社会保険
奈良市の国民健康保険料(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,273万円
結論
奈良市の令和8年度の国民健康保険料は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年69万4,354円で、東京23区より3.8万円高くなります。奈良県は令和6年度から県内市町村の保険料率を統一しているので、同じ所得・世帯なら県内のどこでも同じ額です。令和8年度は料率を据え置いたまま医療分・支援分の上限を引き上げ、子ども分を加えたため、法人化の損益分岐(協会けんぽ奈良支部)は前年度の料率の1,306万円から1,273万円に下がりました。
- 40歳未満の料率は所得割11.22%・均等割41,000円(18歳以上の200円を含む)・平等割28,400円。介護分と子ども分に平等割はない
- 医療分の上限は66万円で、全区分の上限は95万円(40〜64歳は112万円)。収録63市区で医療分の上限が66万円なのは6市だけ
- 介護分は所得割3.03%が収録63市区で3番目に高く、事業所得600万円で上限17万円に届く
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
奈良県は、令和6年度から県内市町村の国民健康保険料率を統一しています。奈良市のページにも「県内のどこに住んでも保険料水準は同じ」となるよう統一した旨が書かれています。この記事の計算は奈良市の公表料率によるものですが、奈良県内の他の市町村でも同じ結果になります。
令和8年度は料率を前年度から据え置き、上限と子ども分だけが変わりました。他の自治体との比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。
令和8年度の料率
| 区分 | 所得割 | 均等割(1人) | 平等割(1世帯) | 限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 7.64% | 27,600円 | 20,000円 | 66万円 |
| 支援金分 | 3.27% | 11,500円 | 8,400円 | 26万円 |
| 介護分(40〜64歳) | 3.03% | 16,900円 | なし | 17万円 |
| 子ども分 | 0.31% | 1,700円+18歳以上200円 | なし | 3万円 |
※ 奈良市 保険料の算定。支援金分は後期高齢者支援金分、子ども分は子ども・子育て支援金分
40歳未満の3区分を合わせると、所得割11.22%、均等割は大人1人41,000円、平等割は1世帯28,400円です。
医療分の上限は66万円で、国の基準の67万円より1万円低くなっています。当サイトが収録する63市区で医療分の上限が66万円なのは、奈良市・大阪市・堺市・川口市・宇都宮市・金沢市の6市だけです。全区分の上限は95万円(40〜64歳は112万円)です。
単身・事業所得600万円で年69.4万円
旧ただし書所得は600万円−43万円=557万円です。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 平等割 | 小計 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 425,548円 | 27,600円 | 20,000円 | 473,148円 |
| 支援金分 | 182,139円 | 11,500円 | 8,400円 | 202,039円 |
| 子ども分 | 17,267円 | 1,900円 | — | 19,167円 |
| 合計 | 694,354円 |
年69万4,354円で、東京23区(65万6,379円)より3万7,975円高くなります。収録63市区で25番目の水準です。国民年金(年21万5,040円)を足すと90万9,394円です。
40〜64歳なら介護分が加わり、86万4,354円になります。介護分は所得割3.03%が63市区で3番目に高く、事業所得600万円の時点で上限の17万円に届きます。40歳になったときの増加は600万円で17.0万円で、23区(15.3万円)より大きくなります。
前年度から変わったのは上限と子ども分
| 区分 | 令和7年度の上限 | 令和8年度の上限 |
|---|---|---|
| 医療分 | 65万円 | 66万円 |
| 支援金分 | 24万円 | 26万円 |
| 介護分 | 17万円 | 17万円 |
| 子ども分 | なし | 3万円 |
※ 奈良しみんだより令和7年6月号、奈良市 保険料の算定。所得割・均等割・平等割は両年度とも同じ
| 単身・40歳未満 | 令和7年度 | 令和8年度 | 増減 | うち子ども分 |
|---|---|---|---|---|
| 事業所得300万円 | 34.8万円 | 35.8万円 | +1.0万円 | 1.0万円 |
| 600万円 | 67.5万円 | 69.4万円 | +1.9万円 | 1.9万円 |
| 800万円 | 86.6万円 | 91.1万円 | +4.5万円 | 2.5万円 |
| 1,000万円 | 89.0万円 | 95.0万円 | +6.0万円 | 3.0万円 |
※ 計算エンジンに令和7年度の料率を入れた比較(scripts/kokuho-zennendo-hikaku.mjs)。令和7年度に子ども分はない
上限に届かない所得では、増えたのは子ども分だけです。上限に届く層では、医療分1万円・支援金分2万円・子ども分3万円の合計6万円が増えました。
886万円を超えると23区より安い
| 事業所得 | 奈良市 | 大阪市 | 東京23区 | 東京23区との差 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 24.6万円 | 29.4万円 | 23.3万円 | +1.2万円 |
| 300万円 | 35.8万円 | 42.3万円 | 33.9万円 | +1.9万円 |
| 400万円 | 47.0万円 | 55.1万円 | 44.5万円 | +2.5万円 |
| 500万円 | 58.2万円 | 68.0万円 | 55.1万円 | +3.2万円 |
| 600万円 | 69.4万円 | 80.8万円 | 65.6万円 | +3.8万円 |
| 700万円 | 80.7万円 | 90.3万円 | 76.2万円 | +4.4万円 |
| 800万円 | 91.1万円 | 93.7万円 | 86.8万円 | +4.3万円 |
| 900万円 | 94.8万円 | 94.6万円 | 95.3万円 | −0.4万円 |
| 1,000万円 | 95.0万円 | 94.9万円 | 95.8万円 | −0.8万円 |
※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。所得が低く法定軽減(7割・5割・2割)に当たる世帯は、この表より安くなる
23区との差は事業所得777万円で最大の4.9万円になり、886万円で逆転します。上限が95万円と23区より1万円低いためです。支援金分は所得割3.27%が高く、事業所得778万円で医療分(845万円)より先に上限に届きます。
隣の大阪府も府内統一の料率ですが、大阪市の所得割の合計は12.84%と高く、事業所得600万円で奈良市より11.4万円高くなります(大阪市の国民健康保険料)。県境をまたいで住む場所を選べる人には、この差は小さくありません。
法人化の分岐点は1,273万円
| 条件 | 損益分岐(売上−経費) |
|---|---|
| 東京23区・協会けんぽ東京支部(単身) | 1,266万円 |
| 奈良市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身) | 1,270万円 |
| 奈良市・協会けんぽ奈良支部(単身) | 1,273万円 |
| 奈良市・配偶者(無収入)あり | 1,016万円 |
| 奈良市・単身・40〜64歳 | 1,251万円 |
| 参考:令和7年度の国保の料率で計算した場合(単身) | 1,306万円 |
※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準
分岐点の付近では奈良市の国保は上限の95万円で、23区より1万円安いぶん分岐点が4万円上がります。協会けんぽ奈良支部の健康保険料率は9.91%で、東京支部(9.85%)より少し高く、さらに3万円上がります。
国保だけを令和7年度の料率に戻すと、分岐点は1,306万円でした。上限が6万円上がったことで、個人のままでいる負担が増え、分岐点が33万円下がった計算です。
家族がいる場合の国保の増え方は、配偶者(無収入)で年4.1万円、小学生の子1人で3.9万円、未就学児1人で2.0万円です(事業所得500万円)。配偶者がいれば分岐点は1,016万円まで下がります。
まとめ
- 奈良県は令和6年度から県内統一の料率。奈良市の計算は県内のどこでも同じ
- 令和8年度は所得割11.22%・均等割41,000円・平等割28,400円(40歳未満)で、料率は前年度と同じ
- 単身・事業所得600万円で年69万4,354円。東京23区より3.8万円高く、886万円を超えると23区より安い
- 医療分の上限は66万円で、全区分の上限は95万円。前年度より上限が6万円上がった
- 法人化の分岐点は1,273万円で、令和7年度の料率より33万円低い
奈良県の国保は県内で差がないので、法人化の判断に効くのは所得と家族構成です。自分の売上と経費で確かめてください。
よくある質問
奈良県内なら、奈良市以外でも同じ国民健康保険料ですか?
奈良県は令和6年度から県内市町村の保険料水準(率)を統一しています。同じ所得・世帯構成であれば、県内のどこに住んでも同じ料率で計算されます。
奈良市の国民健康保険料の上限はいくらですか?
令和8年度は医療分66万円、支援金分26万円、介護分17万円、子ども分3万円です。令和7年度は医療分65万円、支援金分24万円、介護分17万円でした。
奈良市の子ども・子育て支援金分はいくらですか?
所得割0.31%、均等割1,700円、18歳以上均等割200円で、平等割はありません。18歳未満の均等割は10割減額されます。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。