社会保険

協会けんぽの料率推移(令和3〜8年度)。47支部の最安・最高は6年でどう動いたか

結論

令和3〜8年度の6年間、協会けんぽの健康保険料率が最も高い支部は毎年佐賀県で、最も低い支部は令和7年度(沖縄県)を除いて新潟県でした。1つの支部の中で最高の年と最低の年の差は中央値で0.28ポイントにとどまり、支部間の差(毎年1.07〜1.49ポイント)より小さいため、どの県に事業所があるかで決まる差のほうが、年ごとの変動より大きい構造です。

  • 47支部のうち41支部で、令和8年度の料率は令和3年度より低い。上がったのは宮城・群馬・東京・愛知・滋賀の5支部
  • 役員報酬 月54万円の一人社長だと、東京都の健康保険料(労使合計)は6年間で年62.4万〜63.6万円の間を動き、振れ幅は年1万2,084円
  • 6年間の振れ幅が最も大きいのは沖縄県の0.65ポイント。年41,340円分(同じ報酬)の差になる

協会けんぽの健康保険料率は、毎年3月分の保険料から支部ごとに改定されます。今年の料率表だけを見ると「この県は高い」「あの県は安い」と言えますが、それが毎年同じ順番なのかは1年分では分かりません。協会けんぽが毎年公表している料率ページを6年度分つなげ、支部の差と年ごとの変動のどちらが大きいかを確かめました。

47支部の6年間の料率

協会けんぽの料率ページは各年度、前年度と当年度の2列で載っています。令和4〜8年度の5ページから令和3〜8年度の6年度分を復元し、隣り合うページで前年度の値が一致することを確認しました(令和8年度は当サイトの税率データとも一致)。

支部令和3年度令和4年度令和5年度令和6年度令和7年度令和8年度6年間の変化最高と最低の幅
北海道10.45%10.39%10.29%10.21%10.31%10.28%−0.17pt0.24pt
青森県9.96%10.03%9.79%9.49%9.85%9.85%−0.11pt0.54pt
岩手県9.74%9.91%9.77%9.63%9.62%9.51%−0.23pt0.40pt
宮城県10.01%10.18%10.05%10.01%10.11%10.10%+0.09pt0.17pt
秋田県10.16%10.27%9.86%9.85%10.01%10.01%−0.15pt0.42pt
山形県10.03%9.99%9.98%9.84%9.75%9.75%−0.28pt0.28pt
福島県9.64%9.65%9.53%9.59%9.62%9.50%−0.14pt0.15pt
茨城県9.74%9.77%9.73%9.66%9.67%9.52%−0.22pt0.25pt
栃木県9.87%9.90%9.96%9.79%9.82%9.82%−0.05pt0.17pt
群馬県9.66%9.73%9.76%9.81%9.77%9.68%+0.02pt0.15pt
埼玉県9.80%9.71%9.82%9.78%9.76%9.67%−0.13pt0.15pt
千葉県9.79%9.76%9.87%9.77%9.79%9.73%−0.06pt0.14pt
東京都9.84%9.81%10.00%9.98%9.91%9.85%+0.01pt0.19pt
神奈川県9.99%9.85%10.02%10.02%9.92%9.92%−0.07pt0.17pt
新潟県9.50%9.51%9.33%9.35%9.55%9.21%−0.29pt0.34pt
富山県9.59%9.61%9.57%9.62%9.65%9.59%±0.00pt0.08pt
石川県10.11%9.89%9.66%9.94%9.88%9.70%−0.41pt0.45pt
福井県9.98%9.96%9.91%10.07%9.94%9.71%−0.27pt0.36pt
山梨県9.79%9.66%9.67%9.94%9.89%9.55%−0.24pt0.39pt
長野県9.71%9.67%9.49%9.55%9.69%9.63%−0.08pt0.22pt
岐阜県9.83%9.82%9.80%9.91%9.93%9.80%−0.03pt0.13pt
静岡県9.72%9.75%9.75%9.85%9.80%9.61%−0.11pt0.24pt
愛知県9.91%9.93%10.01%10.02%10.03%9.93%+0.02pt0.12pt
三重県9.81%9.91%9.81%9.94%9.99%9.77%−0.04pt0.22pt
滋賀県9.78%9.83%9.73%9.89%9.97%9.88%+0.10pt0.24pt
京都府10.06%9.95%10.09%10.13%10.03%9.89%−0.17pt0.24pt
大阪府10.29%10.22%10.29%10.34%10.24%10.13%−0.16pt0.21pt
兵庫県10.24%10.13%10.17%10.18%10.16%10.12%−0.12pt0.12pt
奈良県10.00%9.96%10.14%10.22%10.02%9.91%−0.09pt0.31pt
和歌山県10.11%10.18%9.94%10.00%10.19%10.06%−0.05pt0.25pt
鳥取県9.97%9.94%9.82%9.68%9.93%9.86%−0.11pt0.29pt
島根県10.03%10.35%10.26%9.92%9.94%9.94%−0.09pt0.43pt
岡山県10.18%10.25%10.07%10.02%10.17%10.05%−0.13pt0.23pt
広島県10.04%10.09%9.92%9.95%9.97%9.78%−0.26pt0.31pt
山口県10.22%10.15%9.96%10.20%10.36%10.15%−0.07pt0.40pt
徳島県10.29%10.43%10.25%10.19%10.47%10.24%−0.05pt0.28pt
香川県10.28%10.34%10.23%10.33%10.21%10.02%−0.26pt0.32pt
愛媛県10.22%10.26%10.01%10.03%10.18%9.98%−0.24pt0.28pt
高知県10.17%10.30%10.10%9.89%10.13%10.05%−0.12pt0.41pt
福岡県10.22%10.21%10.36%10.35%10.31%10.11%−0.11pt0.25pt
佐賀県10.68%11.00%10.51%10.42%10.78%10.55%−0.13pt0.58pt
長崎県10.26%10.47%10.21%10.17%10.41%10.06%−0.20pt0.41pt
熊本県10.29%10.45%10.32%10.30%10.12%10.08%−0.21pt0.37pt
大分県10.30%10.52%10.20%10.25%10.25%10.08%−0.22pt0.44pt
宮崎県9.83%10.14%9.76%9.85%10.09%9.77%−0.06pt0.38pt
鹿児島県10.36%10.65%10.26%10.13%10.31%10.13%−0.23pt0.52pt
沖縄県9.95%10.09%9.89%9.52%9.44%9.44%−0.51pt0.65pt

※ 健康保険料率(介護保険料率・子ども・子育て支援金率は含まない)。各年度3月分(4月納付分)から適用。元データは data/official/kyokai-ryouritsu-suii/、表は scripts/kyokai-ryouritsu-suii.mjs で再生成できる

令和8年度の料率が令和3年度より低い支部は41支部、高い支部は宮城・群馬・東京・愛知・滋賀の5支部、富山県は同じでした。

最安・最高の支部はほとんど入れ替わらない

年度ごとに、最も低い支部と最も高い支部を抜き出しました。

年度最低の支部最高の支部最高と最低の差47支部の単純平均
令和3年度新潟県 9.50%佐賀県 10.68%1.18pt10.01%
令和4年度新潟県 9.51%佐賀県 11.00%1.49pt10.05%
令和5年度新潟県 9.33%佐賀県 10.51%1.18pt9.96%
令和6年度新潟県 9.35%佐賀県 10.42%1.07pt9.95%
令和7年度沖縄県 9.44%佐賀県 10.78%1.34pt10.00%
令和8年度新潟県 9.21%佐賀県 10.55%1.34pt9.87%

※ 単純平均は47支部の料率をそのまま平均したもので、加入者数による加重はしていない

最高は6年間すべて佐賀県、最低は令和7年度だけ沖縄県で、ほかの5年は新潟県です。支部間の差は毎年1.07〜1.49ポイントありました。

一方、1つの支部の中で、6年間の最高の年と最低の年の差を取ると、中央値は0.28ポイントです。最も大きい沖縄県でも0.65ポイント、最も小さい富山県は0.08ポイントでした。つまり「どの県に事業所があるか」で決まる差のほうが、同じ県の中で年ごとに動く幅よりずっと大きい構造です。

ただし、両端の間は入れ替わります。令和3年度に安いほうから4番目だった群馬県は、令和8年度には11番目です。

支部令和3年度(安い順位)令和8年度(安い順位)
新潟県9.50%(1位)9.21%(1位)
富山県9.59%(2位)9.59%(7位)
福島県9.64%(3位)9.50%(3位)
群馬県9.66%(4位)9.68%(11位)
長野県9.71%(5位)9.63%(9位)
熊本県10.29%(43位)10.08%(37位)
大分県10.30%(44位)10.08%(38位)
鹿児島県10.36%(45位)10.13%(43位)
北海道10.45%(46位)10.28%(46位)
佐賀県10.68%(47位)10.55%(47位)

1年で大きく動いた支部

前年度からの変化が大きかった上位8件です。

支部年度前年度当年度変化
佐賀県令和5年度11.00%10.51%−0.49pt
秋田県令和5年度10.27%9.86%−0.41pt
鹿児島県令和5年度10.65%10.26%−0.39pt
宮崎県令和5年度10.14%9.76%−0.38pt
沖縄県令和6年度9.89%9.52%−0.37pt
青森県令和7年度9.49%9.85%+0.36pt
佐賀県令和7年度10.42%10.78%+0.36pt
長崎県令和8年度10.41%10.06%−0.35pt

令和4年度に上がった支部が令和5年度に大きく下がる、という揺り戻しが九州・東北に目立ちます。料率が支部ごとに毎年決め直されるのは、健康保険法160条3項が、支部ごとに毎事業年度の財政の均衡を保てる率として算定するよう定めているためです。その支部の医療費の実績が料率に返ってくるので、ある年の上振れが翌年の調整で戻ることがあります。支部の取組の成績で料率を加算・減算するインセンティブ制度の影響もあります(協会けんぽのインセンティブ制度)。

一人社長の保険料に直すと

役員報酬 月54万円(標準報酬月額53万円)の場合の、健康保険料(会社負担と本人負担の合計・年額)です。一人社長にとっては両方とも自分の会社が出すお金なので合計で見ます(一人社長の社会保険料)。

支部令和3年度令和4年度令和5年度令和6年度令和7年度令和8年度最高と最低の年の差
東京都625,824円623,916円636,000円634,728円630,276円626,460円12,084円
大阪府654,444円649,992円654,444円657,624円651,264円644,268円13,356円
愛知県630,276円631,548円636,636円637,272円637,908円631,548円7,632円
福岡県649,992円649,356円658,896円658,260円655,716円642,996円15,900円
新潟県604,200円604,836円593,388円594,660円607,380円585,756円21,624円
佐賀県679,248円699,600円668,436円662,712円685,608円670,980円36,888円
沖縄県632,820円641,724円629,004円605,472円600,384円600,384円41,340円

※ 標準報酬月額は令和8年度の等級表で固定し、料率だけを各年度に入れ替えた。介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て支援金は含まない

東京都の6年間の振れ幅は年1万2,084円です。同じ年の新潟県と佐賀県の差(令和8年度で年8万5,224円)と比べると7分の1程度です。

法人化の判断にはどう効くか

法人化の試算は、その年の料率で行うしかありません。当サイトの判定ツールも令和8年度の料率で計算しています。この6年間を見る限り、年ごとの変動は支部間の差より小さく、東京都で年1万円台です。法人化するかどうかを分ける差額(事業所得1,200万円前後で数十万円単位)を逆転させる大きさではありません。

それより判定に効くのは、どの都道府県に事業所があるかです。支部差が法人化の損益分岐をどれだけ動かすかは協会けんぽの料率差で法人化の分岐点は59万円動くで、事業所を移した場合の手取りの変化は本店を料率の安い県へ移すと社会保険料はいくら下がるかで計算しています。

料率は毎年3月分から変わり、介護保険料率も全国一律で毎年改定されます。法人化した後は、3月分の給与から天引き額が変わっていないかを確かめる、という年1回の作業が増えます。自分の所在地と報酬で、いまの料率での判定を確かめてください。

まとめ

  • 令和3〜8年度の6年間、最高は毎年佐賀県、最低は令和7年度を除き新潟県
  • 1支部の中の6年間の振れ幅は中央値0.28ポイントで、支部間の差(1.07〜1.49ポイント)より小さい
  • 41支部で令和8年度の料率は令和3年度より低い。上がったのは5支部
  • 役員報酬 月54万円の東京都で、健康保険料の6年間の振れ幅は年1万2,084円
  • 法人化の判定に効くのは年ごとの変動より、どの都道府県に事業所があるか

よくある質問

協会けんぽの料率はいつ変わりますか。

例年3月分(4月納付分)の保険料から変わります。任意継続被保険者は4月分からです。料率が変わると、役員報酬を変えていなくても給与から天引きする額が変わるので、3月分の給与計算で確認が必要です。

来年度の料率を予想できますか。

予想はできません。料率は支部ごとの医療費の実績や前年度の財政状況、インセンティブ制度の結果で毎年決め直されます。令和3〜8年度の5回の改定で、1年に0.3ポイント以上動いた例は延べ17件ありました。

料率の推移は法人化の判断に影響しますか。

影響は小さいです。役員報酬 月54万円の場合、東京都の6年間の振れ幅は健康保険料で年1万2,084円で、法人化するかどうかを分ける差額(数十万円単位)に比べると小さな額です。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。