社会保険
広島市の国民健康保険料(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,262万円
結論
広島市の令和8年度の国民健康保険料は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年70万1,927円で、東京23区(65万6,379円)より4.6万円高く、政令指定都市20市+東京23区の中で8番目に高い水準です。前年度と比べると医療分と支援分の所得割は下がり、子ども分を除けば1.3万円安くなりましたが、医療分の上限が66万円から67万円に上がったため、上限に届く高所得層は年3.8万円増えます。その結果、協会けんぽ広島支部で法人化した場合の損益分岐は、令和7年度の料率の1,284万円から1,262万円に下がります。
- 40歳未満の料率は所得割11.09%・均等割42,698円(18歳以上の56円を含む)・平等割41,516円。平等割は収録63市区で5番目に高い
- 医療分は事業所得787万円、全区分は1,074万円で上限に届く。23区より上限に届くのが遅く、859万円を境に23区より安くなる
- 協会けんぽ広島支部の健康保険料率は9.78%で、法人化の損益分岐は1,262万円(東京23区は1,266万円)
このテーマの全体像 国民健康保険料の自治体別比較
広島市は、政令指定都市の中で当サイトに実データがなかった最後の市です。料率表が画像でしか公表されていないためで、今回は市の公式ページの画像を1区分ずつ読み取って計算エンジンに入れました。
結論から言うと、広島市の国保は所得割は中くらい、平等割が高い作りです。所得の低い層では23区より割高ですが、上限に届くのが遅いので、事業所得859万円を超えると23区より安くなります。他の自治体との比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。
令和8年度の料率
| 区分 | 所得割 | 均等割(1人) | 平等割(1世帯) | 限度額 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 8.18% | 31,228円 | 30,403円 | 67万円 |
| 支援分 | 2.64% | 10,342円 | 10,069円 | 26万円 |
| 介護分(40〜64歳) | 2.52% | 10,443円 | 7,860円 | 17万円 |
| 子ども分 | 0.27% | 1,072円+18歳以上56円 | 1,044円 | 3万円 |
※ 広島市 国民健康保険料の計算方法(料率表は画像で公表)。支援分は後期高齢者支援金分、子ども分は子ども・子育て支援金分
40歳未満の3区分を合わせると、所得割11.09%、均等割は大人1人42,698円、平等割は1世帯41,516円です。平等割の4万円台は、当サイトが収録する63市区で大阪市・堺市・札幌市・佐賀市に次ぐ5番目の高さです。
| 広島市 | 岡山市 | 東京23区 | |
|---|---|---|---|
| 所得割の合計 | 11.09% | 11.39% | 10.58% |
| 均等割(大人1人) | 42,698円 | 39,840円 | 67,073円 |
| 平等割(1世帯) | 41,516円 | 28,560円 | なし |
| 単身の固定部分 | 84,214円 | 68,400円 | 67,073円 |
※ 医療分+支援分+子ども分。介護分は除く/令和8年度
単身なら、所得がゼロでも年8万4,214円がかかります。23区より1万7,000円ほど多い固定部分を、低い所得割で取り返していく形です。
単身・事業所得600万円で年70.2万円
旧ただし書所得は600万円−43万円=557万円です。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 平等割 | 小計 |
|---|---|---|---|---|
| 医療分 | 455,626円 | 31,228円 | 30,403円 | 517,257円 |
| 支援分 | 147,048円 | 10,342円 | 10,069円 | 167,459円 |
| 子ども分 | 15,039円 | 1,128円 | 1,044円 | 17,211円 |
| 合計 | 701,927円 |
年70万1,927円で、東京23区(65万6,379円)より4万5,548円高くなります。国民年金(年21万5,040円)を足すと91万6,967円です。40〜64歳なら介護分15万8,667円が加わり、86万594円になります。
政令指定都市20市と東京23区の21か所で並べると、広島市は8番目に高い水準です。大阪市・堺市(80.8万円)、北九州市(74.0万円)、名古屋市(71.8万円)、札幌市・岡山市・仙台市(70.2万〜71.0万円)に続き、川崎市・横浜市より上にきます。
所得が上がると23区との差は縮む
| 事業所得 | 広島市 | 岡山市 | 東京23区 | 東京23区との差 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 25.8万円 | 24.7万円 | 23.3万円 | +2.5万円 |
| 300万円 | 36.9万円 | 36.1万円 | 33.9万円 | +3.0万円 |
| 400万円 | 48.0万円 | 47.5万円 | 44.5万円 | +3.5万円 |
| 500万円 | 59.1万円 | 58.9万円 | 55.1万円 | +4.0万円 |
| 600万円 | 70.2万円 | 70.3万円 | 65.6万円 | +4.6万円 |
| 700万円 | 81.3万円 | 81.7万円 | 76.2万円 | +5.1万円 |
| 800万円 | 91.3万円 | 93.1万円 | 86.8万円 | +4.5万円 |
| 900万円 | 94.2万円 | 95.7万円 | 95.3万円 | −1.1万円 |
| 1,000万円 | 95.8万円 | 96.0万円 | 95.8万円 | +0.0万円 |
※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。所得が低く法定軽減(7割・5割・2割)に当たる世帯は、この表より安くなる
23区との差は事業所得786万円で最大の5.5万円になり、そこから縮んで859万円で逆転します。広島市の医療分の所得割8.18%は23区(7.51%)より高いものの、上限に届く所得が23区より高いためです。
単身・40歳未満で区分ごとに上限に届く所得は次のとおりです。
- 医療分(67万円):事業所得787万円
- 支援分(26万円):951万円
- 全区分の合計(96万円):1,074万円
隣の岡山市とは571万円を境に大小が入れ替わり、それより上では広島市のほうが安くなります。岡山市の内訳は岡山市の国民健康保険料にあります。
西隣の山口市は所得割の合計が12.63%と高く、事業所得167万円より上では広島市より高くなります。600万円で6.7万円の差です(山口市の国民健康保険料)。
北隣の島根県の松江市は所得割の合計10.87%で、事業所得964万円までは広島市より安く、600万円で2.5万円の差です(松江市の国民健康保険料)。
前年度から何が変わったか
令和8年度は子ども分が新設されましたが、広島市は医療分と支援分の所得割を下げ、介護分を上げました。
| 区分 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 医療分の所得割 | 8.30% | 8.18% |
| 支援分の所得割 | 2.78% | 2.64% |
| 介護分の所得割 | 2.34% | 2.52% |
| 医療分の上限 | 66万円 | 67万円 |
※ 広島市 市民と市政 令和7年6月1日号、国民健康保険料の計算方法
同じ所得で2年度を比べると、所得の層によって増え方が変わります。
| 単身・40歳未満 | 令和7年度 | 令和8年度 | 増減 | うち子ども分 |
|---|---|---|---|---|
| 事業所得300万円 | 36.5万円 | 36.9万円 | +0.4万円 | 0.9万円 |
| 600万円 | 69.8万円 | 70.2万円 | +0.4万円 | 1.7万円 |
| 800万円 | 89.1万円 | 91.3万円 | +2.2万円 | 2.3万円 |
| 1,000万円 | 92.0万円 | 95.8万円 | +3.8万円 | 2.8万円 |
※ 計算エンジンに令和7年度の料率を入れた比較(scripts/kokuho-zennendo-hikaku.mjs)。令和7年度に子ども分はない
事業所得600万円では、子ども分の1.7万円が加わっても増加は0.4万円です。子ども分を除けば1.3万円安くなっています。一方、上限に届く1,000万円では、医療分の上限が1万円上がったうえに子ども分の上限3万円が加わるので、3.8万円増えます。
法人化の分岐点は1,262万円
| 条件 | 損益分岐(売上−経費) |
|---|---|
| 東京23区・協会けんぽ東京支部(単身) | 1,266万円 |
| 広島市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身) | 1,266万円 |
| 広島市・協会けんぽ広島支部(単身) | 1,262万円 |
| 広島市・配偶者(無収入)あり | 1,016万円 |
| 広島市・単身・40〜64歳 | 1,239万円 |
| 参考:令和7年度の料率で計算した場合(単身) | 1,284万円 |
※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額/2026年(令和8年)分 基準
分岐点の付近(青色申告特別控除後で1,200万円前後)では、広島市も23区も全区分が上限に張り付いているので、国保の差は分岐点を動かしません。協会けんぽ広島支部の健康保険料率9.78%が東京支部(9.85%)より低いぶん、4万円下がっています。
国保だけを令和7年度の料率に戻して計算すると1,284万円だったので、22万円下がったことになります。法人側の条件は同じで、個人のままでいる場合の国保の上限だけが年4万円(医療分1万円+子ども分3万円)上がったためです。所得の高い個人事業主ほど、令和8年度の改定で法人化の損益分岐に近づいた形です。
家族がいる場合の国保の増え方は、配偶者(無収入)で年4.3万円、小学生の子1人で4.2万円、未就学児1人で2.1万円です(事業所得500万円)。平等割が高いぶん、1人増えたときの増加は23区(配偶者で6.7万円)より小さくなります。
まとめ
- 広島市の令和8年度の国保料は、所得割11.09%・均等割42,698円・平等割41,516円(40歳未満)
- 単身・事業所得600万円で年70万1,927円。東京23区より4.6万円高く、政令指定都市で8番目
- 23区との差は786万円で最大5.5万円。859万円を超えると23区より安い
- 前年度より所得割は下がったが、上限の引き上げで1,000万円の層は年3.8万円増えた
- 法人化の分岐点は1,262万円で、令和7年度の料率より22万円低い
広島市の国保は、所得の低い層ほど23区との差が相対的に大きく、上限付近では差がなくなる作りです。法人化を考える段階の所得では、国保の水準より協会けんぽの支部の料率や家族構成のほうが結論を動かします。判断は自分の売上と経費で確かめてください。
よくある質問
広島市の国民健康保険料の上限はいくらですか?
令和8年度は医療分67万円、支援分26万円、介護分17万円、子ども分3万円で、40〜64歳のいる世帯は合計113万円です。令和7年度は医療分が66万円でした。
広島市の子ども・子育て支援金分はいくらですか?
所得割0.27%、被保険者均等割1,072円、18歳以上被保険者均等割56円、世帯別平等割1,044円、上限3万円です。18歳未満の被保険者均等割は全額軽減されます。
広島市の料率は広島県内の他の市町と同じですか?
同じではありません。広島県は市町ごとに標準保険料率を示し、実際の料率は各市町が決めています。この記事の計算は広島市の料率だけを使っています。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。