税金の基礎

せどり・転売は個人事業税がかかる。物品販売業で5%

結論

せどり・転売は地方税法が定める第1種事業「物品販売業」に該当し、個人事業税の課税対象です。事業所得(青色申告特別控除前)が事業主控除290万円を超えた部分に5%かかり、当サイトの計算エンジンでは事業所得800万円で年25.5万円、1,000万円で年35.5万円でした。ライター業など一部の業種のような非課税の扱いはありません。

  • 個人事業税がかかるのは「事業として」営んでいる場合。せどりの利益が事業所得か雑所得かの判定が先に決まる
  • 物品販売業(第1種事業)の税率は5%。事業主控除290万円を超えた部分だけが課税対象で、青色申告特別控除は適用されない
  • 法人化の損益分岐点は課税業種と同じ事業所得1,266万円。ライター業などの非課税業種(2,198万円)より932万円手前

せどりや転売で得た利益は、「仕入れて売るだけ」という単純な作業に見えても、地方税法上は明確な課税業種です。物品販売業として、個人事業税の対象になります。 ライター業のように法定業種に入らず非課税になる業種とは扱いが違います。

せどりは第1種事業「物品販売業」。税率5%

個人事業税は、地方税法が定める法定70業種に該当する事業だけに課税されます。物品販売業はこの70業種のうち第1種事業に列挙されており、税率は5%です。他人から仕入れた商品を転売する行為は、業種としては物品販売業そのものにあたります。「せどり」という呼び方や、店舗を持たずネット上で行っている点は、業種区分に影響しません。

個人事業税がかからない業種があるで整理したとおり、ライター業や翻訳業のように法定業種に入らず非課税になる業種もあります。せどりにはこの非課税の扱いがなく、多くの業種と同じ課税業種として扱われます。

課税額は事業主控除290万円を超えた分に5%

個人事業税は、事業所得(青色申告特別控除を適用する前の金額)から事業主控除290万円を差し引いた残りに税率をかけます。当サイトの計算エンジンで、東京23区・インボイス登録済みの条件で計算すると次のとおりです。

事業所得(青色申告特別控除前)個人事業税(物品販売業・5%)
400万円5.5万円
600万円15.5万円
800万円25.5万円
1,000万円35.5万円
1,500万円60.5万円

事業所得290万円以下なら課税対象額がゼロで、個人事業税はかかりません。事業所得が上がるほど、控除290万円の比重は相対的に小さくなります。同じ事業所得でも非課税業種の事業者は、この表の金額がすべてゼロになります。

事業税の前提は「事業として」営んでいること

個人事業税の対象になるのは、事業として行われている業務です。せどりの利益は、規模・継続性・営利性によって事業所得と雑所得のどちらに区分されるかが先に決まります。この判定基準は業務委託は事業所得か雑所得かで扱った内容と同じです。帳簿を付けず、一時的・小規模な取引にとどまる場合は雑所得と判定され、そもそも事業税の前提となる「事業」には当たりません。

事業所得として確定申告している規模のせどりなら、物品販売業の個人事業税を前提に資金を確保しておく必要があります。所得税の確定申告データが都道府県に共有されるため、個人事業税のための別申告は原則不要ですが、8月ごろに届く納税通知書で初めて金額を知って慌てないようにします。

法人化の損益分岐点は、他の課税業種と同じ

せどりで法人化を検討する場合、業種による優遇はありません。ライター・エンジニア・デザイナーで法人化の分岐点は921万円違うで計算した課税業種の分岐点がそのまま当てはまります。

業種区分法人化の損益分岐点(事業所得)
物品販売業(せどり・転売)1,266万円
非課税業種(ライター業など)2,198万円

差は932万円です。非課税業種なら個人事業税がかからない分、個人事業主のままでいる期間が長くなります。せどりにはこの優遇がないため、一般的な課税業種と同じ基準で法人化を判断すれば十分です。 業種による分岐点のずれを心配する必要はありません。

法人化すれば個人事業税はかからなくなりますが、代わりに法人事業税と特別法人事業税が課されます。法人事業税には事業主控除に当たる制度がなく、所得に応じた累進税率がそのまま適用されます。個人事業税が消えることだけを法人化のメリットとして数えるのは早計です。

まとめ

  • せどり・転売は地方税法上の物品販売業(第1種事業)に該当し、個人事業税の税率は5%
  • 課税対象は事業所得(青色申告特別控除前)から事業主控除290万円を引いた残り。事業所得800万円で年25.5万円、1,000万円で年35.5万円
  • 個人事業税がかかるのは「事業として」営んでいる場合。規模が小さければ雑所得と判定され対象にならないこともある
  • 法人化の損益分岐点は、非課税業種より932万円手前の事業所得1,266万円で、一般的な課税業種と同じ
  • 法人化しても個人事業税の代わりに法人事業税・特別法人事業税がかかるため、単純な比較にはならない

よくある質問

せどりの利益が少なければ個人事業税はかかりませんか?

事業主控除290万円以下ならかかりません。個人事業税は、事業所得(青色申告特別控除前)から290万円を差し引いた残りに税率をかけるため、290万円以下の年は課税対象額がゼロになります。

せどりを副業でやっている場合も個人事業税はかかりますか?

事業として認められる規模・継続性・営利性があれば、副業でも本業でも同じ扱いです。規模が小さく一時的な利益にとどまる場合は雑所得と判定され、そもそも事業税の前提となる「事業」に当たらない場合があります。

せどりで法人化すると個人事業税はどうなりますか?

個人事業を廃業すれば個人事業税はかかりませんが、代わりに法人事業税・特別法人事業税が課されます。物品販売業には非課税業種のような優遇がないため、法人化の損益分岐点は他の課税業種と同じ水準になります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。