法人化の判断

合同会社は3年でほぼ2倍。増えたのは専門サービス・情報サービス(経済センサス)

結論

経済センサスで事業を営んでいる会社を数えると、合同会社は2021年の43,317から2024年の85,135へ96.5%増え、株式会社・有限会社・相互会社は1,724,835から1,669,130へ3.2%減りました。産業別では情報通信業が2,066から6,586(+218.8%)、学術研究・専門・技術サービス業が4,980から13,483(+170.7%)と大きく増え、中分類では専門サービス業と情報サービス業が約3倍になりました。2024年の合同会社の84.2%は常用雇用者0〜4人で、一人や家族で営む会社の器として選ばれています。

  • 合同会社が増えた4.2万社のうち、専門サービス業・不動産賃貸業・管理業・社会福祉介護事業・情報サービス業・その他の事業サービス業の5つの中分類で47.0%を占める
  • 株式会社等は宿泊業・飲食サービス業で11.1%、製造業で12.6%減った一方、合同会社はどの産業でも増えている
  • 計算エンジンでは、合同会社と株式会社で毎年の手取りは変わらず、違いは設立費用(10万円と25万円)だけ。損益分岐点は同じ1,266万円

一人で法人化する人の間で、合同会社を選ぶ人が増えています。国税庁の統計では法人数が9年で3.3倍になりました(合同会社は9年で3.3倍に増えた)。では、どんな業種で合同会社が増えているのか。総務省・経済産業省の経済センサスは、事業を営んでいる会社を産業別・組織別に数えていて、2021年と2024年の結果を同じ産業分類で比べられます。

合同会社は3年で96.5%増、株式会社等は3.2%減

令和3年経済センサス‐活動調査(2021年6月)と令和6年経済センサス‐基礎調査(2024年6月)の第1表から、産業大分類ごとに会社の数を比べました。

産業合同会社(2021年)合同会社(2024年)合同会社の増減株式会社等の増減2024年の合同会社の割合
全産業43,31785,135+96.5%−3.2%4.9%
情報通信業2,0666,586+218.8%+11.7%10.3%
学術研究、専門・技術サービス業4,98013,483+170.7%+11.5%10.6%
サービス業(他に分類されないもの)2,0344,997+145.7%+2.9%4.9%
運輸業、郵便業4441,049+136.3%−2.1%1.9%
教育、学習支援業1,0882,199+102.1%−2.1%11.5%
生活関連サービス業、娯楽業2,0233,987+97.1%−4.7%6.4%
建設業2,4754,609+86.2%−0.9%1.5%
不動産業、物品賃貸業6,95712,933+85.9%−1.3%5.8%
卸売業、小売業6,21910,946+76.0%−7.9%2.9%
製造業1,3292,274+71.1%−12.6%1.1%
医療、福祉6,63810,981+65.4%+5.0%19.2%
宿泊業、飲食サービス業3,5084,927+40.5%−11.1%5.9%

※ 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」「令和6年経済センサス‐基礎調査」第1表(e-Stat)から当サイトが計算。株式会社等は株式会社・有限会社・相互会社。2021年の合同会社が少ない産業の一部を省略。調査の設計が違うため増減は目安

3年で合同会社は4.2万社増え、ほぼ2倍になりました。同じ期間に株式会社等は5.6万社減っています。合同会社はすべての産業で増えていて、株式会社等が減っている産業でも合同会社だけは増えています。

増え方が大きいのは、情報通信業(3.2倍)と学術研究、専門・技術サービス業(2.7倍)です。どちらも一人で仕事を請け負う人が多い業種で、法人化する人が設立費用の安い合同会社を選んでいると考えられます。

中分類では、専門サービス業と情報サービス業が約3倍

さらに細かい中分類で、合同会社が増えた数の多い順に並べました。

産業(中分類)合同会社(2021年)合同会社(2024年)合同会社の増減株式会社等の増減2024年の合同会社の割合
専門サービス業(他に分類されないもの)3,41310,027+193.8%+26.5%15.3%
不動産賃貸業・管理業5,96810,833+81.5%−0.1%6.7%
社会保険・社会福祉・介護事業5,3968,566+58.7%+4.9%21.1%
情報サービス業1,1513,570+210.2%+13.4%9.6%
その他の事業サービス業1,4113,719+163.6%+8.1%7.6%
技術サービス業(他に分類されないもの)1,2902,520+95.3%−1.6%5.0%
その他の教育、学習支援業1,0882,199+102.1%−2.0%11.6%
電気業1,3312,393+79.8%+43.7%34.3%
医療業1,1852,220+87.3%+4.9%14.1%
映像・音声・文字情報制作業4561,487+226.1%+3.3%9.8%

※ 出典・計算方法は上の表と同じ

上位5つの中分類で、合同会社の増加数の47.0%を占めます。専門サービス業はデザイン業や経営コンサルタント業などを含む分類で、合同会社は3,413から10,027へ約3倍、会社に占める割合は15.3%になりました。情報サービス業(ソフトウェア業など)も3.1倍です。

社会保険・社会福祉・介護事業は、合同会社の割合が21.1%と高い業種です。障害福祉サービスや介護保険の事業所の指定は法人であることが求められ、設立費用を抑えられる合同会社が選ばれやすいと考えられます(障害福祉サービスの指定は法人格が必要)。電気業の34.3%は、太陽光発電の事業用の会社が多いためとみられます。

合同会社の84.2%は、常用雇用者0〜4人

2024年の合同会社85,135社のうち、常用雇用者が0〜4人の会社は71,653社で**84.2%**でした。株式会社等は58.5%です。合同会社の多くは、社長一人か家族で営む小さな会社です。

この形は、一人で法人化する人の選び方と重なります。合同会社は設立時の登録免許税が最低6万円(株式会社は15万円)で、定款の認証も要りません。役員の任期がなく、重任の登記も要らないため、一人で続けるときの手間と費用が小さく済みます。費用の差と、それでも株式会社を選ぶ場面は合同会社と株式会社の設立費用の差で整理しています。

合同会社でも株式会社でも、毎年の手取りは同じ

当サイトの計算エンジンでは、合同会社と株式会社で法人の税の計算は同じで、毎年の手取りは変わりません。

法人の形設立費用1期目の実質差額3期目以降の実質差額損益分岐となる事業所得
合同会社10万円−16.6万円−6.6万円1,266万円
株式会社25万円−31.6万円−6.6万円1,266万円

※ 事業所得1,200万円(売上1,400万円・経費200万円)・東京23区・40歳未満・独身・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み/2026年(令和8年)分基準。実質差額は個人のままと比べた差で、設立費用と税理士報酬を引いた後

違いは設立費用の15万円だけで、2期目以降の差額は同じです。合同会社が増えているのは、税ではなく費用と手続きの軽さで選ばれているためと言えます。法人化そのものが有利かどうかは、法人の形ではなく所得で決まります。所得別の目安は法人化の目安となる所得に、設立の流れは会社設立を自分でやる手順にまとめています。

まとめ

  • 経済センサスで、合同会社は2021年の43,317から2024年の85,135へ96.5%増加。株式会社等は3.2%減った
  • 情報通信業は3.2倍、学術研究・専門・技術サービス業は2.7倍。中分類では専門サービス業・情報サービス業が約3倍
  • 社会保険・社会福祉・介護事業は会社の21.1%が合同会社で、指定に法人格が要る事業で選ばれている
  • 2024年の合同会社の84.2%は常用雇用者0〜4人。一人や家族で営む会社の器として使われている
  • 合同会社と株式会社で毎年の手取りは変わらず、違いは設立費用(10万円と25万円)。法人化の損得は所得で決まる

よくある質問

経済センサスの合同会社の数は、登記されている合同会社の数と同じですか。

違います。経済センサスは調査日に事業を営んでいる企業を数える調査で、登記だけあって事業所のない会社は入りません。国税庁の法人数(法人税の申告をしている法人)とも数え方が違い、合同会社の数は経済センサスのほうが少なく出ます。

2021年と2024年の調査は、そのまま比べてよいですか。

2021年は活動調査、2024年は基礎調査で、調査の設計が違います。会社の数の増減は目安として読む必要があります。個人経営は2024年の調査が雇用者のいない個人経営を対象にしていないため、比べられません。

合同会社と株式会社で、税金は違いますか。

法人税・法人住民税・法人事業税の計算は同じです。違いは設立時の登録免許税と定款認証の手数料、決算公告の義務、役員の任期などで、毎年の税負担は変わりません。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。