税金の基礎

中小法人の法人税は1社平均いくら?黒字なら193万円、ただし平均は当てにならない

結論

国税庁の会社標本調査(令和6年度分)を利益計上法人数で割ると、資本金100万円以下の黒字法人は1社あたり申告所得1,024.6万円・法人税額193.2万円・地方法人税額20.3万円、資本金1億円以下の全体では所得3,064.2万円・法人税額607.6万円です。ただし資本金100万円以下の黒字法人の77.7%は所得800万円以下で、平均は少数の高所得法人に引き上げられています。事業所得1,000万円の人が最適な役員報酬で法人化すると、法人に残る所得は259.5万円、法人の税は東京23区で合計62.4万円です。

  • 法人税額÷申告所得は資本金100万円以下で18.9%。軽減税率15%より高いのは、平均を押し上げる法人の所得が800万円を超え23.2%がかかるため
  • 黒字の法人は資本金500万円以下で35〜39%にとどまる。6割強は所得が0以下で法人税額が出ない
  • 平均所得の会社を当サイトの計算エンジンで計算すると、法人の税の合計は所得の23.1〜33.3%

「法人の税金は平均でいくらか」は、法人化を考えるときに一度は気になる数字です。国税庁の会社標本調査には資本金階級別の法人税額の合計が載っているので、黒字の法人数で割れば1社あたりの額が出ます。ただし、その平均は多くの小さな会社の実感とはかけ離れています。

資本金階級別、黒字法人1社あたりの所得と法人税

会社標本調査(令和6年度分)の第1表から申告所得金額(利益の欄)・法人税額・地方法人税額を、第2表から利益計上法人数を取り、1社あたりに割りました。

資本金階級利益計上法人数黒字法人の割合1社あたり申告所得1社あたり法人税額1社あたり地方法人税額所得に対する法人税の割合
100万円以下269,047社39.3%1,024.6万円193.2万円20.3万円18.9%
100万円超〜200万円以下34,414社36.3%845.6万円155.6万円16.1万円18.4%
200万円超〜500万円以下406,260社35.5%999.8万円185.1万円19.4万円18.5%
500万円超〜1,000万円以下278,670社40.1%2,760.3万円541.9万円57.0万円19.6%
1,000万円超〜2,000万円以下70,946社50.2%4,846.8万円958.2万円101.6万円19.8%
2,000万円超〜5,000万円以下79,352社53.0%10,119.8万円2,055.1万円217.9万円20.3%
5,000万円超〜1億円以下30,887社55.1%30,975.9万円6,347.8万円678.9万円20.5%
1億円以下の計1,169,576社39.4%3,064.2万円607.6万円64.3万円19.8%

※ 国税庁 令和6年度分 会社標本調査(標本からの推計値・通算法人を除く)。1社あたり=金額÷利益計上法人数で当サイトが計算。第2表の利益計上法人+欠損法人が第1表の法人数と、第2表の申告所得が第1表と一致することを検算している。表は scripts/houjinzei-heikin-shihonkin.mjs で再生成できる

一人会社の多くが入る資本金100万円以下・200万円超500万円以下では、黒字法人1社あたりの法人税額は185万〜193万円です。地方法人税を足すと200万円を超えます。

もう1つ目を引くのが「黒字法人の割合」です。資本金500万円以下の階級では、黒字の法人は35〜39%しかありません。残りの6割強は所得が0以下で、法人税額が出ていません(「法人の6割が赤字」は本当か)。

平均はなぜ当てにならないのか

資本金100万円以下の黒字法人の平均所得は1,024.6万円です。ところが同じ調査の所得階級別の表では、この階級の黒字法人の77.7%が所得800万円以下です(黒字の中小法人の64%は所得800万円以下)。

8割近くが800万円以下なのに平均が1,000万円を超えるのは、所得が数千万円〜億円単位の少数の法人が合計を押し上げているためです。平均値は「典型的な会社の額」ではなく、「合計を社数で割った額」にすぎません。

所得に対する法人税の割合が18.9%と、軽減税率15%より高く出るのも同じ理由です。法人税は所得800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%なので、所得の大きい法人ほど割合が上がります。合計で割ると、その大きな法人の税率が平均に強く反映されます。統計の法人税額は税額控除後の額で、資本金1億円以下でも大法人の子会社など軽減税率を使えない法人を含む点もずれの原因です。この表は黒字法人だけの集計ですが、赤字法人を含めた損益計算書ベースの統計(財務省の法人企業統計)で同じような割合を出すと、資本金1千万円未満で38.6%とさらに高く見えます。その理由は小さい会社の法人税負担率38.6%は誤解のもとで分解しています。

地方税まで入れると、平均所得の会社の税はいくらか

統計の法人税額は国税の法人税だけです。法人住民税(法人税割・均等割)と法人事業税・特別法人事業税は入っていません。そこで、各階級の平均所得の会社が東京23区で払う税の総額を、当サイトの計算エンジンで出しました。

資本金階級1社あたり申告所得法人税地方法人税法人住民税法人事業税+特別法人事業税合計所得に対する割合
100万円以下1,024.6万円157.3万円16.2万円18.0万円63.6万円255.2万円24.9%
100万円超〜200万円以下845.6万円119.6万円12.3万円15.4万円48.0万円195.3万円23.1%
200万円超〜500万円以下999.8万円152.1万円15.7万円17.6万円61.5万円246.8万円24.7%
500万円超〜1,000万円以下2,760.3万円524.8万円54.0万円43.7万円215.5万円838.0万円30.4%
1,000万円超〜2,000万円以下4,846.8万円966.5万円99.5万円74.6万円398.1万円1,538.8万円31.7%

※ 中小法人の軽減税率15%・東京23区の法人住民税(法人税割7.0%・均等割7万円)・法人事業税の段階税率で計算/2026年(令和8年)分基準

エンジンで計算した法人税(資本金100万円以下で157.3万円)が統計の平均(193.2万円)より小さいのは、上で見たとおり、統計の平均には軽減税率を使えない法人や、所得の偏りの影響が入っているためです。平均所得の会社でも、地方税まで入れると法人の税は所得の**23〜25%**になります。法人税15%だけで見積もると大きく外れます(法人税は15%では済まない|利益別の実効税率)。

一人会社の目安はもっと小さい

法人化した一人会社では、事業の利益の大半を役員報酬として受け取り、法人に残る所得を小さく抑えるのが一般的です。当サイトの計算エンジンで、東京23区・独身・40歳未満の人が最適な役員報酬(月54万円)で法人化した場合を計算すると、法人に残る所得と法人の税は次のとおりです(役員報酬の最適額)。

法人化前の事業所得法人に残る所得法人の税の合計
800万円59.5万円19.7万円
1,000万円259.5万円62.4万円
1,200万円459.5万円105.9万円

※ 経費200万円・青色申告(e-Tax)・合同会社。法人の税は法人税・地方法人税・法人住民税(均等割7万円を含む)・法人事業税・特別法人事業税の合計

統計の平均193万円は、こうした一人会社の法人税の目安にはなりません。法人化して払う税金は、法人税だけでなく役員報酬にかかる所得税・住民税と社会保険料を合わせて見る必要があります。自分の売上と経費で、法人と個人に分かれる税と保険料の合計を確かめてください。

まとめ

  • 会社標本調査(令和6年度分)で、資本金100万円以下の黒字法人1社あたりの法人税額は193.2万円、資本金1億円以下全体では607.6万円
  • ただし資本金100万円以下の黒字法人の77.7%は所得800万円以下。平均は少数の高所得法人に引き上げられている
  • 資本金500万円以下の階級で黒字の法人は35〜39%。6割強は法人税額が出ていない
  • 平均所得の会社は、地方税まで入れると所得の23〜25%を法人の税として払う
  • 役員報酬で所得を抑える一人会社では、事業所得1,000万円でも法人の税は62.4万円(東京23区)と平均よりずっと小さい

よくある質問

中小企業の法人税の平均はいくらですか。

会社標本調査(令和6年度分)で資本金1億円以下の黒字法人116万9,576社の法人税額を社数で割ると、1社あたり607.6万円です。ただし資本金が大きいほど所得も大きく、資本金100万円以下の黒字法人では193.2万円です。いずれも平均で、多くの法人はこれより少ない額です。

赤字の法人は法人税を払わないのですか。

所得が0以下なら法人税額は原則として出ません。ただし法人住民税の均等割は赤字でもかかり、東京23区で資本金1,000万円以下なら年7万円です。

統計の法人税額は均等割や事業税を含みますか。

含みません。会社標本調査の法人税額は国税の法人税だけで、地方法人税は別の欄にあります。法人住民税・法人事業税は統計に入っていないため、この記事では計算エンジンで別に出しています。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。