法人化の判断

確定申告した事業所得者は386万人。所得税を納めたのは4割の154万人

結論

国税庁によると、令和7年分に確定申告した事業所得者は386.1万人で、所得税を納めたのは154.2万人(39.9%)、還付を受けたのが94.5万人、納税額0円が137.5万人でした。所得税を納めた人の平均所得は588.4万円、平均納税額は60.3万円で、この平均所得での法人化は年34.0万円の不利という計算になります。

  • 所得税を納めた事業所得者は前年比+30.6%で、納税額0円の人は−16.4%。令和6年分は定額減税が適用された年だった
  • 所得税を納めた人の平均所得は令和6年分631.9万円(逆算)から588.4万円へ下がった。納税者に加わったのは所得の低めの層と読める
  • 還付を受けた94.5万人の平均所得は253.1万円、平均還付額は33.3万円。報酬から源泉徴収される人が多い層

個人事業主は、全国で何人が確定申告をして、そのうち何人が実際に所得税を納めているのか。国税庁は毎年、確定申告の状況を報道発表しています。令和7年分(令和8年3月までに提出された申告)の資料から、主な所得が事業所得の人(事業所得者)の行を整理しました。

申告した386万人のうち、所得税を納めたのは4割

事業所得者(令和7年分)人数割合前年比
所得税を納めた人(申告納税額あり)154.2万人39.9%+30.6%
還付を受けた人94.5万人24.5%−1.9%
納税額0円の人137.5万人35.6%−16.4%
合計(確定申告した事業所得者)386.1万人100.0%+1.9%

※ 国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」(表3-1)の事業所得者の行を当サイトで整理(scripts/jigyo-shotokusha-shinkoku.mjs)

確定申告した事業所得者386.1万人のうち、**所得税を納めたのは154.2万人(39.9%)**でした。残りは、源泉徴収された税金が戻る還付申告(94.5万人)か、納める税金が0円の申告(137.5万人)です。

所得税を納めた人は前年から30.6%増えた一方、納税額0円の人は16.4%減りました。申告した人の総数は1.9%しか増えていないので、0円だった人の一部が納税する側に移ったことになります。令和6年分は、令和6年度税制改正による定額減税が適用された年でした(国税庁)。定額減税で税額が0円になっていた人が、令和7年分では納税に戻った動きと重なっています。

納めた人の平均所得は588万円、平均の納税額は60万円

1人あたりの金額を計算しました。令和6年分は、資料の増減率から逆算した概数です。

1人あたり令和7年分令和6年分(逆算)
所得税を納めた人の所得金額588.4万円631.9万円
所得税を納めた人の申告納税額60.3万円63.3万円
還付を受けた人の所得金額253.1万円—
還付を受けた人の還付税額33.3万円—

※ 所得金額・税額の合計を人数で割った当サイトの計算。所得金額は青色申告特別控除などを引いた後の合計所得

所得税を納めた人の平均所得は588.4万円で、令和6年分の631.9万円(逆算)から下がりました。納税者が30.6%増えたのに平均所得が下がったのは、新たに納税者に加わったのが所得の低めの層だったためと読めます。定額減税がなくなった影響と合わせると、筋の通る動きです。

還付を受けた94.5万人は、平均所得253.1万円・平均還付額33.3万円でした。報酬から10.21%を源泉徴収されるデザイン・原稿・士業などの個人事業主は、所得が低いほど確定申告で還付になりやすくなります。請求書の書き方で源泉徴収の額が変わる点は報酬の源泉徴収は税込か税抜かで扱っています。

平均的な事業所得者では、法人化は年34万円不利

所得税を納めた事業所得者の平均所得588.4万円に青色申告特別控除65万円を足し、売上−経費が653.4万円の個人事業主として判定ツールにかけると、法人化の実質差額は年−34.0万円でした(経費200万円・東京23区・40歳未満・単身・インボイス登録あり・3年目以降の定常状態)。

当サイトの計算では、この条件で法人化が有利になるのは事業所得(売上−経費)1,266万円前後からです。平均的な納税者はその半分程度の所得なので、多くの個人事業主にとって法人化はまだ先の話だということが、統計からも読み取れます。

平均はあくまで平均です。自分の売上と経費でシミュレーターを動かして、法人化の差額を確かめてください。

統計を読むときの注意

  • 事業所得者は「主な所得が事業所得」の人。給与と副業の事業所得がある人は、給与が主なら給与所得者に数えられる
  • 所得金額は売上ではない。経費と青色申告特別控除などを引いた後の合計所得
  • 所得階級別の分布は載っていない。「所得1,000万円超の事業所得者は何人か」はこの資料からは分からない
  • 令和6年分の1人あたりの値は逆算。資料の増減率(小数第1位まで)から逆算しているので概数

まとめ

  • 令和7年分に確定申告した事業所得者は386.1万人で、所得税を納めたのは154.2万人(39.9%)
  • 納税した人は前年比+30.6%、納税額0円の人は−16.4%。令和6年分は定額減税が適用された年だった
  • 納税した人の平均所得は588.4万円(令和6年分は逆算で631.9万円)、平均納税額は60.3万円
  • 還付を受けた94.5万人の平均所得は253.1万円、平均還付額は33.3万円
  • 平均所得での法人化の実質差額は年−34.0万円。平均的な事業所得者には法人化はまだ先

よくある質問

「事業所得者」とは誰のことですか

国税庁の確定申告状況では、確定申告した人を主な所得の種類で区分しており、事業所得者は主たる所得が事業所得の人です。事業所得のほかに給与所得などがある人も、事業所得が主なら事業所得者に数えられます。

所得金額は売上のことですか

違います。所得金額は収入から必要経費を差し引き、青色申告特別控除なども差し引いた後の合計所得です。売上に直すと、経費と青色申告特別控除の分だけ大きくなります。

この統計から法人化すべき人の割合は分かりますか

この資料は所得階級別の分布を載せていないので分かりません。所得階級別の人数から法人化が有利になる人の割合を推計した記事を別に用意しています。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。