税金の基礎

支店の登記は1か所6万円。登記しなくても均等割はかかる

結論

法人が支店を置いて登記すると、登録免許税が1か所6万円かかります(登録免許税法 別表第一24号)。均等割は登記ではなく事務所の実態で決まるので、別の都道府県に拠点を置けば、登記してもしなくても標準で年7万円が加わります。5年分の固定費は、登記すると41万円、登記しないと35万円で、個人事業主のままなら2万円です。

  • 支店の所在場所は会社の登記事項(会社法911条3項3号・914条3号)。変更から2週間以内に本店所在地で登記し、怠ると100万円以下の過料(915条・976条)
  • 令和4年9月1日から支店所在地での登記は廃止され、登記は本店所在地の1回で済む。移転は1か所3万円
  • 個人事業主は2か所目に登記がない。住所と別の市町村に事務所があれば、その市町村の均等割は標準で年4,000円

法人化したあとに2か所目の店舗や事務所を持つと、「支店として登記するか」という問題が出てきます。個人事業主のときにはなかった手続きです。

ここで混同しやすいのが、登記と税金の関係です。登記するかどうかで変わるのは登録免許税で、法人住民税の均等割は登記の有無と関係なく、事務所の実態で決まります。

支店の設置の登記は1か所6万円

登録免許税法の別表第一は、会社の商業登記の税額を定めています。支店に関係するのは次の3つです。

登記課税標準税額
支店の設置の登記(ル)支店の数1か所につき6万円
支店の移転の登記(ヲ)支店の数1か所につき3万円
登記事項の変更・消滅・廃止の登記(ツ)申請件数1件につき3万円

株式会社でも合同会社でも同じ額です。設立の登記の登録免許税は株式会社15万円・合同会社6万円と差がありますが、支店の登記には会社の種類による差はありません。

支店の数で課税されるので、2か所を同時に置けば12万円です。支店を閉じるときは、廃止の登記として3万円がかかります。

登記は本店所在地の1回だけでよい

以前は、本店所在地での登記に加えて、支店の所在地を管轄する法務局でも登記が必要でした。この支店所在地における登記は、会社法の改正(令和元年法律第70号)で廃止され、令和4年9月1日から不要になっています。

法務省は、同日以降に支店所在地で登記を申請しても、商業登記法24条2号により却下されると案内しています。現在の支店の登記は、本店所在地での1回で済みます。

支店を置いたら2週間以内。怠ると過料

会社法は、本店及び支店の所在場所を設立の登記事項に挙げています。株式会社は911条3項3号、合同会社は914条3号です。

登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければなりません(915条1項)。登記を怠ったときは、取締役や業務執行社員が100万円以下の過料の対象になります(976条1号)。

つまり、支店を設けたのであれば、登記するかどうかを会社が選べるわけではありません。選べるのは、2か所目の拠点を「支店」として設けるかどうかです。会社法は支店という語を定義していないので、その拠点が会社の事業の中でどういう位置づけなのかで判断することになります。

倉庫や作業場、在庫の置き場まで支店として登記する会社は多くありません。拠点の位置づけに迷うときは、登記の専門家である司法書士に確認する価値があります。

均等割は登記ではなく、事務所の実態で決まる

法人住民税の均等割は、都道府県・市町村の中に事務所又は事業所を有する法人に課されます(地方税法294条)。ここで見るのは登記ではなく、その場所に人的・物的な設備があり、継続して事業が行われているかという実態です。

そのため、次の2つが起こります。

  • 支店を登記しなくても、事務所としての実態があれば均等割はかかる
  • 同じ市町村の中に拠点を増やしても、均等割は市町村ごとに1つなので増えない(従業者数の区分が上がる場合を除く)

別の市町村・都道府県に2か所目を置いたときの均等割の扱いと、法人税割の分割は法人の事務所が2自治体なら均等割も2か所で詳しく扱っています。ここでは、登記の費用と合わせた固定費を見ます。

個人事業主のままなら、5年で2万円

個人事業主が2か所目の店舗を持っても、登記はありません。税務署には個人事業の開業・廃業等届出書で事務所の新設を届け出ます。

住民税では、1月1日に住所がない市町村に事務所を持つ個人は、その市町村で均等割を納めます(地方税法24条1項2号・294条1項2号)。標準の額は市町村3,000円・道府県1,000円の年4,000円で、森林環境税は住所地だけで課されるので乗りません。

2か所目の拠点を置いたときに増える固定費

2か所目の場所個人事業主(年)個人の5年計法人・登記する(初年度)法人・登記する(5年計)法人・登記しない(5年計)
同じ市町村内0円0円60,000円60,000円0円
同じ都道府県の別の市町村4,000円20,000円110,000円310,000円250,000円
別の都道府県の市町村4,000円20,000円130,000円410,000円350,000円

法人は資本金等1,000万円以下・従業者50人以下で、均等割は標準税率(市町村5万円・道府県2万円)。超過課税のある自治体ではこれより高い。個人は住所地と同じ市町村に1か所目があり、前年の所得が均等割の非課税基準を超える場合。「法人・登記しない」は事務所の実態がある拠点を登記しなかった場合の税額で、過料は含めていない。再計算は node scripts/shiten-touki-kintouwari.mjs。

別の都道府県に拠点を置くと、法人は5年で35万円の均等割が増え、登記すれば6万円が加わって41万円です。同じ条件の個人事業主は5年で2万円なので、差は39万円になります。

拠点を増やすときの固定費の差は、登録免許税よりも均等割のほうが大きい、というのが表から読み取れることです。登記の6万円は1回きりですが、均等割は事務所がある限り毎年、赤字でもかかります。均等割そのものの仕組みは法人住民税の均等割(赤字でも年7万円)にまとめています。

2か所目を持つ前に確かめておくこと

拠点を増やすのではなく移すだけなら、本店の移転の登記(1か所3万円)で済み、均等割の自治体も1つのままです。管轄の異なる法務局へ移すときは、旧本店と新本店の両方で登記が必要になります(会社法916条)。費用の内訳は本店移転の登記と税金にまとめています。

2拠点で事業をする予定がある段階で法人化を検討しているなら、均等割は自治体の数だけ毎年かかる固定費として、判定に足して考える必要があります。まず1拠点での個人と法人の手取りの差を自分の売上と経費で確かめ、そこから2か所目の固定費を差し引いてみてください。

まとめ

  • 支店の設置の登記は1か所6万円、移転は3万円、廃止は3万円。会社の種類による差はない
  • 支店所在地での登記は令和4年9月1日に廃止され、本店所在地の1回で済む
  • 支店を設けたら2週間以内に登記する義務があり、怠ると100万円以下の過料の対象になる
  • 均等割は登記ではなく事務所の実態で決まる。別の都道府県に拠点があれば標準で年7万円増える
  • 別の都道府県に2か所目を置くと、5年の固定費は法人41万円(登記込み)、個人事業主2万円

よくある質問

支店を登記しないと、どうなりますか?

支店の所在場所は会社の登記事項なので、支店を設けたのに登記しなければ、会社法976条1号の登記を怠ったときに当たり、100万円以下の過料の対象になります。登記の期限は変更が生じてから2週間以内です。

支店の登記は、支店のある地域の法務局にも必要ですか?

必要ありません。令和4年9月1日に支店の所在地における登記は廃止され、支店の設置・移転・廃止の登記は本店の所在地で行えば足ります。支店所在地に申請しても却下されると法務省は案内しています。

2か所目を支店ではなく本店の移転にすると安くなりますか?

本店の移転の登記は1か所につき3万円です。管轄の異なる法務局へ移す場合は旧本店と新本店の両方の登記が必要になります。拠点を増やすのではなく移すなら、均等割の自治体も1つのままです。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。