役員報酬

従業者4人以下の会社は役員1.35人、3人に1人は女性。個人事業の家族は役員に変わる

結論

令和3年経済センサス‐活動調査では、従業者1〜4人の会社企業84.6万社の1社あたりの従業者は2.34人で、その内訳は有給役員1.35人、常用雇用者0.94人、臨時雇用者0.06人でした。有給役員のうち33.4%が女性です。同じ規模の個人経営139.2万では、個人業主1.00人に無給の家族従業者0.26人・常用雇用者0.53人が加わり、無給の家族従業者の81.0%が女性です。小さな会社の役員の数が1人を超えるのは、個人事業で無給で手伝っていた家族が、会社では報酬を受け取る役員になっている形が多いためと考えられます。

  • 会社企業178.1万社のうち、従業者1〜4人の会社は47.5%。個人経営は86.0%が1〜4人
  • 不動産業の1〜4人の会社は有給役員1.52人で、女性の割合は44.2%。家族で資産を管理する会社が多いとみられる
  • 家族に役員報酬を払うと、所得を分けて税の累進を下げられる一方、報酬額によっては家族も社会保険の被保険者になる

個人事業を法人にすると、家族の立場も変わります。個人事業では、配偶者は無給で手伝うか、青色事業専従者として給与を受け取るかのどちらかでした。会社にすると、配偶者を役員にして役員報酬を払う形が選べるようになります。実際の小さな会社では、家族がどれくらい役員になっているのか。総務省の経済センサス‐活動調査で、従業者の少ない会社と個人経営の内訳を比べます。

従業者1〜4人の会社は、役員1.35人・社員0.94人

経済センサスは、企業の従業者を「個人業主」「無給の家族従業者」「有給役員」「常用雇用者」「臨時雇用者」に分けて数えています。従業者1〜4人と5〜9人の規模について、1社あたりの内訳を計算しました。

経営組織・規模企業等数従業者個人業主無給の家族従業者有給役員常用雇用者臨時雇用者
会社企業・1〜4人846,4572.34人——1.35人0.94人0.06人
会社企業・5〜9人399,1046.58人——1.91人4.45人0.23人
個人経営・1〜4人1,392,2761.84人1.00人0.26人—0.53人0.05人
個人経営・5〜9人168,8486.30人1.01人0.26人—4.60人0.43人

※ 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」企業等に関する集計 第6-1表・第6-2表(全国、2021年6月1日現在)から当サイトが計算。会社企業は株式会社・合同会社など。企業従業者規模は企業全体の従業者数

従業者1〜4人の会社は84.6万社で、会社企業全体(178.1万社)の47.5%を占めます。1社あたりの従業者は2.34人で、そのうち有給役員が1.35人、常用雇用者が0.94人です。役員が社員より多いのが、小さな会社の平均的な姿です。

個人経営の1〜4人は139.2万で、個人経営全体の86.0%です。1社あたりの従業者は1.84人で、個人業主の本人1人に、無給の家族従業者0.26人と常用雇用者0.53人が加わります。

役員の3人に1人は女性。家族が役員になっている

1〜4人の会社の有給役員のうち、女性は**33.4%**でした。個人経営の無給の家族従業者は81.0%が女性です。

個人事業では、事業主の配偶者が無給で手伝う形が多く、その多くが女性です。会社では同じ配偶者が役員として報酬を受け取る形に変わり、有給役員の数を1人より多く押し上げていると考えられます。統計からは役員と社長の家族関係までは分かりませんが、1社あたり1.35人という役員の数と女性の割合は、この見方と整合します。

産業別に見ると、役員の数と女性の割合にはばらつきがあります。

産業1〜4人の会社の数有給役員(1社あたり)うち女性の割合常用雇用者(1社あたり)個人経営1〜4人の無給の家族従業者(1社あたり)
不動産業,物品賃貸業179,2931.52人44.2%0.59人0.28人
建設業137,7781.41人26.4%1.10人0.23人
製造業77,0941.39人27.9%1.12人0.33人
卸売業,小売業202,4431.31人32.4%1.03人0.37人
学術研究,専門・技術サービス業68,3681.24人28.8%0.78人0.13人
生活関連サービス業,娯楽業28,3611.16人39.1%1.15人0.18人
情報通信業27,2651.14人23.5%0.79人0.17人
医療,福祉12,0351.07人40.9%1.23人0.16人

※ 出典は上の表と同じ。産業は企業産業大分類。一部の産業を省略

不動産業は1社あたり1.52人と役員が最も多く、女性の割合も44.2%と高くなっています。賃貸物件を持つ資産管理型の会社では、夫婦や親子が役員になって家賃収入を分ける形が多いためと考えられます。情報通信業は1.14人・23.5%で、一人社長に近い会社が多い業種です。

家族が役員になると、税と社会保険の両方が動く

個人事業の家族の働き方と、法人化した後の家族の働き方を整理すると、次のようになります。

個人事業会社
家族の立場無給の家族従業者、または青色事業専従者役員、または従業員
家族に払うお金専従者給与(届け出た範囲で経費)役員報酬(定期同額などの要件で損金)
家族の社会保険国民健康保険・国民年金(扶養の仕組みなし)報酬を受ける役員は原則として健康保険・厚生年金に加入。報酬がなければ社長の被扶養者になれることがある

個人事業では、配偶者に専従者給与を払っても、配偶者は国民健康保険と国民年金に自分で入ります。会社では、配偶者に役員報酬を払わなければ社長の健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者になれる場合があり、報酬を払えば配偶者自身が健康保険・厚生年金の被保険者になります。

役員報酬を夫婦に分けると、所得税の累進が下がって手取りが増える場合があります。一方で、配偶者の社会保険料(本人と会社の負担)が加わります。どちらが有利かは事業所得と報酬の分け方で変わり、夫婦で役員報酬を分けた場合の総当たりで計算しています。配偶者を役員にするか従業員にするかの違いは配偶者は役員か従業員かで整理しています。

平均の1.35人に合わせる必要はない

統計の平均は、家族を役員にしている会社が多いことを示しているだけで、それが有利だという意味ではありません。配偶者に収入がなく、報酬を払わずに被扶養者にしておくほうが手取りが多くなる所得帯もあります。

判定ツールは社長1人が役員報酬を受け取る前提で、配偶者を被扶養者として計算します。家族に報酬を分ける場合は、その分の社会保険料を加えて考えてください。役員報酬の決め方全体は役員報酬の最適額に、計算の前提は計算方法にまとめています。

まとめ

  • 令和3年経済センサスで、従業者1〜4人の会社企業は84.6万社(会社企業の47.5%)。1社あたり有給役員1.35人・常用雇用者0.94人
  • 1〜4人の会社の有給役員の33.4%は女性。個人経営の無給の家族従業者(1社あたり0.26人)は81.0%が女性
  • 不動産業は役員1.52人・女性44.2%と、家族で役員を分ける会社が多いとみられる
  • 家族が役員になると、役員報酬で所得を分けられる一方、報酬を受ける家族は社会保険の被保険者になる
  • 家族に報酬を払うかどうかは、事業所得と報酬の分け方で手取りを比べて決める

よくある質問

経済センサスの「有給役員」には、報酬のない役員も入りますか。

入りません。用語の解説では、有給役員は法人・団体の役員(常勤・非常勤を問わない)で役員報酬を受けている人です。報酬を受けていない名目だけの役員は従業者に数えられません。

個人事業で給与を払っている家族(青色事業専従者)は、どこに入りますか。

用語の解説では、家族であっても実際に雇用者並みの賃金・給与を受けて働いている人は、常用雇用者または臨時雇用者に含まれます。無給の家族従業者は、賃金・給与を受けずに手伝っている家族だけです。

家族を役員にすると、必ず社会保険に入りますか。

法人から労務の対償として報酬を受けている役員は、原則として健康保険・厚生年金の被保険者になります。報酬を払わない非常勤の役員などは被保険者にならないことがあり、実態で判断されます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。