税金の基礎

会社の保養所・寮だけでも均等割は年5万〜7万円。事務所がない市でも課税

結論

法人が、事務所等のない市町村に寮・宿泊所・クラブ・保養所などの「寮等」を持つと、その市町村と道府県で均等割だけがかかります(地方税法294条1項4号・24条1項4号)。資本金1,000万円以下の会社なら標準で、同じ都道府県内の別の市町村なら年5万円、別の都道府県なら年7万円です。同じ建物を個人で持つ家屋敷課税は年4,000円なので、会社名義にすると年4万6,000円〜6万6,000円増えます。

  • 寮等は、法人が従業員の宿泊・慰安・娯楽等の便宜を図るために常時設けている施設。自己所有か借り受けかを問わない(仙台市)
  • 均等割だけで、法人税割はかからない。本店と同じ市町村にある寮等は、追加の均等割を生まない
  • 期中に取得・廃止したときは月割。3月決算の会社が7月1日に別の県の保養所を取得すると、1期目は5万2,500円

法人住民税の均等割は「事務所のある自治体にかかる税」と説明されます。間違いではありませんが、正確には事務所のない自治体にもかかる場合があります。会社が寮や保養所を持っている場合です。

一人会社でも、リゾートマンションや別荘を会社名義で買って保養所にすると、その市町村と県の均等割が毎年加わります。個人で持っていれば年4,000円で済んだものが、年7万円になることもあります。

事務所がなくても、寮等があれば均等割だけかかる

地方税法294条1項は、市町村民税の納税義務者を5つに分けています。法人に関係するのは次の2つです。

号納税義務者課される税
3号市町村内に事務所又は事業所を有する法人均等割+法人税割
4号市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(寮等)を有する法人で、その市町村内に事務所又は事業所を有しないもの均等割だけ

道府県民税も同じ形です(24条1項3号・4号)。つまり、別の県の市町村に保養所を持てば、その市町村の市町村民税と、その県の道府県民税の両方で均等割がかかります。

寮等の範囲について、仙台市は「寮、宿泊所、クラブ、保養所、集会所その他これらに類するもので、法人が従業員の宿泊、慰安、娯楽等の便宜を図るために常時設けられている施設」と説明しています。自己所有に限らず、借り受けているものも含まれます。

事務所等と違い、寮等には人が常駐して事業をしている必要はありません。人的設備がないから事務所ではない、という判断が、寮等ではそのまま当てはまらない点に注意が必要です。事務所等の判定の考え方は法人の事務所が2自治体なら均等割も2か所で扱っています。

会社名義にすると、個人で持つより年4.6万〜6.6万円高い

資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の会社の均等割は、標準税率で市町村民税5万円(地方税法312条)、道府県民税2万円です。

同じ建物を個人が持つ場合、住所と別の市町村にある住宅は「家屋敷」として、その市町村で均等割だけを納めます(24条1項2号・294条1項2号)。標準は市町村3,000円・道府県1,000円の年4,000円です。

保養所・別荘を持ったときに増える均等割(標準税率)

保養所・寮の場所個人で持つ(家屋敷・年)会社で持つ(寮等・年)会社で持つ(5年)
本店と同じ市町村0円0円0円
同じ都道府県の別の市町村4,000円50,000円250,000円
別の都道府県4,000円70,000円350,000円

会社は資本金等1,000万円以下・従業者50人以下。個人は、その建物の市町村に住所がなく、前年の所得が均等割の非課税基準を超える場合。超過課税のある自治体ではこれより高い。再計算は node scripts/ryo-hoyosho-kintouwari.mjs。

別の都道府県なら、会社名義の均等割は個人の家屋敷課税より年6万6,000円多くなります。5年で35万円です。本店と同じ市町村にある寮等は、その市町村ですでに事務所等として均等割を払っているので、追加の均等割は生まれません。

個人の家屋敷課税の仕組みと、法人化したときの入れ替わりは別の市に事務所がある個人事業主は均等割が2か所にまとめています。

期中に取得したら月割

寮等を事業年度の途中で設けたり廃止したりしたときは、その市町村に寮等を有していた月数で月割します(浜松市の案内)。3月決算の会社が別の都道府県に保養所を取得した場合の1期目は次のとおりです。

取得した時期(3月決算)有していた月数その事業年度の均等割(市町村+道府県)
4月1日12か月70,000円
7月1日9か月52,500円
10月1日6か月35,000円
翌年1月1日3か月17,500円

標準税率(市町村5万円・道府県2万円)を月数で按分し、100円未満を切り捨てた。

寮等を設けたときは、その市町村と都道府県に法人の設置の届出が必要です。均等割だけの申告になるので、事務所のある自治体と別に申告書を出します。

一人会社の保養所は、均等割より先に給与課税を確かめる

一人会社で保養所を持つのは、社長自身や家族が使うリゾートマンションであることが多いはずです。その場合、均等割の前に確かめることがあります。会社の資産を役員が私的に使うと、その使用料相当額が役員への給与(経済的利益)とされる場合があるためです。

均等割は年5万〜7万円の固定費ですが、給与課税になれば社長個人の所得税・住民税が増えます。保養所として会社で持つかどうかは、均等割と合わせて、利用の実態で判断することになります。

均等割そのものの仕組み(赤字でもかかる、資本金等で区分が上がる)は法人住民税の均等割(赤字でも年7万円)を見てください。法人化するかどうかは、こうした固定費を含めて、自分の売上と経費で個人と法人の手取りを比べたうえで判断してください。

まとめ

  • 事務所等のない市町村でも、寮・宿泊所・クラブ・保養所などの寮等を持つ法人は均等割を納める(地方税法294条1項4号・24条1項4号)
  • 寮等は従業員の宿泊・慰安・娯楽等のために常時設ける施設で、借りているものも含む。法人税割はかからない
  • 資本金1,000万円以下の会社なら、同じ都道府県の別の市町村で年5万円、別の都道府県で年7万円。個人の家屋敷課税は年4,000円
  • 期中に取得・廃止したら月割。3月決算で7月1日取得なら1期目は5万2,500円
  • 一人会社の保養所は、役員の私的利用として給与課税されないかを先に確かめる

よくある質問

寮等しかない市町村でも、法人税割はかかりますか?

かかりません。地方税法294条1項は、寮等を有する法人でその市町村内に事務所等を有しないものには均等割額によって課すと定めています。法人税割は事務所等のある市町村でだけ課されます。

会社が借りているマンションも寮等になりますか?

仙台市は、寮等は自己所有に限らず借り受けているものも含まれると説明しています。従業員の宿泊・慰安・娯楽等の便宜を図るために常時設けている施設かどうかで判断します。

寮等の従業者も均等割の区分の人数に数えますか?

数えます。地方税法312条は、均等割の区分を「事務所、事業所又は寮等の従業者」の合計数で判定すると定めています。小さい会社が50人を超えることは通常ありませんが、区分の判定には含まれます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。