社会保険
さいたま市の国民健康保険税(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,257万円
結論
さいたま市の令和8年度の国民健康保険税は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年65万1,991円で、東京23区(65万6,379円)とほぼ同じです。ただし令和8年度は税率が大きく上がり、同じ所得を令和7年度の税率で計算した59.4万円より5.8万円高くなります。上がり幅は事業所得800万円で最大の7.6万円です。単身・40歳未満なら、法人化の損益分岐は売上−経費1,257万円です。
- 所得割の合計は10.63%、均等割は大人1人59,900円。平等割はない。東京23区との差はどの所得でも年1万円以内
- 医療分の所得割は7.13%→7.64%、均等割は38,300円→43,300円に上がり、子ども・子育て支援納付金分が加わった
- 法人化の損益分岐はさいたま市・協会けんぽ埼玉支部で1,257万円。埼玉支部の料率9.67%が東京支部より低く、東京23区より9万円低い
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
さいたま市は、国保を「保険料」ではなく国民健康保険税として課税しています。計算の仕組みは保険料と同じで、所得割・均等割・限度額で決まります。令和8年度は税率が大きく改正され、同じ所得なら前年度より年数万円高くなりました。
以下は、さいたま市の令和8年度の税率を当サイトの計算エンジンに入れた結果です。前年度との比較は、同じ公式ページに並記されている令和7年度の税率で、同じ所得を計算し直したものです。自治体ごとの比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。
令和8年度の税率と、前年度からの変化
| 区分 | 所得割 | 均等割(1人) | 課税限度額 |
|---|---|---|---|
| 医療給付費分 | 7.64%(7.13%) | 43,300円(38,300円) | 67万円(66万円) |
| 後期高齢者支援金等分 | 2.73%(2.60%) | 14,900円(13,500円) | 26万円(26万円) |
| 介護納付金分(40〜64歳) | 2.37%(2.24%) | 16,100円(14,600円) | 17万円(17万円) |
| 子育て支援納付金分 | 0.26%(なし) | 1,700円(なし) | 3万円(なし) |
※ さいたま市 令和8年度国保税改正のお知らせ。かっこ内は令和7年度。子育て支援納付金分は「子ども・子育て支援納付金分」(令和8年度に新設)。平等割はない
40歳未満の3区分を合わせると、所得割10.63%、均等割は大人1人59,900円です。東京23区(10.58%・67,073円)と比べると、所得割はほぼ同じで均等割が7,173円低くなっています。
所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除43万円を引いた額に掛けます。個人事業主なら、青色申告特別控除を引いた後の事業所得が出発点です。
単身・事業所得600万円で年65.2万円
課税の基礎は600万円−43万円=557万円です。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 小計 |
|---|---|---|---|
| 医療給付費分 | 425,548円 | 43,300円 | 468,848円 |
| 後期高齢者支援金等分 | 152,061円 | 14,900円 | 166,961円 |
| 子ども・子育て支援納付金分 | 14,482円 | 1,700円 | 16,182円 |
| 合計 | 651,991円 |
年65万1,991円です。国民年金(年21万5,040円)を足すと86万7,031円になります。東京23区の同条件(65万6,379円)より4,388円安く、ほとんど同じです。40〜64歳なら介護納付金分が加わり80万100円になります。
同じ所得でも前年度より最大7.6万円高い
| 事業所得 | 令和7年度の税率 | 令和8年度の税率 | 増加 | 40〜64歳の増加 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 20.5万円 | 22.7万円 | +2.2万円 | +2.6万円 |
| 300万円 | 30.2万円 | 33.3万円 | +3.1万円 | +3.6万円 |
| 500万円 | 49.6万円 | 54.6万円 | +4.9万円 | +5.7万円 |
| 600万円 | 59.4万円 | 65.2万円 | +5.8万円 | +6.7万円 |
| 700万円 | 69.1万円 | 75.8万円 | +6.7万円 | +7.5万円 |
| 800万円 | 78.8万円 | 86.5万円 | +7.6万円 | +7.6万円 |
| 900万円 | 88.6万円 | 94.3万円 | +5.7万円 | +5.7万円 |
| 1,000万円 | 92.0万円 | 95.7万円 | +3.7万円 | +3.7万円 |
※ 単身・40歳未満(右列は40〜64歳)・青色申告特別控除後の事業所得。同じ所得を両年度の税率で計算/2026年(令和8年)分 基準
上がり幅は所得とともに大きくなり、事業所得800万円で最大の年7.6万円です。所得割の率が合計で0.90ポイント(医療・支援・子育て支援の合計9.73%→10.63%)上がったうえに、均等割も大人1人8,100円増えたためです。900万円を超えると上がり幅が縮むのは、令和7年度の上限が年92万円(医療66万円+支援26万円)で、そこに近づいた人ほど伸びしろが小さいからです。令和8年度の上限は、医療分の1万円引き上げと子育て支援納付金分の3万円の新設で年96万円になりました。
家族がいると、均等割の引き上げがそのまま人数分効きます。夫婦と子2人(小学生)・事業所得500万円では、65.2万円から72.2万円へ年7.0万円増えます。
隣の川口市も令和8年度に均等割を大人1人37,000円から61,500円に上げ、単身・事業所得600万円で5.5万円増えました(川口市の国民健康保険税)。
東京23区とは1万円以内、千葉市とはほぼ同水準
| 事業所得 | さいたま市 | 千葉市 | 東京23区 | 東京23区との差 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 12.0万円 | 13.0万円 | 12.7万円 | −0.7万円 |
| 300万円 | 33.3万円 | 33.7万円 | 33.9万円 | −0.6万円 |
| 500万円 | 54.6万円 | 54.5万円 | 55.1万円 | −0.5万円 |
| 600万円 | 65.2万円 | 64.9万円 | 65.6万円 | −0.4万円 |
| 800万円 | 86.5万円 | 85.6万円 | 86.8万円 | −0.3万円 |
| 900万円 | 94.3万円 | 95.6万円 | 95.3万円 | −1.0万円 |
| 1,000万円 | 95.7万円 | 96.0万円 | 95.8万円 | −0.1万円 |
※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準
単身なら、どの所得でも東京23区よりわずかに安く、差は最大でも1.0万円です。税率が上がったあとでも、東京23区の水準に並んだ程度と言えます。千葉市とは467万円を境に順番が入れ替わりますが、差は1万円前後で、首都圏の3市区はほぼ同じ水準にあります。
収録63市区の中では、単身・事業所得600万円で40番目と、真ん中より安い側です。
北関東の宇都宮市は令和8年度に税率を据え置き(増えたのは子ども分だけ)、単身・事業所得600万円でさいたま市より2.9万円安くなっています(宇都宮市の国民健康保険税)。
家族の伸びは1人6万円
| 世帯 | 事業所得300万円 | 500万円 | 700万円 | 1,000万円 |
|---|---|---|---|---|
| 単身・40歳未満 | 33.3万円 | 54.6万円 | 75.8万円 | 95.7万円 |
| 夫婦・40歳未満 | 39.3万円 | 60.6万円 | 81.8万円 | 95.8万円 |
| 夫婦+子2人(小学生) | 50.9万円 | 72.2万円 | 92.9万円 | 95.8万円 |
| 単身・40〜64歳 | 41.0万円 | 67.0万円 | 92.8万円 | 112.7万円 |
※ さいたま市・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。介護分は本人のみで計算
平等割がなく、家族1人ごとに均等割がかかります。そのため無収入の配偶者が加わると事業所得500万円で年6.0万円、小学生の子1人で5.8万円増えます。未就学児は均等割が2分の1に減額されます。さいたま市の減免の案内には、子どもの人数を理由に所得割を減らす区分はありません。
上限に達するのは単身で1,132万円
単身・40歳未満の場合、医療給付費分は864万円、後期高齢者支援金等分は941万円で上限に達します。全区分の合計が年96万円に届くのは1,132万円ですが、1,000万円の時点で95.7万円なので、実質的には900万円台で頭打ちです。夫婦と子2人の世帯では、778万円で医療分と支援分が両方とも上限になります。
法人化の分岐点は東京23区より9万円低い
| 条件 | 損益分岐(売上−経費) |
|---|---|
| 東京23区・協会けんぽ東京支部(単身) | 1,266万円 |
| さいたま市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身) | 1,266万円 |
| さいたま市・協会けんぽ埼玉支部(単身) | 1,257万円 |
| さいたま市・配偶者(無収入)あり | 1,016万円 |
| さいたま市・単身・40〜64歳 | 1,234万円 |
※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準
国保税の部分だけをさいたま市に置き換えても、分岐点は東京23区と同じ1,266万円です。分岐点の付近ではどちらも上限に届いているからです。
分岐点を9万円下げているのは法人側です。協会けんぽ埼玉支部の令和8年度の健康保険料率は**9.67%**で、東京支部(9.85%)より0.18ポイント低くなっています。法人化した後の健康保険料が東京より安いので、そのぶん法人化の効果が早く出ます。都道府県別の料率は協会けんぽの健康保険料率、都道府県で年9万円違うにまとめています。
国保税が前年度より上がったことも、個人のままでいる負担を重くしています。ただし分岐点の付近ではもともと上限近くにあるため、前年度からの上がり幅は3万〜4万円にとどまります。法人化の判断を大きく動かすのは、事業所得700万〜900万円で家族がいる人です。
まとめ
- さいたま市は国保を国民健康保険税として課税。令和8年度は所得割10.63%・均等割59,900円(40歳未満)で、平等割はない
- 単身・事業所得600万円で年65万1,991円。東京23区とほぼ同じで、差はどの所得でも1万円以内
- 同じ所得を令和7年度の税率で計算した額より600万円で5.8万円、800万円で7.6万円高い
- 上限の年96万円に届くのは単身で1,132万円
- 法人化の分岐点は1,257万円で東京23区より9万円低い。協会けんぽ埼玉支部の料率が低いため
毎年の税率改定で、国保の負担は所得が同じでも動きます。法人化の判断は、最新の税率と自分の売上・経費で確かめてください。
よくある質問
国民健康保険「税」と「料」で負担は違いますか?
計算の仕組み(所得割・均等割・限度額)は同じで、税か料かで金額が変わるわけではありません。違うのは根拠の法律で、国保税は地方税法、国保料は国民健康保険法と市の条例に基づきます。確定申告では、どちらも社会保険料控除の対象です。
さいたま市の国保税は区で違いますか?
違いません。税率は市内10区で共通です。
令和8年度の国保税はいつの所得で計算しますか?
令和7年中の所得で計算します。この記事の前年度比較は、同じ所得を令和7年度と令和8年度の税率でそれぞれ計算したもので、所得の変化は含めていません。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。