設立の手続き

法人の納税証明書はどれ?その3の3なら電子PDFで370円

結論

法人税と消費税に未納がないことを一度に証明するのは「その3の3」です。窓口などの書面請求は1通400円、e-Tax請求は1通370円。提出先が電子PDFを受け付けるなら1ファイル370円で何度でもコピーでき、その3の3を5か所へ出す場合は書面2,000円より1,630円少なく済みます。

  • その1は納付税額、その2は法人税申告上の所得金額、その3は未納がないこと、その4は滞納処分を受けていないことを証明する
  • その1の手数料は税目数×年度数×枚数。その3の3は枚数だけなので、同じ『1通』でも請求額の算式が違う
  • 電子PDFのダウンロード可能期間は発行後90日。保存後は期限内なら再利用できるが、提出先が電子・印刷PDFを受け付けるか先に確認する

法人の納税証明書は、番号が似ていても証明する内容が違います。特に混同しやすいのが、納付額を示すその1と、未納がないことを示すその3の3です。

提出先から「納税証明書」とだけ言われたら、必要な番号、税目、年度、原本・電子ファイルの可否を先に確認します。違う種類を取ると、手数料だけでなく申請の締切まで失います。

法人が使う5種類は、証明する内容が違う

種類証明する内容法人での使い分け
その1納付すべき税額、納付済額、未納額指定年度・指定税目の納付状況を金額で示す
その2法人税申告上の所得金額所得金額の確認を求められたとき
その3指定した税目に未納がないこと提出先が税目を指定する場合
その3の3法人税と消費税及び地方消費税に未納がないこと法人用の未納なし証明を2税目まとめて出す
その4証明を受ける期間に滞納処分を受けていないこと未納の有無ではなく滞納処分歴の証明が必要なとき

その3の2は個人用で、申告所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税に未納がないことを証明します。法人が通常選ぶのはその3の3です。「3の2」と「3の3」は新しい版と古い版の違いではなく、個人用と法人用の違いです。

その3の3は、法人税と消費税等の未納がないことをまとめて証明します。ただし所得金額は載りません。所得金額が必要ならその2、年度・税目ごとの納付額と未納額まで必要ならその1です。提出先が複数の種類を指定することもあります。

その4の「滞納処分を受けたことがない」と、その3の「未納税額がない」も同じではありません。現在の未納額を示すのか、指定期間の滞納処分歴を示すのかが違います。名称の印象ではなく、提出要領に書かれた番号で請求します。

手数料は「1通400円」とは限らない

書面で請求する場合の単価は400円、e-Taxで請求する場合は370円です。ただし、その1・その2は税目数や年度数も掛けるため、必要枚数だけ見ていると不足します。

種類書面請求e-Tax請求・書面受取電子ファイル
その1税目数×年度数×枚数×400円税目数×年度数×枚数×370円税目数×年度数×370円
その2年度数×枚数×400円年度数×枚数×370円年度数×370円
その3・その3の3枚数×400円枚数×370円370円
その4枚数×400円枚数×370円370円

電子納税証明書は一つの請求につき1ファイルで発行され、コピーして複数回使えます。そのため、提出先が電子PDFを受け付ける場合は枚数が増えても手数料が増えません。

具体例で比べます。

請求例書面請求e-Tax請求・書面受取電子PDF書面との差
その3の3を3通1,200円1,110円370円−830円
その3の3を5通2,000円1,850円370円−1,630円
その2を3年度・2通2,400円2,220円1,110円−1,290円
その1を2税目・3年度・2通4,800円4,440円2,220円−2,580円

※ 郵送で受け取る場合の郵送料は含めない。電子PDFを提出先が受け付けることを事前に確認する

最後の例は、法人税と消費税等の2税目を3年度分、2通ずつ取る場合です。書面なら2×3×2×400円で4,800円、電子PDFなら2×3×370円で2,220円になります。表は scripts/houjin-nozei-shomeisho-fee.mjs で再生成できます。

e-Taxの単価は30円安いだけですが、電子ファイルでは枚数を掛けないことの効果が大きくなります。反対に、提出先が紙の原本を指定しているならPDFのコピーへ勝手に変えられません。

受取方法は4つ。電子署名が要らない経路もある

請求・受取方法電子証明書手数料来署
e-Tax請求→電子PDF・XML必要370円単価不要
e-Tax請求→郵送で書面受取必要370円単価+郵送料不要
e-Tax請求→窓口で書面受取不要(署名省略分)370円単価必要
書面請求→窓口・郵送不要400円単価+必要なら郵送料窓口または郵送

電子ファイルで受け取る場合は、e-Taxソフト(WEB版)などで「電子交付用」を選び、交付請求データに電子署名と電子証明書を付けて送信します。発行準備ができるとメッセージボックスへ通知が入り、ペイジー対応のインターネットバンキングやATM等で手数料を納付して、PDFまたはXMLを保存します。

法人の代表者がスマートフォン・タブレットから電子交付や郵送交付を申請する場合は、代表者本人のマイナンバーカードが必要です。法人番号カードというものを使うわけではありません。

電子証明書を用意していなくても、オンラインで請求して窓口受取にする方法があります。「署名省略分」を選び、来署予定日を申請日から10日以内の開庁日で指定します。窓口で代表者本人または代理人本人を確認するため、オンライン送信時の電子署名を省略できる仕組みです。

PDFは370円でコピーできるが、提出方法を先に確認する

電子納税証明書はPDFまたはXMLで取得できます。PDFは自宅やコンビニのプリンターで印刷でき、QRコード付納税証明書確認コーナーで記載内容を確認できる仕組みです。

ただし国税庁は、電子ファイルの提出方法をあらかじめ提出先へ確認するよう案内しています。確認する項目は次の3つです。

  1. PDFファイルのアップロードでよいか
  2. 電子PDFを自分で印刷した紙でよいか
  3. 税務署が発行した書面原本が必要か

「電子で取れる」ことと、「金融機関や発注機関が電子で受け取る」ことは別です。融資申込フォームがPDF対応でも、窓口提出では原本を求めることがあります。

電子納税証明書をe-Taxからダウンロードできる期間は、入手可能な状態になってから90日間です。手数料納付後に保存し、会社の証明書フォルダへ原本データを保管します。保存した電子納税証明書は、その証明書自体の有効な範囲で何度でも利用できます。提出先が「発行後3か月以内」など独自の条件を付ける場合は、そちらにも合わせます。

窓口・郵送で法人が用意するもの

代表者本人が税務署の窓口へ行く場合は、交付請求書、手数料、代表者本人の確認書類を用意します。代表者以外の役員、従業員、家族が行くなら、その人は代理人です。代表者からの委任状と代理人本人の確認書類が必要です。

郵送で書面請求する場合は、次を現在の納税地を所轄する税務署へ送ります。

  • 必要事項を記載した納税証明書交付請求書
  • 手数料分の収入印紙
  • 必要な切手を貼った返信用封筒
  • 代理人請求なら委任関係を示す書類

法人の郵送請求では、個人番号の番号確認書類と本人確認書類の写しはいずれも不要です。窓口では来署した人の本人確認が必要なので、「法人なら本人確認は一切不要」と広げないようにします。

収入印紙を交付請求書へ貼る場合は、消印しません。国税庁は、消印した収入印紙は無効になると案内しています。e-Tax請求後に窓口受取を選んだ場合は、窓口で現金または収入印紙により払います。

申告・納付直後は、同日に発行できない場合がある

未納を解消してすぐにその3の3を請求しても、納付情報が反映されていなければ当日中に発行できない場合があります。国税庁も、申告または納税の直後は即日発行できないことがあると明記しています。

融資実行日や入札締切が迫っているなら、次の順に動きます。

  1. 提出先に必要な種類・年度・税目・形式を確認する
  2. 申告・納付と未納額の有無を確認する
  3. 電子PDFを受け付けるならe-Taxで電子交付を請求する
  4. 紙原本なら、期限から逆算してオンライン請求・窓口受取または郵送を選ぶ
  5. 納付直後なら所轄税務署へ発行可能時期を確認する

換価の猶予を受けている場合など、単純な「未納なし」と異なる状態では提出先が求める証明内容を先に確認します。法人税・消費税が払えないときの換価の猶予では、猶予中の納税証明書を申請前に確認する理由を扱っています。

まとめ

  • 法人税・消費税に未納がないことをまとめて証明するのは、その3の3
  • 納付額はその1、法人税申告上の所得金額はその2、滞納処分歴はその4
  • 書面請求は400円単価、e-Tax請求は370円単価
  • 電子PDFは1ファイルをコピーでき、その3の3を5か所へ出すなら書面より1,630円少ない
  • 代表者以外が窓口へ行くなら、役員・従業員・家族でも委任状が必要
  • 申告・納付直後は当日発行できないことがあるため、提出締切から逆算して請求する

納税証明書は税額を計算する書類ではなく、申告・納付の結果を第三者へ示す書類です。法人化の手取り差を計算した後、融資や入札でどの証明書が必要になるかまで確認し、取り違えと二度手間を防いでください。

よくある質問

法人融資には「その1」と「その3の3」のどちらを出しますか?

提出先の指定に従います。その1は指定年度・税目の納付すべき額、納付済額、未納額を示し、その3の3は法人税と消費税に未納がないことをまとめて示します。審査目的によって必要な情報が違うため、自己判断で置き換えないでください。

一人会社で従業員が税務署へ受け取りに行けますか?

できますが、代表者本人以外は代理人です。代表者が作成した委任状と、窓口へ行く代理人本人の本人確認書類が必要です。代表者以外の役員や従業員、家族も同じ扱いです。

法人番号確認書類や代表者のマイナンバー確認書類は必要ですか?

法人が書面を郵送請求する場合、番号確認書類と本人確認書類の写しはいずれも不要です。窓口では来署した代表者本人または代理人本人の本人確認書類が必要ですが、法人について個人番号の確認書類は不要です。

申告や納付をした当日に納税証明書を取れますか?

必ず取れるとは限りません。国税庁は、申告または納税の直後は当日中に発行できない場合があると案内しています。融資や入札の締切がある場合は、申告・納付直後を避けて余裕を持って請求します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。