社会保険

川口市の国民健康保険税(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,263万円

結論

川口市の令和8年度の国民健康保険税は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年64万6,350円です。東京23区(65万6,379円)より1.0万円安い水準ですが、令和8年度は均等割が大人1人37,000円から61,500円に上がったため、同じ所得を令和7年度の税率で計算した59万1,215円より5万5,135円増えます。夫婦と子2人(小学生)・事業所得600万円では増加が年12.6万円になります。単身・40歳未満なら、法人化の損益分岐は売上−経費1,263万円です。

  • 40歳未満の税率は所得割10.50%・均等割61,500円・平等割なし。医療分の課税限度額は66万円で、合計の上限は95万円(40〜64歳は112万円)
  • 市は令和9年度以降、県が示す標準保険税率どおりに税率を設定するとしている。令和8年度の標準保険税率で計算すると、単身・事業所得600万円でさらに5.1万円高い
  • 協会けんぽ埼玉支部の健康保険料率は9.67%で、法人化の損益分岐は1,263万円。東京23区(1,266万円)とほぼ同じ

川口市の国保は、令和8年度に大きく上がりました。所得割の率は医療分が据え置きでも、均等割が医療分28,000円→44,000円、後期分9,000円→16,000円と一度に上がったためです。市は赤字(一般会計からの法定外繰入)の解消を理由に挙げており、埼玉県の方針に沿って令和9年度以降も県の標準保険税率に合わせていくとしています。

以下は、川口市の令和8年度の公表税率を当サイトの計算エンジンに入れた結果です。他の自治体との比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。

令和8年度の税率

区分所得割均等割(1人)平等割課税限度額
医療分7.45%44,000円なし66万円
後期高齢者支援金分2.78%16,000円なし26万円
介護分(40〜64歳)2.36%17,000円なし17万円
子ども分0.27%1,500円(18歳以上のみ)なし3万円

※ 川口市 国民健康保険税の計算方法について(令和8年度)。子ども分は「子ども・子育て支援金分」

40歳未満の3区分を合わせると、所得割10.50%、均等割は大人1人61,500円です。平等割はありません。所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除43万円を引いた額に掛けます。個人事業主なら青色申告特別控除を引いた後の事業所得が出発点です。

医療分の課税限度額は66万円です。令和8年度の政令上の上限は67万円ですが、限度額は市が条例で決めるため、川口市は令和7年度の65万円から1万円の引き上げにとどめています。合計の上限は95万円で、東京23区やさいたま市(96万円)より1万円低くなります。

単身・事業所得600万円で年64.6万円

旧ただし書所得は600万円−43万円=557万円です。

区分所得割均等割小計
医療分414,965円44,000円458,965円
後期分154,846円16,000円170,846円
子ども分15,039円1,500円16,539円
合計646,350円

年64万6,350円です。国民年金(年21万5,040円)を足すと86万1,390円になります。40〜64歳なら介護分14万8,452円が加わり、79万4,802円です。

令和7年度の税率と比べると5.5万円増える

市の公表した比較表では、令和7年度から次のように変わりました。

区分令和7年度令和8年度県の標準保険税率(令和8年度)
医療分7.45%・28,000円7.45%・44,000円8.17%・49,639円
後期分2.50%・9,000円2.78%・16,000円2.82%・17,038円
介護分1.30%・13,000円2.36%・17,000円2.49%・17,671円
子ども分—0.27%・1,500円0.30%・1,781円

※ 所得割・均等割(1人)。川口市「令和8年度から国民健康保険税率が変わります」の比較表

同じ所得の人を、令和7年度と令和8年度の税率で計算し直すと次のとおりです。

事業所得令和7年度令和8年度増加県の標準保険税率なら
200万円19.3万円22.6万円+3.3万円24.6万円
300万円29.3万円33.1万円+3.9万円35.9万円
400万円39.2万円43.6万円+4.4万円47.2万円
500万円49.2万円54.1万円+5.0万円58.4万円
600万円59.1万円64.6万円+5.5万円69.7万円
700万円69.1万円75.1万円+6.1万円81.0万円

※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得。令和7年度の限度額は医療65万円・後期24万円・介護17万円。標準保険税率は限度額の記載がないため令和8年度の川口市の限度額で計算(表の範囲では限度額に届かない)/2026年(令和8年)分 基準

所得割の率が据え置きの医療分でも、均等割が1.6万円上がっています。均等割は所得に関係なく1人ごとにかかるため、家族が多い世帯ほど増え方が大きくなります。

世帯(事業所得600万円)令和7年度令和8年度増加
単身・40歳未満59.1万円64.6万円+5.5万円
単身・40〜64歳67.7万円79.5万円+11.8万円
夫婦・40歳未満62.8万円70.8万円+8.0万円
夫婦+子2人(小学生)・40歳未満70.2万円82.8万円+12.6万円

40〜64歳は、介護分の所得割が1.30%から2.36%に上がったため、単身でも11.8万円増えます。

令和9年度以降は標準保険税率に合わせる方針

市は、令和9年度以降は県が提示する市町村標準保険税率どおりに税率を設定するとしています。埼玉県の運営方針では、令和9年度に収納率格差以外の項目を、令和12年度にすべての項目を県内で統一する予定です。

令和8年度の標準保険税率で計算すると、単身・事業所得600万円で69.7万円になり、実際の令和8年度の税額より5.1万円高くなります。令和9年度の標準保険税率はまだ示されていないため、これは「今の基準のままなら」という参考値です。

東京23区・さいたま市とはほぼ同じ水準

事業所得川口市さいたま市東京23区東京23区との差
200万円22.6万円22.7万円23.3万円−0.7万円
300万円33.1万円33.3万円33.9万円−0.8万円
500万円54.1万円54.6万円55.1万円−0.9万円
600万円64.6万円65.2万円65.6万円−1.0万円
700万円75.1万円75.8万円76.2万円−1.1万円
800万円85.6万円86.5万円86.8万円−1.2万円
900万円93.9万円94.3万円95.3万円−1.4万円
1,000万円94.7万円95.7万円95.8万円−1.0万円

※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。所得が低く法定軽減(7割・5割・2割)に当たる世帯は、この表より安くなる

上げた後でも、川口市は東京23区よりどの所得でも少し安く、差は最大で年1.4万円です。隣のさいたま市とは事業所得167万円より上で川口市のほうが安くなります。さいたま市も令和8年度に事業所得600万円で5.8万円上がっています(さいたま市の国民健康保険税)。

収録63市区の中では、事業所得600万円で46番目(高い順)で、中位より安い側です。

上限は1,099万円で届く

単身・40歳未満で区分ごとに上限に届く所得は次のとおりです。

  • 医療分(66万円):事業所得870万円
  • 後期分(26万円):921万円
  • 全区分の合計(95万円):1,099万円

夫婦と子2人(小学生)なら、均等割の人数が増えるぶん医療分と後期分は749万円で上限に届きます。上限に届いたあとは、所得が増えても税額は年95万円(40〜64歳は112万円)のままです。

法人化の分岐点は1,263万円

条件損益分岐(売上−経費)
東京23区・協会けんぽ東京支部(単身)1,266万円
川口市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身)1,270万円
川口市・協会けんぽ埼玉支部(単身)1,263万円
川口市・配偶者(無収入)あり1,016万円
川口市・単身・40〜64歳1,240万円

※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準

分岐点の付近(青色申告特別控除後で1,200万円前後)では、川口市の国保はすでに上限の95万円です。上限が23区より1万円低いぶん、個人のままの負担がわずかに軽く、国保だけを置き換えると分岐点は1,270万円に上がります。そこに協会けんぽ埼玉支部の健康保険料率9.67%(東京支部は9.85%)が効き、法人側の社会保険料が下がって1,263万円に戻ります。

分岐点を動かしたのは均等割ではなく上限

同じ条件を令和7年度の税率で計算すると、分岐点は1,296万円でした。令和8年度で33万円下がったことになります。

効いたのは均等割の引き上げではなく、上限の引き上げです。令和7年度の上限は医療65万円+後期24万円=89万円で、分岐点の付近ではこの上限に届いていました。令和8年度は医療66万円・後期26万円・子ども分3万円で95万円になり、上限に届いた人の負担が年6万円増えました。均等割の引き上げは上限の内側で起きるため、上限に届いた所得帯の負担は変えません。

県の令和8年度の標準保険税率で計算しても、分岐点は1,263万円のままです。上限が同じなら、税率をさらに上げても分岐点の付近の負担は変わらないためです。

まとめ

  • 川口市の令和8年度の国保税は、所得割10.50%・均等割61,500円・平等割なし(40歳未満)。医療分の上限は66万円
  • 単身・事業所得600万円で年64万6,350円。東京23区より1.0万円安い
  • 令和7年度の税率と比べると、単身で5.5万円、夫婦と子2人で12.6万円増える。均等割の引き上げが中心
  • 市は令和9年度以降、県の標準保険税率に合わせる方針で、令和8年度の基準なら600万円でさらに5.1万円高い
  • 法人化の分岐点は1,263万円。令和7年度の税率なら1,296万円で、上限が89万円→95万円に上がったぶん33万円下がった

川口市の国保は、これからも上がる前提で考える必要があります。法人化の判断は、家族構成を入れたうえで自分の売上と経費で確かめてください。

よくある質問

川口市の国民健康保険税は令和9年度も上がりますか?

市は「令和9年度以降は、県が提示する市町村標準保険税率どおりに税率を設定する」としています。令和8年度の標準保険税率は市の実際の税率より所得割・均等割とも高いため、上がる方向です。ただし令和9年度の標準保険税率そのものはまだ示されておらず、額は確定していません。

川口市の子ども・子育て支援金分は子どもにもかかりますか?

かかりません。18歳に達する日以後の最初の3月31日までの加入者は、子ども・子育て支援金分の均等割が0円です。所得割は所得のある人に、均等割1,500円は18歳以上の加入者にかかります。

川口市の医療分の上限はなぜ66万円なのですか?

令和8年度の政令上の上限は67万円ですが、限度額は政令の範囲内で市が条例で定めます。川口市は令和7年度の65万円から66万円に引き上げており、67万円にはしていません。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。