税金の基礎

法人住民税の法人税割、市町村の46%は一人会社にも標準超え。影響は年1万円台

結論

総務省の「法人住民税・法人事業税 税率一覧表」(令和6年4月1日現在)で全1,719市町村(東京23区は1として数える)を集計すると、法人市町村民税の法人税割を標準税率6.0%で課すのは704(41.0%)、超過税率でも中小法人を軽減する不均一課税が224(13.0%)、資本金の小さい会社にも6.0%超をかけるのが791(46.0%、うち8.4%が735)でした。道府県分の中小法人の税率は全都道府県で1.0%なので、合計は7.0%〜9.4%です。合計9.4%でも事業所得1,500万円の一人会社で年2.6万円の差、法人化の損益分岐は1,266万円から1,280万円へ14万円動くだけです。

  • 札幌・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸・さいたまは中小法人に6.0%(東京23区は都分と合わせ7.0%)。福岡市は資本金等1,000万円以下でも7.6%
  • 均等割も、最も小さい区分(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)を標準の5万円より高い6万円にしている市町村が378(22.0%)ある
  • 当サイトの判定ツールは法人税割を東京23区の7.0%で計算している。地方の市町村では法人の税がわずかに高くなる

法人住民税には、赤字でもかかる均等割と、法人税額に応じてかかる法人税割があります。均等割の自治体差は法人住民税の均等割の自治体比較で取り上げました。この記事では、法人税割の率が市町村でどれだけ違い、一人会社にいくら効くかを、総務省がまとめている全国の税率一覧表から数えます。

法人税割の仕組み

法人税割は、法人税額に税率を掛けて計算します。税率は道府県分と市町村分に分かれ、地方税法の標準税率は道府県1.0%、市町村6.0%、合計7.0%です。これを超える税率(超過税率)をかけることもでき、その場合も資本金や法人税額の小さい会社には標準税率を適用する、という不均一課税をしている自治体が多くあります。

東京23区は都が市町村分もまとめて課税し、資本金1億円以下で法人税額が年1,000万円以下の法人は合計7.0%、それ以外は10.4%です。当サイトの判定ツールはこの7.0%で計算しています(法人税15%は実質17.6%)。

道府県分は中小法人なら全国1.0%

総務省の一覧表(令和6年4月1日現在)では、46都道府県が法人税割の超過税率(1.8〜2.0%)をとっていますが、資本金1億円以下で法人税額が年1,000万円以下などの法人には全都道府県が軽減税率1.0%を適用しています。静岡県は超過課税をしていないので1.0%です。一人会社の道府県分は、どこでも1.0%と考えてよい水準です。

市町村分は46%が小さい会社にも標準超え

市町村分の一覧表を全1,719市町村(東京23区を1として数える)で集計しました。

区分市町村数割合
標準税率6.0%(不均一課税なし)70441.0%
超過税率だが中小法人は軽減(不均一課税あり)22413.0%
資本金の小さい会社にも6.0%超をかける(不均一課税なし)79146.0%

※ 総務省「令和6年度 法人住民税・法人事業税 税率一覧表」の市町村の表。「不」の印(税率が異なる不均一課税を実施していることを示す)のない市町村は、表の法人税割の率が資本金の小さい会社にもかかる。不均一課税のある市町村の軽減後の率は表にないため、主要市は各市のページで確認した。元データは data/official/houjinzeiwari-jichitai-r06/、抽出は scripts/houjinzeiwari-jichitai-r06.py、集計は同名の .mjs

資本金の小さい会社にも超過税率がかかる791市町村のうち、735が**8.4%**です。ほかに8.2%が12、7.2%が13、6.8%が10などでした。道府県分1.0%と合わせると、一人会社の法人税割は合計9.4%になります。

主要都市の中小法人の市町村分は次のとおりです(各市の公式ページで確認)。

市中小法人の市町村分軽減の条件
札幌市6.0%資本金1億円以下・法人税額年1,000万円以下
横浜市6.0%資本金等5億円未満
名古屋市6.0%資本金1億円以下・法人税額年2,500万円以下
大阪市6.0%資本金1億円以下・法人税額年2,000万円以下
京都市6.0%資本金等3億円以下・法人税額年1,600万円以下
神戸市6.0%資本金等1億円以下・法人税額年1,600万円以下
さいたま市6.0%資本金1億円以下・法人税額1,000万円以下
福岡市7.6%資本金等1,000万円以下(それを超えると8.4%)
東京23区(都)7.0%(都道府県分と合計)資本金1億円以下・法人税額年1,000万円以下

大都市は中小法人を軽減している一方、超過税率を小さい会社にもそのままかけているのは、主に地方の市町村です。

均等割も22%の市町村が6万円

道府県民税の側の均等割(標準2万円)にも、35府県が森林環境税などの名目で上乗せをしています。都道府県別の額は法人県民税の均等割は35県で上乗せで一覧にしています。

同じ一覧表で、市町村民税の均等割の最も小さい区分(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)を見ると、標準の5万円が1,339(77.9%)、6万円が378(22.0%)、横浜市が5万4,500円、長野県須坂市が5万5,000円でした。6万円の市町村では、道府県分2万円と合わせて年8万円の均等割になります(法人住民税の均等割は赤字でも年7万円)。

一人会社への影響は年1万円台

法人税割は法人税額に掛かる税なので、一人会社では金額が大きくなりません。当サイトの計算エンジンで、法人税割の合計税率だけを差し替えました。

法人税割の合計事業所得1,200万円の法人税割1,500万円2,000万円損益分岐となる事業所得
7.0%(標準・東京23区の中小法人)4.6万円7.5万円7.8万円1,266万円
8.6%(福岡市の小さい会社)5.6万円9.2万円9.6万円1,274万円
9.2%(市町村8.2%・軽減なし)6.0万円9.9万円10.3万円1,278万円
9.4%(市町村8.4%・軽減なし)6.2万円10.1万円10.5万円1,280万円

※ 最適な役員報酬で法人化した場合。国保は全国平均の概算・40歳未満・独身・経費200万円・合同会社。均等割は7万円のまま

合計9.4%の市町村でも、事業所得1,500万円で年2.6万円、損益分岐は14万円上がるだけです。最適な役員報酬を取ると法人に残る所得が小さく、法人税額自体が大きくならないからです(法人税は15%では済まない|利益別の実効税率)。

一人会社が本店をどこに置くかを決めるとき、法人税割の差は判断材料としては小さいと言えます。6万円の市町村で増える均等割の1万円を足しても、差は年数万円の範囲です。法人化するかどうかは、事業所得と役員報酬で決まる部分がはるかに大きいので、まず自分の売上と経費で確かめてください。

まとめ

  • 法人税割の道府県分は、中小法人なら全都道府県で1.0%
  • 市町村分は、全1,719市町村の46.0%(791)が資本金の小さい会社にも6.0%超をかけ、うち735は8.4%
  • 大都市の多くは中小法人に6.0%を適用。福岡市は資本金等1,000万円以下でも7.6%
  • 均等割の最小区分を6万円にしている市町村も378(22.0%)ある
  • 法人税割の差は一人会社で年1万〜3万円程度。法人化の損益分岐は最大14万円動くだけ

よくある質問

法人住民税の法人税割は全国どこでも7%ですか。

いいえ。道府県分は中小法人なら全都道府県で1.0%ですが、市町村分は標準税率6.0%の市町村と、超過税率(最大8.4%)をかける市町村があります。総務省の一覧表では、資本金の小さい会社にも6.0%を超える率をかける市町村が1,719のうち791ありました。

大都市は法人税割が高いのですか。

大都市の多くは超過課税をしていますが、資本金1億円以下で法人税額が一定以下の中小法人は軽減して6.0%にしています。札幌・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸・さいたまはこの形です。福岡市は資本金等1,000万円以下でも7.6%です。

法人税割の差で法人化の判断は変わりますか。

ほとんど変わりません。法人税割は法人税額に掛かる税で、一人会社の法人税額は大きくないためです。合計税率が7.0%から9.4%になっても、事業所得1,500万円で年2.6万円の差、損益分岐は14万円動く程度です。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。