設立の手続き

法人の期限後申告、無申告加算税はいくら?重いのは法人税より消費税

法人税の申告が期限を過ぎると無申告加算税がかかります。割合は15%・20%・30%で、調査通知の前に自分で出せば一律5%です。計算エンジンで事業所得別に税目へ分けたところ、事業所得600万円までは加算税の全額が消費税分でした。

法人税の申告が期限を過ぎると、無申告加算税がかかります。割合は納付すべき税額の**15%・20%・30%**の3段階で、調査通知を受ける前に自分で出せば一律5%です。

ただし、一人会社が実際に払う無申告加算税の中身は、法人税ではありません。売上1,400万円・経費200万円の合同会社が調査で発覚した後に期限後申告をした場合、加算税34万5,000円のうち23万1,000円が消費税分です。事業所得600万円以下では、法人税分が1円も出ず、全額が消費税分になります。

割合は3段階だが、区分に入る前に切り捨てられる

無申告加算税の割合は、期限後申告により納付すべき税額を3つに区分して計算します。

期限後申告のタイミング50万円以下の部分50万円超300万円以下300万円超
調査通知の前(決定を予知せず自主的に提出)5%5%5%
調査通知の後、決定を予知する前10%15%25%
調査で発覚した後(決定を予知した後)15%20%30%

調査通知の前に自分で出した場合だけは区分がなく、金額にかかわらず**一律5%**です。区分が効くのは調査通知の後だけ、と読み替えて構いません。

さらに、5年前までの間に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合、あるいは前年と前々年のそれぞれの国税について課された(課される)場合には、上の割合で計算した額に納付すべき税額の10%が加算されます。

端数処理が2段階ある

計算の基礎となる税額は、1万円未満の端数を切り捨てます。全額が1万円未満なら全額を切り捨てます(国税通則法118条3項)。そのうえで、出てきた加算税の額に100円未満の端数があれば切り捨て、加算税の全額が5,000円未満なら全額を切り捨てます(同法119条4項)。

この2段目が実際にはよく効きます。調査で発覚した後の15%で計算する場合、本税が3万円までなら加算税は4,500円以下なので0円です。調査通知の前の5%なら、本税9万円までが0円になります。小さな税目は、割合を掛ける前の段階で消えてしまいます。

加算税は税目ごとに計算する。地方法人税は別、地方消費税は合算

法人が決算期末から2か月以内に出す申告書は1通ではありません。法人税、地方法人税、消費税、それに法人住民税・法人事業税などの地方税です。このうち国税である法人税・地方法人税・消費税には、それぞれ別に無申告加算税が計算されます。国税庁は法人税と地方法人税で別々の事務運営指針を出しており、消費税にもまた別の指針があります。

ここで非対称が1つあります。消費税と地方消費税は、加算税の計算では「一の税」とみなして合算します。国税庁の消費税の事務運営指針は、地方税法附則9条の9第3項により、加算税の計算の基礎となる税額も加算税の確定金額も、消費税と地方消費税の合算額を基礎に1万円未満切捨てと5,000円未満切捨てを適用した後の金額になる、と明記しています。

一方、地方法人税については別の事務運営指針が置かれていて、法人税と合算するしくみは示されていません。地方法人税の額は法人税額の10.3%なので、単独で計算すると5,000円の壁にぶつかりやすくなります。実際、後の表では事業所得1,000万円まで地方法人税分の加算税が0円です。

なお、令和8年4月1日以後に始まる事業年度からは防衛特別法人税が加わり、国税庁の事務運営指針もこれを加算税の対象として扱っています。ただし基準法人税額から年500万円を控除した残りに4%を掛ける税なので、この記事が扱う所得帯では税額が0円です。納付すべき税額が0円なら加算税も0円ですが、税額0円でも申告書の提出は必要です。

事業所得600万円までは、加算税の全額が消費税分

判定ツールと同じ計算エンジンで、最適な役員報酬を取った会社が調査で発覚した後に期限後申告をした場合の無申告加算税を、税目別に出しました。

調査で発覚した後(決定を予知した後)に期限後申告をした場合

事業所得最適な役員報酬法人税の本税消費税の本税加算税 法人税分加算税 地方法人税分加算税 消費税分合計
400万円月28万円23,200円480,000円0円0円72,000円72,000円
600万円月42万円37,300円680,000円0円0円111,000円111,000円
800万円月54万円88,300円880,000円12,000円0円151,000円163,000円
1,000万円月54万円374,500円1,080,000円55,500円0円191,000円246,500円
1,200万円月54万円659,500円1,280,000円105,000円9,000円231,000円345,000円
1,500万円月54万円1,078,900円1,580,000円189,000円16,500円291,000円496,500円
1,800万円月90万円846,400円1,880,000円143,000円12,000円351,000円506,000円
2,100万円月95万円1,177,800円2,180,000円209,000円18,000円411,000円638,000円

※ 経費200万円・東京23区・40歳未満・独身・青色申告(e-Tax)・インボイス登録済み・合同会社/2026年(令和8年)分基準 ※ 消費税の本税は原則課税の概算(売上×10%−経費×0.6×10%)。加算税の計算では消費税と地方消費税を一の税とみなす ※ 各税目ごとに基礎税額の1万円未満を切り捨て、加算税が5,000円未満なら全額を切り捨てている

消費税分が合計に占める割合は、事業所得400万円・600万円で100%、800万円で92.6%、1,200万円でも67.0%です。無申告加算税の話をしているつもりで、実際には消費税の話をしていることになります。

理由は役員報酬にあります。当サイトの計算エンジンは手取りが最大になる報酬額を総当たりで探しますが、その最適解は法人に残る利益を薄く抑える水準に落ち着きます。法人所得が小さければ法人税も小さく、加算税の計算の基礎も小さくなります。一方、消費税の納付額は売上と仕入で決まるため、役員報酬をいくらにしても動きません。節税がうまくいっている会社ほど、無申告加算税の中身は消費税に偏ります。

この表の消費税は原則課税で計算しています。2割特例(適格請求書発行事業者が使える措置で、法人は令和8年9月30日を含む課税期間で終了します)や簡易課税(基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できる制度。課税事業者になるかどうかを判定する1,000万円とは別の基準です)を使っている会社は、消費税の本税そのものが小さくなるので、加算税も同じ比率で小さくなります。2割特例の終了時期は2割特例はいつ終わるかにまとめています。

所得が300万円増えると、法人税分の加算税が4万6,000円減る

表を上から下に読むと、法人税分の加算税は事業所得1,500万円の18万9,000円が最大で、1,800万円では14万3,000円に下がります。所得が300万円増えているのに加算税は減る、という逆転です。

最適な役員報酬が月54万円から月90万円へ上がるためです。報酬が上がった分だけ法人の課税所得が圧縮され、法人税の本税が107万8,900円から84万6,400円へ減ります。加算税は本税に比例するので、そのまま減ります。役員報酬の決め方が、無申告だったときの罰の重さまで変えていることになります。役員報酬の最適額そのものは役員報酬はいくらが最適かで扱っています。

法人化で得た1年分の差額が消える所得帯がある

同じ条件で法人化の実質差額(税理士報酬の差と均等割を差し引いた後)を並べると、次のようになります。

事業所得法人化の実質差額(年)無申告加算税(調査で発覚した後)
800万円−22.7万円16.3万円
1,000万円−14.7万円24.7万円
1,200万円−6.6万円34.5万円
1,500万円+23.9万円49.7万円
1,800万円+47.0万円50.6万円
2,100万円+80.6万円63.8万円

法人化が有利に振れる事業所得1,500万円でも、無申告加算税は実質差額の約2倍です。1年分の申告を落とすと、法人化で積み上げた2年分の差額が加算税だけで消えます。自分の売上と経費でこの差額を確かめる場合は、下のボタンから条件を入れてください。

調査通知の前に出せば、同じ本税で3分の1以下になる

同じ会社、同じ本税でも、いつ出したかで額が変わります。

事業所得1,200万円(売上1,400万円・経費200万円)・役員報酬 月54万円の場合

期限後申告のタイミング法人税分地方法人税分消費税分合計
調査通知の前に自分で出した32,500円0円64,000円96,500円
調査通知の後、決定を予知する前に出した72,500円6,000円167,000円245,500円
調査で発覚した後に出した105,000円9,000円231,000円345,000円

※ 本税は法人税659,500円・地方法人税67,800円・消費税1,280,000円

差は3.6倍です。ここで地方法人税分が調査通知の前だけ0円になるのが、前に述べた5,000円の壁です。本税6万円に5%を掛けると3,000円で、5,000円に届かないので全額が切り捨てられます。同じ本税でも、割合が10%に上がった途端に6,000円が発生します。

「調査があったことを了知した後」が分かれ目

国税庁の法人税の事務運営指針は、臨場調査、取引先への反面調査、申告書の内容を検討したうえでの非違事項の指摘などによって、法人が調査のあったことを了知したと認められた後の提出は、原則として「決定があるべきことを予知してされたもの」に当たるとしています。逆に、臨場のための日時の連絡を行った段階での提出は、原則として予知に当たりません(同指針第1の1の注。この取扱いは無申告加算税にも準用されます)。予知に当たらなければ、いちばん下の行ではなく、調査通知の前なら5%、調査通知の後なら10%・15%・25%の側で判定されます。

1か月以内なら課されない。ただし要件は2つある

期限後申告書を法定申告期限から1か月を経過する日までに提出し、それが決定を予知してされたものでなく、かつ「期限内申告書を提出する意思があったと認められる一定の場合」に当たるときは、無申告加算税は課されません(国税通則法66条9項)。一定の場合とは、次のいずれにも当てはまるときです。

  1. その期限後申告書の提出があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、同じ税目について、期限後申告書の提出または決定を受けたことにより無申告加算税・重加算税を課されたことがなく、かつこの不適用規定の適用を受けていないこと
  2. その期限後申告書に係る納付すべき税額の全額が、法定納期限(一定の場合には期限後申告書を提出した日)までに納付されていたこと

実務で引っかかるのは2番目です。申告書だけ後から出しても、税金を納めていなければ要件を満たしません。逆に言えば、納税は期限内に済ませたが申告書の提出だけ落とした、という形なら救済の対象になり得ます。

源泉所得税の不納付加算税にも似た1か月ルールがありますが、要件の中身は別物です。あちらは直前1年間に納税の告知も納付遅れもないことが条件で、5年ではありません。両者の違いは源泉所得税の納付遅れで整理しています。

延滞税が年9.1%になるのは、申告が遅れたときではない

延滞税は法定納期限の翌日から完納の日までの日数に応じてかかります。令和8年中の割合は、納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が**年9.1%**です。

ここで見落とされるのが「納期限」の定義です。国税庁は、期限内に申告された場合は法定納期限、期限後申告または修正申告の場合は申告書を提出した日、更正・決定の場合は更正決定等通知書を発した日から1か月後の日、としています。期限後申告では、申告書を出した日が納期限になります。

つまり、申告と同時に納付すれば、どれだけ遅れていても全期間が2.8%です。9.1%が登場するのは、申告書を出してからさらに2か月放置した場合です。

法人税659,500円・地方法人税67,800円・消費税1,280,000円(事業所得1,200万円・役員報酬 月54万円)

法定申告期限からの遅れ申告と同時に納付した場合申告だけして90日放置した場合
30日4,300円27,300円
60日8,700円31,800円
90日13,200円37,300円
180日26,500円51,100円
365日55,600円79,200円

※ 令和8年中の割合(納期限までと納期限の翌日から2か月:年2.8%/それ以後:年9.1%)で計算 ※ 期限後申告の場合の納期限は申告書を提出した日。2か月は61日として計算している ※ 本税は1万円未満を切り捨て、延滞税は100円未満切捨て・1,000円未満は全額切捨て

1年遅れて申告し同日に納付しても、延滞税は5万5,600円です。同じ本税に対する無申告加算税が調査後で34万5,000円ですから、延滞税は加算税の6分の1程度にとどまります。負担の大部分は日数ではなく、割合で決まっています。

本当のコストは、2事業年度目に消える青色申告

金額として大きいのは加算税ですが、期限後申告で失うものはそれだけではありません。

国税庁の「法人の青色申告の承認の取消しについて」(事務運営指針)は、法人税法127条1項4号による取消しについて、2事業年度連続して提出期限内に申告書の提出がない場合に行うものとし、この場合は2事業年度目の事業年度以後について承認を取り消す、としています。

読み取れることが2つあります。1つは、期限後申告が1期だけなら、この号を理由とする取消しの基準には当たらないこと。もう1つは、2期連続してしまった場合でも、取り消されるのは2期目以後で、1期目の青色申告は残ることです。ただし同じ指針は、帳簿書類の記録の状況や申告書の提出状況からみて取消しが相当と認められるものは、この基準にかかわらず所轄国税局長と協議のうえ個別に処理する、とも定めています。

法人に青色申告特別控除はありませんが、承認を失うと欠損金の繰越控除(国税庁 No.5762)、欠損金の繰戻しによる還付、中小企業者等の少額減価償却資産の特例(同 No.5408)が使えなくなります。

欠損金の繰越は法人で10年です。設立初期の赤字を後年の黒字にぶつける前提で法人化した会社にとっては、加算税より重くなり得ます。年数の差だけでは判定できない点は欠損金の繰越は法人10年・個人3年で扱っています。承認の申請そのものの期限は法人の青色申告申請は設立3か月後より早いを参照してください。

5,000円未満で消えた年は、繰り返しの加重に数えない

無申告加算税には、5年以内に課されたことがある場合などに10%を上乗せする加重措置があります。この「課されたことがある場合」の判定について、国税庁の法人税の事務運営指針は、通則法119条4項により無申告加算税または重加算税の全額が切り捨てられた場合には、無申告加算税等を課されたことがある場合に該当しないとしています。

つまり、本税が小さくて加算税が5,000円未満になり全額切り捨てられた年は、次に無申告があったときの10%加重のカウントに乗りません。切り捨ては単に「その年に払わずに済む」だけでなく、履歴としても残らないということです。ただし、無申告加算税の不適用(66条9項)を受けた場合は、前に見たとおり5年以内に「適用を受けていないこと」という別の要件で引っかかります。切り捨てと不適用では扱いが違うので、混同しないでください。

まとめ

  • 無申告加算税は15%・20%・30%の3段階。調査通知の前に自分で出した場合だけは区分がなく一律5%
  • 加算税は税目ごとに計算する。消費税と地方消費税は合算して一の税とみなすが、地方法人税は法人税とは別建て
  • 事業所得600万円以下では加算税の全額が消費税分。最適な役員報酬を取ると法人所得が薄くなり、法人税分が5,000円未満で切り捨てられるため
  • 法定申告期限から1か月以内でも、税額の全額を納付済みで過去5年間に無申告加算税等がない、という2要件を満たさなければ課される
  • 延滞税で年9.1%になるのは申告書を出してから2か月放置した場合。申告と同時に納付すれば全期間が年2.8%
  • 2事業年度連続で期限内提出がないと、2事業年度目以後の青色申告の承認が取り消される

ここに挙げた数字は、経費200万円・東京23区・独身・インボイス登録済みという条件での概算です。無申告加算税の重さは本税の大きさで決まり、本税は役員報酬の取り方で動きます。一般論の割合ではなく、自分の売上と経費で法人化後の税額がいくらになるかを先に確かめてください。

よくある質問

申告が1日だけ遅れた場合も無申告加算税はかかりますか?

遅れの日数では変わりません。ただし法定申告期限から1か月を経過する日までに自主的に提出し、税額の全額を法定納期限までに納付済みで、過去5年間に無申告加算税等を課されていないなど一定の要件を満たす場合には課されません。

赤字で法人税が0円でも無申告加算税はかかりますか?

無申告加算税は納付すべき税額に割合を掛けて計算するため、納付すべき税額が0円なら加算税も0円です。ただし申告書を出さない状態が2事業年度続くと、青色申告の承認が取り消される対象になります。

税務署から連絡が来る前に自分で出すと割合は下がりますか?

調査通知を受ける前に、決定を予知せずに期限後申告書を提出した場合の割合は一律5%です。調査通知の後で決定を予知する前なら10%・15%・25%、調査で発覚した後は15%・20%・30%になります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。