税金の基礎

社用車はリースと購入どっちが得?法人は購入のほうが早く経費になる

結論

中途解約できないフルペイアウトの車のリースは、税務上は購入とみなされ、リース料総額をリース期間で均等に経費にします(リース期間定額法)。300万円の新車なら、法人が購入して定率法で償却すると1年目に99.9万円落ちるのに対し、5年リース(総額330万円)は毎年66.0万円です。法人は購入のほうが早く経費になり、定額法の個人事業主ではリースのほうが早くなります。

  • リース資産には少額減価償却資産・一括償却資産・特別償却が使えない(国税庁 No.5704)
  • リースで経費の総額が30万円増えても、税金が減るのは6年間で6.3万円。差の約8割は手出しになる
  • 消費税はリース開始時に全額を控除するのが原則。会計でリース料を賃借料にしていれば、支払のつど控除する分割控除も認められる

「車はリースにすれば全額経費になる」という説明をよく見かけます。けれども税務では、多くのカーリースは購入と同じ扱いです。違うのは経費になる時期と総額で、しかも法人と個人事業主で向きが逆になります。

車のリースは、税務上は「購入」とみなされる

国税庁 No.5702 によると、平成20年4月1日以後に契約した資産の賃貸借のうち、次の2つを満たすもの(法人税法上のリース取引)は、リース資産の引渡しの時に売買があったものとされます。

  • 中途解約ができない(中途解約するなら残りのリース料のおおむね全部、原則90%以上を払う契約を含む)
  • フルペイアウト:借り手が資産の経済的な利益を受け、使用に伴う費用を実質的に負担する(解約できない期間のリース料総額が、その資産を通常買う価額のおおむね90%を超えれば該当)

一般的なカーリースはこの2つを満たします。そのうち、リース期間の終了時に車が無償で借り手のものになる契約などを除いたものが所有権移転外リース取引で、ほとんどのカーリースはこれに当たります(国税庁 No.5704)。

所有権移転外リースの車は、借り手が取得した減価償却資産として扱われ、償却方法はリース期間定額法に限られます。リース料総額を取得価額として、リース期間で均等に経費にする方法です。さらに No.5704 は、このリース資産には次の制度が使えないと明記しています。

  • 少額の減価償却資産の損金算入(10万円未満)
  • 一括償却資産の損金算入(20万円未満)
  • 特別償却・圧縮記帳

300万円の新車で、毎年の経費を比べる

車両価格300万円(税抜)の普通自動車(法定耐用年数6年)を、期首に取得またはリースした場合です。リースは5年・リース料総額330万円(車両価格に金利・手数料として10%を上乗せした設例)としました。

年目法人が購入(定率法)個人が購入(定額法)リース(リース期間定額法)
1年目99.9万円50.1万円66.0万円
2年目66.6万円50.1万円66.0万円
3年目44.4万円50.1万円66.0万円
4年目29.7万円50.1万円66.0万円
5年目29.7万円50.1万円66.0万円
6年目29.6万円49.5万円0.0万円
合計300.0万円300.0万円330.0万円

※ 車両価格300万円(税抜)・普通自動車(耐用年数6年)・期首に取得・12か月使用。購入は残存簿価1円まで。償却率は耐用年数省令(定率法0.333・改定償却率0.334・保証率0.09911、定額法0.167)。リースは所有権移転外リースでリース期間5年・リース料総額330万円(設例)。当サイトで計算(scripts/shayosha-lease-kounyu.mjs)

ここで向きが分かれます。

  • 法人:減価償却の方法を届け出ていなければ定率法です。1年目に99.9万円が落ち、リースの66.0万円より33.9万円多く経費になります
  • 個人事業主:届け出ていなければ定額法です。1年目は50.1万円で、リースの66.0万円のほうが15.9万円多く経費になります

法人と個人で償却方法の初期値が違う仕組みは法人の減価償却は届出なしだと定率法で扱っています。つまり「リースのほうが早く経費になる」は、定額法で償却する個人事業主には当てはまっても、定率法の法人には当てはまりません。

リースで経費が30万円増えても、税金は6.3万円しか減らない

リースは総額が購入より高くなるぶん、経費の合計も大きくなります(設例では30万円)。それで税金がいくら減るのかを、車の経費を引く前の税引前利益が毎年400万円の法人で計算しました。

年目購入(定率法)の税負担リースの税負担リース−購入累計
1年目71.1万円78.3万円+7.3万円+7.3万円
2年目78.2万円78.3万円+0.1万円+7.4万円
3年目82.9万円78.3万円−4.6万円+2.8万円
4年目86.1万円78.3万円−7.7万円−4.9万円
5年目86.1万円78.3万円−7.7万円−12.7万円
6年目86.1万円92.4万円+6.3万円−6.3万円

※ 税負担は法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税の合計(東京都の税率・中小法人)。当サイトの計算エンジンで算出(scripts/shayosha-lease-kounyu.mjs tax)

最初の2年はリースのほうが税金が高く、3年目以降に逆転します。6年間の合計では、リースのほうが税金は6.3万円少ないだけです。リースで増えた支払い30万円のうち、税金で戻ってくるのは約2割で、残りの約8割は手出しです。

「経費になるから得」なのではなく、払った額に税率をかけた分だけ税金が減るというのが経費の効果です。法人の税率がどれくらいかは法人税は15%では済まないで計算しています。

消費税は、原則としてリース開始時に全額控除

課税事業者で一般課税の場合、消費税の扱いも購入と同じ考え方です。国税庁の質疑応答事例によると、所有権移転外リースは**リース資産の引渡しを受けた課税期間に、リース料総額に係る消費税を全額控除する(一括控除)**のが原則です。

ただし、会計上リース料を賃借料として処理している場合は、リース料を**支払うべき日の属する課税期間ごとに控除する(分割控除)**方法も認められています。簡易課税や2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで)・3割特例の人は仕入税額の計算をしないので、この違いは関係ありません。

リースと購入を選ぶときの考え方

税務上はどちらも「車を買って、経費にしていく」という点で同じです。違いは次の3つに集約されます。

  1. 経費になる時期:法人の定率法なら購入が前倒し、個人の定額法ならリースが前倒し
  2. 総額:リースには金利・手数料が乗る。増えた分の約2割しか税金は戻らない
  3. 資金繰り:購入は取得時にまとまった資金が要り、リースは毎月の支払いにならす

中古車を買う場合はさらに差が開きます。4年落ちの普通自動車は簡便法で耐用年数が2年になり、定率法なら取得した期に全額に近い額を経費にできます(4年落ちの中古車は耐用年数2年)。社用車を経費にしたときの法人化の分岐点の動き方は社用車を経費にすると法人化の分岐点はどう動くかで扱っています。

車の経費を含めた自分の売上と経費で、法人化の差額をシミュレーターで確かめてください。

まとめ

  • 中途解約できないフルペイアウトのカーリースは、税務上は購入とみなされ、リース期間定額法で均等に経費にする
  • リース資産には少額減価償却・一括償却・特別償却が使えない
  • 300万円の新車なら、法人の購入(定率法)は1年目99.9万円、5年リース(総額330万円)は毎年66.0万円。個人の購入(定額法)は50.1万円
  • リースで増えた経費30万円のうち、税金で戻るのは6.3万円。約8割は手出し
  • 消費税は原則リース開始時に一括控除。賃借料処理なら分割控除も認められる

よくある質問

リース料を毎月の経費(賃借料)として処理してもいいですか

所有権移転外リースなど売買とみなされるリース資産について、リース料を賃借料として損金経理した金額は、税務上は償却費として損金経理した金額に含まれます(法人税法施行令131条の2第3項)。リース料が毎月均等なら、結果としてリース期間定額法と同じ額になります。

中古車ならどうなりますか

中古車を購入すると、残りの耐用年数を簡便法で短くでき、4年落ちの普通自動車なら耐用年数は2年です。購入とリースの差は新車より大きくなります。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。