書類 | 注文書、契約書、納品書、請求書、領収書 |
銀行明細、クレジットカード明細、給与台帳、議事録なども取引や税額の説明に必要です。「会計ソフトに仕訳があるから領収書は不要」にはなりません。
会計ソフトを解約すると帳簿を閲覧できなくなる場合があります。年度ごとに仕訳帳・総勘定元帳・固定資産台帳を検索可能な形式で書き出し、添付証憑と一緒にバックアップします。
電子取引はデータのまま保存する
メール添付PDF、クラウドからダウンロードした請求書、ECサイトの領収書など、電子的に授受した取引情報は電子データを保存します。画面を印刷した紙だけを残し、元データを削除する方法では足りません。
日付・金額・取引先で検索できるファイル名や索引を用意し、改ざん防止の措置と、画面・書面へ速やかに出力できる環境を整えます。保存要件には猶予措置もありますが、データ自体を保存しなくてよい制度ではありません。要件の中身と、新設法人の1期目・2期目で検索要件が外れる条件は電子取引データ保存の要件は3つで扱っています。
紙で受け取った領収書は紙の保存が原則です。一定要件を満たすスキャナ保存を導入すれば、画像データでの保存へ切り替えられます。電子取引データ保存とスキャナ保存を混同しないでください。
消費税・インボイスも7年
消費税の課税事業者は、帳簿を課税期間末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します。通常の3月決算法人なら、法人税と同様に5月末を経た時点が基準になります。
仕入税額控除を受ける一般課税の事業者は、一定の帳簿と適格請求書等の保存が要件です。法人税で経費にできることと、消費税で仕入税額控除できることは別判定です。
赤字年度の法人税資料を10年保存しても、インボイスの法定期間が自動的に10年へ延びるわけではありません。ただし資料を年度単位でまとめるなら、長い10年にそろえて残す方が誤廃棄を防げます。
年度ごとに廃棄日を決める
実務では次の列を持つ一覧表を作ります。
- 事業年度の開始日・終了日
- 確定申告書の提出期限
- 青色欠損金または災害損失の有無
- 法人税資料の保存年数
- 消費税・電子取引データの保存期限
- 安全に廃棄できる日
税務調査中、修正申告の検討中、契約紛争中の資料は一覧表の期限が来ても捨てません。バックアップも一つのクラウドだけにせず、復元テストを行います。
まとめ
- 法人の帳簿書類は確定申告期限の翌日から7年保存
- 2027年3月期・通常期限5月31日なら2034年5月31日まで
- 青色繰越欠損金が生じた年度は2037年5月31日までの10年
- 電子取引の請求書等は印刷だけでなくデータのまま保存する
- インボイスと帳簿は消費税の仕入税額控除にも必要
- 年度ごとに欠損金の有無と廃棄可能日を台帳化する
よくある質問
法人の領収書は決算日から7年保存ですか?
決算日からではありません。その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。期限延長を受けた場合は実際の提出期限を確認します。
赤字ならすべて10年保存ですか?
青色申告書を提出した事業年度で青色繰越欠損金が生じた場合などが10年です。会計上の赤字という呼び方だけでなく、申告書上の欠損金を確認します。
メールで届いたPDF請求書は印刷だけでよいですか?
電子取引で授受した取引情報は、電子データの保存が必要です。紙への印刷だけでデータ保存に代えることはできません。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。