税金の基礎

法人税15%は実質17.6%。地方法人税と法人税割が法人税額に乗る

結論

地方法人税は法人税額の10.3%、法人住民税の法人税割は東京23区の小規模法人で法人税額の7.0%です。どちらも法人税額に掛かるので、法人税の軽減税率15%は実質17.595%、本則の23.2%は27.214%になります。課税所得800万円なら、法人税120万円に地方法人税12万3,600円と法人税割8万4,000円が加わります。

  • 法人税割の標準税率は道府県民税1.0%+市町村民税6.0%。制限税率は2.0%と8.4%で、東京都は法人税額が年1,000万円を超えると10.4%
  • 法人税額が1,000万円を超えるのは課税所得4,594万円から。一人会社のほとんどは7.0%の範囲に入る
  • 売上1,500万円・経費300万円の一人会社が最適報酬を取ると、法人税65万6,200円に地方法人税6万7,500円・法人税割4万5,900円が乗る

「中小法人の法人税は15%」という数字は、法人税だけの率です。法人税額が決まると、それを課税標準にして、さらに2つの税が計算されます。国税の地方法人税と、法人住民税の法人税割です。どちらも法人税額に一定の率を掛けるだけなので、法人税の税率がそのまま底上げされます。

法人税額に掛かる税は2つ

税国税/地方税課税標準税率根拠
地方法人税国税基準法人税額10.3%地方法人税法第9条・第10条
法人住民税 法人税割(道府県民税)地方税法人税額標準1.0%(制限2.0%)地方税法第51条
法人住民税 法人税割(市町村民税)地方税法人税額標準6.0%(制限8.4%)地方税法第314条の4

地方法人税は、名前に「地方」と付きますが国税です。法人税と一緒に税務署へ申告し、税収は地方交付税の財源になります。

法人住民税の法人税割は、道府県と市町村がそれぞれ課します。標準税率は合計7.0%です。東京23区は都が都民税としてまとめて課税していて、資本金1億円以下で法人税額が年1,000万円以下の法人(不均一課税適用法人)には標準税率と同じ7.0%、それを超える法人には超過税率の10.4%を適用しています。

法人住民税にはもう1つ、均等割があります。こちらは法人税額と関係なく、赤字でも年7万円かかる定額の税です(法人住民税の均等割は赤字でも年7万円)。この記事で扱うのは、利益に連動する法人税割のほうです。

15%は17.595%、23.2%は27.214%になる

地方法人税と法人税割は、どちらも法人税額に率を掛けます。合わせると**法人税額の17.3%**が上乗せされる計算です。

法人税の税率×(1+地方法人税10.3%+法人税割7.0%)実質の率
軽減税率 15%(年800万円までの所得)15%×1.17317.595%
本則 23.2%(年800万円を超える所得)23.2%×1.17327.214%

所得別に計算すると次のとおりです。

課税所得法人税地方法人税法人税割合計所得に対する割合
100万円150,000円15,400円10,500円175,900円17.59%
300万円450,000円46,300円31,500円527,800円17.59%
500万円750,000円77,200円52,500円879,700円17.59%
800万円1,200,000円123,600円84,000円1,407,600円17.59%
1,000万円1,664,000円171,300円116,400円1,951,700円19.52%
1,500万円2,824,000円290,800円197,600円3,312,400円22.08%
2,000万円3,984,000円410,300円278,800円4,673,100円23.37%
3,000万円6,304,000円649,300円441,200円7,394,500円24.65%

※ 東京23区・資本金1億円以下の法人税割7.0%で計算。法人税額の1,000円未満を切り捨てて課税標準とし、税額の100円未満を切り捨て

課税所得800万円までは、所得の17.59%で一定です。800万円を超えた部分に27.214%がかかるため、全体の割合はそこから上がっていきます。

この3つに、法人事業税・特別法人事業税(所得400万円までの部分で4.795%)と均等割が加わったものが、会社の税負担の全体です。法人事業税の段階は法人事業税は所得400万円まで3.5%、全部を合わせた実効税率は法人税は15%では済まないにまとめています。

超過税率に変わる線は、一人会社にはまず来ない

東京都の法人税割が7.0%から10.4%に上がるのは、法人税額が年1,000万円を超えたときです。法人税額が1,000万円を超えるのは、課税所得が約4,594万円からです。

一人会社で、役員報酬を取ったあとの法人の所得がここまで残ることはほとんどありません。事業年度が1年未満なら、この1,000万円も月数で按分されます。

一方、東京都以外では、市町村ごとに法人税割の率が違うことがあります。地方税法は市町村民税の法人税割を標準6.0%、最大8.4%まで認めています。当サイトの計算は東京23区の7.0%を前提にしているので、超過課税をしている自治体に会社を置く場合は、そのぶん少し高くなります。

防衛特別法人税も法人税額に乗るが、一人会社は0円

令和8年4月1日以後に始まる事業年度からは、防衛特別法人税も始まりました。基準法人税額から年500万円を控除した額の4%で、これも法人税額を基準にする税です。法人税額が500万円を超えるのは課税所得約2,438万円からなので、一人会社の多くは税額0円です。ただし申告は必要です(防衛特別法人税は一人会社も申告)。

一人会社の実額:法人税の17%強が上乗せされる

当サイトの計算エンジンで、手取りが最大になる役員報酬を取ったときの3つの税を出しました。

売上・経費最適報酬(月)法人の課税所得法人税地方法人税法人税割3つの合計
1,000万円・200万円54.0万円56.7万円85,000円8,700円5,900円99,600円
1,500万円・300万円54.0万円437.5万円656,200円67,500円45,900円769,600円
2,000万円・400万円54.0万円810.2万円1,223,600円125,900円85,600円1,435,100円
3,000万円・600万円100.0万円999.2万円1,662,100円171,100円116,300円1,949,500円

※ 東京23区・40歳未満・単身・合同会社・インボイス登録済み

売上1,500万円・経費300万円なら、法人税65万6,200円に対して、地方法人税と法人税割で計11万3,400円が加わります。法人化の試算で「法人税15%」だけを見ていると、この分を見落とします。

逆に言えば、地方法人税と法人税割は法人税額に比例するだけです。法人税を減らす手段(役員報酬の水準、経費、軽減税率の枠に収めること)は、そのまま2つの税も減らします。会社に残す利益と役員報酬のバランスは役員報酬はいくらが最適かで、事業所得別に総当たりで計算しています。

まずは自分の売上と経費で、法人に残る利益と税額を確かめてください。

法人税割の率が市町村でどれだけ違うかは法人住民税の法人税割の市町村差にまとめています。

まとめ

  • 法人税額を課税標準にする税は、地方法人税(国税・10.3%)と法人住民税の法人税割(東京23区の小規模法人で7.0%)の2つ
  • 合わせて法人税額の17.3%が上乗せされ、軽減税率15%は実質17.595%、本則23.2%は27.214%になる
  • 東京都で法人税割が10.4%になるのは法人税額が年1,000万円超(課税所得約4,594万円)からで、一人会社にはまず来ない
  • 東京都以外では市町村が法人税割を最大8.4%まで上乗せできる
  • 売上1,500万円・経費300万円の一人会社なら、法人税65万6,200円に2つの税が計11万3,400円乗る

よくある質問

地方法人税は地方税ですか。

名前に「地方」と付きますが国税です。法人税と同じく税務署に申告し、集めた税は地方交付税の財源になります。課税標準は基準法人税額で、税率は10.3%です。

赤字で法人税が0円なら、法人税割もかかりませんか。

法人税割は法人税額に税率を掛けるので、法人税額が0円なら法人税割も0円です。ただし法人住民税には均等割があり、こちらは赤字でも年7万円(東京23区の小規模法人)かかります。

法人税割の率は市町村で違いますか。

違うことがあります。標準税率は道府県民税1.0%・市町村民税6.0%ですが、地方税法は道府県2.0%・市町村8.4%までの超過課税を認めています。会社を置く自治体の税率を確認してください。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。