設立の手続き
屋外広告業の登録は法人成りで取り直し。東京都は手数料1万円・30日届出
結論
屋外広告業の登録は、屋外広告物法9条に基づき都道府県の条例で定められています。東京都の案内では、屋外広告業者が死亡・合併による消滅・廃止などに該当すると登録は効力を失い、30日以内に廃業等を届け出るとされ、承継の手続きは示されていません。法人成りでは会社が新規に登録を受けます(東京都の手数料1万円、有効期間5年)。会社の登録では営業所ごとの業務主任者の従事証明として健康保険証の写しなどを出すので、社長本人を業務主任者にするなら会社での社会保険の加入が前提になります。
- 東京都内に営業所がなくても、都内で広告物の表示・設置工事を請け負うなら東京都の登録が要る。八王子市・町田市は各市の条例が適用される
- 業務主任者は、国土交通大臣の登録試験機関の試験の合格者、都道府県の講習会の修了者など(屋外広告物法10条2項3号)
- 東京23区・40〜59歳・広告業(第1種5%)の試算で、損益分岐は2年目以降1,243万円、登録手数料を含む初年度1,351万円
このテーマの全体像 会社設立の手続き(自分でやる手順と届出)
看板やサインの設置工事を請け負う屋外広告業は、都道府県の条例で登録制になっています。個人で受けたこの登録は、法人成りで会社へ移りません。
この記事では、登録の根拠となる屋外広告物法と、東京都の公式の案内をもとに、登録が切れる仕組み、会社で登録を受け直す費用、業務主任者の従事証明と社会保険の関係を確認します。最後に損益分岐を計算エンジンで出します。
登録は法律ではなく、都道府県の条例で決まる
屋外広告物法9条は、都道府県が条例で、区域内で屋外広告業を営もうとする者に都道府県知事の登録を受けさせることができると定めています。10条は、条例で定める内容の基準を示しています。
- 登録の有効期間は5年
- 登録の取消しから2年を経過しない者、条例違反で罰金以上の刑から2年を経過しない者、役員にこれらの者がいる法人、業務主任者を選任していない者などは登録を拒否する
- 営業所ごとに業務主任者を選任する
東京都では、東京都屋外広告物条例と施行規則に基づいて登録制度が運用されています。東京都の案内によれば、都内に営業所がなくても、都内で広告物の表示・設置に関する工事を請け負う場合は登録が必要です。なお八王子市と町田市には、都ではなく各市の条例が適用されます。
東京都の案内には、承継の手続きがない
東京都の「登録後の変更手続」の案内は、登録後の手続きを2つに分けています。
| 手続き | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 登録事項の変更の届出 | 商号・氏名・住所、営業所、役員の氏名、業務主任者の変更 | 変更があった日から30日以内 |
| 廃業等の届出 | 死亡、合併等による法人の消滅、破産・解散、都内での廃止 | その日から30日以内 |
そのうえで、屋外広告業者が廃業等の届出事由に該当するに至ったときは、登録はその効力を失うとしています。死亡した場合でさえ、相続人が届け出て登録が失効するだけで、相続人が地位を引き継ぐ手続きは示されていません。
法人成りは「都内で屋外広告業を廃止した場合」に当たり、個人は30日以内に廃業等を届け出ます。会社は新規に登録を申請します。
新規登録の手数料と有効期間
東京都の新規登録の申請手数料は1万円、5年ごとの更新は5,000円です。有効期間は5年で、更新は満了の30日前までに手続きします。個人の登録の残り期間は会社に引き継がれず、会社の登録は新たに5年が始まります。
工事を請け負う区域が複数の都県にまたがる場合は、区域ごとの条例による登録が必要かを確認し、それぞれ会社で受け直すことになります。
業務主任者の従事証明と、会社の社会保険
会社の登録申請で見落としやすいのが、業務主任者の扱いです。業務主任者になれるのは、屋外広告物法10条2項3号により、次のいずれかに当たる人です。
- 国土交通大臣の登録試験機関が広告物の表示・掲出物件の設置に関し必要な知識について行う試験の合格者
- 都道府県が行う屋外広告物講習会の修了者
- これらと同等以上の知識を有するとして条例で定める者
東京都の案内は、業務主任者を変更するときの必要書類に、資格・認定書の写しとあわせて**業務主任者の従事証明(社会健康保険証の写し等)**を挙げています。その営業所で実際に働いている人であることを、健康保険の加入で確かめる仕組みです。
社長本人を会社の業務主任者にするなら、その証明は会社の健康保険の資格になります。法人化すると社長も社会保険の強制加入になる(法人化すると社会保険は強制加入)ので、会社の設立後すぐに社会保険の加入手続きを済ませておくと、登録申請の書類がそろいます。加入の届出の期限は社会保険の資格取得届で整理しました。
役員を変えるたびに届出が要る
個人のときにはなかった手続きとして、会社では役員の氏名が登録事項になります。東京都では、役員に変更があったら30日以内に変更届を出し、新たに役員になった人の誓約書・略歴書と登記事項証明書を添えます。家族を取締役に加えるとき、役員の任期満了で入れ替えるときにも、この届出が要ります。
広告業の個人事業税と損益分岐
屋外広告業は、個人事業税の第1種事業に類する広告業(税率5%)です(地方税法施行令10条の7第3号)。事業主控除290万円を超えた所得に課税され、法人化するとかからなくなります。代わりに役員報酬に社会保険料がかかります。
材料費・外注の施工費・車両などの経費を年1,500万円と置き、東京都の登録手数料1万円を初年度に含めて、事業所得ごとに個人のままと法人化の差を計算しました。
| 事業所得(売上−経費) | 最適な役員報酬 | 2年目以降 | 初年度(設立費用・登録手数料込み) |
|---|---|---|---|
| 600万円 | 月42万円 | −34.0万円 | −45.0万円 |
| 800万円 | 月45万円 | −18.9万円 | −29.9万円 |
| 1,000万円 | 月45万円 | −10.0万円 | −21.0万円 |
| 1,200万円 | 月54万円 | −4.3万円 | −15.3万円 |
| 1,500万円 | 月54万円 | +26.1万円 | +15.1万円 |
| 2,000万円 | 月90万円 | +65.8万円 | +54.8万円 |
※ 当サイトの計算エンジン(node scripts/houjinnari-kyoninka-table.mjs --expenses 1500 --business type1 --age 40to64 --fee 10000 --note '広告業(第1種・5%)' で再生成)で算出。経費1,500万円、東京都・東京23区、単身・40〜59歳、青色申告(電子申告65万円控除)、インボイス登録済み、合同会社。法人の税理士報酬35.0万円・個人15.0万円。役員報酬は手取り最大となる額を総当たりで選択。個人事業税は広告業(第1種・5%)。初年度は合同会社の設立費用10.0万円と許認可の取り直し費用10,000円を差し引いた額。2026年(令和8年)分基準の概算
損益分岐となる事業所得(青色申告特別控除の前)は、2年目以降が1,243万円、登録手数料を含む初年度が1,351万円です。複数の都県で登録を受け直す場合は、その分だけ初年度の分岐点が上がります。
社長が自ら高所の設置工事に出る場合、法人化すると社長は労災保険の対象外になるので、役員の労災特別加入の要否もあわせて検討が要ります。自分の売上と経費で判定ツールに入れて確かめてください。計算の前提は計算方法に、設立の手順と実費は会社設立を自分でやる手順にまとめています。
まとめ
- 屋外広告業の登録は、屋外広告物法9条に基づく都道府県の条例の制度。有効期間は5年
- 東京都の案内では、廃止・死亡・合併などで登録は効力を失い、承継の手続きはない。法人成りでは会社が新規登録(手数料1万円)、個人は30日以内に廃業等の届出
- 業務主任者の従事証明に健康保険証の写しなどを出すので、社長を業務主任者にするなら会社での社会保険の加入を先に済ませる
- 会社では役員の氏名が登録事項になり、変更のたびに30日以内の届出が要る
- 東京23区・40〜59歳の試算で、損益分岐は2年目以降1,243万円、登録手数料を含む初年度1,351万円
よくある質問
個人の登録番号のまま、会社で看板工事を請け負えますか。
東京都の案内では、屋外広告業者の登録は廃止などで効力を失い、承継の手続きは示されていません。会社として請け負うには、会社が新たに登録を受ける必要があります。
法人成りのあと、役員を追加したら何をしますか。
東京都では、役員の氏名は登録事項で、変更があった日から30日以内に登録事項変更届出書を出します。新たに役員になった人の誓約書と略歴書、登記事項証明書を添えます。
神奈川県や埼玉県の現場も請け負っています。
屋外広告業の登録は都道府県(条例によっては市)ごとの制度です。工事をする区域ごとに、その自治体の条例による登録が必要かを確認し、法人成りでは会社としてそれぞれ登録を受け直します。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。