社会保険

横浜市の国民健康保険料の計算方法(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,272万円

結論

横浜市の令和8年度の国民健康保険料は、事業所得600万円・単身・40歳未満で年68万4,873円です。所得割の合計は11.29%で東京23区(10.58%)より高く、均等割は1人56,020円で東京23区より低いため、事業所得199万円を超えると東京23区より高くなり、差は798万円で最大4.3万円になります。単身・40歳未満なら、法人化の損益分岐は売上−経費1,272万円です。

  • 16歳未満の子1人につき33万円を世帯主の所得割の基礎から引く減額がある。夫婦と子2人・事業所得500万円なら年66.2万円で東京23区より8.6万円安い
  • 単身・40歳未満で医療分は事業所得799万円、全区分は985万円で上限の年96万円に達する
  • 法人化の損益分岐は横浜市・協会けんぽ神奈川支部で1,272万円。東京23区より6万円高い

横浜市の国保は「均等割が低く、所得割が高い」形をしています。所得が低いうちは東京23区より安く、事業所得が199万円を超えると逆に高くなります。事業所得が増えるほど差が開き、798万円で最大の年4.3万円になります。そこから先は上限(賦課限度額)が効いて、差はほぼ消えます。

以下の数字は、令和8年度の横浜市の公表料率を当サイトの計算エンジンに入れて出したものです。料率の比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較で市区を横並びにしています。この記事では、横浜市の計算を最初から最後まで追います。

令和8年度の料率

令和8年度から「子ども・子育て支援金分」(下の表では子育て支援金分)が加わり、区分は4つになりました。

区分所得割均等割(1人)平等割(1世帯)賦課限度額
医療分8.33%40,870円なし67万円
後期高齢者支援金分2.62%13,380円なし26万円
介護分(40〜64歳)2.84%16,200円なし17万円
子育て支援金分0.34%1,690円+18歳以上1人80円なし3万円

※ 横浜市 令和8年度保険料の料率等について

40歳未満の人にかかる3区分を合計すると、所得割11.29%、均等割は大人1人56,020円です。東京23区(所得割10.58%、均等割67,073円)と比べると、所得割は0.71ポイント高く、均等割は1万1,053円低くなっています。

所得割を掛ける相手は「旧ただし書所得」です。

旧ただし書所得 = 総所得金額等 − 43万円

個人事業主なら、青色申告特別控除を引いた後の事業所得から43万円を引きます。配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除などの所得控除は、この計算に入りません。ここが所得税・住民税と違う点です。

事業所得600万円・単身で計算すると年68.5万円

事業所得(青色申告特別控除後)600万円・単身・40歳未満の場合です。旧ただし書所得は600万円 − 43万円 = 557万円です。

区分所得割均等割小計
医療分463,981円40,870円504,851円
後期高齢者支援金分145,934円13,380円159,314円
子ども・子育て支援金分18,938円1,770円20,708円
合計684,873円

年68万4,873円です。これに国民年金保険料(令和8年度は月17,920円、年21万5,040円)が加わり、社会保険の負担は年89万9,913円になります。

同じ条件の東京23区は65万6,379円なので、横浜市のほうが年2万8,494円高い計算です。40歳以上になると介護分が乗り、同じ所得で年85万4,873円になります。介護分は17万円で、この所得ですでに上限に達しています。

所得別に見ると、差は800万円付近で最大になる

隣の川崎市、東京23区と並べました。

事業所得横浜市川崎市東京23区東京23区との差
100万円12.0万円12.6万円12.7万円−0.7万円
200万円23.3万円24.0万円23.3万円+0.0万円
300万円34.6万円35.5万円33.9万円+0.7万円
500万円57.2万円58.4万円55.1万円+2.1万円
600万円68.5万円69.9万円65.6万円+2.8万円
700万円79.8万円81.4万円76.2万円+3.6万円
800万円90.9万円92.9万円86.8万円+4.1万円
900万円93.8万円95.9万円95.3万円−1.5万円
1,000万円96.0万円96.0万円95.8万円+0.2万円

※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準

200万円を境に、均等割の安さより所得割の高さが勝ちます。差は事業所得が増えるほど開き、798万円で東京23区より年4.3万円高いのが最大です。

900万円前後で一度だけ横浜市のほうが安くなるのは、医療分の上限に先に届くためです。横浜市は医療分の所得割が8.33%と高いので、事業所得799万円で医療分が67万円に張り付きます。東京23区の医療分は7.51%なので、上限に届くのは872万円です。その間は東京23区の医療分だけが増え続けます。

川崎市とは、どの所得でも横浜市のほうが安くなりました。 差は600万円で1.4万円、900万円で2.1万円です。県境ではなく市境で、同じ神奈川県内でも保険料は変わります。

収録63市区の中では、事業所得300万円で33番目、600万円で29番目に高い水準です。600万円で最も高い大阪市・堺市(80.8万円)とは12万円、最も安い富山市(56.2万円)とも12万円離れていて、金額ではちょうど真ん中にあります。

子どもがいると、世帯主の所得割から1人33万円を引く

横浜市には、令和4年度から、19歳未満の子どもがいる世帯の世帯主の所得割を軽くする減額があります。

  • 前年12月末に16歳未満の加入者:1人につき33万円
  • 16歳以上19歳未満の加入者:1人につき12万円

この額を世帯主の基準総所得金額(所得割を掛ける元の金額)から差し引きます。子どもの前年の合計所得金額が58万円以下であること、世帯主が国保に加入していることが条件です。16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象外ですが、横浜市の国保ではこの年齢の子にこそ控除が付きます。40歳未満なら、33万円の控除で保険料は年37,257円下がります。

世帯事業所得300万円500万円700万円1,000万円
単身・40歳未満34.6万円57.2万円79.8万円96.0万円
夫婦・40歳未満40.2万円62.8万円85.4万円96.0万円
夫婦+子2人(小学生)43.6万円66.2万円88.8万円96.0万円
夫婦+子2人(未就学児)38.2万円60.8万円83.4万円96.0万円
単身・40〜64歳43.5万円71.8万円96.8万円113.0万円

※ 横浜市・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。子どもがいる世帯は所得割の減額(16歳未満1人33万円)を入れて計算。介護分は本人のみで計算

国保には扶養という考え方がなく、家族も1人ずつ均等割がかかります。事業所得500万円で無収入の配偶者が加わると、横浜市では年5.6万円増えます(東京23区は6.7万円)。横浜市には平等割がないぶん、配偶者1人の重みは東京23区とあまり変わりません。

差が大きく出るのは子どもです。小学生の子1人で増える保険料は、減額を差し引くと年1.7万円だけです(減額がなければ5.4万円)。夫婦と子2人・事業所得500万円では年66.2万円で、東京23区(74.8万円)より8.6万円安くなります。単身では東京23区より2.1万円高かったので、子どもの有無で大小が逆になります。未就学児は均等割も5割軽減されるので、さらに5.4万円下がります。

ただし、減額が効くのは所得割が上限に届く前だけです。夫婦と子2人の世帯は、減額を入れても事業所得898万円で医療分と支援金分が上限に届き、1,000万円では単身と同じ96万円になります。隣の川崎市にも同じ形の軽減があり、比較は川崎市の国民健康保険料にまとめています。

反対に、同じ神奈川県の藤沢市にはこの減額がありません。単身なら藤沢市のほうが横浜市より4.5万円安いのに、夫婦と子2人・事業所得500万円では横浜市のほうが0.6万円安くなります(藤沢市の国民健康保険料)。

上限の年96万円に届くのは事業所得985万円

単身・40歳未満で区分ごとに上限に達する所得は次のとおりです。

  • 医療分(67万円):事業所得799万円
  • 後期高齢者支援金分(26万円):985万円
  • 全区分の合計(96万円):985万円

40〜64歳は介護分17万円が加わって上限は年113万円になり、こちらも985万円で張り付きます。夫婦と子2人の世帯は均等割が積み上がるぶん早く、医療分と支援金分が832万円で両方とも上限です。

上限に達した後は、所得が増えても国保は1円も増えません。法人化を考える所得帯では、横浜市の国保はほぼ上限の年96万円で固定されていると考えてよいでしょう。

法人化の分岐点は東京23区より6万円高い

国保が東京23区より高いなら、横浜では法人化が早く有利になりそうに見えます。計算結果は逆でした。

条件損益分岐(売上−経費)
東京23区・協会けんぽ東京支部(単身・40歳未満)1,266万円
横浜市の国保のみ(協会けんぽは東京支部)1,269万円
横浜市・協会けんぽ神奈川支部(単身・40歳未満)1,272万円
横浜市・配偶者(無収入)あり1,016万円
横浜市・単身・40〜64歳1,249万円

※ 経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準

理由は3つあります。1つ目は、分岐点の付近(青色申告特別控除後で1,200万円前後)では、横浜市も東京23区も国保が上限に達していることです。個人側の負担に差が残りません。

2つ目は、法人化した後の健康保険料です。協会けんぽの健康保険料率は令和8年度で神奈川支部9.92%、東京支部9.85%です。同じ役員報酬でも神奈川のほうが少し高くなります。

3つ目は、法人住民税の均等割です。横浜市は「横浜みどり税」として法人市民税の均等割に9%相当を上乗せしています。資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の会社なら、県分2万円と合わせて年74,500円です。標準の7万円より4,500円高く、赤字でも毎年かかります。自治体ごとの均等割は法人住民税の均等割は自治体で違うで比べています。

配偶者がいると分岐点は1,016万円まで下がります。配偶者の国保の均等割と国民年金が、法人化で扶養に入ることで消えるためです。

まとめ

  • 横浜市の令和8年度の国保は、所得割11.29%・均等割56,020円(40歳未満)。平等割はない
  • 事業所得600万円・単身・40歳未満で年68万4,873円。東京23区より2.8万円高く、川崎市より1.4万円安い
  • 東京23区より高くなるのは事業所得199万円から。差は798万円で最大4.3万円
  • 16歳未満の子1人33万円を世帯主の所得割から引く減額があり、子育て世帯は東京23区より安くなる
  • 上限の年96万円に届くのは単身で985万円。法人化を考える所得帯では国保はほぼ上限で一定
  • 法人化の分岐点は1,272万円で東京23区より6万円高い。協会けんぽ神奈川支部の料率と横浜みどり税の均等割が効く

国保の額だけを見て法人化を決めると、判断がずれます。自分の売上と経費を入れて、法人化した後の保険料と税金まで含めて確かめてください。

よくある質問

横浜市の国民健康保険料は区によって違いますか?

違いません。横浜市の料率は市内18区で共通です。保険料の通知や窓口は住んでいる区の保険年金課になりますが、計算に使う所得割率・均等割額・賦課限度額は同じです。

横浜市の国保に平等割はありますか?

ありません。令和8年度の横浜市の保険料は、所得割と、加入者1人ごとの均等割で計算します。世帯ごとの定額(平等割)がないため、単身世帯の負担が平等割のある市より軽くなりやすい構造です。

子ども・子育て支援金分の均等割はいくらですか?

加入者1人につき1,690円で、18歳以上の加入者にはさらに1人80円が加わります。18歳に達する年度末までの子どもは、この区分の均等割が全額軽減されます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。