設立の手続き

法人の本店移転は管轄内3万円、管轄外6万円。均等割は?

合同会社の本店移転登記は同じ法務局管轄なら3万円、管轄外なら6万円です。期中移転で旧・新所在地の法人住民税均等割が11か月分になる例も計算します。

合同会社の本店移転登記にかかる登録免許税は、同じ登記所の管轄内なら3万円、別の登記所の管轄へ移るなら合計6万円です。

一方、法人住民税の均等割は「登記した住所」だけではなく、旧所在地と新所在地に事務所が存在した月数で計算します。期中に完全移転した場合、1月未満の端数を所在地ごとに切り捨てるため、年間合計が12か月分ではなく11か月分になる例があります。

管轄内は3万円、管轄外は3万円が2件

国税庁の登録免許税額表では、本店または支店の移転登記は1か所につき3万円です。法務局の合同会社用申請書でも、管轄内移転の登録免許税は3万円と記載されています。

移転先課税される登記登録免許税
同じ登記所の管轄内1件30,000円
別の登記所の管轄へ2件60,000円

管轄外移転では、旧本店所在地の移転登記と、新本店所在地の登記が必要になるため2件分です。申請は旧所在地を管轄する登記所を経由して行います。

「同じ都道府県なら3万円」「別の県なら6万円」と覚えるのは正確ではありません。判断基準は都道府県境ではなく、移転前後を管轄する登記所が同じかです。別の市へ移っても同じ登記所のことがあり、同じ都道府県内でも管轄が変わることがあります。

法務局の「管轄のご案内」で、旧住所と新住所をそれぞれ調べてから費用を見積もります。

合同会社は定款の住所の書き方でも決議が変わる

合同会社の定款には本店所在地を記載します。定款が「東京都千代田区」のように最小行政区画までなら、同じ区内で番地を変えるだけの移転は通常、定款変更を伴いません。

一方、「東京都千代田区○町1番2号」まで定款に書いていれば、同じ建物内の移転でも定款と一致しなくなります。定款変更には、定款に別段の定めがない限り総社員の同意が必要です。

一般的には次の順で決定します。

  1. 定款記載の行政区画外へ移るなら、総社員の同意で定款を変更する
  2. 業務執行社員の過半数など、定款に沿った方法で具体的住所と移転日を決める
  3. 実際に本店を移転する
  4. 移転日から2週間以内に本店移転登記を申請する

登記だけ先にして、賃貸借契約や郵便、許認可の所在地が変わっていない状態は避けます。「移転日」は議事録に書いた日ではなく、現実に本店を移した日として整合させる必要があります。

7月13日移転では均等割が合計11か月分になる

東京都主税局は、12月決算の法人が7月13日にA区からB区へ移転した例を公開しています。年額7万円の最小区分なら、旧所在地は6か月、新所在地は5か月として計算します。

所在地所在月数均等割の計算100円未満切捨て後
旧所在地(A区)6か月70,000円 × 6 / 12 = 35,000円35,000円
新所在地(B区)5か月70,000円 × 5 / 12 = 29,166.67円29,100円
合計11か月64,100円

この表は scripts/houjin-honten-iten.mjs で再計算できます。1月未満の端数を各所在地で切り捨てるため、移転月の端数が旧・新のどちらにも数えられず、合計11か月になります。ただし、所在地にあった全期間が1月未満なら1月として扱います。

これは均等割が常に1か月分安くなるという意味ではありません。月初や月末の移転日、事務所を実際に廃止した日、自治体の税率区分によって結果が変わります。100円未満の端数も所在地ごとに切り捨てます。

旧事務所を残せば「移転」ではなく2拠点になる

登記上の本店だけを新住所へ移しても、旧住所に人的・物的設備を残し、そこで継続して事業をしていれば、旧所在地は税務上の事務所として残る可能性があります。

その場合は完全移転ではなく、旧・新の2拠点です。均等割は各自治体・各区でかかり、法人税割も従業者数などで分割する手続きが生じます。複数事務所の均等割では、東京23区と大阪市の2拠点を同時に持つ場合を試算しています。

旧所在地の賃貸借契約をいつ解約したか、従業者がいつ移ったか、備品や郵便受けが残っていないかを記録しておきます。本店登記の日だけで均等割の月数が自動的に決まるわけではありません。

登記後は税務・社会保険・契約の住所も変える

本店移転登記を終えても、住所変更は完了ではありません。主な届出・変更先は次のとおりです。

  • 税務署の異動届出書
  • 都道府県税事務所と市区町村の異動届
  • 年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク
  • 許認可を出した行政庁
  • 銀行口座、法人カード、融資、保険、リース
  • インボイスの適格請求書発行事業者情報
  • ウェブサイト、請求書、契約書、特定商取引法表記

源泉所得税は給与支払事務所の移転も関係します。登記情報が連携される制度があっても、すべての届出先と民間契約が自動変更されるわけではありません。

移転先が自宅やバーチャルオフィスの場合は、賃貸借契約・管理規約で法人登記が認められるか、銀行や許認可で実体確認に使えるかも先に確認します。法人銀行口座の審査で、本店の実在性を説明する資料を整理しています。

本店移転の予算は登記税だけで決めない

本店移転の予算には、次の3層があります。

費用・税金金額の決まり方
登録免許税管轄内3万円、管轄外6万円
法人住民税均等割旧・新所在地の税率と所在月数
実務費用敷金、原状回復、引越し、郵便、印刷物、専門家報酬など

登録免許税は会社の利益や資本金が少なくても定額です。赤字法人でも均等割は原則発生します。家賃だけを比べて移転を決めると、登記税と所在地別申告の手間を見落とします。

まとめ

  • 合同会社の本店移転登記は、同じ登記所の管轄内なら3万円です
  • 管轄外移転は旧・新所在地の2件分で合計6万円です
  • 管轄内外は都道府県ではなく、法務局の管轄で判定します
  • 本店移転登記は移転日から原則2週間以内です
  • 法人住民税均等割は、旧所在地と新所在地に事務所があった月数で計算します
  • 7月13日の完全移転例では、1月未満を切り捨てて合計11か月・6万4,100円になります
  • 旧事務所に事業実態を残すと、完全移転ではなく2拠点として課税される可能性があります

よくある質問

法人の本店移転登記にかかる登録免許税はいくらですか?

同じ登記所の管轄内なら3万円、別の登記所の管轄へ移る場合は旧所在地と新所在地の2件で合計6万円です。

同じ市内の本店移転なら必ず3万円ですか?

市区町村ではなく法務局の管轄で判定します。同じ市内でも管轄が分かれる地域があるため、移転前後の住所を法務局の管轄案内で確認します。

事業年度の途中で本店を移転すると均等割は二重になりますか?

旧所在地と新所在地で、それぞれ事務所があった月数に応じて計算します。旧事務所を残せば両方にかかり、完全移転なら各期間を月割りします。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。