社会保険
国民年金だけの人の年金は平均月5.4万円。38.5%は月5万円未満(年金事業の概況)
結論
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和6年度末)では、厚生年金も共済年金も受けていない国民年金だけの老齢年金受給権者は444万2,745人で、平均年金月額は5万4,412円です。38.5%は月5万円未満、86.0%は月7万円未満でした。厚生年金(第1号)の受給権者の平均は基礎年金を含めて月15万289円です。法人化して役員報酬 月54万円で20年加入すると、厚生年金は年69万7,183円(月5.8万円)上乗せされます(当サイト試算)。
- 国民年金だけの人の平均月額5万4,412円は、満額の老齢基礎年金を下回る。保険料を納めていない期間や繰上げ受給で減る人が多いため
- 厚生年金(第1号)の平均月額は男子16万9,967円・女子11万1,413円。受給権者のほぼ半数(49.9%)が月15万円以上を受け取る
- 統計の平均の差(月9万5,877円)は会社員として長く働いた人との差で、法人化で同じ額が増えるわけではない
このテーマの全体像 一人社長の社会保険料はいくらか
個人事業主のままでいると、老後の公的年金は原則として国民年金(老齢基礎年金)だけです。法人化して厚生年金に入るかどうかを考えるとき、「国民年金だけだと実際にいくらになるのか」は手取りの比較と並ぶ判断材料になります。厚生労働省が毎年公表している年金事業の概況から、受け取っている人の実際の分布を確かめました。
国民年金だけの人は平均月5万4,412円
「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和6年度)の参考資料4には、国民年金の老齢年金受給権者が年金月額の階級別に載っています。このうち「基礎のみ共済なし・旧国年」は、厚生年金も共済年金も受けていない、国民年金だけの人です。
| 年金月額 | 人数 | 割合 | 累積 |
|---|---|---|---|
| 1万円未満 | 19,523人 | 0.4% | 0.4% |
| 1万〜2万円未満 | 71,505人 | 1.6% | 2.0% |
| 2万〜3万円未満 | 199,242人 | 4.5% | 6.5% |
| 3万〜4万円未満 | 648,880人 | 14.6% | 21.1% |
| 4万〜5万円未満 | 771,673人 | 17.4% | 38.5% |
| 5万〜6万円未満 | 912,269人 | 20.5% | 59.0% |
| 6万〜7万円未満 | 1,199,789人 | 27.0% | 86.0% |
| 7万円以上 | 619,864人 | 14.0% | 100.0% |
| 計 | 4,442,745人 | 平均 月54,412円 |
※ 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」参考資料4(令和6年度末現在)。旧法国民年金(5年年金を除く)を含む。元データは data/official/nenkin-jigyo-gaikyo-r06/、PDFからの抽出は scripts/nenkin-getsugaku-bunpu-r06.py(階級別の合計=合計を検算)、表は scripts/nenkin-getsugaku-bunpu-r06.mjs
国民年金だけの人の38.5%は月5万円未満、86.0%は月7万円未満です。老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間すべて保険料を納めると満額になり、納めていない期間があると減ります。60歳からの繰上げ受給を選んだ人も減額されます。平均が満額を下回るのは、こうした人が多いためです。
厚生年金の人は平均月15万289円
同じ資料の参考資料3から、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者の分布です。この平均には基礎年金の月額も含まれます。
| 年金月額 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 7万円未満 | 661,388人 | 4.1% |
| 7万〜10万円未満 | 2,392,586人 | 14.9% |
| 10万〜15万円未満 | 5,016,238人 | 31.2% |
| 15万〜20万円未満 | 4,987,811人 | 31.0% |
| 20万〜25万円未満 | 2,662,397人 | 16.6% |
| 25万円以上 | 365,276人 | 2.3% |
| 計 | 16,085,696人 | 平均 月150,289円 |
※ 参考資料3(令和6年度末現在)。65歳未満で報酬比例部分のみを受け取る人を含む
平均は男子16万9,967円、女子11万1,413円です。月15万円以上が49.9%を占めます。
平均の差がそのまま法人化の効果ではない
国民年金だけの人と厚生年金の人の平均の差は、月9万5,877円(年115万524円)です。ただし、これは会社員として長く厚生年金に入っていた人と、ずっと国民年金だけだった人の差です。法人化して何年加入するか、役員報酬をいくらにするかで、上乗せされる額は大きく変わります。
当サイトの試算では、役員報酬 月54万円(標準報酬月額53万円)で厚生年金に加入すると、報酬比例部分は1年加入するごとに年約3.5万円ずつ増え、20年で年69万7,183円(月5.8万円)になります(法人化で厚生年金はいくら増えるか)。国民年金だけの平均(月5万4,412円)に月5.8万円が上乗せされると、月11万円台になる計算です。
一人社長の社会保険料は会社負担分も自分の会社が出すので、単年の手取りは減ります(一人社長の社会保険料)。法人化を単年の手取りだけで判断すると、この年金の上乗せが抜け落ちます。
個人事業主のまま年金を増やす手段
法人化しなくても、国民年金に上乗せする制度はあります。国民年金基金・付加年金・iDeCo・小規模企業共済で、いずれも掛金が所得控除になります。どれを使うかで、法人化したときに続けられるかどうかも変わります(国民年金基金は法人成りで自動脱退)。
国民年金だけの平均月5万4,412円は、老後の生活費の基礎として十分とは言いにくい水準です。法人化で厚生年金に入るか、個人のまま上乗せの制度を使うかは、手取りの差と将来の年金をあわせて比べる問題です。判定ツールで自分の売上と経費の手取りの差を出し、その差と年金の上乗せを並べて考えてください。
まとめ
- 国民年金だけの老齢年金受給権者は444万2,745人、平均年金月額は5万4,412円(令和6年度末)
- その38.5%は月5万円未満、86.0%は月7万円未満
- 厚生年金(第1号)の受給権者の平均は基礎年金を含め月15万289円。受給権者のほぼ半数(49.9%)が月15万円以上
- 平均の差(月9万5,877円)は法人化の効果ではない。役員報酬 月54万円・20年で上乗せは年69万7,183円
- 個人のままなら国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済などで上乗せする手段もある
よくある質問
自営業者の年金は平均いくらですか。
厚生労働省の統計(令和6年度末)で、厚生年金も共済年金も受けていない国民年金だけの老齢年金受給権者の平均年金月額は5万4,412円です。自営業者だけを集計した統計ではありませんが、ずっと個人事業主だった人の年金に近い集団です。
国民年金だけで月7万円以上もらえる人はどれくらいいますか。
国民年金だけの人444万2,745人のうち、月7万円以上は61万9,864人(14.0%)です。繰下げ受給や付加年金などで満額を上回る人が含まれます。
法人化すると年金はいくら増えますか。
役員報酬と加入年数で決まります。当サイトの試算では、役員報酬 月54万円で20年加入すると厚生年金の報酬比例部分が年69万7,183円上乗せされます。統計の厚生年金受給者の平均と国民年金だけの人の平均の差(月9万5,877円)とは別の数字です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。