税金の基礎
会社をたたむ年の均等割はいつまでかかる?営業をやめても解散までは月割で続く
結論
法人住民税の均等割は、営業をやめた日ではなく、事務所等を有していた月数でかかります。東京都の審査会は、営業を終えてから1年後に解散した会社に、その間の在庫処分の売上や原状回復費・光熱水費・税理士報酬の計上を理由に1年分の均等割(この会社は資本金3,000万円で18万円)を認めました。23区・年7万円の会社なら、営業終了と同時に解散すれば5.25万円、1年空ければ12.25万円で、7万円の差になります。
- 東京都主税局は、解散の日の翌日から清算結了までの期間も法人事業税・法人都民税の申告が必要としている。均等割は決算の状況にかかわらず課税される
- 解散の日で事業年度が終わり、解散の翌日から清算事業年度が始まる。均等割はそれぞれの期間で、事務所等を有していた月数を12で割って月割する
- 東京都の都税条例は、事務所等を廃止したら10日以内に申告する義務を定めている(答申の引用による)
このテーマの全体像 法人住民税の均等割(赤字でも年7万円)
会社をたたむと決めて営業をやめたのに、翌年、均等割の決定通知が届いた――。東京都行政不服審査会の答申に、この事案があります。営業をやめた日と、税務上「事務所等がなくなった日」は同じではありません。
営業終了から解散までの1年分を課された答申
平成30年7月25日の答申の会社は、次の日程で会社をたたみました。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 平成28年5月31日 | 営業活動を終了(異動届で都税事務所に届出) |
| 平成28年6月1日〜平成29年5月31日 | 事業年度(この期間の均等割が争点) |
| 平成29年5月31日 | 解散(異動届で届出) |
※ 東京都行政不服審査会 答申(平成30年7月25日)
会社は、営業終了後の売上は残っていた在庫の処理にすぎず、経費も店舗の原状回復費、光熱水費、税理士法人への申告手数料だけだと主張しました。だから平成28年6月以降、本店(代表者の自宅)は「継続して事業が行われる場所」ではない、という主張です。
答申は退けました。この事業年度にも売上高と販売費・一般管理費が計上されている以上、継続して事業を行っていたといえる。代表者の自宅を事務所として事業を行っていたので、23区内に事務所等を有する法人として均等割の納付義務がある、という判断です。法人税割の基礎になる法人税額は0円でしたが、資本金3,000万円の区分の均等割年18万円がそのまま決定されました。
営業をやめても「付随する活動」は事業になる
均等割の課税要件は、都内に事務所等を有することです。総務省の取扱通知は、事務所等で行われる事業は本来の事業の取引でなくてもよく、本来の事業に直接・間接に関連する付随的な事業でも、社会通念上そこで事業が行われていれば事務所等として扱ってよいとしています。在庫の処分、店舗の明け渡し、決算や申告の手続も、会社をたたむための付随的な活動です。
解散の後も、清算結了まで申告は続く
東京都主税局は、法人は解散後も清算結了まで法人格を持ち清算事務を行うとして、解散の日の翌日から清算結了までの期間についても法人事業税・法人都民税の申告が必要と案内しています。均等割は、決算の状況にかかわらず、資本金等の額と従業者数に応じて課税されます。
期間の区切りは次のとおりです。
| 期間 | 根拠 | 均等割 |
|---|---|---|
| 事業年度の開始日〜解散の日 | 法人税法14条(解散の日で事業年度が終わる) | 事務所等を有していた月数で月割 |
| 解散の翌日〜1年ごと(清算事務年度) | 会社法494条 | 同上 |
| 最後の清算事業年度の開始日〜残余財産の確定日 | 法人税法14条 | 同上 |
月数は暦に従って数え、1か月に満たない端数は切り捨てます。期間の全部が1か月に満たない場合は1か月です(地方税法52条3項・312条4項、東京都主税局の案内)。
清算では債権者に対して2か月以上の期間を定めて公告する必要があるため(会社法499条)、解散から清算結了までは最短でも2か月を超えます。手続と費用の全体は法人の解散・清算は登記だけで4.1万円。最短でも2か月超にまとめています。
日付の置き方で、均等割は7万円変わる
23区・資本金等1,000万円以下・従業者50人以下(年7万円)の会社で、3月決算、9月30日に営業を終える場合を計算しました。どの期間も事務所等があったものとします。
| 日程 | 期間ごとの月数 | 均等割の合計 |
|---|---|---|
| A 営業終了と同時に解散(9月30日)、12月31日に残余財産確定 | 6か月+3か月 | 5.25万円 |
| B 9月30日に営業終了、翌年3月31日に解散、6月30日に残余財産確定 | 12か月+3か月 | 8.75万円 |
| C 9月30日に営業終了、1年後の9月30日に解散、12月31日に残余財産確定 | 12か月+6か月+3か月 | 12.25万円 |
※ 年額7万円・23区・3月決算。scripts/kaisan-kintouwari.mjs で計算
Cは、答申の会社と同じく営業終了から解散まで1年空けた場合です。Aと比べて7万円多くかかります。決算期末(3月31日)まで待って解散するBでも、Aより3.5万円多くなります。
金額だけを見れば大きくありませんが、この間も税理士報酬や申告の手間はかかり続けます。営業をやめる日が決まったら、解散の日をなるべく近づけ、清算を長引かせないことが、たたむ費用を抑えるいちばん確実な方法です。
事務所等の廃止は10日以内に申告する
答申は、東京都の都税条例が、事務所等を廃止した場合はその事実が生じた日から10日以内に都知事に申告する義務を定めていることにも触れています(条例114条の2第2項)。本店を代表者の自宅に移して清算を続ける場合は、本店移転の登記と、都税事務所・市区町村への届出が別に必要です。
休業との違い
会社を畳まずに休ませる場合も、帳簿に売上や経費が残っていれば均等割はかかるというのが、東京都の審査会の判断です(東京都で会社を休業しても均等割はかかるか)。たたむと決めたなら、休業のまま年をまたぐより、解散と清算を進めたほうが均等割の月数は少なくて済みます。赤字でもかかる均等割の基本は法人住民税の均等割は赤字でも年7万円、法人をやめて個人事業に戻る判断は個人成りの目安で扱っています。
まとめ
- 均等割は営業をやめた日ではなく、事務所等を有していた月数でかかる
- 東京都の答申は、営業終了から解散までの1年に在庫処分の売上や原状回復費・光熱水費・税理士報酬があったことから、1年分の均等割を認めた
- 解散の翌日から清算結了までも申告が必要。各期間で月割し、1か月未満の端数は切り捨て
- 23区・年7万円なら、営業終了と同時に解散すれば5.25万円、1年空ければ12.25万円
- 事務所等の廃止は10日以内に申告。清算には債権者公告の2か月以上がかかる
会社をたたむ費用は、日程の組み方で変わります。自分の決算月と事務所の状況で確かめてください。
よくある質問
解散した後の清算中にも均等割はかかりますか?
東京都主税局は、解散の日の翌日から清算結了までの期間についても法人都民税の申告が必要としています。均等割は事務所等を有していた月数で月割するため、清算事務を行う事務所等があれば、その月数分がかかります。
営業をやめた後の在庫処分や原状回復だけでも、事業を続けていることになりますか?
東京都の答申(平成30年7月25日)は、営業終了後の残存在庫の処理による売上と、店舗の原状回復費・光熱水費・税理士への申告手数料などが計上されていたことから、継続して事業を行っていたと判断しました。営業の本体をやめても、付随する活動があれば事務所等があるとされることがあります。
均等割を減らすには、どうすればよいですか?
均等割は月割なので、営業をやめてから解散・清算結了までの期間を短くするほど少なくなります。事務所等を廃止したときは10日以内に都税事務所へ申告します。解散から清算結了までは、債権者への公告に2か月以上かかるため、ゼロにはなりません。
出典
本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。