社会保険
川崎市の国民健康保険料(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,269万円
結論
川崎市の令和8年度の国民健康保険料は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年69万9,188円で、横浜市より1.4万円、東京23区より4.3万円高くなります。ただし16歳未満の子1人につき33万円(16〜18歳は12万円)を所得割の基礎から差し引く市独自の軽減があり、夫婦と子2人(小学生)・事業所得500万円では年68.6万円と、東京23区(74.8万円)より6.2万円安くなります。単身・40歳未満なら、法人化の損益分岐は売上−経費1,269万円です。
- 所得割の合計は11.47%、均等割は大人1人60,309円。平等割はない
- 単身・40歳未満で上限の年96万円に届くのは事業所得927万円。横浜市(985万円)より早い
- 法人化の損益分岐は川崎市・協会けんぽ神奈川支部で1,269万円。分岐点付近では国保は上限にあり、独自軽減の差は残らない
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
川崎市の国保は、単身で比べると横浜市よりも東京23区よりも高い位置にあります。ところが子どもがいる世帯は事情が違います。川崎市には、16歳未満の子1人につき33万円を所得割の計算から差し引く独自の軽減があり、子育て世帯の保険料は東京23区より安くなります。東京23区にはこの軽減がありません。
以下は、川崎市の令和8年度の公表料率を当サイトの計算エンジンに入れた結果です。独自軽減の部分は、計算エンジンの結果から所得割の基礎を控除額だけ下げて計算しました。自治体ごとの比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。
令和8年度の料率
| 区分 | 所得割 | 均等割(1人) | 平等割 | 賦課限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 8.26% | 43,261円 | なし | 67万円 |
| 後期高齢者支援金等分 | 2.89% | 15,306円 | なし | 26万円 |
| 介護納付金分(40〜64歳) | 2.67% | 15,828円 | なし | 17万円 |
| 子育て支援金分 | 0.32% | 1,665円+18歳以上1人77円 | なし | 3万円 |
※ 川崎市 令和8年度の国民健康保険料について。子育て支援金分は「子ども・子育て支援納付金分」
40歳未満の3区分を合わせると、所得割11.47%、均等割は大人1人60,309円です。隣の横浜市(11.29%・56,020円)より所得割も均等割も高く、東京23区(10.58%・67,073円)と比べると均等割は低く、所得割は高くなっています。
所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除43万円を引いた「賦課基準額」に掛けます。個人事業主なら、青色申告特別控除を引いた後の事業所得が出発点です。
単身・事業所得600万円で年69.9万円
賦課基準額は600万円−43万円=557万円です。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 小計 |
|---|---|---|---|
| 医療分 | 460,082円 | 43,261円 | 503,343円 |
| 後期高齢者支援金等分 | 160,973円 | 15,306円 | 176,279円 |
| 子ども・子育て支援納付金分 | 17,824円 | 1,742円 | 19,566円 |
| 合計 | 699,188円 |
年69万9,188円です。国民年金(年21万5,040円)を足すと91万4,228円になります。東京23区の同条件(65万6,379円)より年4万2,809円高く、横浜市(68万4,873円)より1万4,315円高い計算です。40〜64歳なら介護分が加わり86万3,735円になります。
単身では、どの所得でも横浜市より高い
| 事業所得 | 川崎市 | 横浜市 | 東京23区 | 東京23区との差 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 12.6万円 | 12.0万円 | 12.7万円 | −0.2万円 |
| 300万円 | 35.5万円 | 34.6万円 | 33.9万円 | +1.6万円 |
| 500万円 | 58.4万円 | 57.2万円 | 55.1万円 | +3.4万円 |
| 600万円 | 69.9万円 | 68.5万円 | 65.6万円 | +4.3万円 |
| 700万円 | 81.4万円 | 79.8万円 | 76.2万円 | +5.2万円 |
| 800万円 | 92.9万円 | 90.9万円 | 86.8万円 | +6.1万円 |
| 900万円 | 95.9万円 | 93.8万円 | 95.3万円 | +0.7万円 |
| 1,000万円 | 96.0万円 | 96.0万円 | 95.8万円 | +0.2万円 |
※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準
東京23区より高くなるのは事業所得120万円からで、差は801万円で最大の6.1万円になります。横浜市とは、上限に届く手前まで一度も入れ替わりません。収録63市区の中では、事業所得300万円で24番目、600万円で22番目と、高い側に入ります。
川崎市は後期高齢者支援金等分の所得割が2.89%と高く、横浜市(2.62%)を0.27ポイント上回ります。そのぶん上限にも早く届き、単身・40歳未満で医療分は802万円、支援金等分は890万円、全区分の合計96万円には927万円で届きます。横浜市が985万円なので、58万円早く頭打ちになります。
子1人につき33万円を引く独自軽減
川崎市は「当分の間」の措置として、賦課期日(原則4月1日)時点で次の加入者がいる世帯の所得割を軽くしています。
- 前年12月31日時点で16歳未満の加入者:1人につき33万円
- 16歳以上19歳未満の加入者:1人につき12万円
- 障害者控除がある加入者:障害者控除に相当する額
16歳未満・16歳以上19歳未満の控除には、その子の前年の合計所得金額が58万円以下という要件があります。控除額は、世帯の中で賦課基準額が最も高い加入者(個人事業主の本人であることが多い)の所得割の計算から引かれます。申請は不要です。
16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象外ですが、国保ではこの年齢の子にこそ控除が付く設計です。40歳未満なら、33万円の控除で保険料は年37,851円下がります。
| 世帯 | 事業所得300万円 | 500万円 | 700万円 | 1,000万円 |
|---|---|---|---|---|
| 夫婦 | 41.5万円 | 64.5万円 | 87.4万円 | 96.0万円 |
| 夫婦+子1人(小学生) | 43.6万円 | 66.6万円 | 89.5万円 | 96.0万円 |
| 夫婦+子2人(小学生) | 45.7万円 | 68.6万円 | 91.6万円 | 96.0万円 |
| (参考)東京23区・夫婦+子2人 | 53.6万円 | 74.8万円 | 94.6万円 | 96.0万円 |
※ 川崎市は独自軽減を入れて計算。40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準
子どもの均等割は1人6万円ほどかかりますが、独自軽減がその大半を打ち消します。夫婦と子2人・事業所得500万円では年68.6万円で、東京23区より6.2万円安くなります。単身では東京23区より3.4万円高かったので、子どもの有無で東京との大小が逆になります。
横浜市にも、世帯主の所得割から16歳未満の子1人33万円(16〜18歳は12万円)を引く同じ形の減額があります(令和4年度から)。両方の軽減を入れて比べると、夫婦と子2人・事業所得500万円で横浜市は66.2万円、川崎市は68.6万円で、子育て世帯でも川崎市のほうが2.4万円高い関係は変わりません。
ただし、軽減が効くのは所得割が上限に届く前だけです。夫婦と子2人の世帯は均等割が積み上がるので、独自軽減がなければ事業所得731万円で医療分と支援金等分が上限に届きます。事業所得700万円では軽減の効果は3.0万円に縮み、1,000万円ではゼロです。
法人化の分岐点は1,269万円
| 条件 | 損益分岐(売上−経費) |
|---|---|
| 東京23区・協会けんぽ東京支部(単身) | 1,266万円 |
| 川崎市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身) | 1,266万円 |
| 川崎市・協会けんぽ神奈川支部(単身) | 1,269万円 |
| 川崎市・配偶者(無収入)あり | 1,016万円 |
| 川崎市・単身・40〜64歳 | 1,245万円 |
※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額。独自軽減は入れていない/2026年(令和8年)分 基準
国保の部分だけを川崎市に置き換えても、分岐点は東京23区と同じ1,266万円です。分岐点付近では、どちらも国保が上限にあるためです。3万円上がるのは、協会けんぽ神奈川支部の健康保険料率(令和8年度9.92%)が東京支部(9.85%)より高いことによります。
子どもがいる世帯でも、法人化を考える所得帯(青色申告特別控除後で900万円超)では国保がほぼ上限に張り付いていて、独自軽減の差は残りません。独自軽減が判断を動かすのは、事業所得が700万円より下の世帯です。その帯は、どの市でもまだ法人化の分岐点の手前にあります。横浜市との比較は横浜市の国民健康保険料の計算方法で詳しく扱っています。
まとめ
- 川崎市の令和8年度の国保は、所得割11.47%・均等割60,309円(40歳未満)。平等割はない
- 単身・事業所得600万円で年69万9,188円。東京23区より4.3万円、横浜市より1.4万円高い
- 16歳未満の子1人33万円(16〜18歳は12万円)を所得割の基礎から引く独自軽減がある。申請不要
- 夫婦と子2人・事業所得500万円なら年68.6万円で、東京23区より6.2万円安い
- 法人化の分岐点は1,269万円。分岐点付近では国保は上限にあり、独自軽減は効かない
子どもがいる世帯は、川崎市のほうが国保の負担が軽いことがあります。法人化の判断は、家族構成を入れたうえで自分の売上と経費で確かめてください。
よくある質問
川崎市の独自軽減は申請が必要ですか?
申請は不要です。ただし世帯の国保加入者全員の所得が確認できる必要があります。所得のない家族も住民税の申告をしておくと確実です。
配偶者がいても独自軽減は受けられますか?
川崎市の独自軽減は、16歳未満と16歳以上19歳未満の加入者、障害者控除がある加入者が対象です。配偶者がいること自体では控除はありません。
子どもの年齢はいつの時点で判定しますか?
前年の12月31日時点の年齢です。令和8年度なら令和7年12月31日に16歳未満であれば1人33万円、16歳以上19歳未満なら1人12万円です。控除は世帯の中で賦課基準額が最も高い加入者から引かれます。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。