社会保険

協会けんぽの健康保険料率、都道府県で年9万円違う(令和8年度・全47比較)

協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに違い、最高の佐賀10.55%と最低の新潟9.21%で1.34ポイントの差があります。全47都道府県の料率と、標準報酬月額別の年間保険料を一覧にしました。

協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとに違います

厚生年金保険料率は全国一律18.3%で固定されているため見落とされがちですが、健康保険料率は令和8年度で最低9.21%(新潟県)から最高10.55%(佐賀県)まで、1.34ポイントの差があります。

標準報酬月額56万円なら、労使合わせて年9万円の差です。

全47都道府県の料率(令和8年度)

令和8年3月分(4月納付分)から適用されている料率です。高い順に並べています。

順位都道府県健康保険料率標準報酬月額30万円の年間保険料(労使計)
1佐賀県10.55%388,080円
2北海道10.28%378,360円
3徳島県10.24%376,920円
4山口県10.15%373,680円
5大阪府10.13%372,960円
6鹿児島県10.13%372,960円
7兵庫県10.12%372,600円
8福岡県10.11%372,240円
9宮城県10.10%371,880円
10熊本県10.08%371,160円
11大分県10.08%371,160円
12和歌山県10.06%370,440円
13長崎県10.06%370,440円
14岡山県10.05%370,080円
15高知県10.05%370,080円
16香川県10.02%369,000円
17秋田県10.01%368,640円
18愛媛県9.98%367,560円
19島根県9.94%366,120円
20愛知県9.93%365,760円
21神奈川県9.92%365,400円
22奈良県9.91%365,040円
23京都府9.89%364,320円
24滋賀県9.88%363,960円
25鳥取県9.86%363,240円
26青森県9.85%362,880円
27東京都9.85%362,880円
28栃木県9.82%361,800円
29岐阜県9.80%361,080円
30広島県9.78%360,360円
31三重県9.77%360,000円
32宮崎県9.77%360,000円
33山形県9.75%359,280円
34千葉県9.73%358,560円
35福井県9.71%357,840円
36石川県9.70%357,480円
37群馬県9.68%356,760円
38埼玉県9.67%356,400円
39長野県9.63%354,960円
40静岡県9.61%354,240円
41富山県9.59%353,520円
42山梨県9.55%352,080円
43茨城県9.52%351,000円
44岩手県9.51%350,640円
45福島県9.50%350,280円
46沖縄県9.44%348,120円
47新潟県9.21%339,840円

※ 年間保険料は「健康保険料率+子ども・子育て支援金0.23%」を標準報酬月額30万円に掛けた労使合計額。介護保険料・厚生年金保険料は含まない ※ 40歳以上65歳未満はここに介護保険料率1.62%(全国一律)が加わる

**全国平均は9.87%**です。10%を超えているのは17府県で、大半は9%台に収まっています。

差はいくらになるか

最高の佐賀県と最低の新潟県で比べます。

標準報酬月額年間の差(労使合計)
30万円48,240円
56万円90,048円

ひとり社長の会社では、会社負担分も自分の事業の利益から出ています。労使合計がそのまま実質の負担差だと考えてください。

役員報酬を月54万円(標準報酬月額56万円)に設定している場合、事業所が佐賀県にあるか新潟県にあるかで、年9万円の差が生まれます。

どの都道府県の料率が使われるのか

自分の住所ではなく、事業所の所在地です。

ひとり社長の会社なら本店所在地の都道府県。東京に住んでいても本店が新潟にあれば新潟支部の料率が適用されます。逆もまた同じです。

複数の事業所がある場合は、それぞれの事業所ごとに所在地で判定します。

料率の安い県に移せば得か

制度上はそのとおりですが、実態のない登記だけの移転は認められません。事業の実態がその場所にあることが前提です。

年9万円の差は小さくありませんが、移転登記の費用、取引先への通知、実務上の不便を考えると、これだけを理由に移す判断にはなりにくいでしょう。すでに複数拠点があって本店をどちらに置くか選べる場合には、検討する価値があります。

なぜ都道府県で違うのか

平成21年から、都道府県ごとの医療費水準を保険料率に反映する仕組みになりました。加入者一人あたりの医療費が高い地域ほど料率が高くなります。

年齢構成の違い(高齢者が多い地域は医療費が高くなる)による影響は調整されたうえで計算されるため、純粋に医療費の使われ方の差が反映される設計です。

この仕組みは協会けんぽ特有のもので、企業が独自に設立する健康保険組合には当てはまりません。

料率は毎年3月分から変わる

協会けんぽの保険料率は毎年3月分(4月納付分)から改定されます。年度の切り替わりと1か月ずれる点に注意してください。

令和8年度は、多くの都道府県で前年度より下がりました。東京都は9.91%から9.85%へ、大阪府は10.24%から10.13%へ、愛知県は10.03%から9.93%へ、いずれも引き下げられています。

一方で、令和8年4月から**子ども・子育て支援金0.23%**が新たに加わったため、実際の負担は差し引きでほぼ横ばい、あるいは微増になった人が多いはずです。詳しくは子ども・子育て支援金はいくら引かれるのかをご覧ください。

実際の保険料はこう決まる

健康保険料率だけでは保険料は決まりません。標準報酬月額に、次の料率をすべて掛けて計算します。

項目料率地域差
健康保険料率9.21〜10.55%あり(都道府県別)
介護保険料率(40〜64歳)1.62%なし(全国一律)
子ども・子育て支援金率0.23%なし(全国一律)
厚生年金保険料率18.3%なし(全国一律)

東京都・40歳未満なら合計28.38%、40〜64歳なら30.00%です。地域差があるのは健康保険料率だけで、全体に占める割合としては大きくありません。

標準報酬月額の決まり方は標準報酬月額の等級表(令和8年度)で全50等級を掲載しています。

法人化の判定にどう効くか

意外に思われるかもしれませんが、料率が高い地域ほど法人化が不利になります

法人化すると協会けんぽに切り替わるため、料率の高い地域では法人側の負担が増えるからです。一方、個人事業主が払う国民健康保険には賦課限度額があり、所得が一定を超えると自治体差が消えます。

当サイトの試算では、損益分岐となる事業所得は東京23区で1,252万円、大阪市で1,270万円でした。国民健康保険料が高い大阪市のほうが、法人化しにくいという結果です。

この逆説の詳しい説明は国民健康保険が高いから法人化、は所得次第で逆効果になるで扱っています。

まとめ

  • 協会けんぽの健康保険料率は都道府県別。令和8年度は新潟9.21%〜佐賀10.55%で1.34ポイントの差
  • 全国平均は9.87%。10%を超えるのは17府県
  • 標準報酬月額56万円なら、最高と最低で年9万円の差(労使合計)
  • 適用されるのは住所ではなく事業所の所在地の支部
  • 地域差があるのは健康保険料率だけ。介護保険料率・子ども子育て支援金率・厚生年金保険料率は全国一律
  • 料率は毎年3月分(4月納付分)から改定される
  • 令和8年度は多くの都道府県で引き下げ。ただし子ども・子育て支援金0.23%が新設され、差し引きではほぼ横ばい
  • 料率の高い地域ほど、法人化はわずかに不利に働く

自分の都道府県を選んで、法人化の損得がどう変わるか確かめてみてください。

よくある質問

どの都道府県の料率が適用されるのですか?

自分の住所ではなく、勤務先の事業所が所在する都道府県の支部の料率が適用されます。ひとり社長の会社なら、本店所在地の都道府県です。複数の事業所がある場合は、それぞれの事業所の所在地で判定します。転勤や本店移転をすると料率が変わります。

料率が安い県に本店を移せば保険料を下げられますか?

制度上は所在地の支部の料率が適用されます。ただし実態のない登記だけの移転は認められません。事業の実態がその場所にあることが前提です。標準報酬月額56万円でも最大年9万円の差なので、移転コストと実務の手間に見合うかは慎重に判断してください。

なぜ都道府県で料率が違うのですか?

平成21年から、都道府県ごとの医療費水準を料率に反映する仕組みになったためです。加入者一人あたりの医療費が高い地域ほど料率が高くなります。年齢構成の違いによる影響は調整されたうえで計算されます。健保組合ではなく協会けんぽ特有の仕組みです。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。