税金の基礎

会社の99.0%は青色申告。個人事業主の白色28.7%と何が違うか

結論

国税庁の会社標本調査(令和6年度分)では、単体法人298万1,629社のうち青色申告は99.0%、白色申告は2万9,226社(1.0%)でした。資本金100万円以下でも白色は1.6%です。個人事業主は所得税を納めた事業所得者の28.7%が白色申告なので、法人化すると青色申告がほぼ前提になります。同じ表で同族会社(特定同族会社を含む)は96.6%、資本金1,000万円以下では97.2%でした。

  • 法人が白色だと、欠損金の10年繰越・繰戻還付・30万円未満(令和8年4月以後は40万円未満)の少額減価償却資産の特例が使えない
  • 白色の割合は資本金が小さいほど高く、資本金100万円以下1.6%、500万円超1,000万円以下0.7%
  • 一人社長の会社は必ず同族会社に当たる。留保金課税の対象になる特定同族会社は、資本金1,000万円以下の階級には1社もない

個人事業主の確定申告では、白色申告のまま続けている人が珍しくありません。国税庁の申告所得税標本調査では、所得税を納めた事業所得者の28.7%が白色申告でした(白色申告の事業所得者は約3割)。ところが会社になると、この割合はほぼ0になります。法人化すると、青色申告は「選ぶもの」から「やって当然のもの」に変わることを、会社標本調査の数字で確かめます。

会社の白色申告は1.0%

国税庁の会社標本調査(令和6年度分)第11表は、単体法人を青色申告・白色申告、特定同族会社・同族会社・非同族会社などの区分で数えています。資本金階級別に割合を計算しました。

資本金法人数青色申告白色申告白色の法人数同族会社(特定同族を含む)非同族会社
100万円以下684,650社98.4%1.6%11,161社95.3%4.7%
100万円超200万円以下94,713社98.6%1.4%1,308社97.3%2.7%
200万円超500万円以下1,144,196社99.1%0.9%10,606社98.6%1.4%
500万円超1,000万円以下695,312社99.3%0.7%4,689社96.6%3.4%
1,000万円超2,000万円以下141,366社99.5%0.5%646社93.8%6.2%
2,000万円超5,000万円以下149,816社99.6%0.4%593社93.0%7.0%
5,000万円超1億円以下56,073社99.7%0.3%173社93.0%7.0%
1億円超5億円以下9,485社99.5%0.5%44社84.6%15.4%
全体2,981,629社99.0%1.0%29,226社96.6%3.4%

※ 国税庁「令和6年度分 会社標本調査」第11表 その1(単体法人)から当サイトが計算。標本調査による推計値。全体は資本金5億円超の階級を含む

単体法人298万1,629社のうち、白色申告は2万9,226社、**1.0%**でした。資本金が小さいほど白色の割合は高いものの、資本金100万円以下でも1.6%にとどまります。個人事業主の28.7%とは桁が違います。

法人が白色だと失う3つの特典

会社がほぼ全社青色申告なのは、白色のままだと失うものが大きいからです。国税庁のタックスアンサーで、青色申告書を提出する法人に限られている主なものを並べます。

特典内容根拠
欠損金の繰越控除赤字(欠損金)を翌期以後10年間繰り越して、黒字と相殺できるNo.5762
欠損金の繰戻還付赤字を前期の黒字に戻して、前期に払った法人税の還付を受けられる(中小法人など)No.5763
少額減価償却資産の特例取得価額40万円未満(令和8年3月31日までの取得は30万円未満)の資産を、年300万円まで一度に損金にできるNo.5408

設立直後の会社は、設立費用や設備投資で赤字になりやすく、その赤字を翌期以後の黒字と相殺できるかで税額が大きく変わります。欠損金の繰越の仕組みと個人との比較は欠損金の繰越は法人10年・個人3年、少額減価償却の改正は少額減価償却の40万円への引上げで扱っています。

個人事業主の場合、白色と青色の差は主に青色申告特別控除(最大65万円)と純損失の繰越です。法人には特別控除にあたるものはありませんが、欠損金の扱いの差がより大きくなります。

白色にしても事務は減らない

個人の白色申告が残る理由の1つは「帳簿が簡単だから」です。法人ではこの理由が成り立ちません。白色申告の法人にも帳簿書類の備付け・記録・保存の義務があり、青色にしなくても決算書と法人税申告書は作らなければなりません。白色を選んでも事務はほとんど減らず、特典だけを失います。

そのため、白色の法人の多くは「選んだ」のではなく、青色申告の承認申請を出し忘れたか、帳簿の不備などで承認を取り消された会社と考えられます。新設法人の申請期限は、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日で、短い第1期では思ったより早く来ます(法人の青色申告申請は設立3か月後より早い)。

小さい会社の97.2%は同族会社

同じ表から、同族会社の割合も見ておきます。資本金1,000万円以下の会社は97.2%が同族会社でした。株主3人以下とその親族などで発行済株式の50%超を持つ会社が同族会社で、社長が全株を持つ一人会社は必ずこれに当たります。

同族会社であることで税率が上がるわけではありません。一定の留保金に追加で課税される特定同族会社は、第11表では資本金1,000万円以下の階級に1社もなく、資本金1億円以下全体でも24社です。中小法人は留保金課税の対象から外されているためで、一人会社には関係しません(一人会社に留保金課税はかからない)。一人社長が意識すべきなのは、社長と会社の取引で税負担を不当に減らすと否認されうる行為計算否認の規定で、その考え方は同族会社の行為計算否認で整理しています。

法人化するなら、青色申告と帳簿はセットで

個人のうちに白色申告だった人は、法人化のタイミングで記帳の仕組みを整える必要があります。白色のまま法人化を比べると判定を誤りやすい点(個人側の青色申告特別控除の有無で損益分岐点が動く)は青色申告65万円控除と法人化の分岐点で計算しています。法人で欠損金や繰越控除を使う場面は、法人税の実効税率とあわせて押さえておくと、利益が出たときの税額の見通しが立ちます。

まとめ

  • 会社標本調査(令和6年度分)の単体法人298万1,629社のうち、白色申告は2万9,226社で1.0%。資本金100万円以下でも1.6%
  • 個人事業主(申告納税者)の白色28.7%とは桁が違い、法人化すると青色申告がほぼ前提になる
  • 法人が白色だと、欠損金の10年繰越・繰戻還付・少額減価償却資産の特例が使えない。白色でも帳簿の義務はある
  • 資本金1,000万円以下の会社の97.2%は同族会社。一人会社は必ず同族会社だが、特定同族会社の留保金課税は資本金1億円以下には適用されない
  • 新設法人の青色申告の承認申請は、設立3か月経過日と第1期末の早いほうの前日が期限

法人化したときの税と手取りの差は、青色申告を前提に、自分の売上と経費で判定ツールにかけて確かめてください。

よくある質問

法人は設立すれば自動的に青色申告になりますか。

なりません。「青色申告の承認申請書」を期限までに税務署に出し、承認を受ける必要があります。新設法人の期限は、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日です。

白色申告の法人は、帳簿をつけなくてよいのですか。

そうではありません。白色申告の法人にも帳簿書類の備付け・記録・保存の義務があります。白色にしても事務は軽くならず、青色の特典だけを失うことになります。

同族会社だと税金が高くなるのですか。

同族会社であること自体で税率が上がるわけではありません。一定の留保金に課税される特定同族会社の留保金課税は、資本金1億円以下の会社には適用されません。同族会社の行為計算否認の規定は、税負担を不当に減少させる取引があった場合に問題になります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。