税金の基礎

学童保育の利用料減免は法人化で区分が変わる。市民税所得割で決まる帯

結論

芦屋市の放課後児童クラブの育成料(月8,000円)は、保護者の前年度の市民税所得割額の合計が6万円以下なら50%、12万円以下なら25%減額されます。配偶者と小学生2人の世帯で、事業所得500万〜700万円の個人事業主が法人化して最適な役員報酬を取ると、所得割が下がって減額の区分が1段上がり、児童1人あたり育成料が年2万4,000円下がります。法人化そのものの損得に比べると小さい額です。

  • 芦屋市は、判定に使う所得割から年少扶養(16歳未満)1人につき33万円×6%を差し引く。小学生2人なら3万9,600円を引いて判定する
  • 事業所得600万円の個人事業主は所得割20万3,800円で減額なし。法人化して役員報酬月42万円なら12万6,100円になり、判定額8万6,500円で25%減額
  • 神戸市は前年分の所得税が非課税の世帯を半額にしている。市によって物差しが所得割か所得税かで違う

保育園を卒業した子が小学校に上がると、学童保育(放課後児童クラブ)の利用料がかかります。多くの市は、所得の低い世帯に利用料の減額を用意していて、その判定に市民税の所得割額を使います。

0〜2歳の保育料と同じ物差しなので、法人化で所得割が動くと、学童保育の利用料の区分も動きます。保育料の側の計算は保育料は法人化で年36万円下がるで扱いました。この記事は小学生の側です。

芦屋市の減額は、所得割6万円・12万円で段がある

芦屋市の放課後児童クラブの育成料は、児童1人あたり月8,000円です。減額・免除の基準は次のとおりです。

区分対象減額
1生活保護世帯、所得割非課税のひとり親世帯全額
2保護者の前年度の市民税所得割額が非課税75%
3保護者の前年度の市民税所得割額の合計が6万円以下50%
4保護者の前年度の市民税所得割額の合計が12万円以下25%
5同じ世帯から2人以上入級している場合の2人目から50%

判定に使う所得割は、課税証明書の市民税所得割額そのままではありません。芦屋市は次の式で計算し直します。

判定額 = 市民税所得割額 −(年少扶養の人数×33万円+特定扶養上乗せの人数×12万円)×6%

平成22年度の税制改正で16歳未満の扶養控除がなくなった影響を、利用料の判定では戻す計算です。小学生が2人いれば、所得割から3万9,600円を引いて判定します。

事業所得別に、個人のままと法人化後を比べる

配偶者(収入なし)と小学生2人の世帯で、個人事業のままの所得割と、法人化して手取りが最大になる役員報酬を取った場合の所得割を並べました。

事業所得(青色控除前)個人:市民税所得割判定額減額法人化:役員報酬法人化:市民税所得割判定額減額育成料の差(年・児童1人)
300万円42,000円2,400円50%月20万円26,700円0円50%0円
400万円95,400円55,800円50%月28万円58,800円19,200円50%0円
500万円150,400円110,800円25%月36万円95,200円55,600円50%24,000円
600万円203,800円164,200円なし月42万円126,100円86,500円25%24,000円
700万円257,300円217,700円なし月48万円154,500円114,900円25%24,000円
800万円311,400円271,800円なし月54万円182,800円143,200円なし0円

※ 経費200万円・40歳未満・配偶者あり(収入なし)・小学生2人・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。国保は全国平均の料率で計算(芦屋市の料率は計算エンジンにない) ※ 市民税所得割は住民税の課税所得×6%から調整控除の市民税分を引いた額(税額控除前)。判定額は芦屋市の式で年少扶養2人分を差し引いた額 ※ 育成料の差は月8,000円×12か月×減額率の差。2人目の児童の50%減額は含めない ※ 計算は当サイトの計算エンジン(scripts/gakudo-genmen-houjinka.mjs)による

事業所得500万〜700万円の帯で、法人化すると減額の区分が1段上がり、児童1人あたり育成料が年2万4,000円下がります。所得割が下がるのは、役員報酬を事業の利益より低く抑え、残りを会社に残す形になるためです。社長個人の給与所得には給与所得控除も効きます。

法人化そのものの損得のほうが大きい

ただしこの帯は、法人化そのものが不利になりやすい所得帯です。当サイトの基本条件では、配偶者ありの損益分岐となる事業所得は1,016万円です。事業所得600万円の世帯が法人化すると、学童保育で年2万4,000円得をしても、税と社会保険料の差で手取りは大きく減ります。会社に残した利益を個人で使うには、役員報酬や退職金として受け取る段階で税がかかるからです。

学童保育の減額は、法人化を決める理由になる額ではありません。法人化を決めた後に、役員報酬の額を選ぶときの判断材料の1つです。報酬額ごとの手取りの最大点は役員報酬はいくらが最適かで一覧にしています。

市によって物差しが違う

学童保育の利用料と減免は、市ごとに決まっています。神戸市の市立放課後児童クラブは、前年分の所得税が非課税の世帯を半額にしています。所得割ではなく所得税で判定するので、個人の事業所得と役員報酬の給与所得で、非課税になる線の位置が芦屋市とは変わります。

所得の基準で決まる子育て関係の制度は、ほかにも法人化で判定の物差しが入れ替わります。小中学生の学用品などを支援する就学援助については就学援助の所得基準は、法人化で事業所得から役員報酬の給与所得へで扱いました。お住まいの市の基準を確かめたうえで、法人化の損得は判定ツールで自分の売上と経費から確かめてください。

まとめ

  • 芦屋市の学童保育の育成料(月8,000円)は、保護者の前年度の市民税所得割額の合計で、非課税75%・6万円以下50%・12万円以下25%減額
  • 判定額は所得割から年少扶養1人につき33万円×6%を差し引いて計算する。小学生2人なら3万9,600円
  • 配偶者と小学生2人の世帯で、事業所得500万〜700万円なら法人化で減額の区分が1段上がり、児童1人あたり年2万4,000円下がる
  • その帯は法人化そのものが不利になりやすい。学童保育の減額は役員報酬を決めるときの材料の1つ
  • 神戸市は所得税非課税世帯を半額にするなど、市によって物差しが違う。お住まいの市の基準を確かめる

よくある質問

判定に使うのは今年の所得ですか、前年の所得ですか。

芦屋市は前年度の市民税所得割額で判定します。令和8年度の判定には、令和7年中の所得をもとにした令和7年度の所得割額を使います。法人化した年の効果が判定に表れるのは、翌年度以降です。

夫婦とも所得割がある場合はどうなりますか。

芦屋市は保護者の所得割額を合計して判定します。配偶者が会社員で所得割がある世帯では、その額も足すので、法人化で社長の所得割が下がっても区分が変わらないことがあります。

減額は自動で適用されますか。

芦屋市は年度ごとに申請が必要で、申請後に納期限が来る育成料だけが対象です。遡っての適用はできないので、区分が変わる見込みの年は年度の初めに申請します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。