社会保険

協会けんぽの扶養率は0.54。家族の保険料がゼロになる価値を国保と比べる

結論

協会けんぽの被扶養者は令和6年度末で1,397万5,063人、被保険者1人当たり0.543人です。被扶養者の保険料はかからないので、国保で家族の人数分かかっていた均等割が法人化で消えます。東京23区・事業所得500万円なら、配偶者と小学生の子2人の分で年19.7万円です。ただし国保が上限に近づく事業所得800万円では8.6万円、1,000万円では0.2万円まで縮みます。

  • 扶養率は令和2年度末の0.62から令和6年度末の0.54へ低下。被扶養者は4年で144万人(9.4%)減った
  • 被扶養者の56.7%は19歳以下の子ども。20〜59歳の被扶養者は大半が女性で、配偶者の扶養が中心
  • 都道府県別の扶養率は東京が0.428で最も低く、沖縄0.685・奈良0.660が高い

法人化すると、社長は健康保険の被保険者になり、配偶者や子どもを被扶養者にできます。被扶養者の保険料はかかりません。では、協会けんぽではどれくらいの家族が被扶養者になっているのでしょうか。事業年報で数えると、被保険者1人に対して0.54人でした。

被保険者1人当たり0.54人。4年で0.62から下がった

使ったのは、全国健康保険協会の**事業年報(令和6年度)**です。被保険者数に対する被扶養者数の比率を「扶養率」と呼んでいます。

年度末被扶養者数扶養率
令和2年度15,419,1180.62
令和3年度15,193,2740.61
令和4年度14,640,0340.59
令和5年度14,330,8450.57
令和6年度13,975,0630.54

令和6年度末の被扶養者は1,397万5,063人で、被保険者2,572万1,070人に対する扶養率は0.543です。4年間で被扶養者は144万人(9.4%)減り、扶養率は0.62から0.54へ下がりました。共働きの広がりや、パートで働く配偶者の社会保険加入が進んだことで、扶養に入る家族そのものが減っていると考えられます。

被扶養者の57%は子ども

被扶養者の年齢構成(令和6年9月30日現在)を見ると、19歳以下が56.7%、20〜59歳が32.6%、60〜74歳が10.6%です。平均年齢は25.9歳で、被保険者の46.3歳より20歳若くなっています。

20歳以上の被扶養者は女性が大半です。たとえば40〜44歳の被扶養者は、男性0.6%に対して女性5.7%(被扶養者全体に占める割合)で、扶養に入っている配偶者の多くが妻であることを示しています。

都道府県で0.43から0.69まで違う

都道府県別(協会けんぽの支部別)の扶養率は、次のとおりです。

扶養率の高い都道府県扶養率扶養率の低い都道府県扶養率
沖縄0.685東京0.428
奈良0.660岩手0.499
鹿児島0.631秋田0.502
和歌山0.613富山0.503
滋賀0.609青森0.510
愛媛0.602山形0.512
兵庫0.601石川0.524
福岡0.597福島0.528

※ 令和6年度末。全国は0.543

最も低いのは東京の0.428です。単身の被保険者が多いことや、共働き世帯の多さが表れていると考えられます。高いのは沖縄・奈良・鹿児島で、子どもの多い地域や、配偶者が扶養に入る世帯の多い地域が並びます。

国保では、家族の人数分の均等割がかかる

被扶養者の保険料がかからないのは、健康保険料が被保険者の標準報酬月額と標準賞与額に料率を掛けて決まるからです(健康保険法第156条)。家族が何人いても、社長の保険料は変わりません。

一方、国民健康保険には扶養という考え方がありません。加入者1人ごとに均等割がかかります。東京23区(令和8年度)で、家族構成別の国保を当サイトの計算エンジンで出しました。

家族事業所得300万円500万円800万円1,000万円
単身33.9万円55.1万円86.8万円95.8万円
配偶者(所得なし)40.6万円61.8万円93.5万円96.0万円
配偶者+子2人(小学生)53.6万円74.8万円95.4万円96.0万円
配偶者+子2人(うち1人未就学)50.4万円71.5万円95.4万円96.0万円

※ 東京23区・40歳未満。事業所得は青色申告特別控除の後。未就学児は均等割が5割軽減

事業所得300万〜500万円では、配偶者1人で年6.7万円、配偶者と小学生の子2人で年19.7万円が、家族の分として上乗せされています。法人化して家族が被扶養者になれば、この分は消えます。

ただし、所得が上がると家族の分の差は縮みます。国保には世帯の上限があるからです。事業所得800万円では配偶者と子2人の分は8.6万円、1,000万円では0.2万円しか残りません。単身でも上限近くまで保険料がかかっているため、家族が何人いても上限で止まってしまいます(国保の上限96万円に届く所得)。

法人化の判断では、配偶者の国民年金のほうが大きい

家族の扶養で法人化の損得が大きく動くのは、国保の均等割よりも、配偶者の国民年金です。個人事業主の配偶者(所得なし)は国民年金の第1号被保険者として保険料を払いますが、社長が厚生年金に入ると、60歳未満の配偶者は第3号被保険者になり保険料がかかりません。

当サイトの基本条件(東京23区・40歳未満)では、法人化の損益分岐点は単身で事業所得1,266万円、配偶者(所得なし)がいると1,016万円です。この差の多くは配偶者の国民年金によるもので、損益分岐点の近くでは国保の家族の分はほぼ上限で消えています。配偶者がいる場合の計算は配偶者がいると法人化の分岐点は250万円下がる、子どもの均等割が損益分岐点を動かさない理由は子どもが多いほど法人化が有利?で扱っています。

被扶養者には毎年の資格確認があり、配偶者の収入が要件を超えると外れます。一人社長の社会保険料の全体は一人社長の社会保険料を見てください。家族がいる場合は、判定ツールで配偶者と扶養の人数を入れて確かめてください。

まとめ

  • 協会けんぽの扶養率は令和6年度末で0.543(被扶養者1,397万5,063人)。令和2年度末の0.62から下がり、被扶養者は4年で144万人減った
  • 被扶養者の56.7%は19歳以下で、20歳以上は女性が中心
  • 都道府県別では東京の0.428が最も低く、沖縄0.685・奈良0.660が高い
  • 被扶養者の保険料はかからない。国保では東京23区・事業所得500万円で、配偶者と子2人の分として年19.7万円がかかっている
  • ただし国保には世帯の上限があり、事業所得1,000万円では家族の分の差は0.2万円。法人化の判断では配偶者の国民年金のほうが大きく効く

よくある質問

一人社長の配偶者や子どもは、協会けんぽの被扶養者になれますか。

なれます。配偶者・子・父母などは同居していなくても対象で、年間収入が130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満は150万円未満)、かつ同居なら被保険者の収入の半分未満などの要件を満たせば被扶養者になります。

被扶養者が増えると社長の健康保険料は上がりますか。

上がりません。健康保険料は被保険者の標準報酬月額と標準賞与額に料率を掛けて計算するので、被扶養者が何人いても同じです(健康保険法第156条)。

国民健康保険には扶養という考え方はないのですか。

ありません。国民健康保険は世帯の加入者1人ごとに均等割がかかります。未就学児は均等割が5割軽減され、子ども・子育て支援金分は18歳年度末までの子が軽減されますが、家族が増えるほど保険料は増えます。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。