社会保険

市川市の国民健康保険税(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,277万円

結論

市川市の令和8年度の国民健康保険税は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年57万9,691円で、東京23区(65万6,379円)より7.7万円安い水準です。事業所得300万円では29.1万円で、当サイトが収録する63市区の中で最も安い額です。均等割が大人1人22,900円と低いため家族が多いほど差が開き、夫婦と子2人(小学生)・事業所得500万円では年54.8万円と23区より20.0万円安くなります。単身・40歳未満なら、法人化の損益分岐は売上−経費1,277万円です。

  • 40歳未満の税率は所得割9.63%・均等割22,900円(18歳以上の100円を含む)・平等割20,400円。後期分の所得割が1.90%と低く、全区分の上限には1,366万円まで届かない
  • 市は長年税率を据え置いてきたため、令和9年度以降の4年間で約21億円(被保険者1人約3万円)の引き上げが必要としている
  • 個人の国保が安いぶん法人化の損益分岐は高く、単身で1,277万円、配偶者(無収入)ありで1,063万円。どちらも東京23区より高い

市川市の国保は、首都圏の大きな市の中でも際立って軽い作りです。医療分の均等割が1人12,000円と、東京23区(47,600円)の4分の1ほどしかありません。市自身が「長年に渡って保険税率を据え置いてきたことから他市と比べて保険税水準が低く」と説明しており、そのぶん毎年20億円を超える赤字を一般会計からの繰入などで埋めています。

以下は、市川市の令和8年度の公表税率を当サイトの計算エンジンに入れた結果です。他の自治体との比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。

令和8年度の税率

区分所得割均等割(1人)平等割(1世帯)課税限度額
医療分7.50%12,000円20,400円67万円
後期分(後期高齢者支援金等)1.90%8,800円なし26万円
介護分(40〜64歳)2.05%13,600円なし17万円
子ども分0.23%2,000円+18歳以上100円なし3万円

※ 市川市 国民健康保険税について(令和8年度)。平等割は一般の世帯の額。子ども分は「子ども・子育て支援金分」

40歳未満の3区分を合わせると、所得割9.63%、均等割は大人1人22,900円、平等割は1世帯20,400円です。

市川市船橋市東京23区
所得割の合計9.63%10.06%10.58%
均等割(大人1人)22,900円53,800円67,073円
平等割(1世帯)20,400円なしなし
単身の固定部分43,300円53,800円67,073円
夫婦と子2人の固定部分107,800円211,600円264,546円

※ 医療分+後期分+子ども分。介護分は除く。子は小学生/令和8年度

所得割も23区より0.95ポイント低いのですが、差が大きいのは固定部分です。夫婦と子2人なら、所得がなくてもかかる額が23区より15万6,746円少なくなります。

単身・事業所得600万円で年58.0万円

旧ただし書所得は600万円−43万円=557万円です。

区分所得割均等割平等割小計
医療分417,750円12,000円20,400円450,150円
後期分105,830円8,800円—114,630円
子ども分12,811円2,100円—14,911円
合計579,691円

年57万9,691円です。東京23区(65万6,379円)より7万6,688円安くなります。国民年金(年21万5,040円)を足すと79万4,731円です。40〜64歳なら介護分12万7,785円が加わり、70万7,476円になります。

どの所得でも東京23区・船橋市より安い

事業所得市川市船橋市東京23区東京23区との差
200万円19.4万円21.2万円23.3万円−3.9万円
300万円29.1万円31.2万円33.9万円−4.8万円
500万円48.3万円51.4万円55.1万円−6.7万円
600万円58.0万円61.4万円65.6万円−7.7万円
700万円67.6万円71.5万円76.2万円−8.6万円
800万円77.2万円81.5万円86.8万円−9.6万円
900万円86.3万円91.6万円95.3万円−8.9万円
1,000万円88.5万円95.8万円95.8万円−7.3万円
1,100万円90.6万円96.0万円96.0万円−5.4万円

※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。所得が低く法定軽減(7割・5割・2割)に当たる世帯は、この表より安くなる

隣の船橋市も23区より安い市ですが、市川市はそれよりさらにどの所得でも安くなります。23区との差は事業所得871万円で最大の10.2万円です。

収録63市区の中では、単身・事業所得300万円で最も安く、600万円で58番目(高い順)、1,000万円で61番目です。船橋市の内訳は船橋市の国民健康保険料にあります。

後期分の上限に1,366万円まで届かない

単身・40歳未満で区分ごとに上限に届く所得は次のとおりです。

  • 医療分(67万円):事業所得894万円
  • 後期分(26万円):1,366万円
  • 全区分の合計(96万円):1,366万円

後期分の所得割が1.90%と低いため、後期分の上限26万円にはなかなか届きません。事業所得900万〜1,300万円台では、医療分は頭打ちでも後期分と子ども分が所得に応じて増え続けます。それでも1,000万円で88.5万円と、23区より7.3万円安い水準です。

家族4人なら23区より20万円安い

世帯(40歳未満)市川市船橋市東京23区東京23区との差
夫婦・事業所得500万円50.6万円56.7万円61.8万円−11.2万円
夫婦+子2人(小学生)・300万円35.5万円47.0万円53.6万円−18.1万円
夫婦+子2人(小学生)・500万円54.8万円67.1万円74.8万円−20.0万円
夫婦+子2人(小学生)・700万円74.0万円87.3万円94.6万円−20.6万円

※ 配偶者・子は無収入。青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準

無収入の配偶者が1人加わっても、市川市は年2.3万円しか増えません(東京23区は6.7万円)。子1人(小学生)なら2.1万円です。均等割が23区の3分の1ほどなので、人数で増える部分がほとんどありません。

40歳になったときの増加も小さく、事業所得600万円で12.8万円(23区は15.3万円)です。

市が示す「1人約3万円」の引き上げ

市は令和8年2月の国民健康保険運営協議会で、今後の見通しを次のように説明しています。

  • 令和8年度の実質赤字は21億3,900万円で、被保険者1人あたり28,579円(当初予算)
  • 千葉県は令和11年度に「県内保険税水準の統一」を予定し、市町村は令和12年度までの赤字解消が必須とされている
  • そのため、令和9年度以降の4年間で21億円(1人約3万円)の保険税引上げが必要

令和9年度以降の税率はまだ決まっていません。参考までに、仮に単身の人の税額へ3万円をそのまま足すと、事業所得600万円で約61万円になり、今の船橋市(61.4万円)に近い水準です。それでも東京23区よりは安い計算です。

国保が安いぶん、法人化の分岐点は高い

条件損益分岐(売上−経費)
東京23区・協会けんぽ東京支部(単身)1,266万円
市川市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身)1,281万円
市川市・協会けんぽ千葉支部(単身)1,277万円
市川市・配偶者(無収入)あり1,063万円
市川市・夫婦+子2人(小学生)1,022万円
市川市・単身・40〜64歳1,256万円

※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準

個人のままの国保が安いので、法人化して社会保険に移るメリットが小さくなり、分岐点は23区より上がります。国保の部分だけを市川市に置き換えると1,281万円で、23区より15万円高くなります。分岐点の付近(青色申告特別控除後で1,200万円前後)でも、市川市は後期分が上限に届いておらず、事業所得1,200万円で年92.7万円と、23区(96.0万円)より3.3万円安いためです。

差がはっきり出るのは配偶者がいる場合です。多くの市では配偶者(無収入)ありの分岐点は1,016万円ですが、市川市は1,063万円です。法人化すると配偶者を健康保険の扶養に入れて国保の均等割がなくなりますが、市川市は均等割がもともと低いので、その効果が小さくなります。家族が多い個人事業主ほど「国保が高いから法人化」という理由が成り立ちにくい市です。

協会けんぽ千葉支部の健康保険料率は9.73%で、東京支部(9.85%)より低く、分岐点を4万円押し下げています。

まとめ

  • 市川市の令和8年度の国保税は、所得割9.63%・均等割22,900円・平等割20,400円(40歳未満)
  • 単身・事業所得600万円で年57万9,691円。東京23区より7.7万円安く、300万円では収録63市区で最も安い
  • 均等割が低く、夫婦と子2人・500万円では23区より20.0万円安い
  • 市は令和9年度以降の4年間で1人約3万円の引き上げが必要としている
  • 法人化の分岐点は単身1,277万円、配偶者ありで1,063万円。国保が安いぶん23区より高い

市川市の国保は今の水準のまま続く見込みが薄く、何年か先を見るなら引き上げ後の水準も考えておく必要があります。法人化の判断は、家族構成を入れたうえで自分の売上と経費で確かめてください。

よくある質問

市川市の国民健康保険税の平等割はいくらですか?

医療分にだけあり、一般の世帯は20,400円です。後期高齢者医療制度へ移った人がいて国保の加入者が1人になった世帯は、特定世帯10,200円、特定継続世帯15,300円に下がります。後期分・介護分・子ども分には平等割がありません。

市川市の子ども分は子どもにもかかりますか?

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの加入者は、子ども分の対象から外れます。18歳以上の加入者には均等割2,000円と18歳以上均等割100円がかかります。

市川市の国保税は今後上がりますか?

市は令和8年2月の国民健康保険運営協議会で、千葉県が令和11年度に県内の保険税水準を統一する予定で、令和12年度までに赤字を解消する必要があるため、令和9年度以降の4年間で21億円(1人約3万円)の保険税引上げが必要だと説明しています。具体的な税率は毎年度決まります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。