インボイス・消費税

インボイス登録をやめた個人は21.5万件。毎年1月1日に4万件が失効している

結論

国税庁の全件データ(令和8年8月31日時点)では、インボイス登録をした個人事業者の登録番号250万2,180件のうち、21万5,167件(8.6%)が失効しています。失効は毎年1月1日に集中し、2024年1.8万件、2025年3.8万件、2026年4.2万件と増え、2027年1月1日付の失効も8月末の時点で1万5,097件決まっています。

  • 1月1日以外の日の失効は月3,000件前後。1月1日だけがその10倍以上になるのは、登録取消届出書の効力が翌年1月1日に生じるため
  • 令和5年10月に登録した186.6万件のうち、失効は9.5%。令和7年に登録した人では4.2%
  • 失効には廃業・法人成り・登録の取りやめがまとめて入っている。データからは理由を区別できない

インボイスの登録を続けるか、やめるか。あるいは法人化して法人で登録し直すか。同じことで迷っている個人事業主がどれくらいいるのかは、国税庁の公表データから数えられます。

国税庁のインボイス公表サイトは、登録事業者の情報を毎月「全件データ」として公開しています。令和8年8月31日時点の個人分(CSV・約250万件)を当サイトで集計しました。

個人の登録250万件のうち、21.5万件が失効している

区分(令和8年8月31日時点・個人)登録番号の数割合
登録が有効(新規)2,286,86691.4%
登録の失効215,1678.6%
登録の取消(税務署長による)1470.0%
合計2,502,180100.0%

※ 国税庁インボイス公表サイト「全件データ」(令和8年8月31日更新・個人)を当サイトで集計(scripts/invoice-toroku-shikko.mjs)。登録番号ごとの最新の状態で数えている

「失効」は、本人の届出などによって登録の効力がなくなったもので、次の場合に生じます(消費税法57条の2第10項)。

  • 登録取消届出書を出した場合:原則として翌課税期間の初日。個人なら翌年1月1日
  • 事業廃止届出書を出した場合:事業を廃止した日の翌日。廃業のほか、法人成りで個人事業をやめた場合もここに入る

「取消」は、1年以上所在不明である場合などに税務署長が登録を取り消すもので、個人では147件しかありません。登録をやめた人のほとんどは、自分で届け出て失効しています。

失効は毎年1月1日に集中する

失効日で数えると、はっきりした特徴があります。

年1月1日付の失効1月以外の月の失効(月平均)年間の失効その年に新しく登録した人
2024年18,1223,37656,888267,164
2025年38,3813,50879,275160,242
2026年(8月まで・月平均は2〜5月)42,4952,89559,487107,957
2027年(予定)15,097———

※ 同上。2026年は6〜8月の失効件数が極端に少なく(6月1,919件・7月1,173件・8月286件)、公表への反映が追いついていない可能性があるため、月平均は2〜5月で計算した。2027年1月1日付の失効は、令和8年8月末までに登録をやめる届出が出され、効力が生じる日が決まっているもの

1月以外の失効は月3,000件前後で、廃業や法人成りなど事業をやめた人の分が中心と考えられます。それに対して1月1日だけは1日で4万件前後が失効しています。登録取消届出書の効力が翌年1月1日に生じる仕組みのため、「登録をやめる」と決めた個人の多くがこの日にそろって失効するわけです。

12月31日に廃業した人や、1月1日付で法人成りした人の失効も1月1日に重なるので、4万件すべてが登録の取りやめではありません。それでも、ほかの月の10倍以上という差は、登録そのものをやめる人が毎年数万人規模でいることを示しています。1月1日付の失効は、2024年の1.8万件から2026年の4.2万件へ、2年で2.3倍になりました。

もう1つ目を引くのは、2027年1月1日付の失効がすでに1万5,097件決まっていることです。登録取消届出書の期限は、翌年1月1日から起算して15日前の12月17日なので、この数字は9月以降にまだ増えます。個人事業者の2割特例は令和8年9月30日を含む課税期間(個人は令和8年分)で終わり、令和9年分からは3割特例か通常の計算に移ります(2割特例は令和8年で終了)。負担が増える区切りの年でもあります。

早く登録した人ほど、失効の割合が高い

登録した時期ごとに、失効した割合を比べます。

登録した時期登録番号の数うち失効失効の割合
令和5年10月(制度開始の月)に登録1,866,054176,5539.5%
令和5年11月〜令和6年12月に登録361,64231,1268.6%
令和7年に登録160,2426,7934.2%

※ 同上。失効は令和8年8月31日時点で失効している(または失効日が決まっている)もの

制度開始の月に登録した186.6万件のうち、9.5%にあたる17.7万件が失効しました。登録してからの年数が長いぶん廃業などの機会も多いので、単純には比べられません。ただ、制度開始に合わせて「とりあえず登録した」人の一部が、実際に消費税を納めてみて登録を見直している様子はうかがえます。

なお、登録した日から2年を経過する日の属する課税期間までは、登録をやめても免税事業者に戻れない場合があります(国税庁 インボイスQ&A 問13)。登録をやめる手続きと期限はインボイス登録をやめるにはで詳しく扱っています。

登録を続けるか、やめるか、法人化するか

登録をやめた21.5万件の背景には、次の3つの選択肢のどれを取るかという判断があります。

  1. 個人のまま登録を続ける:取引先がインボイスを求めるなら避けられない。令和9年分・10年分は3割特例が使える場合がある
  2. 登録をやめて免税事業者に戻る:消費税の納税はなくなるが、取引先から値引きを求められる可能性がある。どこまでの値引きなら登録と同じ手取りになるかはインボイス未登録で値引き要請で計算している
  3. 法人化する:個人の登録は事業廃止届出書で失効し、法人は法人番号を使った別の登録番号で登録し直す(法人成りでインボイス番号は変わる)。ただし法人でもインボイス登録をするなら、設立から2期の消費税の免税は使えない

3つ目について当サイトが強調しているのは、インボイス登録を続けるなら、法人化しても消費税の2年免税は受けられないという点です。理由はインボイス登録済みなら、法人化しても消費税の2年間免税は受けられないで説明しています。「法人化すれば2年間消費税がかからない」という前提で判断すると、登録を続ける人は数字を取り違えます。

どれが有利かは、売上・経費と、取引先がインボイスを必要とするかで決まります。シミュレーターではインボイス登録の有無を切り替えて、個人のまま・法人化それぞれの手取りを比べられます。自分の売上と経費で確かめてください。

まとめ

  • 国税庁の全件データ(令和8年8月31日時点)では、インボイス登録をした個人250万2,180件のうち21万5,167件(8.6%)が失効、取消は147件
  • 失効は毎年1月1日に集中し、2024年1.8万件→2025年3.8万件→2026年4.2万件と増えている。ほかの月は月3,000件前後
  • 2027年1月1日付の失効は8月末時点ですでに1万5,097件。登録取消届出書の期限の12月17日までにさらに増える
  • 制度開始の月に登録した人の失効は9.5%、令和7年に登録した人は4.2%
  • 失効には廃業・法人成り・登録の取りやめが混ざっており、データからは区別できない

よくある質問

失効と取消はどう違いますか

失効は、本人が登録取消届出書や事業廃止届出書を出したことなどで登録の効力がなくなることです。取消は、1年以上所在不明である場合などに税務署長が登録を取り消すことで、個人では147件しかありませんでした。

登録をやめると、いつから免税事業者に戻れますか

登録取消届出書は、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに出すと、翌課税期間の初日に登録の効力が失われます。個人の課税期間は暦年なので、12月17日までに出せば翌年1月1日です。ただし登録日から2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れない場合があります。

この数字は毎月更新されますか

国税庁の全件データは毎月、前月末時点のものが公開されます。当サイトは令和8年8月31日時点のデータを集計しており、元データの更新にあわせて見直します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。