税金の基礎
外形標準課税は一人会社に関係ある?資本金1億円の線と2026年の見直し
結論
資本金1億円以下の一人会社は、外形標準課税の対象ではありません。法人事業税は所得割だけで、赤字なら0円です。2025年4月以後に始まる事業年度からは「前事業年度が外形対象で、資本金1億円以下に減資したが払込資本が10億円超」の法人が、2026年4月以後は「払込資本50億円超の法人の100%子法人で、払込資本2億円超」の法人が対象に加わりましたが、どちらも一人会社には通常当てはまりません。
- 外形標準課税の対象になると、所得割に加えて付加価値割・資本割がかかり、赤字でも事業税が生じる
- 東京23区の資本金1億円以下の法人で、所得800万円なら法人事業税32万8,100円、赤字なら0円(当サイト試算)
- 資本金1億円の線は外形標準課税のほか、法人税の軽減税率、東京都の法人税割の税率、役員変更登記の登録免許税にも効く
「外形標準課税」は、赤字でも事業税がかかる仕組みとして知られています。法人化を考える人の中には、法人にすると赤字の年にも事業税がかかるのではと心配する人もいます。
結論から言うと、資本金1億円以下の一人会社は対象外です。2025年度・2026年度の見直しも、一人会社には通常関係しません。
外形標準課税の対象は、原則として資本金1億円超
法人事業税には、所得に応じてかかる所得割と、所得以外の規模を基準にする付加価値割・資本割があります。後の2つを合わせて外形標準課税と呼びます。
東京都主税局によると、改正前からの外形標準課税の対象は、事業年度末日において資本金1億円超の法人です。資本金1億円以下の法人は所得割だけで、所得がなければ事業税はかかりません。
| 資本金(事業年度末日) | 法人事業税 | 赤字の年の事業税 |
|---|---|---|
| 1億円以下 | 所得割のみ | 0円 |
| 1億円超 | 所得割+付加価値割+資本割 | 付加価値割・資本割はかかる |
2025年・2026年に加わった対象は、大法人の減資と100%子法人
令和6年度税制改正で、対象法人に次の2つが加わりました。
| 時期 | 新たに対象になる法人の要件(すべて満たすもの) |
|---|---|
| 2025年4月1日以後に開始する事業年度 | ①前事業年度が外形標準課税の対象 ②事業年度末日の資本金が1億円以下 ③払込資本(資本金+資本剰余金)が10億円超 |
| 2026年4月1日以後に開始する事業年度 | ①資本金1億円以下 ②払込資本50億円超の法人などに100%保有されている ③払込資本が2億円超 |
1つ目は、資本金を1億円に減らして外形標準課税を外れる動きへの対応、2つ目は大企業グループの子会社への対応です。どちらも、もともと規模の大きい法人やその子会社が対象で、個人事業から法人成りした一人会社が当てはまることは通常ありません。
一人会社の法人事業税は所得割だけ
資本金1億円以下の法人の法人事業税(所得割)は、東京都では所得を年400万円以下・400万円超800万円以下・800万円超に区分して累進で税率をかけます。当サイトの計算エンジンで、東京23区の法人の税額を出しました。
| 法人の税引前利益 | 法人事業税 | 特別法人事業税 | 法人税・住民税なども含む合計 |
|---|---|---|---|
| 赤字(−100万円) | 0円 | 0円 | 7万円(均等割のみ) |
| 300万円 | 10万100円 | 3万7,000円 | 71万500円 |
| 800万円 | 32万8,100円 | 12万1,300円 | 184万7,600円 |
| 1,500万円 | 76万8,200円 | 28万4,200円 | 414万8,200円 |
※ 当サイトの計算エンジンによる試算(令和8年分の税率データ、東京23区、資本金1億円以下)。事業税は翌事業年度の損金になる点を当期の損金とみなす近似を含む
赤字の年にかかるのは、法人住民税の均等割7万円だけです。赤字でも固定でかかる税は法人住民税の均等割は赤字でもかかるで説明しています。
資本金1億円の線で変わるもの
一人会社にとって、資本金1億円は外形標準課税以外にもいくつかの境目になっています。
| 項目 | 資本金1億円以下 | 資本金1億円超 |
|---|---|---|
| 外形標準課税 | 対象外 | 対象 |
| 法人税の軽減税率(年800万円以下の部分) | 15% | なし(23.2%) |
| 東京都の法人税割(法人税額年1,000万円以下) | 7.0%(不均一課税) | 10.4% |
| 取締役などの変更登記の登録免許税 | 1件1万円 | 1件3万円 |
法人化のときの資本金は数百万円程度が一般的で、1億円に近づくことはまずありません。資本金の額で現実に効いてくるのは、1,000万円の線です。資本金1,000万円以上だと設立1期目から消費税の課税事業者になり、法人住民税の均等割も上がります。資本金1,000万円の壁で整理しました。
当サイトの判定ツールは、資本金1億円以下の中小法人を前提に計算しています。法人の税額を含めた個人との比較は、ツールに売上と経費を入れて確かめてください。
まとめ
- 外形標準課税の対象は、原則として事業年度末日に資本金1億円超の法人。資本金1億円以下の一人会社は所得割だけで、赤字なら事業税は0円
- 2025年4月以後は減資した大法人(払込資本10億円超)、2026年4月以後は大企業の100%子法人(払込資本2億円超)が対象に加わったが、一人会社には通常当てはまらない
- 東京23区の資本金1億円以下の法人で、所得800万円なら法人事業税は32万8,100円
- 資本金1億円の線は、法人税の軽減税率、東京都の法人税割、役員変更登記の登録免許税にも効く
- 一人会社が実際に意識するのは資本金1,000万円の線
よくある質問
資本金1億円ちょうどの会社は外形標準課税の対象ですか?
原則の対象は「事業年度末日において資本金1億円超」の法人なので、1億円ちょうどは対象外です。ただし前事業年度に外形対象で、払込資本(資本金と資本剰余金の合計)が10億円超なら、減資への対応の規定で対象になります。
合同会社にも外形標準課税はありますか?
合同会社も出資金の額で判定します。出資金が1億円以下なら対象外です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。