法人化の判断

建設業許可の個人業者は2000年の15.8万から6.6万に。資本金200万円未満の法人は49倍

結論

国土交通省の建設業許可業者数調査では、許可業者のうち個人は平成12年(2000年)3月末の15万8,227業者から令和8年(2026年)3月末の6万5,733業者へ58.5%減り、構成比は26.3%から13.6%に下がりました。一方、資本金200万円未満の法人は同じ期間に725業者から3万5,389業者へ49倍に増えています。許可業者の総数は19.5%減にとどまっており、個人の減少の一部は小さな資本金での法人化に置き換わったと読めます。

  • 資本金200万円以上500万円未満の法人は13万1,351から10万9,134へ減っており、増えたのは200万円未満の階層だけ
  • 建設業許可は個人から法人へ自動では移らず、事前に認可を受けたときだけ法人が地位を承継する(建設業法17条の2)
  • 令和7年度の建設業許可の承継の認可は1,092件で、うち譲渡及び譲受けが954件

建設業は、一人親方を含めて個人事業主の多い業種です。その建設業でも、許可を持つ業者のうち個人の割合ははっきり下がり続けています。国土交通省が毎年公表している建設業許可業者数調査の資本金階層別の推移から、個人と小さな資本金の法人の数を並べました。

個人は26年で58.5%減

建設業許可業者数調査(令和8年3月末現在)の表-5から、各年3月末の許可業者数を抜き出しました。

年(3月末)総業者数個人個人の構成比資本金200万円未満の法人資本金200万円以上500万円未満の法人
1994年543,033170,26431.4%33,060111,041
2000年600,980158,22726.3%725131,351
2004年558,857132,67523.7%754128,347
2008年507,528106,06420.9%2,491122,283
2012年483,63997,02120.1%6,732117,075
2016年467,63585,32118.2%12,111111,101
2020年472,47375,82316.0%20,306110,397
2024年479,38367,78014.1%30,012109,706
2026年483,82365,73313.6%35,389109,134

※ 国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について(令和8年3月末現在)」表-5(各年3月末現在)。1994〜2026年の33年分を元データ data/official/kensetsu-kyoka-r08/derived.csv に収録し、PDFからの抽出は scripts/kensetsu-kyoka-kojin-suii.py(個人の構成比が公表値と一致することを検算)

許可業者の総数が最も多かったのは2000年3月末の60万980業者で、2026年3月末は48万3,823業者、19.5%の減少です。そのなかで個人は15万8,227から6万5,733へ、**58.5%**減りました。構成比は26.3%から13.6%になっています。

増えたのは資本金200万円未満の法人だけ

対照的なのが、資本金200万円未満の法人です。2000年3月末に725業者しかなかったのが、2026年3月末には3万5,389業者と49倍になりました。すぐ上の資本金200万円以上500万円未満の法人は13万1,351から10万9,134へ減っているので、増えたのは本当に小さな資本金の階層だけです。

会社法では、設立時に出資する財産の額に下限がなく、小さな資本金でも株式会社や合同会社を作れます。個人の許可業者が減っていく時期に、資本金200万円未満の法人がほぼ一直線に増えているので、一人親方や家族経営の工務店が少額の資本金で法人化した分がここに含まれていると考えられます(統計は個々の業者の経緯を追っていないので、個人から法人に移った数そのものは分かりません)。

なお1994年に3万3,060あった資本金200万円未満の法人は、1998年には738まで急減しています。この時期の減少の理由は表からは分かりません。

建設業の法人化で決めること

建設業の個人業者が法人化する場合、税金と社会保険の損得に加えて、許可と保険の手続きが絡みます。

  • 建設業許可の承継。個人の許可は法人へ自動では移らず、事前に認可を受ければ法人が地位を承継できる(建設業法17条の2)。令和7年度の承継の認可は1,092件で、譲渡及び譲受けが954件だった(法人成りで許認可は引き継げるか)
  • 建設国保と労災の特別加入。法人化すると原則として協会けんぽへ移り、労災の特別加入も枠を確認し直す(一人親方の法人化)
  • 資本金の額。小さな資本金でも設立できるが、取引先の与信や融資の審査で資本金の額を見られることがある(法人化の資本金は1,000万円未満か)

法人化で手取りがどう変わるかは、売上ではなく事業所得で決まります(法人化の目安は所得いくらからか)。建設業は外注費や材料費が大きく、売上が大きくても所得はそれほどでもないことがよくあります。自分の売上と経費を入れて、法人化した場合の手取りを確かめてください。

まとめ

  • 建設業許可業者のうち個人は2000年3月末の15万8,227から2026年3月末の6万5,733へ58.5%減
  • 個人の構成比は26.3%から13.6%に下がった
  • 資本金200万円未満の法人は725から3万5,389へ49倍。増えたのはこの階層だけ
  • 小さな資本金での法人化が個人の減少の一部を置き換えたと読めるが、個々の移行は統計で追えない
  • 建設業の法人化は、許可の承継・建設国保・労災の特別加入もあわせて決める

よくある質問

建設業許可を持つ個人事業主はどれくらいいますか。

国土交通省の調査では、令和8年3月末の建設業許可業者48万3,823業者のうち、個人は6万5,733業者(13.6%)です。平成12年3月末の15万8,227業者から58.5%減っています。

個人の建設業許可は法人に引き継げますか。

建設業法17条の2により、個人事業を法人に譲り渡す前に国土交通大臣または都道府県知事の認可を受ければ、法人が許可業者の地位を承継できます。認可を受けずに法人を作った場合は、法人として新たに許可を取り直します。

資本金200万円未満の建設会社はなぜ増えたのですか。

統計は理由を示していません。会社法では設立時の出資額に下限がなく、小さな資本金でも株式会社や合同会社を作れます。個人の許可業者が減った時期と重なって増えているので、一人親方などの小さな法人化が含まれていると考えられます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。