税金の基礎
法人事業税は所得400万円まで3.5%。特別法人事業税を足すと4.8%
結論
資本金1億円以下の一人会社の法人事業税は、所得のうち年400万円以下の部分に3.5%、400万円を超え800万円までの部分に5.3%、800万円超の部分に7.0%(標準税率)で、これに法人事業税額の37%の特別法人事業税が加わります。合わせた負担率は400万円以下の部分で4.795%、800万円超の部分で9.59%です。所得400万円なら年19万1,800円になります。
- 資本金1,000万円以下の法人247万社のうち65.2%は欠損法人。所得のある法人の56.0%は所得400万円以下で、3.5%の段だけで済んでいる(総務省・令和6年度)
- 事業年度が12か月未満なら400万円・800万円の区分は月割になる。6か月の1期目で所得400万円なら、12か月の年度より4万9,300円多い
- 売上1,500万円・経費300万円の一人会社が最適報酬(月54万円)を取ると、法人事業税と特別法人事業税は合わせて年21万8,900円
このテーマの全体像 法人税の実効税率(利益別)
法人化すると、個人事業税の代わりに法人事業税がかかります。税率は所得に応じて3段階で、そこに国税の特別法人事業税が上乗せされます。一人会社の多くは最も低い段に収まりますが、設立1期目が短いと同じ所得でも上の段に入ることがあります。
税率は3段階。特別法人事業税37%を足して見る
法人事業税(所得割)の税率は、地方税法第72条の24の7で定められています。資本金1億円以下で外形標準課税の対象でない一般の法人は、所得を3つに区分し、それぞれの部分に税率を当てて合計します。
| 所得の区分 | 法人事業税(標準税率) | 特別法人事業税を含めた率 |
|---|---|---|
| 年400万円以下の部分 | 3.5% | 4.795% |
| 年400万円を超え800万円までの部分 | 5.3% | 7.261% |
| 年800万円超の部分 | 7.0% | 9.59% |
特別法人事業税は、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律の第7条で、**基準法人所得割額に37%**を掛けた額と定められています。基準法人所得割額とは、標準税率で計算した法人事業税の所得割額のことです。都道府県に申告・納付しますが、国税です。
つまり、法人事業税の負担を見るときは、表の右の列を使うのが実態に近くなります。所得400万円以下の部分なら、所得の4.795%です。
東京都の小さな会社は標準税率
都道府県は標準税率を超える税率(超過税率)を定められます。東京都の場合、所得割の超過税率は3.75%・5.665%・7.48%ですが、資本金と所得の大きさに応じた不均一課税を行っていて、一定規模以下の法人には標準税率が使われます。
なお、3以上の都道府県に事務所を置く資本金1,000万円以上の法人は、区分なしで所得全体に7.0%がかかります(同条第5項、軽減税率不適用法人)。一人会社では、まず該当しません。
所得別に計算すると、400万円までは一律4.79%
当サイトの税率データ(rates-2026.json)で、所得別の法人事業税と特別法人事業税を計算しました。
| 所得 | 法人事業税 | 特別法人事業税 | 合計 | 所得に対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 35,000円 | 12,900円 | 47,900円 | 4.79% |
| 200万円 | 70,000円 | 25,900円 | 95,900円 | 4.79% |
| 300万円 | 105,000円 | 38,800円 | 143,800円 | 4.79% |
| 400万円 | 140,000円 | 51,800円 | 191,800円 | 4.79% |
| 500万円 | 193,000円 | 71,400円 | 264,400円 | 5.29% |
| 600万円 | 246,000円 | 91,000円 | 337,000円 | 5.62% |
| 800万円 | 352,000円 | 130,200円 | 482,200円 | 6.03% |
| 1,000万円 | 492,000円 | 182,000円 | 674,000円 | 6.74% |
| 1,500万円 | 842,000円 | 311,500円 | 1,153,500円 | 7.69% |
| 2,000万円 | 1,192,000円 | 441,000円 | 1,633,000円 | 8.16% |
※ 標準税率。所得は法人事業税の課税標準(法人税の所得とほぼ同じ)。100円未満の端数は切り捨て
所得400万円までは一律で約4.79%、そこから上の部分にだけ高い率がかかるので、全体の割合はなだらかに上がります。**所得1,000万円でも6.74%**で、9.59%に達するのは800万円を超えた部分だけです。
法人事業税と特別法人事業税は、払った事業年度の損金になります。通常は翌期の損金なので、1期目の法人税の計算では引けません。その影響は法人事業税の損金算入はいつで計算しています。
資本金1,000万円以下の会社の大半は、3.5%の段にいる
では、実際の会社はどの段にいるのでしょうか。総務省の**道府県税の課税状況等に関する調(令和6年度)**には、所得割だけで課税される法人の資本金別・所得階層別の法人数があります。資本金1,000万円以下の3区分(300万円未満、300万円以上1,000万円未満、1,000万円)を合計しました。
| 所得階層 | 法人数 | 全体に占める割合 | 所得のある法人に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 欠損法人 | 1,612,976社 | 65.2% | — |
| 400万円以下 | 480,863社 | 19.5% | 56.0% |
| 400万円超800万円以下 | 136,885社 | 5.5% | 15.9% |
| 800万円超1,000万円以下 | 39,015社 | 1.6% | 4.5% |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 161,038社 | 6.5% | 18.7% |
| 5,000万円超1億円以下 | 23,788社 | 1.0% | 2.8% |
| 1億円超 | 17,686社 | 0.7% | 2.1% |
※ 資本金1,000万円以下の合計247万2,251社。道府県ごとの課税状況を全国で合計した数字
まず、65.2%は欠損法人で、所得割の法人事業税はかかっていません。所得のある85万9,275社に絞ると、56.0%は所得400万円以下で、3.5%の段だけで済んでいます。所得800万円までの法人を合わせると71.9%です。
国税庁の会社標本調査でも、所得が800万円までの会社は黒字の中小法人の64%でした(国税庁の統計で数えた中小法人の所得)。法人税の15%の枠と、法人事業税の3.5%・5.3%の段は、多くの小さな会社にとって「ほぼ全部が軽い側に入る」区分です。
一人会社は、役員報酬で所得をこの段に収める
一人会社の場合、法人の所得は「売上−経費−役員報酬−会社負担の社会保険料」です。役員報酬を多く取れば、法人の所得は小さくなります。当サイトの計算エンジンで、手取りが最大になる役員報酬を取ったときの法人事業税を出しました。
| 売上・経費 | 最適報酬(月) | 法人の税引前利益 | 法人事業税 | 特別法人事業税 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円・200万円 | 54.0万円 | 59.5万円 | 19,800円 | 7,300円 |
| 1,500万円・300万円 | 54.0万円 | 459.5万円 | 159,800円 | 59,100円 |
| 2,000万円・400万円 | 54.0万円 | 859.5万円 | 359,100円 | 132,800円 |
| 3,000万円・600万円 | 100.0万円 | 1,066.6万円 | 491,400円 | 181,800円 |
※ 東京23区・40歳未満・単身・合同会社・インボイス登録済み。計算エンジンは法人事業税を当期の損金とみなす近似で計算している
売上1,500万円・経費300万円なら、法人に残る利益は459.5万円で、法人事業税と特別法人事業税は合わせて年21万8,900円です。利益の大半が400万円以下の段に入っています。個人のままなら同じ人に個人事業税が年45万5,000円かかるので、事業税だけで見れば法人化で減ります。どの所得で、どれだけ減るかは法人化で事業税はいくら減るかで計算しています。
法人税・地方法人税・法人住民税まで含めた会社全体の税負担は、法人税は15%では済まないで利益別の実効税率にまとめています。
設立1期目が短いと、同じ所得でも上の段に入る
見落としやすいのが、事業年度が12か月に満たない場合です。地方税法第72条の24の7第6項により、400万円・800万円の区分は月数で按分されます(1か月未満の端数は1か月)。6か月の事業年度なら、区分は200万円・400万円になります。
| 所得 | 12か月の事業年度 | 6か月の事業年度 | 差 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 143,800円 | 168,500円 | 24,700円 |
| 400万円 | 191,800円 | 241,100円 | 49,300円 |
| 600万円 | 337,000円 | 432,900円 | 95,900円 |
| 800万円 | 482,200円 | 624,700円 | 142,500円 |
年の途中で法人成りし、決算月を近くに置くと、1期目は短くなります。そこで所得が多く出ると、12か月の年度より事業税が重くなります。法人税の800万円の軽減枠も同じように月割になるため、1期目の長さは決算月の決め方とセットで考える必要があります。決算月の考え方は決算月の決め方にまとめています。
数字は条件で大きく動きます。まずは自分の売上と経費で、法人に残る利益と事業税を確かめてください。
まとめ
- 法人事業税(所得割)の標準税率は、所得400万円までの部分3.5%・800万円までの部分5.3%・800万円超の部分7.0%。特別法人事業税37%を足すと4.795%・7.261%・9.59%
- 所得400万円の法人事業税と特別法人事業税は合計19万1,800円、1,000万円でも所得の6.74%
- 資本金1,000万円以下の247万社の65.2%は欠損法人。所得のある法人の56.0%は400万円以下の段だけ
- 売上1,500万円・経費300万円の一人会社が最適報酬を取ると、法人の利益は459.5万円で事業税は合計21万8,900円
- 事業年度が12か月未満なら区分が月割になり、6か月・所得400万円で4万9,300円重くなる
よくある質問
特別法人事業税は別に申告するのですか。
特別法人事業税は国税ですが、法人事業税と併せて都道府県に申告・納付します。課税標準は基準法人所得割額(標準税率で計算した法人事業税の所得割額)で、一般の中小法人は37%です。
赤字の年でも法人事業税はかかりますか。
資本金1億円以下で所得割だけで課税される法人なら、所得がなければ法人事業税(所得割)と特別法人事業税はかかりません。赤字でもかかるのは法人住民税の均等割です。
東京都の会社は超過税率になりますか。
東京都は資本金と所得の大きさに応じて不均一課税を行っており、一定規模以下の法人は標準税率(3.5%・5.3%・7.0%)が適用されます。それより大きい法人は超過税率(3.75%・5.665%・7.48%)です。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。