社会保険
副業で会社役員をする人は26.1万人。個人事業主で副業が役員は3.7万人
結論
令和4年就業構造基本調査では、副業がある人は332.1万人で、副業が自営業主なのは86.1万人、副業が会社などの役員なのは26.1万人でした。本業が自営業主で副業が会社の役員という、個人事業と法人を併用する形の人は3.7万人、正規の会社員で副業の会社の役員をしている人は5.3万人です。本業も副業も会社の役員という人は13.7万人いました。
- 正規の会社員で副業がある94.1万人のうち、副業が個人事業(自営業主)なのは28.4万人(30.2%)
- 本業が会社の役員で副業がある32.8万人の41.9%は、副業も会社の役員。2社以上で報酬を受ける社長は、社会保険で報酬を合算する
- 副業の会社などの役員は表に区分がないため、副業の雇用者から正規・非正規を引いて計算した
このテーマの全体像 一人社長の社会保険料はいくらか
法人化の話題には、「会社員のまま副業を法人にする」「個人事業はそのままに、小さな会社を別に作って役員報酬を受け取る(マイクロ法人)」といった形もよく出てきます。実際にどのくらいの人が、こうした働き方をしているのか。総務省の就業構造基本調査は、副業がある人について本業と副業の両方の従業上の地位を聞いており、副業で会社の役員をしている人の数まで出せます。
副業がある人332.1万人、副業が会社の役員は26.1万人
令和4年就業構造基本調査の表05401は、副業がある人を本業の地位と副業の地位で分けています。副業の地位には「会社などの役員」の区分がないので、用語の定義(雇用者=会社などの役員+正規の職員・従業員+非正規の職員・従業員)を使い、副業の雇用者から正規と非正規を引いて計算しました。
| 本業 | 副業がある人 | 副業が自営業主 | 副業が会社などの役員 | 副業が正規の職員・従業員 | 副業が非正規の職員・従業員 | 副業が家族従業者 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 総数 | 332.1万人 | 86.1万人(25.9%) | 26.1万人(7.9%) | 25.7万人 | 142.7万人 | 22.1万人 |
| 自営業主 | 44.9万人 | 17.1万人(38.0%) | 3.7万人(8.3%) | 1.9万人 | 16.7万人 | 1.9万人 |
| うち起業者(自営業主) | 31.7万人 | 12.3万人(38.8%) | 2.9万人(9.1%) | 1.2万人 | 11.9万人 | 1.3万人 |
| 会社などの役員 | 32.8万人 | 9.0万人(27.6%) | 13.7万人(41.9%) | 1.3万人 | 5.7万人 | 1.0万人 |
| うち起業者(会社などの役員) | 13.9万人 | 3.7万人(26.9%) | 6.0万人(43.0%) | 0.7万人 | 2.2万人 | 0.4万人 |
| 正規の職員・従業員 | 94.1万人 | 28.4万人(30.2%) | 5.3万人(5.6%) | 11.9万人 | 34.1万人 | 6.5万人 |
| 非正規の職員・従業員 | 153.2万人 | 30.5万人(19.9%) | 3.1万人(2.0%) | 10.2万人 | 84.4万人 | 10.6万人 |
※ 総務省「令和4年就業構造基本調査」表05401(e-Stat)から当サイトが計算。副業の会社などの役員=副業の雇用者−正規−非正規。起業者は自営業主・会社などの役員のうち今の事業を自ら起こした者
副業で会社の役員をしている人は全体で26.1万人、副業がある人の7.9%でした。副業の4分の1(86.1万人)は個人事業(自営業主)です。
個人事業+会社の役員は3.7万人
本業が自営業主で、副業が会社の役員という人は3.7万人でした。自分で事業を起こした自営業主に限っても2.9万人います。個人事業を続けたまま、別に作った会社から少額の役員報酬を受け取る「マイクロ法人」は、この中に含まれます。
逆向きの組み合わせ、つまり本業が会社の役員で副業が個人事業(自営業主)という人は9.0万人でした。法人成りした後も一部の事業を個人に残している人や、役員報酬のほうが多いマイクロ法人の使い方がここに入ります。どちらの組み合わせに入るかは、就業時間の長い方または収入の多い方を本業とする調査の決め方によります。
マイクロ法人で社会保険料がどれだけ下がるか、そしてそれが成り立たない条件はマイクロ法人は意味ないのかで計算しています。数字で見ると、3.7万人と9.0万人を合わせても約13万人で、自営業主510.8万人の規模からすれば少数派です。
会社員で副業を会社にしている人は5.3万人
正規の会社員で副業がある94.1万人のうち、副業が個人事業なのは28.4万人(30.2%)、副業が会社の役員なのは5.3万人(5.6%)でした。副業の大半は個人事業のままで、会社にしている人は5〜6人に1人の割合です。
会社員が副業の会社から役員報酬を受け取ると、勤め先と自分の会社の両方で健康保険・厚生年金の被保険者になる場合があります。そのときは2社の報酬を合算して標準報酬月額を決め、保険料を報酬の比で按分します。本人が二以上事業所勤務届を出す必要があり、副業の会社の報酬が小さくても、合算で等級が上がって勤め先の天引きも増えることがあります。仕組みと金額は副業で法人化すると社会保険は合算で扱っています。
本業も副業も役員という人は13.7万人
本業が会社の役員で副業がある32.8万人のうち、41.9%にあたる13.7万人は副業も会社の役員でした。自分で起こした会社の役員に限ると43.0%です。グループ会社の役員を兼ねる人のほか、事業ごとに会社を分けている小さな会社の社長もここに入ります。
2社以上から役員報酬を受け取る場合も、両方で被保険者になれば社会保険は報酬を合算します。会社を2つに分けると、法人住民税の均等割や税理士報酬などの固定費も2倍になります。法人税の軽減税率を2社で使うと何がどこまで変わるかは法人を2社に分けると軽減税率は2つ使えるかで計算しています。
副業の段階で法人化を考える前に
副業の所得が小さいうちは、会社を作ると固定費(均等割年7万円、税理士報酬、社会保険の事務)のほうが重くなりがちです。副業で会社を持つ人が少数なのは、この費用の構造からすると自然な結果です。本業・副業を含めた法人化の損益分岐の考え方は法人化の目安は所得いくらかにまとめています。一人社長の社会保険料が報酬額でどう変わるかは一人社長の社会保険料を参照してください。
まとめ
- 副業がある332.1万人のうち、副業が自営業主は86.1万人、副業が会社などの役員は26.1万人(令和4年就業構造基本調査)
- 本業が自営業主で副業が会社の役員(マイクロ法人を含む形)は3.7万人、逆向きの組み合わせは9.0万人
- 正規の会社員で副業がある94.1万人のうち、副業が個人事業は30.2%、会社の役員は5.6%(5.3万人)
- 本業が会社の役員の人の41.9%は、副業も会社の役員。2社以上で被保険者になると社会保険は報酬を合算する
- 副業の会社などの役員は表に区分がなく、副業の雇用者から正規・非正規を引いて計算した
副業や個人事業と法人を組み合わせる前に、まず本業の事業そのものを法人化した場合の損得を、自分の売上と経費で判定ツールにかけて確かめてください。
よくある質問
就業構造基本調査の「副業」は、どう定義されていますか。
用語の解説では、副業は主な仕事以外に就いている仕事です。主な仕事(本業)は、2つ以上の仕事をしている場合に就業時間の長い方または収入の多い方とし、それで決められなければ回答者が主と考えている仕事としています。
副業で会社の役員をすると、社会保険はどうなりますか。
両方の会社で健康保険・厚生年金の被保険者になる場合は、2つの会社の報酬を合算して標準報酬月額を決め、保険料を報酬の比で按分します。本人が「二以上事業所勤務届」を年金事務所に出します。
個人事業と法人を併用する「マイクロ法人」は、この統計でどこに入りますか。
本業を個人事業、副業を自分の会社の役員とする人は「本業が自営業主・副業が雇用者(役員)」に入り、令和4年は3.7万人でした。会社の役員報酬のほうが多い人は逆に「本業が役員・副業が自営業主」に入り、9.0万人です。どちらに入るかは、就業時間の長い方または収入の多い方を本業とする調査の決め方によります。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。