法人化の判断

白色申告の事業所得者は約3割。所得800万円超でも1万人以上が白色のまま

結論

国税庁の申告所得税標本調査(令和6年分)では、所得税を納めた事業所得者117.4万人のうち白色申告は33.7万人で28.7%です。合計所得200万円以下では48.8%ですが、所得が上がるほど減り、800万〜1,000万円で12.2%、1,500万円超で5.4%になります。それでも合計所得800万〜1,200万円に白色申告の人が約1.1万人います。

  • 当サイトの計算では、法人化の損益分岐点(売上−経費)は白色申告なら793万円、青色申告65万円なら1,266万円
  • 白色で合計所得800万〜1,200万円の人は、白色のままだと法人化が有利と出るが、青色申告65万円にすると個人のままのほうが有利になる帯にいる
  • 対象は申告納税額がある人だけ。令和6年分は定額減税の年で、所得の低い層ほど統計から抜けている

法人化するかどうかを考える前に、確認しておきたいことがあります。いま青色申告をしているかです。白色申告のまま法人化と比べると、個人のままの手取りを低く見積もってしまい、本来は必要のない法人化を「有利」と判断しがちになります。

では、白色申告の個人事業主は実際どれくらいいるのか。国税庁の申告所得税標本調査(令和6年分)の第6表から、所得税を納めた事業所得者を青色・白色に分けて数えました。

白色申告は28.7%、所得が上がるほど減る

合計所得青色申告白色申告白色の割合
200万円以下85,054人81,115人48.8%
200万円超300万円以下140,231人91,769人39.6%
300万円超400万円以下133,300人66,637人33.3%
400万円超500万円以下107,698人38,442人26.3%
500万円超700万円以下141,560人33,863人19.3%
700万円超800万円以下43,434人7,335人14.4%
800万円超1,000万円以下54,808人7,598人12.2%
1,000万円超1,200万円以下30,565人3,487人10.2%
1,200万円超1,500万円以下27,746人2,648人8.7%
1,500万円超72,646人4,129人5.4%
合計837,042人337,023人28.7%

※ 国税庁「令和6年分 申告所得税標本調査」第6表(専従者表)の事業所得者を当サイトで再集計(scripts/aoiro-hakushoku-wariai.mjs)。申告納税額がある人の推計値。「白色申告」は表の「青色申告者以外の者」。合計所得は青色申告特別控除の後

所得税を納めた事業所得者117.4万人のうち、**白色申告は33.7万人(28.7%)**でした。合計所得200万円以下ではほぼ半数(48.8%)が白色ですが、所得が上がるほど青色申告の割合が高くなり、1,500万円超では白色は5.4%です。

所得が低い層で白色が多いのは、青色申告特別控除の恩恵が所得の低いうちは小さく、記帳の手間に見合わないと考える人が多いためと考えられます。逆に所得が高いほど、65万円の控除で減る税金が大きくなります。

白色のまま法人化を比べると、結論が入れ替わる帯がある

当サイトの計算では、法人化の損益分岐点(売上−経費)は申告方法で大きく変わります(経費200万円・東京23区・40歳未満・単身・インボイス登録あり)。

申告方法法人化の損益分岐点(売上−経費)
白色申告793万円
青色申告(65万円控除・e-Tax)1,266万円

※ 当サイトの計算エンジン(findBreakEvenIncome)で算出。詳しい比較は青色申告65万円控除で法人化の分岐点は473万円変わる

白色申告の人の合計所得は、青色申告特別控除がないので売上−経費とほぼ同じです。つまり白色申告で合計所得が800万〜1,200万円前後の人は、白色のままシミュレーターにかけると「法人化が有利」と出ますが、青色申告65万円に切り替えると「個人のままが有利」に変わる帯にいます。

表の該当する階級を足すと、合計所得800万円超1,200万円以下の白色申告者は約1.1万人(7,598人+3,487人)です。この人たちにとっては、法人化より先に青色申告への切り替えを検討する価値があります。法人化の前に試したい手段の順番は個人事業主の節税は順番があるで整理しています。

青色申告の控除は、令和9年分から75万円に

青色申告特別控除は、複式簿記での記帳やe-Taxでの申告などの要件を満たせば、令和8年分までは65万円です。令和9年分からは75万円に引き上げられ、同時に紙で申告した場合の控除は下がります。改正の中身は青色申告特別控除は令和9年分から75万円で扱っています。

控除が大きくなるほど、個人のままの手取りは増え、法人化の分岐点は後ろにずれます。白色と青色の差はこれからさらに開くことになります。

統計を読むときの注意

  • 申告納税額がある人だけの推計値。還付申告や納税額0円の人は含まれない
  • 令和6年分は定額減税が適用された年。納税額が0円になって統計から外れた人がいるとみられ、所得の低い層ほど人数が少なく出ている可能性がある
  • 青色申告者の中の内訳(65万円・55万円・10万円)は分からない
  • 事業所得者は、事業所得が他の所得の合計より大きい人。副業で事業所得がある会社員は多くが給与所得者に入る

白色申告の人は、まず青色申告にした場合の手取りで比べてください。シミュレーターでは申告方法を切り替えて、自分の売上と経費で法人化の差額を確かめられます。

まとめ

  • 所得税を納めた事業所得者117.4万人のうち、白色申告は33.7万人(28.7%)(令和6年分 申告所得税標本調査)
  • 白色の割合は合計所得200万円以下で48.8%、800万〜1,000万円で12.2%、1,500万円超で5.4%と、所得が上がるほど下がる
  • 法人化の損益分岐点は白色なら793万円、青色65万円なら1,266万円
  • 合計所得800万〜1,200万円の白色申告者(約1.1万人)は、青色にすると法人化の結論が入れ替わる帯にいる
  • 令和9年分から青色申告特別控除は75万円になり、白色との差はさらに開く

よくある質問

白色申告から青色申告に変えるにはどうすればいいですか

青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに開業した場合は開業日から2か月以内)に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。65万円(令和9年分からは75万円)の控除を受けるには、複式簿記で記帳し、e-Taxで申告するなどの要件があります。

青色申告者の中で、65万円控除を受けている人の割合も分かりますか

この表は青色申告者かどうかで分けているだけで、65万円・55万円・10万円のどの控除を受けているかは区別していません。

納税額がない人は含まれていないのですか

申告所得税標本調査は、申告納税額がある人を対象にした調査です。還付申告や納税額0円の人は含まれていないため、所得の低い層の白色申告の割合は実際より低く出ている可能性があります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。