設立の手続き

役員賞与を払ったら賞与支払届。5日以内と「不支給報告書」の落とし穴

結論

役員に賞与を払ったら、会社は支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を年金事務所(事務センター)へ出します。賞与の保険料は、総支給額の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に料率をかけて計算し、健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1か月150万円が上限です。登録した賞与支払予定月に払わなかったときは、代わりに「賞与不支給報告書」を出します。

  • 賞与支払予定月は新規適用届などで登録され、その前月に氏名を印字した届出用紙が届く。払わない月にも報告が要る
  • 役員賞与300万円を1回で払うと、保険料は労使合計58万2,300円(東京都・40歳未満、子ども・子育て拠出金を含む)。厚生年金は150万円で頭打ちになる(当サイト試算)
  • 同じ月に2回以上払った賞与は合算して1回分として届け、上限も合算額に適用する

役員報酬を月額だけでなく賞与(事前確定届出給与)で受け取る設計にした一人社長は、賞与を払うたびに年金事務所への届出が必要になります。税務署への事前確定届出と、年金事務所への賞与支払届は別の手続きです。

そして見落としやすいのが、払わなかった月にも届出が要ることです。

支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」

日本年金機構によると、事業主が被保険者に賞与を払ったときは、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を出します。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請・郵送・窓口のいずれでも出せます。

対象は、名称を問わず労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものです。年4回以上支給されるものは賞与ではなく、標準報酬月額の側に含めます。

届け出た内容で標準賞与額が決まり、保険料と、将来の厚生年金額の計算の基礎になります。

払わなかった月は「賞与不支給報告書」

賞与支払予定月は、会社を設立したときの新規適用届などで登録されます。日本年金機構は、登録された予定月の前月に、被保険者の氏名などを印字した賞与支払届の用紙を事業所へ送っています。

その月に賞与を払わなかった場合は、賞与支払届の代わりに「賞与不支給報告書」を出します。予定月の翌月までに届出がない事業所には、翌々月に催告状が送られます。

一人会社では、設立時に深く考えずに予定月を登録し、毎年その時期に用紙が届いて戸惑うことがあります。賞与を払う予定がないなら、事業所関係変更(訂正)届で予定月を変更しておくと、毎年の不支給報告が要らなくなります。

事前確定届出給与は、届け出た額と時期のとおりに払わなければ損金になりません。届出の期限と、合同会社で起算点が違う点は事前確定届出給与で社会保険料は下がるかにまとめています。

標準賞与額と上限

賞与の保険料は、総支給額(税引き前)の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、健康保険・厚生年金の料率をかけて計算します。上限は次のとおりです。

保険標準賞与額の上限
健康保険年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計で573万円
厚生年金1か月あたり150万円

同じ月に2回以上払った場合は合算して上限を当てはめ、最後の賞与を払った後に合算額で届け出ます。

役員賞与を1回で払った場合の保険料(労使合計)を、東京都の料率で計算しました。

役員賞与健康保険の対象額厚生年金の対象額保険料(40歳未満)賞与に対する割合保険料(40〜64歳)
100万円100万円100万円28万7,400円28.7%30万3,600円
300万円300万円150万円58万2,300円19.4%63万900円
600万円573万円150万円85万7,484円14.3%95万310円
800万円573万円150万円85万7,484円10.7%95万310円

※ 厚生年金保険料率18.3%、子ども・子育て拠出金0.36%(事業主のみ)、協会けんぽ東京支部の令和8年度料率(健康保険料には子ども・子育て支援金を含む)による当サイトの試算。その年度に他の賞与がない場合

厚生年金は1か月150万円で頭打ちになるので、同じ300万円でも2か月に分けると厚生年金の対象は300万円に増えます。賞与の回数と月を決めるときは、この上限を意識しておく必要があります。

健康保険の573万円は年度で数える

健康保険の573万円は、4月から翌年3月までの年度の累計です。事業年度や暦年ではありません。3月決算の会社で3月と4月に分けて払うと、別の年度として数えます。

同じ年度内で転職などにより被保険者資格の取得・喪失があった場合、累計が573万円を超えたときは、本人の申出による「健康保険 標準賞与額累計申出書」で調整します。一人社長が自分の会社で継続して加入している場合は、申出は不要です。

賞与にかかる源泉所得税は、前月の給与の額で税率が決まる別の仕組みです。役員賞与の源泉徴収はいくらで計算しています。月額報酬と賞与の組み合わせで手取りがどう変わるかは、まず当サイトの判定ツールで月額の最適報酬を確かめてから検討してください。

まとめ

  • 役員に賞与を払ったら、支給日から5日以内に被保険者賞与支払届を出す
  • 登録した賞与支払予定月に払わなかったときは賞与不支給報告書を出す。払う予定がなければ予定月を変更しておく
  • 標準賞与額は総支給額の1,000円未満を切り捨てた額。上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金が1か月150万円
  • 同じ月の賞与は合算して届け出る。厚生年金の150万円は月ごとの上限なので、分割すると対象額が増える
  • 健康保険の573万円は4月〜翌3月の年度で数える

よくある質問

役員賞与を払う予定がない会社にも、賞与支払届の用紙が届くのはなぜですか?

新規適用届などで賞与支払予定月が登録されていると、その前月に用紙が送られます。払わなかった場合は賞与不支給報告書を出し、予定がなくなったなら事業所関係変更(訂正)届で支払予定月を変更します。

賞与支払届を出し忘れるとどうなりますか?

標準賞与額が決まらず、保険料が正しく計算されません。標準賞与額は将来の厚生年金額の計算の基礎にもなります。日本年金機構は、支払予定月の翌月までに届出がない事業所に催告状を送るとしています。

出典

本記事は2026年(令和8年)分 基準の制度にもとづく一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。 制度は毎年改正されます。実際の判断は最新の一次情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。 内容に誤りを見つけられた場合は お問い合わせ よりご指摘ください。