法人化の判断

中小法人の交際費は1社平均いくら?国税庁の統計で資本金別に数えた

結論

国税庁の令和6年度分の会社標本調査を当サイトで再集計すると、資本金1億円以下で交際費等を支出した黒字法人の1社平均は211.5万円、赤字法人は104.4万円です。資本金500万円以下の黒字法人では138万〜151万円で、800万円の定額控除限度額の5分の1程度にとどまります。

  • 資本金1億円以下の黒字法人の86.4%、赤字法人の81.5%が交際費等を支出している(近似値)
  • 資本金1,000万円以下の黒字法人では、交際費等のうち損金不算入になった割合は4.8〜13.1%。5,000万円超1億円以下では52.2%に上がる
  • 1人1万円以下の飲食費は交際費等から除かれるため、この統計の交際費等にも入っていない

「法人化すれば交際費が使える」「交際費は800万円まで」という話は、個人事業主が法人化を考えるときによく出てきます。では、実際の中小法人は交際費をいくら使っているのでしょうか。

国税庁の会社標本調査には、資本金階級別に交際費等の支出額をまとめた表があります。これを1社平均に直すと、800万円という上限がどれだけ遠い数字かが分かります。

資本金1億円以下の黒字法人は、1社平均211.5万円

国税庁「令和6年度分 会社標本調査」第6表(寄附金、交際費等)の合計シートから、資本金1億円以下の法人を資本金階級別に再集計しました。法人数は同じ調査の第9表です。

【利益計上法人】

資本金法人数交際費等を支出した法人支出法人の割合1社平均の支出額うち損金不算入の割合
100万円以下269,419社221,723社82.3%151.4万円8.4%
100万円超200万円以下34,440社29,663社86.1%137.8万円4.8%
200万円超500万円以下406,743社349,815社86.0%149.9万円6.6%
500万円超1,000万円以下280,396社247,384社88.2%214.2万円13.1%
1,000万円超2,000万円以下71,714社65,961社92.0%300.4万円18.8%
2,000万円超5,000万円以下81,476社73,897社90.7%412.2万円29.1%
5,000万円超1億円以下33,257社28,609社86.0%761.3万円52.2%
1億円以下計1,177,445社1,017,052社86.4%211.5万円17.4%

【欠損法人】

資本金法人数交際費等を支出した法人支出法人の割合1社平均の支出額うち損金不算入の割合
100万円以下416,234社330,210社79.3%103.1万円3.4%
100万円超200万円以下60,385社49,063社81.3%92.8万円2.7%
200万円超500万円以下738,626社604,358社81.8%85.6万円2.7%
500万円超1,000万円以下418,362社343,439社82.1%108.0万円5.7%
1,000万円超2,000万円以下70,902社60,958社86.0%145.6万円8.8%
2,000万円超5,000万円以下71,710社61,005社85.1%182.9万円14.4%
5,000万円超1億円以下26,794社21,101社78.8%285.4万円30.0%
1億円以下計1,803,013社1,470,134社81.5%104.4万円5.9%

※ 国税庁「令和6年度分 会社標本調査」第6表(合計)を当サイトで再集計。法人数は第9表(通算法人を含む)、第6表の資本金階級別の行は通算法人を含まないため、支出法人の割合は近似値。交際費等には、1人1万円以下の飲食費など交際費等から除かれるものは含まれない

法人成りした一人会社の多くは、資本金500万円以下の階級に入ります。この帯の黒字法人の1社平均は138万〜151万円です。赤字法人では86万〜103万円です。

1社平均は、交際費等を支出した法人だけで割った値です。支出が0円の法人は分母に入っていません。また、平均は支出の大きい一部の法人に引っ張られます。「典型的な会社が使っている額」は、この平均よりさらに小さいと考えるのが自然です。

800万円の上限に届く会社は、小さな階級ほど少ない

資本金1億円以下の法人は、交際費等のうち年800万円までを損金に算入できます(定額控除限度額)。接待飲食費の50%を損金に算入する方法と、どちらか有利なほうを選べます。

平均が150万円前後なら、ほとんどの会社は800万円の枠を使い切っていないはずです。表の「損金不算入の割合」がそれを裏付けています。資本金1,000万円以下の黒字法人では、交際費等のうち損金にならなかった額は**4.8〜13.1%**にとどまります。

それでも0%ではありません。理由は2つ考えられます。

  • 交際費等が800万円を超える一部の法人がある
  • 資本金1億円以下でも、資本金5億円以上の大法人に100%保有されている子会社などは、定額控除限度額を使えない(国税庁 No.5800)

どちらの理由でどれだけ不算入になったかは、この表からは分けられません。ただ、平均が上がる資本金5,000万円超1億円以下の階級で、不算入の割合が52.2%に跳ね上がることは確認できます。800万円の上限が効いてくるのは、交際費を年数百万円単位で使う規模の会社です。

1人1万円以下の飲食費は、統計にも入っていない

国税庁のNo.5265によれば、得意先などとの飲食費で、参加者1人あたり1万円以下のものは交際費等から除かれます。令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下が基準でした。この扱いを受けるには、飲食の日付・参加者の氏名と関係・人数・金額・店名などを記載した書類の保存が必要です。

除かれた飲食費は、会議費など通常の損金として処理されます。つまり、会社標本調査の交際費等には入っていません。統計の1社平均は、1万円以下の会食を除いた後の額です。一人会社の打ち合わせ程度の飲食は、そもそも交際費等に数えられていない可能性があります。

法人化の判定に、交際費の上限はまず効かない

個人事業主の交際費には上限がありません。事業の遂行上必要なら、全額が必要経費になります。法人だけに800万円の定額控除限度額があるので、理屈の上では「交際費が多い人は法人化で不利になる」ことがあり得ます。

ただし、その差が出るのは交際費が800万円を超えたときだけです。当サイトの計算では、交際費が800万円以下なら、法人化の損益分岐点は交際費が0円のときと1円も変わりません(交際費800万円の上限があるのは法人だけ)。統計で見た小さな会社の平均150万円前後は、その5分の1程度です。

逆に「法人化すれば交際費が使えるようになる」という期待も、統計からは支持されません。交際費は個人事業主でも経費になり、法人化で増えるのは上限という制約の側です。法人化で変わるのは、経費の範囲ではなく、役員報酬・社会保険・法人税の組み合わせです。

同じ会社標本調査からは、法人の6割が欠損法人であること(「法人の6割が赤字」は本当か)や、黒字の中小法人の所得の分布(黒字の中小法人の64%は所得800万円以下)も数えています。

まとめ

  • 国税庁の会社標本調査(令和6年度分)で、資本金1億円以下の黒字法人の交際費等は1社平均211.5万円、赤字法人は104.4万円
  • 一人会社が多い資本金500万円以下の黒字法人では138万〜151万円。平均は大口の支出に引っ張られるため、典型的な額はこれより小さい
  • 資本金1,000万円以下の黒字法人では、交際費等のうち損金不算入は4.8〜13.1%。800万円の上限が効くのは一部の会社に限られる
  • 1人1万円以下の飲食費は交際費等から除かれ、統計にも入っていない

交際費の額は、法人化するかどうかの判定をほとんど動かしません。一般論の数字ではなく、自分の売上と経費で事業所得を出し、判定ツールで役員報酬まで含めて確かめてください。

よくある質問

一人会社の交際費は、年いくらまでなら税務署に否認されませんか?

統計の平均額は、否認されない上限の目安にはなりません。交際費等として損金に算入できるかは、得意先など事業に関係のある者への接待かどうかという支出の中身で決まります。資本金1億円以下の法人なら、年800万円までの定額控除限度額か、接待飲食費の50%のいずれかを選べます。

統計の交際費等には、社内の飲み会も含まれますか?

専ら従業員の慰安のための旅行や運動会の費用は交際費等から除かれます。一方、専ら役員・従業員やその親族への接待のための飲食費は、1人1万円以下でも交際費等に含まれます。

個人事業主の交際費には上限がありますか?

個人事業主の交際費には、法人のような定額控除限度額の上限はありません。事業の遂行上必要な支出であれば必要経費になります。上限があるのは法人の側です。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。