設立の手続き
法人の青色申告申請は設立3か月後より早い。短期決算に注意
新設法人の青色申告承認申請期限は、設立3か月経過日と第1期末の早い方の前日です。12か月・6か月・2か月未満の第1期で期限を計算します。
新設法人が第1期から青色申告をするための期限は、「設立から3か月以内」ではありません。正確には、設立日から3か月を経過する日と第1期末の早い方の前日です。
設立直後に短い決算期を選ぶと、3か月を待たずに期限が来ます。特に創業期は赤字が出やすく、申請を逃すと第1期の通常の欠損金を青色欠損金として10年間繰り越せないため、法人設立届より先に期限が来ないかを確認します。
期限は2つの日付の「早い方の前日」
国税庁は、新設普通法人が設立事業年度から青色申告をする場合の提出期限を次のように定めています。
- 設立の日以後3か月を経過した日
- 設立第1期の事業年度終了日
- 1と2のうち、いずれか早い日の前日まで
たとえば4月1日設立なら、3か月経過日は7月1日です。3月31日決算なら第1期末は翌年3月31日なので、早い7月1日の前日、6月30日が期限です。
「設立日+3か月」と「3か月以内」は、期限計算で1日ずれる可能性があります。国税庁の表現どおり、3か月経過日の前日までと確認します。
第1期の長さ別に期限を計算
設立日と第1期末を変えた3例を scripts/houjin-aoiro-shinkoku-kigen.mjs で再計算しました。
| 設立例 | 設立日 | 第1期末 | 3か月経過日 | 青色申請期限 |
|---|---|---|---|---|
| 12か月の第1期 | 2026年4月1日 | 2027年3月31日 | 2026年7月1日 | 2026年6月30日 |
| 6か月の第1期 | 2026年10月1日 | 2027年3月31日 | 2027年1月1日 | 2026年12月31日 |
| 2か月未満の第1期 | 2027年2月1日 | 2027年3月31日 | 2027年5月1日 | 2027年3月30日 |
※ 期限が土日祝日等なら、国税庁が案内する期限特例により休日明けの日が提出期限になります。表は基本日だけを示しています。
6か月の第1期でも、期限を決めるのは3か月経過日の方です。2か月未満の第1期では、期末の方が先に来るため、申告期限ではなく決算日前日までに申請します。
法人設立届出書は設立後2か月以内ですが、届出書と青色申告承認申請書は別手続きです。設立届を出しただけで青色申告が自動承認されることはありません。
第1期が3か月未満なら第2期にも特例期限がある
設立日から第1期末までが3か月未満の場合、国税庁は翌事業年度についても特例を設けています。翌期から青色申告にする申請期限は、設立日から3か月経過日と翌事業年度末の早い方の前日です。
2月1日設立・3月31日第1期末の例なら、設立3か月経過日は5月1日です。第2期末の翌年3月31日より早いため、第2期から青色にする特例期限は4月30日です。
ただし、第2期から承認を受けても、第1期が遡って青色申告になるわけではありません。第1期の通常の事業赤字を青色欠損金として繰り越したいなら、第1期末前日の3月30日までに提出します。
青色申告の大きな効果は欠損金の10年繰越
青色申告の承認を受けた法人が赤字になり、期限内に青色申告書を提出すると、一定の要件で欠損金を翌期以後10年間繰り越せます。
たとえば第1期に300万円の欠損金、第2期に500万円の所得が出た単純例では、欠損金300万円を控除し、課税所得を200万円まで圧縮できます。欠損金控除には法人規模などによる限度もありますが、資本金1億円以下の一般的な中小法人では創業赤字が翌期以後の法人税に直結します。
| 事業年度 | 青色承認あり | 第1期が白色のまま |
|---|---|---|
| 第1期の所得 | ▲300万円 | ▲300万円 |
| 第2期の所得 | 500万円 | 500万円 |
| 第1期欠損金の控除 | ▲300万円 | 0円 |
| 第2期の課税所得 | 200万円 | 500万円 |
これは法人税の課税所得だけを示す単純例です。地方税や均等割、繰越控除限度、株主関係などは個別に確認します。赤字でも法人住民税の均等割は原則発生します。
青色申告の中小法人は、要件を満たせば欠損金を前事業年度へ繰り戻して法人税の還付を請求できる場合もあります。欠損金の10年繰越と1年繰戻しで両制度を比較しています。
申請書を出すだけで青色の要件が終わるわけではない
青色申告法人は、仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿を備え、取引を正規に記録し、証憑とともに保存する必要があります。申請書を期限内に出しても、帳簿がなく期限後申告を繰り返せば、承認取消しの問題が生じます。
設立日から次の順で準備します。
- 定款と登記事項で第1期末を確認する
- 設立3か月経過日を計算する
- 第1期末と比べ、早い日の前日を申請期限にする
- e-Taxまたは書面で所轄税務署へ申請する
- 設立日から会計帳簿と証憑保存を開始する
- 第1期の法人税申告書を期限内に提出する
青色申告承認申請書には、帳簿組織、記帳方法、備付帳簿などを記載します。会計ソフトを後から導入する場合も、設立日からの取引を漏れなく記録します。
決算月を決めるときに青色申請期限も見る
設立直後を短期決算にすると、繁忙期を避ける、消費税の判定期間を調整するなどの利点があります。一方で、青色申告、確定申告、役員報酬、消費税届出などの期限がすぐ来ます。
法人の決算月の決め方では、設立月別に第1期の長さを比較しています。決算月を選んだら、青色申告の期限を同じ表へ書き込んでください。
まとめ
- 新設法人の青色申告申請期限は、設立3か月経過日と第1期末の早い方の前日です
- 第1期が3か月未満なら、決算日前日が先に来ます
- 2月1日設立・3月31日決算なら、第1期から青色にする期限は3月30日です
- 第1期が3か月未満の場合、第2期から申請する特例期限もありますが、第1期へ遡りません
- 青色欠損金は一定の要件で10年間繰り越せます
- 法人設立届を提出しても、青色申告は自動承認されません
- 申請後も帳簿記録、書類保存、期限内申告が必要です
よくある質問
新設法人の青色申告承認申請書はいつまでですか?
設立日から3か月を経過する日と、第1期の事業年度終了日のうち早い日の前日までです。単純に設立後3か月ではありません。
第1期が2か月しかない法人の青色申告申請期限は?
第1期末の前日までです。2月1日設立・3月31日決算なら3月30日が基本期限です。休日の場合は翌開庁日になります。
青色申告の申請が期限に遅れたら第1期の赤字を繰り越せますか?
通常の事業損失を青色欠損金として10年間繰り越すには、欠損が生じた事業年度に青色申告書を提出する必要があります。期限後は原則として後の事業年度からの適用です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。