法人化の判断

61歳の夫と56歳の妻の法人化試算事例。本人の国民年金はなくても妻の分が消える

結論

熊本市・61歳の中小企業診断士(年商1,300万円・経費150万円、無収入の妻)は、妻が56歳なら法人化で3期目以降年2.3万円の不利でほぼ互角、損益分岐は事業所得1,182万円です。妻が62歳なら年15.6万円の不利で損益分岐は1,302万円、単身なら1,372万円です。60〜64歳の社長は厚生年金の第2号被保険者なので、60歳未満の妻は第3号被保険者になり、妻の国民年金がなくなります。

  • 第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者。61歳でも厚生年金に入っている社長は第2号なので、56歳の妻は第3号になれる
  • 本人の国民年金は60歳でなくなっていても、妻が60歳未満なら個人のままでは妻の分を年21.5万円払い続ける。法人化でこれが消える
  • 妻も60歳以上なら、妻の国民年金はもともとない。配偶者がいることの効果は国保の均等割と配偶者控除だけになる

この記事は、実在の人物ではなく、条件を設定したモデルケースを当サイトの計算エンジンで試算したものです。

60歳を過ぎた個人事業主は、自分の国民年金を払っていません。そのため「60歳を過ぎたら法人化しても国民年金は減らない」と考えがちです。ところが、配偶者が60歳未満なら話は別です。このケースでは、妻の年齢が56歳か62歳かで、損益分岐が120万円違いました。

このケースの条件

項目内容
職種中小企業診断士(地元企業の経営支援・補助金の申請支援)
年齢・家族61歳・妻56歳(無収入)
住所熊本市
年商(税抜)1,300万円
経費150万円
申告青色申告(e-Tax・65万円控除)
インボイス登録済み
個人事業税の業種コンサルタント業(第3種・5%)

事業所得(売上−経費)は1,150万円です。

個人事業主のまま:本人の国民年金はないが、妻の分が残る

項目妻56歳(このケース)妻62歳だったら
国民健康保険(2人・介護分を含む)112.9万円112.9万円
国民年金21.5万円(妻の分)0万円
所得税143.7万円149.8万円
住民税91.0万円93.2万円
個人事業税43.0万円43.0万円
手取り737.8万円751.1万円

※ 熊本市・61歳・無収入の妻・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・個人事業税5%/2026年(令和8年)分基準

本人は61歳なので国民年金はありません。妻が56歳なら、妻の分の国民年金を年21.5万円払っています。国保は2人分ですが、すでに上限に近く、妻の年齢では変わりません。

法人化した場合:妻は第3号被保険者になる

項目金額
役員報酬(月54万円・年額)648.0万円
社会保険料・本人負担(介護保険料を含む)96.1万円
所得税・住民税(配偶者控除あり)44.7万円
個人に入る手取り507.2万円
法人税等(均等割7万円を含む)93.2万円
会社に残る額310.4万円
手取り合計(会社に残る額は2割引いて計上)755.6万円

※ 合同会社・熊本県(協会けんぽ)・3期目以降/2026年(令和8年)分基準

61歳の社長は厚生年金の被保険者で、国民年金の第2号被保険者です。第2号に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者は、第3号被保険者になり、自分で国民年金を払いません。健康保険でも被扶養者になり、保険料はかかりません。

法人側の数字は、妻が56歳でも62歳でも同じです。違うのは、個人のままで妻の国民年金を払っているかどうかだけです。

妻56歳(このケース)妻62歳単身
3期目以降の実質差額−2.3万円−15.6万円−22.8万円
損益分岐(事業所得)1,182万円1,302万円1,372万円

※ 税理士報酬の増加20万円を引いた額。熊本市・61歳・年商1,300万円・経費150万円/2026年(令和8年)分基準

売上が違っても、妻の年齢で13万円前後違う

年商(経費150万円)妻56歳妻62歳単身
900万円−28.3万円−43.3万円−41.9万円
1,100万円−20.2万円−35.2万円−32.0万円
1,300万円−2.3万円−15.6万円−22.8万円
1,500万円+17.1万円+5.0万円−2.2万円
1,700万円+37.4万円+25.3万円+18.2万円

※ 3期目以降の実質差額/2026年(令和8年)分基準

妻が60歳未満かどうかで、どの売上でも12万〜15万円の差が出ます。妻の国民年金21.5万円から、払わなくなった分で増える税金を引いた額です。

妻が62歳の場合は、売上1,300万円以上では単身より法人化が有利に出て、900万〜1,100万円ではわずかに不利に出ます。妻に国民年金がないと、配偶者の効果は2つだけになります。国保の均等割(妻の分)は法人化で消えるので法人化を有利にし、配偶者控除は個人のままの高い税率で大きく効くので個人のままを有利にします。売上によって、どちらが大きいかが入れ替わります。

妻の年齢と社長の年齢で、効果が切れる時期を見ておく

このケースの法人化の有利は、妻の国民年金がなくなることに支えられています。その効果は次のどちらかで終わります。

変化いつ何が起きるか
妻が60歳になるこのケースでは4年後妻の国民年金がもともとなくなり、法人化の効果が消える
社長が65歳になるこのケースでは4年後社長が第2号から外れ、60歳未満の妻は第3号になれなくなる

妻56歳・夫61歳のこのケースでは、どちらもおよそ4年後に来ます。法人化の設立費用や手間を考えると、効果が続く年数も合わせて見る必要があります。社長が65歳になって妻が第3号から外れる仕組みは社長が65歳になると配偶者は第3号から外れるで、60歳で本人の国民年金がなくなる影響は59歳と60歳で結論が入れ替わる技術顧問の試算事例で扱っています。配偶者の扶養と法人化の全体像は個人事業主の法人化の目安にまとめています。

まとめ

  • 熊本市・61歳・年商1,300万円の中小企業診断士は、妻が56歳なら法人化で年2.3万円の不利でほぼ互角
  • 本人の国民年金は60歳でなくなっていても、60歳未満の妻の国民年金(年21.5万円)は法人化で第3号になって消える
  • 損益分岐は妻56歳1,182万円、妻62歳1,302万円、単身1,372万円
  • 効果が続くのは、妻が60歳になるか社長が65歳になるまで。このケースではおよそ4年

判定ツールでは、本人の年齢と配偶者の年齢(60歳未満か)を別々に指定できます。夫婦の年齢の組み合わせで確かめてください。

よくある質問

妻が60歳になったら、第3号被保険者はどうなりますか?

60歳になると第3号被保険者ではなくなります。もともと国民年金の加入は60歳までなので、個人のままでも妻の国民年金はなくなります。そこから先は、配偶者がいることによる法人化の効果が小さくなります。

社長が65歳になったら、妻はどうなりますか?

65歳以上で老齢年金を受け取れる人は第2号被保険者から外れるため、60歳未満の妻は第3号被保険者になれなくなり、自分で国民年金を払うことになります。妻の年齢との組み合わせで、法人化の効果が途中で変わります。

妻の第3号の手続きは誰がしますか?

第3号被保険者の届出は、配偶者である社長の勤務先、つまり自分の会社を通じて行います。法人化して健康保険・厚生年金に入るときに、妻を被扶養者にする届出とあわせて出します。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。