社会保険

神戸市の国民健康保険料(令和8年度)。個人事業主の法人化の分岐点は1,279万円

結論

神戸市の令和8年度の国民健康保険料は、単身・40歳未満・事業所得600万円で年67万887円です。所得割の合計10.61%は東京23区(10.58%)とほぼ同じで、差はどの所得でも年1.5万円以内に収まります。子どもがいる世帯は、2024年度で廃止された「18歳以下1人33万円」の独自控除の緩和措置が令和8年度は67%残り、夫婦と子2人・事業所得500万円なら年66.1万円ですが、2030年度には70.8万円になる計算です。単身・40歳未満なら、法人化の損益分岐は売上−経費1,279万円です。

  • 所得割は東京23区とほぼ同じだが、平等割31,370円がある。単身では東京23区より年1.3万〜1.5万円高い
  • 大阪市とは単身・事業所得600万円で13.7万円の差。864万円を超えると大阪市のほうが安くなる
  • 法人化の損益分岐は神戸市・協会けんぽ兵庫支部で1,279万円。兵庫支部の料率10.12%と県民緑税の均等割が効く

神戸市の国保は、所得割の高さが東京23区とほとんど変わりません。違いは、世帯ごとにかかる平等割があることと、子どもがいる世帯の保険料が2030年度まで毎年上がっていく途中にあることです。神戸市は18歳以下の子1人につき33万円を所得から引く独自控除を持っていましたが、2024年度で廃止し、いまは差額を少しずつ減らす緩和措置の期間にあります。

以下は、神戸市の令和8年度の公表料率を当サイトの計算エンジンに入れた結果です。自治体を並べた比較は国民健康保険料が高い市・安い市を比較にあります。

令和8年度の料率

区分所得割均等割(1人)平等割(1世帯)賦課限度額
医療分7.38%33,700円21,800円67万円
後期高齢者支援金分2.97%13,510円8,740円26万円
介護分(40〜64歳)2.78%13,970円6,880円17万円
子育て支援金分0.26%1,280円+18歳以上1人50円830円3万円

※ 神戸市 国民健康保険料の額。子育て支援金分は「子ども子育て支援金分」

40歳未満の3区分を合わせると、所得割10.61%、均等割は大人1人48,540円、平等割は1世帯31,370円です。東京23区(所得割10.58%・均等割67,073円・平等割なし)と比べて所得割はほぼ同じで、均等割は1.9万円低く、そのかわり平等割が3.1万円あります。単身なら固定部分の合計は神戸市が1.3万円ほど多くなります。

所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除43万円を引いた額に掛けます。個人事業主なら青色申告特別控除を引いた後の事業所得が出発点です。

単身・事業所得600万円で年67.1万円

旧ただし書所得は600万円−43万円=557万円です。

区分所得割均等割平等割小計
医療分411,066円33,700円21,800円466,566円
後期高齢者支援金分165,429円13,510円8,740円187,679円
子ども・子育て支援金分14,482円1,330円830円16,642円
合計670,887円

年67万887円です。国民年金(年21万5,040円)を足すと88万5,927円になります。東京23区の同条件は65万6,379円なので、差は年1万4,508円です。40〜64歳なら介護分17万円(この所得で上限)が加わり、84万887円になります。

東京23区とは「ほぼ並走」、大阪市とは大差

事業所得神戸市大阪市東京23区東京23区との差
100万円14.0万円16.6万円12.7万円+1.3万円
300万円35.3万円42.3万円33.9万円+1.4万円
500万円56.5万円68.0万円55.1万円+1.4万円
600万円67.1万円80.8万円65.6万円+1.5万円
700万円77.7万円90.3万円76.2万円+1.5万円
800万円88.3万円93.7万円86.8万円+1.5万円
900万円95.4万円94.6万円95.3万円+0.2万円
1,000万円95.7万円94.9万円95.8万円−0.1万円

※ 単身・40歳未満・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準

所得割の率がほぼ同じなので、東京23区との差はどの所得でも1.3万〜1.5万円の幅に収まります。差の正体はほぼ固定部分(均等割と平等割)の違いだけです。907万円を超えると東京23区のほうがわずかに高くなります。

隣の大阪市とは大きく違います。大阪市は所得割12.84%と収録63市区で長崎市に次いで高いので、単身・事業所得600万円なら神戸市のほうが13.7万円安い計算です。ただし大阪市は所得割が高いぶん上限に早く届き、医療分の上限も66万円と1万円低いので、864万円を超えると大阪市のほうが安くなります。大阪市の計算は大阪市の国民健康保険料はなぜ高いのかで扱っています。

収録63市区の中では、単身・事業所得600万円で35番目と、真ん中よりやや安い側です。

同じ兵庫県の姫路市は均等割と平等割が神戸市より低く、単身・事業所得600万円で1.4万円安くなります。ただし子どもがいる世帯は、下の緩和措置があるぶん令和8年度は神戸市のほうが安くなります(姫路市の国民健康保険料)。

子どもがいる世帯は、2030年度まで毎年上がる

神戸市は2024年度まで、所得割を計算するときに次の額を所得から引いていました。

  • 18歳以下の子ども:1人33万円
  • 障害者、ひとり親・寡婦:1人26万円(税の申告で認定されている人)
  • 同居の特別障害者:1人53万円

この独自控除は2024年度を最後に廃止されました。保険料が一度に上がらないよう、2025年度からは**「控除があった場合となかった場合の保険料の差額」に調整割合を掛けた額を差し引く**緩和措置が続いています。調整割合は2025年度84%、2026年度67%、2027年度50%で、2030年度に0%になります。

世帯事業所得300万円500万円700万円1,000万円
単身・40歳未満35.3万円56.5万円77.7万円95.7万円
夫婦・40歳未満40.1万円61.3万円82.6万円95.8万円
夫婦+子1人(小学生)42.5万円63.7万円84.9万円95.8万円
夫婦+子2人(小学生)44.9万円66.1万円87.3万円95.7万円
単身・40〜64歳44.5万円71.3万円94.7万円112.7万円

※ 神戸市・青色申告特別控除後の事業所得/2026年(令和8年)分 基準。子どもがいる世帯は緩和措置(調整割合67%)を入れて計算。介護分は本人のみで計算

33万円の控除がまるごと効けば、40歳未満で保険料は子1人あたり年35,013円下がります。令和8年度はその67%、約2.3万円が残っている状態です。

夫婦と子2人・事業所得500万円で年度ごとに並べると、次のようになります。

年度調整割合年間保険料
2026年度(令和8年度)67%66万830円
2027年度50%67万2,734円
2030年度0%70万7,747円

※ 料率と所得は令和8年度のまま固定して、調整割合だけを動かした試算

所得も料率も変わらなくても、2030年度までに年4.7万円上がる計算です。実際には毎年の料率改定も加わります。子育て世帯が神戸市の国保の負担を見積もるときは、今年度の通知額ではなく、この上がり幅を前提にしたほうが安全です。

それでも東京23区と比べると、令和8年度の夫婦と子2人・事業所得500万円は8.7万円安い位置にあります。家族の均等割が東京23区より小さく、平等割は世帯に1回だけだからです。

上限に達するのは単身で1,114万円

単身・40歳未満の場合、支援金分は844万円、医療分は876万円で上限に達します。全区分の合計が年96万円に届くのは1,114万円ですが、900万円の時点で95.4万円なので、実質的にはそこで頭打ちです。40〜64歳の上限は年113万円です。

法人化の分岐点は1,279万円

条件損益分岐(売上−経費)
東京23区・協会けんぽ東京支部(単身)1,266万円
神戸市の国保のみ(協会けんぽは東京支部・単身)1,266万円
神戸市・協会けんぽ兵庫支部(単身)1,279万円
神戸市・配偶者(無収入)あり1,016万円
神戸市・単身・40〜64歳1,256万円

※ 40歳未満(注記以外)・経費200万円・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社。損益分岐は青色申告特別控除の前の金額。緩和措置は入れていない/2026年(令和8年)分 基準

国保だけを神戸市に置き換えても、分岐点は東京23区と同じです。分岐点の付近ではどちらも国保が上限にあるためです。13万円上がるのは法人側の事情で、協会けんぽ兵庫支部の健康保険料率(令和8年度10.12%)が東京支部(9.85%)より高いことに加え、法人住民税の均等割に兵庫県の県民緑税(令和8年4月以後に開始する事業年度から均等割の10%相当)が乗って年72,000円になります。均等割の自治体差は法人住民税の均等割は自治体で違うにまとめています。

子どもの緩和措置が縮んでいくと、個人のままでいる負担は毎年少しずつ増えます。ただし法人化を考える所得帯では国保がもともと上限近くにあるので、分岐点を動かすほどの差にはなりません。

まとめ

  • 神戸市の令和8年度の国保は、所得割10.61%・均等割48,540円・平等割31,370円(40歳未満)
  • 単身・事業所得600万円で年67万887円。東京23区との差は所得にかかわらず1.5万円以内。大阪市より13.7万円安い
  • 18歳以下の子1人33万円の独自控除は2024年度で廃止。令和8年度は差額の67%を残す緩和措置で、2030年度に0%
  • 夫婦と子2人・事業所得500万円は年66.1万円。料率が同じでも2030年度には70.8万円になる
  • 法人化の分岐点は1,279万円。協会けんぽ兵庫支部の料率と県民緑税が効く

子どもがいる世帯の国保は、神戸市では数年かけて上がっていきます。法人化を比べるときは、今年の通知額だけでなく自分の売上と経費で、数年先まで確かめてください。

よくある質問

神戸市独自の所得控除はいつなくなりましたか?

2024年度の保険料を最後に廃止されました。対象は18歳以下の子ども(1人33万円)、障害者・ひとり親・寡婦(1人26万円)などでした。2025年度からは、控除がある場合とない場合の保険料の差額に調整割合を掛けた額を差し引く緩和措置が続いています。

緩和措置の割合は毎年どう変わりますか?

神戸市の案内では、2025年度84%、2026年度67%、2027年度50%で、2030年度に0%になります。子どもがいる世帯の保険料は、所得が同じでも2030年度まで毎年少しずつ上がります。

神戸市の国保は区で違いますか?

違いません。料率は市内9区で共通です。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。